【完結】旦那様、わたくし家出します。

さくらもち

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私、恋を知りません。

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タリアが帰ってきたのを確認して旦那様は警備隊の詰所に行かれました。

ティータイムの営業は臨時休業として2階のリビングで何があったのかをタリアに話したのだけれども、
「そこでときめかないっていうのがオーナーらしいですね。」
って言うのよ?
「だって旦那様よ?」
「一応旦那様はかなりの美男子のはずですよ。」
「顔なんてどうでもいいわ、私を理解して大切にしてくれさえすれば。」
「まぁお屋敷に来た時のオーナーはガリガリに痩せていたのにそれをおかしいとも思わないのは人として理解できませんね。」
「いまは随分太ったと思うわ。」
「オーナーは太ったのではなく健康的な体型に近づいたというのです。ほかのご令嬢と比べてもまだまだ細い方ですからね。」
タリアは実家のドレス部門でリリーの服を調達する時に他の令嬢のサイズも聞いてみるとまだまだ細いと言う事だったのでもう少しリリーを太らせようと思っているのだが、いかんせん食が細いままなので最近はなかなか太る様子が見られないのだ。

「にしても旦那様は私が居なくなっていることは本当に気づいてないのかしら?」
「多分家令は気づいていてもおかしくないのですが、横領している可能性が高いので居ないことを隠しお手当てを全額懐に入れれるチャンスなので旦那様には報告をしてないかと。」
「ただ、そろそろバレる頃かと思います。」
「あら?なんでバレるの?」
「いくら病弱設定でも来年の春に国王陛下の生誕50年祭がありますからね。いるか分からない妻の存在を怪しんでいる人もそろそろ出ている頃なので仕方がなく連れていかないといけない、となるかと思いますよ。」
「王宮主催パーティにあまり不参加が続くのは確かに体裁も悪いわね。そうするとドレスを仕立てる時期もあるし早ければそろそろバレるという訳ね。」
「これでバレなければ逆に凄いと思いますよ。」
タリアもちょっと呆れてるみたい。
ここまで放置された妻って私じゃなければ病んでそうね。

「さぁ、落ち着いたことろ申し訳ないのですが、警備隊の詰所に1度顔を出さないと行けませんよ。」
タリアに言われるまですっかり忘れてたわ。
ナイジェルの事は旦那様に任せておけば揉み消しは出来ないでしょうから、今後の心配が無いって変な安心感があって忘れていたわ。

「そうね、暗くなる前に行きましょう。」


「では、よろしくお願い致しますね。」
「はい、もしも何か困ったことが出てきましたら警備隊にお知らせ下さい。」

旦那様が丁重に対応するようにとでも言っていたのかしら?と思うほどこちらも誘っていたのでは?などの嫌な質問もなくスムーズな聞き取りだけで済んだことには旦那様に感謝してもいいわね。
というより、余罪もたくさん有りそうなのでこれを機に警備隊の揉み消し疑惑も含めてどうにかして欲しいわ。

「オーナー、明日の営業も一応おやすみしましょう。」
「え?でも…」
「手首のアザの事もありますから数日は安静にされた方がいいと思いますよ。」
「うっ…」
確かになんだかアザのことろが熱っぽよね。
「今日は私がお世話しますから大人しくしていてください。」
「はぁい」
タリアったらやっぱり過保護!!
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