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第一章 叩け!釈迦頭金貨財団
第四話 電柱の男
しおりを挟むギア子とサクラは昼間の間に双眼鏡や捕獲用の縄など必要なのか分からないアイテムをディスカウントストアで購入し、夕食を食べ終わるとアパートの通りの向かいにある電柱に現れる男を交代で見張り始めていた。
すると旧月が言うように黒いキャップを目深に被り上下は目立たないよう黒いシャツにグレーのパンツの男性が現れた。
その男は毎晩現れるものの電柱の影からアパートを見ているだけで何も動きがなかった。
双眼鏡で見ていたギア子がふとある事に気がついた。
ギア:ねえ?あの男の人って一階の旧月さんの部屋を本当に見てるのかしら?
それを聞いたメガ男とサクラは男が見ている顔の向きを確認した。
メガ:なんかうちの方向を見てないか?
男はメガ男達が住んでるのはニ階の方をじっと凝視してるように見えた。
もしやギア子やサクラ狙いなのでは?とメガ男は疑い出した。
すると怒ったかのようにメガ男は勢いよく外に出て行った。
メガ男が急に出て行くのを見て慌ててギア子とサクラは縄やら何やら持って追いかけた。
ギア子とサクラがアパートの階段を降りきった時にはメガ男は電柱の影に隠れている男に詰め寄っていた。
メガ:おい!お前!そこのお前だよ!
男は一瞬逃げようとしたが、メガ男が男の腕を掴み素早くその腕を男の背中に後ろ手を取るとメガ男が男にそのまま体重をかけ自然と男が地面に膝をつくような形になった。
男:いたたた・・・やめてください。逃げませんからお願いです。
メガ:本当か?
メガ男が確認するように男の腕を更に強く捻った。
男は本当ですと言わんばかりに無言で何度も頷いた。
メガ:よし、それならうちでじっくり話を聞かせて貰おうか!
男は観念したかのようにメガ男に言われるがままアパートに連れて行かれたのであった。
男が誰をストーキングしてるのか確認すべくメガ男の家で事情聴取が始まった。
メガ:で、なんでギア子をストーカーしてんだ。
メガ男は我慢ならんとばかりに威圧的に言い放った。
すると男は下を向いたまま『違います・・』と小声で言った。
メガ:じゃ誰を見てたんだよ‼︎
バーーン‼︎とテーブルに両手をついてメガ男が身を乗り出した。
それを見ていたギア子とサクラは男らしいメガ男を頼もしいと目をキラキラさせていた。
メガ:その前にちゃんと名乗って貰おうか!
男は覚悟を決めたのかぐっと顔を上げ話し始めた。
男:僕は継之助と言います。実は・・・。
と言うポツリポツリと話し始めた。
ある日の事、仕事帰りに突然の雨に降られた継之助はずぶ濡れになり、最寄駅で雨宿りをしようと駅の構内に入った時だった。
たまたま仕事帰りに遭遇したサクラがハンカチを差し出してくれたそうだ。
継之助がお礼を言おうとしたがサクラは急いでいたようでそのまま立ち去ってしまったようだ。
サクラ:あー。あの時の方でしたか‼︎
継之助は恥ずかしそうにこくんと頷いた。
それからハンカチを返そうと何度も声かけようとしたが極度の人見知りの継之助は電柱から動けずにいたそうだ。
メガ:でもそれをストーカーって言うんだぞ? 男なら言いたい事あるならちゃんと言え‼︎
メガ男は継之助の背中を気合いれるかのように叩いた。
継之助は気合が入ったのか背筋を伸ばし言い放った。
継之助:あ、あの・・・サクラさん初めて会った時から好きでした。こんな僕で良かったらお友達からよろしくお願いします。
頭を深く下げハンカチを両手で差し出した。
サクラはハンカチをそっと手に取り、お友達からならと優しく受け取った。
ギア:サクラやるぅ。
ギア子は頬を赤らめるサクラを肘でつついた。
継之助はサクラと連絡先を交換し嬉しそうに帰って行った。。
翌日にメガ男が越褌に説明してこの電柱男の一件は解決したのであった。
つづく
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