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私の祝福は限定です!!

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 教会長さんの訪問から数日後。
 ワルバーン公爵家に、クロイツ侯爵家が乗り込んできました。

 「「「婚約おめでとう、マリア!!」」」
 「アリガトウゴザイマス」
 「クロイツ侯爵、ご挨拶はこちらからすべきだったのだが……」
 「「大丈夫ですわ!! ワルバーン公爵」」

 お母様とお姉様。すっごいご満悦。フィリップお兄さまは……「マリアがぁ……可愛いマリアがぁ」って、良く分かりません。お父様も、同じ。

 リヒャルト様が、今日は晩餐をと言い出して。ギルバートさんは、わかっていたかの様に、手際てぎわよく動きました。「旦那様のお考えは良く分かりますから」と言わんばかりの、ドヤ顔。
 食事は美味しかったです。この世界の食事も慣れてるので。フランス料理のフルコースみたいなようでいて、味付けは重くないし食べやすい。家族や親しい人同士での晩餐では、マナーは緩めです。
 スプーン、フォークは外側から!! なんていうかたいテーブルマナーは、王宮での晩餐とか、公式な食事会がメイン。本当に、緩いところは緩い。この世界。

 「ギルバート。明日のランチは、マリアのサンドイッチを食べたい」
 「マリア様のですか? 旦那様」
 「あぁ、この世で一番だ!!」
 「「「それは、いい!!」」」
 「わたくしめも、ご相伴しょうばんにあずかってみたいです。マリア様」
 「わたしのでよろしければ……」

 あの、皆さん。すごく期待というか、瞳の輝きが……。
 サンドイッチだけでなく、オネエちゃんのレシピのパウンドケーキも作ろう!! なんだか、変なスイッチ。私も入りました!!

 翌日。朝食を済ませてから、公爵家のキッチンをお借りしています。ロイ公爵とアルバルト様もいらしたので、2人のも追加。エプロンは持参しています!!
 サンドイッチの具材から準備。卵サンドのために、大量のゆで卵。マヨネーズがこの世界にあるという、不思議。とても助かる。ハムサラダサンドに、チキンサンド。お姉様とお母様の好きな、フルーツサンドも用意する。
 パウンドケーキは、うん。人参にしてみよう!! 人参のすり下ろしを入れて作るので、人参の甘みを活用。お砂糖を殆ど遣わないので、ヘルシー。

 「マリア。アタシも手伝うわ」
 「ありがとう!!」

 思わず、オネエちゃんとの会話になる。
 2人で仲良くキッチンは……前世で、たぁくさん経験済み。互いに慣れた手つきで、一緒に沢山のサンドイッチを作る。パウンドケーキを作っていたら……。

 「あら? かわいいお土産……」
 
 そう言って、唇近くについていた生クリームを指で拭って舐めた。昔もそう言って、オネエちゃんが生クリーム舐めとってくれた。
 
 キッチンの入り口。
 2人の乙女? を見ていたリヒャルトは……愕然とする。マリアの、可愛いエプロン姿を追いかけてキッチンに行ったら。マリアが気になると手紙に書いてよこしたロイがいる。
 おまけに、口元の生クリームを「かわいいお土産」とか言って舐めてる!!

 ーー俺の、俺の可愛い嫁に!! 俺の嫁に!! ーー

 「あっ、ロイーー!! エプロン姿素敵だよ!!」

 場違いな声のぬしは、アルバルト。
 コイツは、俺のマリアが一番可愛くて。キスするともっと、もっと可愛くて。早くシたいけど、お預けだから我慢しているというのに!!
 リヒャルトの思考は、危ない方向に向かっている。

 「貴様ぁ!! 俺の嫁に、手を出すな!!」
 「はい?!」
 「なに言ってるの、あのバカ」
 「俺の、俺の……なにが、かわいいお土産だ!!」
 「「生クリーム」」

 ロイだけでなく、マリアまで一緒に言った。
 2人で顔を見合わせ、「どうかしたのかな?」という表情。彼の中では、すでに見つめ合っているとしか思えなくなった。
 やはり、ロイは……マリアに好意を……。い、今すぐ。婚姻を、いや、マリアと結ばれなければっ!!
 ドカドカとキッチンに入ってきた彼は、マリアの手をとり……。

 「マリア。婚姻前だが、今すぐ、寝室に行く!!」
 「ひゃい?」
 「サンドイッチどころではない!!」
 「いりませんか? これ?」
 
 そう言って、彼の口に出来ているサンドイッチのひとつを突っ込んだ。
 突っ込まれたタマゴサンドをモグモグと食べる。

 「……美味しい……」
 「みんな待っていますから。おいたしたら、ダメです」
 「っ!! わかった」
 「じゃぁ、できているの運びましょう」

 サンドイッチを山盛り。パウンドケーキに生クリーム。
 天気も良かったので、ギルバートさんがテラスにピクニック気分にとシートも引いてくれていた。
 クロイツ家も、サンドイッチとケーキを待ちわびていた。ヘイリー姉様と、お母様は紅茶を準備してくれた。
 アルバルト様は、ロイ公爵と2人の世界。あぁ、なんかいいなぁ。オネエちゃん、生き生きしてるし。アルバルト様、可愛い。

 「いいですね? リヒャルト様」
 「っん……ひょうだな……」
 「ほら、ここに……はい、とれました」
 「ありがとう」

 んっ、リヒャルト様がとても耳を紅くしてます。サンドイッチを頬張ったら、わたしに顔を向けて。

 「なにしてるんです……こんなに、口の周りに……仕方ないですね」
 「うん」
 
 口の周りについている、パンくずを指で拭う。勿体ないから、口に運び指に残っているパンくずを舐めた。何度かしているうちに……。リヒャルト様が、とてもご満悦で。えぇ、パンくず付けて待機してます。

 「あの、もしかして……わたしに、これして欲しくて」
 「っ!! いや、マリアが……指を舐める表情が、堪らない」
 「「……いやらしい……」」
 「「マリアたらっ」」
 「「可愛いマリアは、そんなことを?」」

 皆さん、待ってください!! 私、今、気がついたんですよ? そんなはしたない事までは、まだ、していませんから!! まだ、ですから!!
 って、いつか、するのか? リヒャルト様に……。

 「マリア。俺にしたい?」
 「へゃえ?」
 「俺の……舐め、ふごぉ!!」
 「さぁ、食べてください!! リヒャルト様!!」

 言うな、それ以上、この場でーーーー!!
 あぁ、もう!! みんなの目が、生ぬるいーーーー!! 「僕は毎日だけど」って、アルバルト様は何おっしゃっているんですか!!アナタはぁ!! されてるのはアンタでしょ!! あぁ、取り乱して何か言ってしまいそう。
 ギルバートさん、何でもないように、サンドイッチを堪能してますね? いいです。執事長たるもの、何があっても動じないのがプロ中のプロですものね? うん、ギルバートさん。ドヤ顔。

 ピクニックも無事に? 終えて。
 またまた、執務室。もう、イイデス。リヒャルト様の膝の上だろうと。もう、今日は一段と。スキンシップ激しい。腰のあたり、撫でられて……。

 「~~っ。っ……っ……」
 「それで、アレ以降。状況は?」
 「そうねぇ、掴めたとこだと。首都のバリファン侯爵邸が怪しいわね」
 「そうそう、兵たちがあの辺りで姿をくらましてる。戻ってくるのは、ほんの30分位なんだけど……」
 「……っ……っ……」
 「時間はそんなに経っていないが、魔法の力は格段に上がっている。ということか……器が壊れている者がいないかが、心配だな」 
 「バリファン邸宅以外も……」

 いや、ちょっと待ってください!! もう、声でちゃいそうです!! 手つきスンゴク、とてつもなぁぁぁくヤラシイ動きで気持ちいいんです!! もう、本当に……げん……。

 「んっ……ぁん……だ、めぇ……」
 「マリア? 我慢だよ?」
 「「……続ける? 話し……」」
 「あぁ、続けよう」

 ちょっとぉ!! 続け……だめ、ほんっとうに!! 
 声を必死に我慢しようと、自分で口塞いでみて彼を睨んだけど。何だか、すごく悦ばせてしまって。
 背中をゆっくり、指が……やぁ、気持ちよすぎるぅ!! リヒャルト様って、こういう経験も豊富なの?! 知りたくはないけど……気持ちいいところ、的確にきてますぅ!!
 彼の胸の中に顔を埋めて、もう、表情を見られないように必死に我慢。身体がピクンと動いて、たまに声が少し漏れてしまうけど。話しを邪魔しないように、一生懸命我慢して。

 「今日までのは、この位ね?」
 「じゃぁ、僕は王宮に戻らないと!!」
 「あとは、こっちで進めていく」
 「「無理させないでおいてね?」」
 「分かってる」

 朦朧もうろうとした意識。気持ちよさと、彼のぬくもりの中で、指だけで。もう、彼のことだけになって。
 彼を見たら。キス、してくれて。

 「おいた、したね? マリア」
 「っ……だって……きもち、よく、て」
 「ダメじゃないか? 他の男に声を聞かせたら」
 「んっ、ごめんなさい」

 おいたしたら、お預け。の反撃。くらいました。
 執務室で、そのままソファで彼の膝の上だったけど……硬いモノがゴリゴリと当たって。あたって?
 横向きだった身体は、彼と向かい合わせになっていて。なんだか、彼の足の間にわたし、あしを開かされて座って。ダイレクトに硬いのが!! 硬いの!! コレ、いま、されたらダメなやつぅぅ!!
 
 「あっ、あの。リヒャルト様? もしかして、怒ってます?」
 「そうだね? 声を我慢できなかったよりも。ロイとあんなに仲が良いなんてなぁ? なぁ、マリア」
 「あの、首都の邸宅でお菓子を……」
 「そういえば、学園の時は。俺の邸宅は、滅多に来てくれなかったな」
 「そ、それは……身の……」
 「身の危険かい? あぁ、それは済まないな? 止められそうにない」

 あぁ、スイッチ入った。ドSの方!!
 彼はキスだけで相当我慢してきて……指で愛撫するのも、相当我慢してきて。
 その上、私とオネエちゃんの仲がいいのを勘違いしちゃって。どうしよう? リヒャルト様、好きですよ!! ほんっとうに!! マリアもリヒャルト様が好きになって、アカネでも彼を好きで。

 「リヒャルト様!! わたし、本当に貴方だけです!!」
 「…………」
 「私のキスも、貞操も、心も!! リヒャルト様だけです!!」
 「……っ……」
 「こんなに好きになった人、貴方以外にいません!!」
 「俺も、だ」
 
 私から、彼にキスをする。
 感じる硬いモノとか、今は関係なく。彼とキス、したい。
 唇をんで、舌を口に入れ絡める。彼からするキスとは違って、上手とはいえないかもしれないけど……彼に伝わるように、一生懸命キスをした。
 背中に腕を互いに回して、キスを深めていく。
 彼が腰をわたしにグッと押し上げて、声をださせる。思わず、唇の隙間から甘い声を出すとグイグイ押しながらキスを深められる。

 「んんっ、ふぁ、あぁ!! やっ、あぁん!! コレ、らめれすぅ」
 「んっ、気に入ったようだ……なっ!!」

 グッっと腰をつかまれ、感じさせる。
 思わず、声が大きくなる。感じていた彼のたかぶりが、また大きく硬く感じられていく。
 
 「マリア、今。自分で動かしているよ?」
 「っひゃん、い、やぁん……んんっ」
 「もっと、キスしてあげよう」
 「んっ、んんっ……ぁ、リヒャルト様。好きぃ……」
 「俺も。アカネ、マリア……好きすぎて、恐いくらいだ」

 彼を強く感じて、キスと指で蕩けすぎてダメになるくらいに。
 気がついたら、彼の寝室で横になっていた。私の寝顔を見ていたのか、彼は微笑んでいた。
 ズルイ、です。
 悪役騎士が、こんなに……ドSで、激甘で、暴走するとか!! もう、私のツボ。全部じゃないですかっ!!
 わたしには、悪役騎士じゃない!! 素敵な大好きな、愛おしい騎士さま。大切なリヒャルト様。ずっと、傍にいたい……です。

 「……んっ……マリア? 君から寝起きのキスは嬉しいな」
 「だって、したかったんです」

 ベッドに押し倒されて、キス。されそうな時、例の手紙。魔法の手紙が届いた。
 激突ではなく。何かが、違う……。
 紫の光をまとった、手紙。私宛で、リヒャルト様には分からなかった。手紙が届いたのが。
 手紙は開封していないのに、私のナカに直接届いた。

 【マリア
  ワタシのリヒャルト様と親しいのは許せない。
  でも、ワタシは心が広いから。
  彼には、この手紙がなくなった瞬間から。アナタではなく、ワタシしか愛せなくなるの。
  イイデショウ? カレのタメ。 アナタは、カレをウシナイタクナイでしょ?
  ワタシのセカイなら カレとずっとエイエンに イラレルノヨ?
  じゃぁ、イマ、エラビナサイ。 10、9、……】

 頭の中でカウントダウンが始まった。彼を、ウシナイタクナイ。カレのソバにいたい。エイエンに……。
 最後に、彼に、サヨナラのキスをした。

 「私の大好きな騎士様。愛しています」

 さっき、キスしてくれたのは? 誰だろう……リヒャルトは、誰かとキスを交わしていたが。誰だか分からなかった。
 
 「カノジョ のトコロ にイクか」
 
 身支度をして、首都外れのワルバーン公爵邸から出掛けた。ギルバートには、「旦那様? いかがなさいました?」と声を掛けられた気がする。

 首都の邸宅に、紫の紋様が浮かぶ空の下。
 ココに、俺が愛してやまない女性がいる。待っている。早く行こう!!
 リヒャルトは、バリファン侯爵邸へと消えた。

 主人の異変に気がついたギルバートが、国王らに密書手紙を出した。
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