満月に吼える狼

パピコ吉田

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第一章 叩け!釈迦頭金貨財団

第十三話 財団の実態

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 美奈子の話を全て聞いた眞香は「とりあえず現状はゆきさんのところで待機してて下さい」と言い、美奈子は素直に「はい」と返事をした。

 美奈子がすぐに警察に連れて行かれる事はないと分かると、メガギア、ゆき、美奈子はお互いの顔を見合わせると自然と顔が綻んだ。
 
 そして美奈子の調書を取り終わった眞香は改めて光人の紹介を始めた。
 
眞香:それでは今回、内密に協力を自発的に申し出てくれた光人さんです。じゃ光人さんどうぞ
 
光人:はい。財団の副代表の光人です。今回はみなさん集まって下さってありがとうございます。

 光人は挨拶し深々とお辞儀をすると光人が財団に関わっていった経緯を話し出した。

 光人が言うにはリョウは当初、誰にでも優しく、弱者を助け、信者を幸福に導いて行くという教えを唱えていたようだった。
 
 それと御身体のトルキエの弓は誰でも触れる事が出来、金貨など必要がなかったそうだ。

 光人はリョウの活動を見ているうちに感銘を受け、財団の仕事などを手伝うようになっていき、リョウの信頼を徐々に得るようになり、気がつくと副代表になっていた。
 
 その後、見る間に信者が増え続け規模も大きくなったのも束の間リョウの様子が少しずつおかしくなっていったという。

 個人的に施設から離れた奥の岬に大きな保管庫をリョウが建設した事も要因の一つだったらしい。
 
 最近では世界に散らばっている神話や伝説に出てくる武器防具やアクセサリーをオークションでいくつも落とし保管庫に飾っているとの事だった。

 トルキエの弓を筆頭にどれも高価な物で財団の資金を流用しているさまがありありと分るようだった。

 光人はリョウの行為に不信感が徐々に増して行き、内定していた眞香に協力しようと決意したと吐露した。

眞香:なるほど、財団はリョウのコレクションを集める為の資金集めだったという事ですか。でも、それだけでは令状を取るのは難しそうです。

 保管庫は信者が厳重に警備をしているそうで光人も中に入ったのは一回しかないそうだ。
 
 どこから手をつけて良いのか眞香が悩んでいた時にギア子は晴の事を思い出した。

ギア:そういえば講演会で晴さんという女性がいたのですが、晴さんも財団の信者なんですか?

光人:そうです。でも実はとあるトリックがありまして・・・。

 財団の施設内で定期的に講演やイベントの際に動画や音楽を流すそうなのだが、その時に流れる音楽にサブリミナル効果を細工をしてるとの事だった。

 光人は動画を流してる最中は退席し休憩をしていたのもあり、その細工には気が付かなかった。
 
 だが、信者が増え徐々に様子がおかしくなり始めた頃には自分ではどうする事も出来なかった。
 
 そして更に最初の洗脳に成功したのは晴らしくリョウのお気に入りへとなり講演会に登場する機会が増えたそうだ。

ギア:そういえば動画流してた‼︎ でも動画があまりにもつまらなくて途中でぺんちゃんとトイレ行こうってなって、会場から出てホテル内の喫茶店でお茶してた気がする。

美奈子:という事は・・・主人は施設内に仕事に行く度にその動画を見せられて洗脳されたって事なんですね。

メガ:どうにかその洗脳を解く事は出来ないのかな?

光人:そう思って洗脳に使われてる音楽が入ったデータを持って来たんです。

眞香:では、このデータは一旦こちらでお預かりさせて頂き、また何か分かり次第こちらから連絡します。

光人:お願いします。私も他に何か手伝える事があればいつでも言って下さい。これ私の番号です。では、これで失礼します。
 
眞香:では私も。
 
ゆき:じゃ私達も。
 
美奈子:うん。では連絡お待ちしてます。
 
 すると四人は次々と帰って行った。

ギア:私達の手に負える感じではなくなってきたわね・・・。

メガ:そうだな~。

 四人が帰った後に二人はどうにも出来ない無力さを感じていた。

 そして翌日、インターホーンが鳴り玄関に行くとそこには旧月が立っていた。

旧月:こんばんわ~。昨日眞香から話聞きました。それでちょっと一緒に来て欲しいところがあるんですが。

 夕食を食べ終わり一段落し特に何も用事がなかった二人は旧月と一緒に行く事になった。

 旧月の後ろをついて階段を降りて行くとアパートの一階にある部屋の前に来た。

旧月:実は隣の部屋の方が今回の事に役に立つ気がして一緒にお願いに来て欲しかったんです。ちょっと一人じゃ心細かったし。

 メガギアは何だろう?と不思議に思ったが「わかりました」と返事をし旧月の後ろで隣人が出てくるのを待つのであった。

つづく
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