夜明けには何度でも君と殺し合う

蓮条緋月

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プロローグ 記憶

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 ああ……また俺は君に殺されるのか。
 眼前には燃え盛る炎が赫く揺れていた。焼けつくような喉の痛みに、掠れゆく意識はまもなく生命が尽きることを残酷に物語っていて。目の前に立つ君の姿さえも遠ざかる。
 ゆっくりと視線を動かせば自分の胸を染める鮮血が映った。
 敵国の将として剣を交え君の剣に刺し貫かれた時、思い出した記憶。目の前に立つこの男は自分の最愛だった。
 何度同じ刻を繰り返しただろう。何度同じ光景を見てきただろう。あれだけ憎み合った相手が自分の最愛だと思い出す時はいつも残酷で、言葉一つまともに紡げない。君を思いますのはいつも死の間際。
 そうしていつも一番大切な言葉を言えないまま俺は絶命していった。
 残酷に揺れる戦火の向こう側、漆黒だった空は次第に色を変えて行く。
 ああ間もなく

「——、——……」

 ———夜が明ける。
 
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