くんちゃんと炭酸

gizumo

文字の大きさ
上 下
3 / 6

火曜日の夕方

しおりを挟む
 朝がきた。
 昨日の姉のあきなの顔の表情が気になったが今見たらいつもと同じ顔だったので気にするのをやめた。
 相変わらずくんちゃんはお寝坊さんだ。
あきなはもう学校に行ったと言うのに…。
 「おはよー」
一人でくんちゃんが起きてきたのでお母さんはびっくりした。
 「くんちゃん、えらいね」
 「ふつうだけど」
ふつうって?とお母さんは考えてしまったけど今の子供達は返事をそう返すのだと理解した。
 「いってきまーす」
 「いってらっしゃい」
と、何でも自分でできるようになって、成長していくくんちゃんを笑顔で見送った。
 「あっ、くんちゃん今日早く帰ってきてね、病院行くから。」
と、くんちゃんに伝えた。
歩きながらくんちゃんが返事の代わりに手を振った。
 あれやこれやと時間が過ぎていった。
 「ただいまー」
 「おかえり、病院行くからねぇ」
 「ねぇ、お母さん何で病院行くの」
 「あっ違った。今日は歯医者だった。」
 お母さんは天然なところがあるらしく、たまに家族を困らせるのだった。
 「まじかっ」
 「ごめんね、もう行こうね」
 歯医者に来ても嫌がらないのが不思議だが
、月に1回矯正にきているので今日も安心しているのだろう。
でも今日は前の月にきた時に歯がずれてるから抜こうと言うことで来たのだ。本人はその事を忘れているようだ。
 先生が麻酔を打った。
「えっ」くんちゃんは今、気づいたようだ。
「じゃ、抜くね」
先生が抜き終わるまでくんちゃんは泣かなかった。
「くんちゃんえらいね、泣かなかったね」
「当たり前だよ」って強がっていた。
 1時間くらいは何も食べられないようだ。
 家に急いで帰って夕飯の準備をした。
 夕飯が終わり、あの瞬間がきた。
 くんちゃんが冷蔵庫に向かい炭酸を持った。グラスは1個持っている。
お母さんは隠れてみていた。
 「あっ」
声が出てしまった。
 「お母さん、そこにいてもバレバレだよ」
 「ねぇくんちゃん、その黒いものって何?今日は1つだけど」
 「私の友達だよ、お母さんも見えるの?」
 「うん、ぼやけてるけど」
 「ねぇ、くんちゃん大丈夫なの?。」
と言った後、黒いものはくんちゃんのところから消えていった…ように見せかけてお母さんの横を素早く通り耳元で
 「何で騙した?歯を抜くなんて…可愛そうに」といいながら 去っていった。
 お母さんは少しの間身動きがとれなかった。それを見ていたくんちゃんは
 「お母さん、どうしたの?」
と、心配して言ってくれたように見えた。   
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

アルファポリスとカクヨムってどっちが稼げるの?

無責任
エッセイ・ノンフィクション
基本的にはアルファポリスとカクヨムで執筆活動をしています。 どっちが稼げるのだろう? いろんな方の想いがあるのかと・・・。 2021年4月からカクヨムで、2021年5月からアルファポリスで執筆を開始しました。 あくまで、僕の場合ですが、実データを元に・・・。

100000累計pt突破!アルファポリスの収益 確定スコア 見込みスコアについて

ちゃぼ茶
エッセイ・ノンフィクション
皆様が気になる(ちゃぼ茶も)収益や確定スコア、見込みスコアについてわかる範囲、推測や経験談も含めて記してみました。参考になれればと思います。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

孤独な戦い(2)

Phlogiston
BL
おしっこを我慢する遊びに耽る少年のお話。

二十歳の同人女子と十七歳の女装男子

クナリ
恋愛
同人誌でマンガを描いている三織は、二十歳の大学生。 ある日、一人の男子高校生と出会い、危ないところを助けられる。 後日、友人と一緒にある女装コンカフェに行ってみると、そこにはあの男子高校生、壮弥が女装して働いていた。 しかも彼は、三織のマンガのファンだという。 思わぬ出会いをした同人作家と読者だったが、三織を大切にしながら世話を焼いてくれる壮弥に、「女装していても男は男。安全のため、警戒を緩めてはいけません」と忠告されつつも、だんだんと三織は心を惹かれていく。 自己評価の低い三織は、壮弥の迷惑になるからと具体的な行動まではなかなか起こせずにいたが、やがて二人の関係はただの作家と読者のものとは変わっていった。

孤独な戦い(4)

Phlogiston
BL
おしっこを我慢する遊びに耽る少年のお話。

女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。

矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。 女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。 取って付けたようなバレンタインネタあり。 カクヨムでも同内容で公開しています。

処理中です...