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サラディンの願い
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紫色のドレス。薄紫のレースであしらわれた、ベール。紫の花飾り。色香を濃く匂わす、化粧。ドレスからは、カノジョの胸を強調し、今すぐ触れたくなるような……。
サラの隣にいる、花嫁のように着飾ったドレス姿のマリア。焦点の合わない瞳。
「さぁ、コレから。アナタはこのセカイで、エイエンにイラレル」
「サラ様のセカイで、エイエン」
「そうよ。アナタは、サラディン・バリファン。バリファン侯爵の養女」
「ワタシはサラディン・バリファン。バリファン侯爵の養女。お義兄さま達に愛される」
「そう、エイエンに……」
マリアの心の臓に、紫の文字が渦巻いた紋様の光の玉が入り込む。ドクドクと、新しいココロが生まれる。
ーーワタシはサラディン・バリファン お義兄さま達を愛しているーー
ーーサラ様のために、このセカイに捧げるーー
新しいココロが、マリアを浸食する。
ーーたす、けてーー
ーーわたしはアカネで、マリアでーー
「ダメよ? 苦しむだけよ? ほぅら、アナタが愛するお義兄さま達が待っているわよ。あんなにも昂ぶり滾って」
「……わ、た、し……」
「ねぇ? カレをウシナイタクない、でしょう?」
「あっ……イヤ……」
「イイコ」
ーーお義兄さま と いたかっただけなの わたしーー
ーーあなたは? サラディン?ーー
ーーわたしの魂 わけられて しまって 痛い 辛いーー
ーーわたし、貴女を助けたいーー
胸に入ったサラディンのココロに、触れる。彼女は、ただバリファン家の義兄たちと居たかっただけ。一緒に、遊んで、笑って。愛しているだけだったのに……。
彼女の痛めているココロが強く感じる。
バラバラにされ、捧げ者のカラダに入り込まされていった彼女の心。ひとつに、本当の心に……。私にできたら……。
花嫁衣装のサラディンを、恍惚とみつめる義兄たち。
胡乱だ瞳に、紋様が刻み込まれている。彼女は、この義兄たちを見て苦しんでいる。伝わる、彼女の傷みが。
自然と、涙が零れてくる。
「あぁ、支度してきてくださったのですね。ステキ」
「オレのアイスル。ハナヨメ」
バリファン邸に、新郎姿のリヒャルトがいた。彼の瞳は、マリアではなく……サラを見つめ、悦んでいる。
彼女の頬に触れ、「キレイだ。今すぐ、アイシアイタイ」と言った。
壇上のバリファン侯爵が、魔方陣の紋様を色濃くする。同時に、瞳はすべて紋様になった。全身に紫の文字の渦巻く紋様が、蠢き始めた。
悦びと歓喜の声で、魔法を紡ぐ。
「我がアイスル サラ様 エイエンの力を アナタだけに!! 我が身を お遣いください!!」
彼女へチカラを与え尽くす。力がサラへとずるずると床を這って足元から入り込んでいく。力が、蜜壺へと刺激していくように入る。 高まり尽くした侯爵の力を喰らい尽くし始める。
侯爵は身体を痙攣させて、果てた瞬間に、魔方陣に消えた。
「んっ……ぁあああ!! イイ!! チカラとカイラク!!」
「アァ ウツクシイ ハヤク アイシアイタイ」
「リヒャルト様は、せっかちデスこと」
「タマラナイ アナタ と」
「アナタたちには、ハナヨメよ!!」
ドンッとマリアは、壇上前のバリファン兄弟の前に突き出される。彼らは、「我々のサラディン。ハナヨメ」と悦び手を引いていく。
振り向くと、愛する彼はサラの隣で微笑んでいる。
ーー彼を助けたい サラディン、アナタも…… ーー
ーーだめよ。そんな事したら、あなた達が壊れてしまう。1人になっている、あなたが…… ーー
サラディンも、彼も……助ける。この、歪んだセカイから。
バリファン兄弟が、花嫁に触れる。彼女の両頬に、彼らの唇が触れた。
パァーーーン!!
何かに弾かれたように、でも、彼らは、何かあたたかい触れたかった愛しい人の心に。久し振りに触れた。本当の心。彼女の……。
彼女の周りに橙色の光が包む。サラディンの祝福の色が。マリアが流している涙。サラディンの涙。
義兄たちの瞳は、紋様が薄れていく。サラの横に立っていたリヒャルトは、マリアを見つけた。
「「さ、ら、でぃ、ん」」
「お義兄さま達、愛しています」
光が強く3人を包む。マリアの心臓あたりの胸から、橙色の光が浮かぶ。
サラディンは、最後に想いを告げて彼女を助けようとしたが……マリアの方の想いが強かった。
「だっ、ダメ!! アナタ達が、壊れてしまう!!」
「「サラディン」」
「義兄さま、義兄さま!! 助けて!!」
「「……愛するサラディン。大丈夫……」」
マリアの声で、サラディンが必死に言う。大粒の涙のなか、彼女を義兄たちが抱きしめる。サラディンのために、愛する人のために。最後、残っているチカラで彼女を護る。
目の前で起きているコトに、サラは怒りを覚えた。激しい怒りで、チカラを遣い始める。
リヒャルトの唇に無理矢理キスをしたが、彼は応えない。何故?! ワタシをアイスル騎士様が、コバムはずはナイ!! アリエナイ!!
首に熱い痛みが生じた。全身を鎖にギリギリと痛めつけられ始める。
後ろからグイッと引っ張られ、リヒャルトと引き離され床に倒れる。
「あらぁ、簡単に転ぶのね?」
「オマエ!! ナニを!!」
「ちょっと遅くなったかな? リヒャルト?」
「気持ち悪かった……コノオンナ」
「ワタシが キモチ わるい?」
「ねぇ、リヒャルト……この女、オイタしすぎよねぇ……アタシの可愛いマリアに……なにかましてんだぁ、おらぁ!!」
鎖がギリギリと身体中を締め付ける。チカラを遣うにも、口に口輪のようなモノが口を塞ぐ。
コワイ……なに? この、オトコ。違う怖さを全身を襲い、脂汗がとまらない。涙がどんどんでて、恐怖だけが募っていく。
「ふふっ、コレで終わると思うかぁ? なぁ、サラ? マリアを苛めて、コレですまねぇんだよっ!!」
「僕も、ロイが可愛がっているマリア嬢が苛められて嫌だなぁ……ねぇ、サラ?」
「俺の可愛い嫁に……よくも、こんな事にしてくれたな?」
オトコども3人が、酷い悪人面をしている。表情は、真面目な、至って冷静な顔だが。瞳は笑っておらず、冷たく、口元がゆっくりと嫌な笑みを浮かべる。
現れるはずがない、国王すら「遅くなったねぇ」と冷たい笑みで優雅に歩いてやってきている。
サラは、何がどうなって、何が起こり始めているかが分からない。ワタシをアイスル騎士さま達が……ワタシのセカイが……。壇上の方を見ると、バリファン兄弟たちは、サラディンを抱きしめ護っている。
「んーんんー!!」
「「「「誰が許すかっ!!」」」」
「魔法加えてあーげよっと、ほら、快感が増すよ?」
「あら、アル? どこで覚えたの?」
「だって、ロイが……激しくて……」
「俺の最大スキル、試してやるっ!!」
「まぁ、リヒャルト。無力化したら、大変よぉ」
「可愛い娘を苛めたんだから、永遠に好きなだけできるようにっと!!」
「もぅ、国王様って職権乱用!!」
「じゃぁ、アタシはぁ……逃げらんねぇようにしてやるよ!!」
ーーなんで? 騎士さまに、聖騎士さま達に愛されているワタシが……なんで、こんな事に? ーー
サラは魔方陣へと引きずられる。ズルズルズルズルと。
あのナカには、飲み込んだ騎士どもの欲の塊がゴロゴロといた。喰らい尽くした【欲しがり屋】の快楽の塊が、騎士たちと悦んでいるのが視えている。
たくさんの【欲しがり屋】がひとつになった。
ひとつの【欲しがり屋】が、サラの魂を浸食する。身体中が、熱く、快楽を求め始めた。チカラ、いらない。騎士さま達との愛? 違う。ワタシ、キモチイのダケ。欲しい。チカラを失ったサラ。魔方陣のナカで、欲の塊のオトコたちが群がり一気に貫く。
「あぁぁぁ!! ひゃあぁぁん!! あっ、あぁぁん!!」
魔方陣へと入ったサラ。
国王が、魔方陣に封をする。紫の紋様が渦巻き、1つの像になった。男女の睦み合いの像に。
そこから、悦び雄叫び続けるオトコたちに。喘ぎ狂うひとりの女の声。その声すら、王は外に聞こえない魔法をかけた。
朦朧とした意識の中のマリアは、彼女を助けたいと願った。彼女がただただ願っていたことを……。
「……サラディンを……助け、たい……」
「マリア、駄目だっ!!」
リヒャルトが必死に叫び、彼女のもとに駆け寄ったが遅かった。橙色の光が、バリファン邸を包み込む。
分けられていた、彼女の魂が集まる。マリアの身体から、魂の核が現れ、1つになった。サラディンの肉体が、魂の核を得たことでもとに戻り始める。
「……ま、り、あ……マリ、ア……」
マリアの傍へと行き、抱き締める。身体が冷え切っている。
身体と魂を取り戻したサラディンが、マリアの額に触れゆっくり頷いた。「だいじょうぶ」と。
リヒャルトは、マリアにキスをする。
ーーマリア、アカネ。愛している……君たちを、愛しているーー
「お義兄さま達。お願い」
「「分かっているよ、サラディン」」
マリアとキスし、兄弟はマリアに魔法を遣った。
闇魔法の、交合魔法。魂と身体を、1つにする魔法。遣い方によっては、他の人間のお魂と身体で人工的に造るが……これは、サラディンを助けてくれたマリアへの償い。 自分たちが出来る、償い。許されない、償いのひとつ。
サラの隣にいる、花嫁のように着飾ったドレス姿のマリア。焦点の合わない瞳。
「さぁ、コレから。アナタはこのセカイで、エイエンにイラレル」
「サラ様のセカイで、エイエン」
「そうよ。アナタは、サラディン・バリファン。バリファン侯爵の養女」
「ワタシはサラディン・バリファン。バリファン侯爵の養女。お義兄さま達に愛される」
「そう、エイエンに……」
マリアの心の臓に、紫の文字が渦巻いた紋様の光の玉が入り込む。ドクドクと、新しいココロが生まれる。
ーーワタシはサラディン・バリファン お義兄さま達を愛しているーー
ーーサラ様のために、このセカイに捧げるーー
新しいココロが、マリアを浸食する。
ーーたす、けてーー
ーーわたしはアカネで、マリアでーー
「ダメよ? 苦しむだけよ? ほぅら、アナタが愛するお義兄さま達が待っているわよ。あんなにも昂ぶり滾って」
「……わ、た、し……」
「ねぇ? カレをウシナイタクない、でしょう?」
「あっ……イヤ……」
「イイコ」
ーーお義兄さま と いたかっただけなの わたしーー
ーーあなたは? サラディン?ーー
ーーわたしの魂 わけられて しまって 痛い 辛いーー
ーーわたし、貴女を助けたいーー
胸に入ったサラディンのココロに、触れる。彼女は、ただバリファン家の義兄たちと居たかっただけ。一緒に、遊んで、笑って。愛しているだけだったのに……。
彼女の痛めているココロが強く感じる。
バラバラにされ、捧げ者のカラダに入り込まされていった彼女の心。ひとつに、本当の心に……。私にできたら……。
花嫁衣装のサラディンを、恍惚とみつめる義兄たち。
胡乱だ瞳に、紋様が刻み込まれている。彼女は、この義兄たちを見て苦しんでいる。伝わる、彼女の傷みが。
自然と、涙が零れてくる。
「あぁ、支度してきてくださったのですね。ステキ」
「オレのアイスル。ハナヨメ」
バリファン邸に、新郎姿のリヒャルトがいた。彼の瞳は、マリアではなく……サラを見つめ、悦んでいる。
彼女の頬に触れ、「キレイだ。今すぐ、アイシアイタイ」と言った。
壇上のバリファン侯爵が、魔方陣の紋様を色濃くする。同時に、瞳はすべて紋様になった。全身に紫の文字の渦巻く紋様が、蠢き始めた。
悦びと歓喜の声で、魔法を紡ぐ。
「我がアイスル サラ様 エイエンの力を アナタだけに!! 我が身を お遣いください!!」
彼女へチカラを与え尽くす。力がサラへとずるずると床を這って足元から入り込んでいく。力が、蜜壺へと刺激していくように入る。 高まり尽くした侯爵の力を喰らい尽くし始める。
侯爵は身体を痙攣させて、果てた瞬間に、魔方陣に消えた。
「んっ……ぁあああ!! イイ!! チカラとカイラク!!」
「アァ ウツクシイ ハヤク アイシアイタイ」
「リヒャルト様は、せっかちデスこと」
「タマラナイ アナタ と」
「アナタたちには、ハナヨメよ!!」
ドンッとマリアは、壇上前のバリファン兄弟の前に突き出される。彼らは、「我々のサラディン。ハナヨメ」と悦び手を引いていく。
振り向くと、愛する彼はサラの隣で微笑んでいる。
ーー彼を助けたい サラディン、アナタも…… ーー
ーーだめよ。そんな事したら、あなた達が壊れてしまう。1人になっている、あなたが…… ーー
サラディンも、彼も……助ける。この、歪んだセカイから。
バリファン兄弟が、花嫁に触れる。彼女の両頬に、彼らの唇が触れた。
パァーーーン!!
何かに弾かれたように、でも、彼らは、何かあたたかい触れたかった愛しい人の心に。久し振りに触れた。本当の心。彼女の……。
彼女の周りに橙色の光が包む。サラディンの祝福の色が。マリアが流している涙。サラディンの涙。
義兄たちの瞳は、紋様が薄れていく。サラの横に立っていたリヒャルトは、マリアを見つけた。
「「さ、ら、でぃ、ん」」
「お義兄さま達、愛しています」
光が強く3人を包む。マリアの心臓あたりの胸から、橙色の光が浮かぶ。
サラディンは、最後に想いを告げて彼女を助けようとしたが……マリアの方の想いが強かった。
「だっ、ダメ!! アナタ達が、壊れてしまう!!」
「「サラディン」」
「義兄さま、義兄さま!! 助けて!!」
「「……愛するサラディン。大丈夫……」」
マリアの声で、サラディンが必死に言う。大粒の涙のなか、彼女を義兄たちが抱きしめる。サラディンのために、愛する人のために。最後、残っているチカラで彼女を護る。
目の前で起きているコトに、サラは怒りを覚えた。激しい怒りで、チカラを遣い始める。
リヒャルトの唇に無理矢理キスをしたが、彼は応えない。何故?! ワタシをアイスル騎士様が、コバムはずはナイ!! アリエナイ!!
首に熱い痛みが生じた。全身を鎖にギリギリと痛めつけられ始める。
後ろからグイッと引っ張られ、リヒャルトと引き離され床に倒れる。
「あらぁ、簡単に転ぶのね?」
「オマエ!! ナニを!!」
「ちょっと遅くなったかな? リヒャルト?」
「気持ち悪かった……コノオンナ」
「ワタシが キモチ わるい?」
「ねぇ、リヒャルト……この女、オイタしすぎよねぇ……アタシの可愛いマリアに……なにかましてんだぁ、おらぁ!!」
鎖がギリギリと身体中を締め付ける。チカラを遣うにも、口に口輪のようなモノが口を塞ぐ。
コワイ……なに? この、オトコ。違う怖さを全身を襲い、脂汗がとまらない。涙がどんどんでて、恐怖だけが募っていく。
「ふふっ、コレで終わると思うかぁ? なぁ、サラ? マリアを苛めて、コレですまねぇんだよっ!!」
「僕も、ロイが可愛がっているマリア嬢が苛められて嫌だなぁ……ねぇ、サラ?」
「俺の可愛い嫁に……よくも、こんな事にしてくれたな?」
オトコども3人が、酷い悪人面をしている。表情は、真面目な、至って冷静な顔だが。瞳は笑っておらず、冷たく、口元がゆっくりと嫌な笑みを浮かべる。
現れるはずがない、国王すら「遅くなったねぇ」と冷たい笑みで優雅に歩いてやってきている。
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「んーんんー!!」
「「「「誰が許すかっ!!」」」」
「魔法加えてあーげよっと、ほら、快感が増すよ?」
「あら、アル? どこで覚えたの?」
「だって、ロイが……激しくて……」
「俺の最大スキル、試してやるっ!!」
「まぁ、リヒャルト。無力化したら、大変よぉ」
「可愛い娘を苛めたんだから、永遠に好きなだけできるようにっと!!」
「もぅ、国王様って職権乱用!!」
「じゃぁ、アタシはぁ……逃げらんねぇようにしてやるよ!!」
ーーなんで? 騎士さまに、聖騎士さま達に愛されているワタシが……なんで、こんな事に? ーー
サラは魔方陣へと引きずられる。ズルズルズルズルと。
あのナカには、飲み込んだ騎士どもの欲の塊がゴロゴロといた。喰らい尽くした【欲しがり屋】の快楽の塊が、騎士たちと悦んでいるのが視えている。
たくさんの【欲しがり屋】がひとつになった。
ひとつの【欲しがり屋】が、サラの魂を浸食する。身体中が、熱く、快楽を求め始めた。チカラ、いらない。騎士さま達との愛? 違う。ワタシ、キモチイのダケ。欲しい。チカラを失ったサラ。魔方陣のナカで、欲の塊のオトコたちが群がり一気に貫く。
「あぁぁぁ!! ひゃあぁぁん!! あっ、あぁぁん!!」
魔方陣へと入ったサラ。
国王が、魔方陣に封をする。紫の紋様が渦巻き、1つの像になった。男女の睦み合いの像に。
そこから、悦び雄叫び続けるオトコたちに。喘ぎ狂うひとりの女の声。その声すら、王は外に聞こえない魔法をかけた。
朦朧とした意識の中のマリアは、彼女を助けたいと願った。彼女がただただ願っていたことを……。
「……サラディンを……助け、たい……」
「マリア、駄目だっ!!」
リヒャルトが必死に叫び、彼女のもとに駆け寄ったが遅かった。橙色の光が、バリファン邸を包み込む。
分けられていた、彼女の魂が集まる。マリアの身体から、魂の核が現れ、1つになった。サラディンの肉体が、魂の核を得たことでもとに戻り始める。
「……ま、り、あ……マリ、ア……」
マリアの傍へと行き、抱き締める。身体が冷え切っている。
身体と魂を取り戻したサラディンが、マリアの額に触れゆっくり頷いた。「だいじょうぶ」と。
リヒャルトは、マリアにキスをする。
ーーマリア、アカネ。愛している……君たちを、愛しているーー
「お義兄さま達。お願い」
「「分かっているよ、サラディン」」
マリアとキスし、兄弟はマリアに魔法を遣った。
闇魔法の、交合魔法。魂と身体を、1つにする魔法。遣い方によっては、他の人間のお魂と身体で人工的に造るが……これは、サラディンを助けてくれたマリアへの償い。 自分たちが出来る、償い。許されない、償いのひとつ。
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