ティーシェラン戦記

ニコニ

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第7章 外交を準備しよう

王都からの出立。

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 「愚考を呈しますと。一桁艦隊を連れて行けば良いのではないでしょうか?」

 あれ?あれれ?
 何がどう転がってそういうことになった。なんでいきなり最終兵器を使うことになった!?
 え!話し合いブッ飛ばして戦争すんの!?
 もしそうだとしたら、まず……

 そんな思考に耽ってる主人公を無視に近い形で伝令官が話し出す。

 「我が国の艦隊は非常に強力な兵器でございます。外見のインパクトもあって、それを使って外国に赴けば侮られることはないでしょう。
 強き兵器は使わずに抑制力、或いは威嚇力として使うのが王道でございますが、その恐ろしさと力量の如何程を知らしめなければなりません。
 帝国と連合を牽制する為にも、新艦隊の実力テストをしたほうがよろしいかと思います。結果次第では、王国の喫緊の問題を解決に繋がるかもしれません。」

 「へぇ、なるほど了解しました。確かに、軍事力の適切な誇示は必要不可欠です。
 ルシェーラでの仕事を終えた後、破亜斗さんの所に行きましょう。外交に関する全てはラー……国王陛下から一任されてますので、艦隊の貸出許可を出してくれるでしょう。」

 ふむふむと主人公は頷き、納得し……かけました。

 「でも、一桁艦隊ですよ。最強兵器である故に、武装の更新はまだ進んでいる最中じゃないですかね?相当時間がかかりそうですけど。
 協力しようにも、もうルシェーラとヤドゥーユの生産プレイヤーを派遣できるだけ全部派遣しちゃいましたし、いっそうオレがしばらく不眠不休で働くこうっかな~。」

 冗談半分で言っているように聞こえるかもしれませんが、恐らく本気です。
 かつてギルド戦争の為に、生身の人間の状態で一週間合計10時間しか寝なかったこともありました。
 一日平均二時間も寝ていないのに、それが一週間も続いているのに、どうして死なないだろう。不思議です。

 主人公の結構マジの発言を聞いて、伝令官は慌てて応える。

 「おやめになったほうがよろしいかと、他の二大国が今どうしているかは判明しておりませんが、出遅れは禁物でございます。
 最悪の場合、包囲網が築かれ恐れも。それに面しているカッチェド領が大打撃を受けてしまわれる可能性もございます。」

 「そうですよね~。上手く外交をする為にかえって出遅れてしまったら元も子もないですね。
 それに包囲網とか最悪ですね。」

 『遅巧よりも拙速』

 何もかもがそれに適用するとは思ってはいないが、遅々として動かないのはほとんど場合、愚行に過ぎない。
 帝国と連合がフィーセド星域外に進出しているのかは判らない。そもそも、外の世界に気づいているのかも不明瞭。
 はぁ、最近は判明していないことが多過ぎる。『疫病無効』と『異常状態軽減(極)』を持っているとは言え、胃が痛くなりそう。

 

 あー、なんかこの頃船ばっか乗ってる。地面に全く足が全然つかない。
 ルシェーラに帰った後、直ぐにに王都最前線に向かった。
 艦隊の整備工場に行って破亜斗さんに聞いてみれば、意外の答えが返ってきた。

 「第三艦隊の整備はならもう終わってるから、持ってていいぜ。」

 とのこと。

 どうやら、まずは一桁艦隊の改良を完成させた後に、他の艦隊に徐々にてを回すことになっているらしい。
 一番ルーンの最大搭載数が多い一桁艦隊を練習台にしたらしい。強化した艦隊は理論上は今までとは比べものにならない程強いらしい。

 他国どころか自国にも不明瞭が蔓延っている。戦場の霧はどうやら空気を読めないらしい。

 これから霧が濃いどころか、霧そのものである外国に飛び立とうとしている。というのに、オレがノイローゼになりそうだ。



 フィーセド星域と未知の星域の間にはほぼ星がありません。自ら光を出せる恒星など全く姿を見せません。

 真っ暗の空間をひたすらに進む一行。
 主力艦10隻、重巡艦5隻、軽巡10隻、駆逐艦30隻、母艦3隻。
 以上からなる艦隊が、王国の第三艦隊であります。

 以前の艦隊の主力艦の主砲は、余裕で恒星を爆破させることができました。あくまでことが可能なだけでした。
 近くにいれば、爆破に巻き込まれる危険性や、恒星内部の反応により、不発に終わることもしばしばありました。

 強化された艦隊は理論上、数千倍の能力が保持していることになっていますが、理論と実践はいつだって研究者たちを困らせてきました。

 今回、もし平穏にことを済ませて外交ができるのでしたら、それに勝ることはないでしょう。
 しかし、万が一にも武力行為が必要な場合は艦隊のテストをしなければなりません。
 
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