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私、要らないですか?
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お店の準備も整い週に2日ほどから開店して早半年、週に2日ほど来ていた使用人が週に1日に減り、先月からついに来なくなりました。
お店自体は成功し、営業日を増やして欲しいと言われ3日にしているのですが、ミニクロスの特許と店内販売のおかげで女二人で食べるには困らない程度には稼げるようになっていたので使用人が持ってきていた食材が無くとも店で余った食材や多めに買っておいた食材を持ち帰り何とか出来ていましたし、掃除なども元々自分で出来るのでなんの問題もなく過ごせているのが現状だったりします。
「奥様、お茶が入りましたよ。」
最近では、別邸にいる時はタリアと2人でティータイムをのんびり楽しみながらお店の打ち合わせをしている時間が楽しみなの。
「ええ、今行くわ。」
「それで?今後どうなさるおつもりですか?」
「どうしましょうね、このまま忘れ去られた存在ってのも気楽では有るけれども正直ここまで蔑ろにされる事もないわねって思う自分もいるわ。」
「実は、毎月のお手当てなのですが、ここ数ヶ月少しづつ減ってきています。」
「あら?でもお店を買い取ってからお手当てには手をつけていないのよね?」
「はい。ですが、正直元々奥様に渡すお手当てとしては少ないとは思っていたのですが、使用人が来なくなったことをみるに屋敷のものが横領しているのかも知れません。」
「え?そうなの?」
さすがに実家で虐げられていてお手当て貰えるだけで充分と思っていたのであまり気にしていなかったわ。
「さすがに見過ごす訳には行きませんので旦那様にお会いになりますか?」
「いいえ、必要ないわ。ねぇ、いついくらお手当てを受け取ったと言う記録は残してあるのかしら?」
「残してあります。何に使っていくら残っていると言うのも。」
商家出身なだけあって頼もしいわね。
私のところに来てくれたのが彼女で良かったのかもしれないと常々思うわ。
「使った履歴はお店の存在がバレるのが嫌だわ。」
「そう言われると思い別帳簿にしてありますよ。ちなみにお店の売上でほぼ補填済みです。」
私のお店の給料はお手当てと一緒に基本貯めておいて貰っていたけれどももしかしてそちらに補填していてくれたのかしら?
というか、今更だけれども普通の侍女はお金の管理はしないわよね?本当にタリアが私の侍女で良かったわ。
「あのお店そんなに儲かっていたの??」
「どちらかと言えば奥様の特許のお金が先日まとめて入ってきてそれがお店購入費とほぼ同額だったので。」
なるほど、あのミニクロスはいま街だけでなく各都市部で流行になりつつあるとか無いとか。
「そう、ならば全て貴女のおかげね。今度ボーナスを支給しなければならないわね。」
「いえ、それには及びません。今はまだ本邸からお給料を頂いていますので。」
「そうよ、その事なのだけれども私家出しようと思うの。」
「家出ですか?」
「ええ、もう要らないってことなのかしらって思えるような状況に気づいていない旦那様といても意味無いでしょ?」
「まぁ確かにそうですね。」
「だからタリアは今度のお手当てを受け取りに行った時にお屋敷を退職して欲しいの。もちろん前に言ったように私とお店をやるのはもう嫌でこのまま務めたいならそれでもいいのよ。」
「私は奥様について行くと前にもお伝えした通りにするつもりです。なので退職の件は承知しましたが、その後どうするおつもりですか?」
「さっきも言ったけど、侍女も辞めてしまい、使用人もこない。なので離縁してください。出ていきますって手紙だけ残して二度と戻らないわ。」
「なるほど、最大でひと月は居なくなったことに気づかないからどこか遠くの街に行ってしまった、と勘違いしてくれたらいいということですか。」
「ふふ、そうよ。まさか常連になっている店のオーナーが妻だと気づいていないあの人には見つからないだろうと思うのよ。」
実は旦那様ったらぶつかったあの近くによく行くのかあの後店の前を掃除してたら声をかけられてそれからうちの店の常連様なのよね。
「まったくもって理解出来ませんがあの方奥様に恋慕していらっしゃいますよね。」
なびかない女だから逆に女嫌いなのに気に入られた感じの典型的パターンね。
奥手なので注文を受ける時と会計時しか話さないけどもウブなのか、直ぐに好意にはきづいたの。
恋愛小説にありがちなやつよね。
「あら、タリアもそう思う?私もそうなのかしらと思っていたけれども、本人の意思でなくても放置妻が居るのに恋するならその前に妻をどうにかしないととか思わないのかしらね。」
「私には分かりかねますね。」
「ふふ、そういうことだから来月からお店に住むから少しづつ私物を運びましょうか。」
「奥様の私物ってお洋服と裁縫セットしかないじゃないですか。」
「あら、確かにそうね。」
やることは決まったわ。
私、家出します!
お店自体は成功し、営業日を増やして欲しいと言われ3日にしているのですが、ミニクロスの特許と店内販売のおかげで女二人で食べるには困らない程度には稼げるようになっていたので使用人が持ってきていた食材が無くとも店で余った食材や多めに買っておいた食材を持ち帰り何とか出来ていましたし、掃除なども元々自分で出来るのでなんの問題もなく過ごせているのが現状だったりします。
「奥様、お茶が入りましたよ。」
最近では、別邸にいる時はタリアと2人でティータイムをのんびり楽しみながらお店の打ち合わせをしている時間が楽しみなの。
「ええ、今行くわ。」
「それで?今後どうなさるおつもりですか?」
「どうしましょうね、このまま忘れ去られた存在ってのも気楽では有るけれども正直ここまで蔑ろにされる事もないわねって思う自分もいるわ。」
「実は、毎月のお手当てなのですが、ここ数ヶ月少しづつ減ってきています。」
「あら?でもお店を買い取ってからお手当てには手をつけていないのよね?」
「はい。ですが、正直元々奥様に渡すお手当てとしては少ないとは思っていたのですが、使用人が来なくなったことをみるに屋敷のものが横領しているのかも知れません。」
「え?そうなの?」
さすがに実家で虐げられていてお手当て貰えるだけで充分と思っていたのであまり気にしていなかったわ。
「さすがに見過ごす訳には行きませんので旦那様にお会いになりますか?」
「いいえ、必要ないわ。ねぇ、いついくらお手当てを受け取ったと言う記録は残してあるのかしら?」
「残してあります。何に使っていくら残っていると言うのも。」
商家出身なだけあって頼もしいわね。
私のところに来てくれたのが彼女で良かったのかもしれないと常々思うわ。
「使った履歴はお店の存在がバレるのが嫌だわ。」
「そう言われると思い別帳簿にしてありますよ。ちなみにお店の売上でほぼ補填済みです。」
私のお店の給料はお手当てと一緒に基本貯めておいて貰っていたけれどももしかしてそちらに補填していてくれたのかしら?
というか、今更だけれども普通の侍女はお金の管理はしないわよね?本当にタリアが私の侍女で良かったわ。
「あのお店そんなに儲かっていたの??」
「どちらかと言えば奥様の特許のお金が先日まとめて入ってきてそれがお店購入費とほぼ同額だったので。」
なるほど、あのミニクロスはいま街だけでなく各都市部で流行になりつつあるとか無いとか。
「そう、ならば全て貴女のおかげね。今度ボーナスを支給しなければならないわね。」
「いえ、それには及びません。今はまだ本邸からお給料を頂いていますので。」
「そうよ、その事なのだけれども私家出しようと思うの。」
「家出ですか?」
「ええ、もう要らないってことなのかしらって思えるような状況に気づいていない旦那様といても意味無いでしょ?」
「まぁ確かにそうですね。」
「だからタリアは今度のお手当てを受け取りに行った時にお屋敷を退職して欲しいの。もちろん前に言ったように私とお店をやるのはもう嫌でこのまま務めたいならそれでもいいのよ。」
「私は奥様について行くと前にもお伝えした通りにするつもりです。なので退職の件は承知しましたが、その後どうするおつもりですか?」
「さっきも言ったけど、侍女も辞めてしまい、使用人もこない。なので離縁してください。出ていきますって手紙だけ残して二度と戻らないわ。」
「なるほど、最大でひと月は居なくなったことに気づかないからどこか遠くの街に行ってしまった、と勘違いしてくれたらいいということですか。」
「ふふ、そうよ。まさか常連になっている店のオーナーが妻だと気づいていないあの人には見つからないだろうと思うのよ。」
実は旦那様ったらぶつかったあの近くによく行くのかあの後店の前を掃除してたら声をかけられてそれからうちの店の常連様なのよね。
「まったくもって理解出来ませんがあの方奥様に恋慕していらっしゃいますよね。」
なびかない女だから逆に女嫌いなのに気に入られた感じの典型的パターンね。
奥手なので注文を受ける時と会計時しか話さないけどもウブなのか、直ぐに好意にはきづいたの。
恋愛小説にありがちなやつよね。
「あら、タリアもそう思う?私もそうなのかしらと思っていたけれども、本人の意思でなくても放置妻が居るのに恋するならその前に妻をどうにかしないととか思わないのかしらね。」
「私には分かりかねますね。」
「ふふ、そういうことだから来月からお店に住むから少しづつ私物を運びましょうか。」
「奥様の私物ってお洋服と裁縫セットしかないじゃないですか。」
「あら、確かにそうね。」
やることは決まったわ。
私、家出します!
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