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【閑話】タリアの想い

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私タリアがリディア奥様付きになったのは本当に偶然だった。
失礼な事ではあるが、浮浪児のようにガリガリでボロボロな貴族令嬢が本当に存在しているのかと思うほどあの時の奥様は生きているのが不思議なくらいだった。
私と3つしか変わらないのに少女のように純粋ながら世間の厳しさを知っている女性そういう印象だったが、私は放っておけない妹のように栄養のあるものを用意し少ない手当で服を用意、美容品も確保しつついつ高級ドレスを仕立てることになってもいいように実家の商会を上手く使い奥様のそばに居たの。
半年もした頃にはまだ細いながらスラッとしたスタイルに傷んでいた髪は艷めく色に変わり幼さも残る美女に変貌したのには少し驚いたがほっとけない主には変わり無かった。



思いつきでのお忍びから、商売を始めると言い出した時に本来なら止めるべきなのにこんな生活をしていれば何かしたくなるのも仕方がないと思い失敗しても実家に助けてもらおうと出来うる限りの補佐はしたし、知らないことは家族に教えて貰いながら必死で奥様のお店を手伝ってきた。
奥様が家出をすると言い出した時にはそれがいいとさえ思っていたのだから。

その頃差出人不明の手紙が届くようになっていた。
奥様が望むなら離婚をさせたい。離婚後は保護し、後見人を付ける。
そのためには私に今できる事をするようにと指示の手紙が届くようになった。
初めはイタズラかと思ったが、上質な紙を使っていたし何より奥様の気持ちを優先するようにとの支持だったので、出来うる限りのことはしてきた。
その手紙の主が誰かハッキリしたのはしばらくしてから。
「やぁ、タリア。」
最近商業ギルドに行くたびに接触してきたテオール。
彼は手紙の主の部下ど商業ギルド関係の情報を収集担当だと名乗った。
そんなに重要な事を私に教えていいのかと怖くなって聞いたが奥様を大切に思っていて今まで手紙の指示に素直に従っていた私になら教えていいと指示があったそう。
「テオールさん、私がここに来る度に会いますが暇なんですか?」
「こう見えて結構忙しいよ?でもあの方が彼女の事を気にしていらっしゃるからねーこっちが最優先ってだけさ。」
手紙の主は最近になって奥様の現状を知り大激怒されたらしい。
奥様にそんな方が居たのなら、なんでもっと早く助けなかったのかと聞きたいくらいだが、こんな遠回しな指示を出すくらいだ下手な事をして奥様のそばに居られなくなるのは困る。
「なら私から言えることは有りませんが奥様は毎日楽しそうにお店で働かれて居ますよ。」
「うーん、主的には令嬢としてのんびりして欲しいそうなんだよね。」
「前にもお伝えしましたが、無理ですよ。私もお屋敷にいる時に色々と自分でしてしまうんですよ?料理なんて私より上手で……」
「はは……まあその辺はおいおいな、今日はどうしたんだ?」
「そうでした。お店の従業員を募集しに来ました。」
「ふぅーん」
「あなた方の好きな人材が奥様が気に入るか分かりませんよ?」
絶対送り込んでくるわね、商業ギルドにですらいるんだもの。
「まぁいろんな人材を用意しておくさ。」
ほら否定しない……
「即戦力になる方は避けてください。」
「ん?なんでだい?」
「多分ですが、そういう方は自分のやり方と違うと教えるの難しいと奥様が言っていましたから。」
「了解!まかせ……ちょっとまってて」
急に顔つきが変わってすぐ後ろの角を曲がり誰かと話し出す。
「タリア急いで店に戻れ、彼女がナイジェルに襲われかけた。さいわい旦那が居合わせて事なきを得たらしいが。」
「奥様、すぐ戻ります。人材の事お願いします。」

あんなに気をつけていたのに少し目を離した隙にこんな事になるなんて。
急いで戻ると旦那様が奥様を介抱しており手首が赤く腫れていた。

テオールの主から頼まれているがそれとは関係なく私はこの方を支えたいのに不甲斐ない自分が嫌になる。
「タリア、気にしないで。私はタリアと笑いながらお店をやるのがとても楽しいのよ?これからも頼りにしているの、だからもう気にしないでね。」
奥様は優しい、優しい環境にいなかったのに。
奥様にずっとついていこう。この時そう再度決意したのだった。


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
タリアがいつの間にかとある人と接触してました。
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