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四頁 カンパニュラの恩恵
救えた命(sideクオーレ)
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我が領地にある国管理のアベリア山。そこで起こったフェイバースパイダーの堕落事件はカンパニュラ伯爵家に少なくはない打撃を与えた。堕落事件の原因となった黒衣の集団についてはあれから色々調べたが一切の痕跡がなく、かなり長期戦になりそうだ。奴らは一体何者なのか……。
何者といえば奴らの他に気になる人物がいる。エヴェイユやリヒトにとって深い確執のある存在——シュヴァリエ・アクナイト。
俺は直接的な関わりはほとんどないから詳しくは知らない。ただアクナイト公爵家の次男で公爵が表に出したがらない、性格に難があるということだけ。
……だがまさかその彼が今回の事件を解決するとは思わなかった。クラルテが編入してきた直後からなぜか彼と行動しているアウルから謎の箱の持ち主を見つけ、コランバイン伯爵の逮捕すら成し遂げたという。しかも彼は花に絡めて解決していった、らしい。……彼は、こう言っては何だが花についてそこまで詳しかったか?
「ああ、そのことか……それは俺にもわからない」
「はあ?」
つい気になってアウルに尋ねてみたらそんな答えが返ってきた。同じクラスだったのではと問うが喋ったのはクラルテが来てからだという。クラスメイトなのにどういうことなのか、と考えたがふと彼はその性格ゆえにずっと一人でいたということを思い出した。
「アクナイト公子は誰かが話しかけると心底鬱陶しいという雰囲気で冷たく接していて、それを見ていた周囲に全力で止められたんだ。他国の人間相手にもきっと無礼な態度をとるだろう、とな」
「ああ、それは……」
確かにそれでは話しかけるのは難しいな。思えば聞こえてくる彼の人物像は全て噂話で、彼と直接会話をして得た情報ではなかった。あの箱事件の時に一度だけ顔を合わせたきりできちんと会話をするのはフェイバースパイダーの事件が初めてだった。だからだろうか。彼は皆が噂をするような人物像とはだいぶ違うように見える。
「クオーレはどう思った?」
「……わからない。だが意地を張るところはあるだろう。あとは見かけによらずかなり無茶をする」
「ぷっ……そうだな」
彼とのことを思い出したのか、珍しくアウルが吹き出した。あの洞窟内で何があったのかは一切話そうとはしない。だが彼をここまで笑わせるだけのことがあったのだろう。
……ああ、そうだ。花といえば。
「アウル。実は我が伯爵家で面白い事が起こったんだ」
「面白い事?」
「ああ。ちょうどフェイバースパイダーの子が正式に眷属として認められたのと同時刻、屋敷に咲いていたカンパニュラの花が一晩だけ一斉に枯れた」
「はあ?」
予想通りアウルは声を上げて目を見開き信じられないとばかりに俺を見つめた。俺も母上からお聞きした時は信じられなかったからアウルの気持ちはよくわかる。
「事実だ。しかし屋敷の人間も口を揃えて全く同じことを証言した。流石にこれを疑うのは無理がある」
「確かに……だがなぜそんなことに?」
「…………実はそのことでアクナイト公子に話をしてみた」
「……へえ? それで彼はなんて言っていた?」
「『命を救えたから』と」
「それがカンパニュラとどう関係があるんだ?」
「カンパニュラの原産地で伝わる御伽話があると言っていた」
--------------------
あるところにカンパニュールという美しい娘がいた。彼女の仕事は神さまの果樹園になっている黄金のリンゴを守ること。それは不思議なリンゴで、半分食べるとどんな病でも治してしまい、全部食べると不老不死になると言われている。そんな黄金のリンゴを狙って、盗みに入る者が後を立たなかった。
「もし、リンゴを盗む者が現れたら『銀の鈴』を鳴らして、知らせるように」
と果樹園の番人から言われていた。
ある日この果樹園に黄金のリンゴを盗もうと泥棒が侵入した。カンパニュールはみんなに知らせようと「銀の鈴」を鳴らそうとしたが、それに気づいた泥棒の手にかかりカンパニュールは命を落としてしまう。
番人が気付いた時にはもう手遅れで、黄金のリンゴの力を使うこともできなかった。
しかし悲運の末路を辿ったカンパニュールを哀れんだ女神によって彼女は鐘の形をした花として生まれ変わった。彼女の生まれ変わりであるその花は彼女の名に因んで【カンパニュラ】と名付けられた。
--------------------
「……ということらしい。その物語からカンパニュラは別名『命の花』と呼ばれるそうだ」
「そんな逸話があったのか……カンパニュラの花の形はまさか銀の鈴が関係しているのか?」
「諸説あるが少なくとも原産地の物語ではそう言われているらしい」
「……彼はよくそんな話を知っていたな」
「俺も聞いた時は驚いた」
「だがその話でなぜカンパニュラの花が枯れたのかわかったな」
「ああ……そうだな」
人の身では決して推し量れない世界の神秘を目の当たりにした気分だ。もしこの話を家族にした場合、父上はわからないが母上は確実に後世へ残そうとするだろう。だがいっそ残してもいいのかもしれない。あの現象は眷属からのメッセージだと。
「アクナイト公子には後日正式に感謝の意を示すことになっている。出歩けるようになったとはいえまだ万全ではないはずだから」
「その通り。まだ足元がふらついていることに多分本人は気付いていない」
「はあ……」
彼は体を労ることを知らないのだろうか? あれではいつか本当に取り返しのつかないことになりかねない気がする。
「しかし今回の件はだいぶきな臭いぞ」
真剣さを帯びたアウルの言葉に俺も思考を戻す。フェイバースパイダーはどうにかできたが、喜んでいる場合ではない。
「……ああ、そうだな」
「一応エヴェイユには許可を取って自国へ報告はあげた。いくら同盟国とはいえ他国だからな。だが奴らの口ぶりを考えると我が国も他人事ではいられなくなるかもしれない」
「……そうか」
「まあエヴェイユも陛下も相手には心当たりがあるようだったが、断定できる証拠がないのだろう」
「厄介な……」
アウルも同意するように表情を険しくさせる。これ以上おかしな方向に事態が発展しなけれはいいが。
「今回の件にはアクナイト公爵家の人間も関わっている。遠からず彼らにも声がかかるだろう」
「アクナイト公子はどう動くのか」
どうと問われても困るのだが。そもそも彼はそういった面倒事に好き好んで関わるような人間には見えない。
「全力で回避しようとするだろうな」
「違いない」
アウルの様子を見るに俺がどう返答するかわかっていたらしい。本当に肝心なところで読めない男だ。
「だがそんな彼がいなければ……フェイバースパイダーは子共々助からなかったかもしれないな。フェイバースパイダーとの意思疎通ならクラルテもできるが、あの戦いの中で卵まで守れたかはわからない」
……確かにアウルの言う通りだ。もちろん何かしら手段はあったかもしれないが確実に守れたかと言われれば難しいという結論になる。あの者たちの動きは訓練されたもののそれだ。俺たちを殺すのに躊躇いを感じなかったことも踏まえて、アクナイト公子は本当に健闘したと思う。
いずれにせよ、フェイバースパイダーとその子にとってアクナイト公子は恩人だ。そして我がカンパニュラ伯爵家にとっても。
——いつかこの恩を返せる日が来るだろうか。
・・・・・・・・・・・
次回から『五頁 孤立したホオズキ』が始まります。お楽しみに♪
何者といえば奴らの他に気になる人物がいる。エヴェイユやリヒトにとって深い確執のある存在——シュヴァリエ・アクナイト。
俺は直接的な関わりはほとんどないから詳しくは知らない。ただアクナイト公爵家の次男で公爵が表に出したがらない、性格に難があるということだけ。
……だがまさかその彼が今回の事件を解決するとは思わなかった。クラルテが編入してきた直後からなぜか彼と行動しているアウルから謎の箱の持ち主を見つけ、コランバイン伯爵の逮捕すら成し遂げたという。しかも彼は花に絡めて解決していった、らしい。……彼は、こう言っては何だが花についてそこまで詳しかったか?
「ああ、そのことか……それは俺にもわからない」
「はあ?」
つい気になってアウルに尋ねてみたらそんな答えが返ってきた。同じクラスだったのではと問うが喋ったのはクラルテが来てからだという。クラスメイトなのにどういうことなのか、と考えたがふと彼はその性格ゆえにずっと一人でいたということを思い出した。
「アクナイト公子は誰かが話しかけると心底鬱陶しいという雰囲気で冷たく接していて、それを見ていた周囲に全力で止められたんだ。他国の人間相手にもきっと無礼な態度をとるだろう、とな」
「ああ、それは……」
確かにそれでは話しかけるのは難しいな。思えば聞こえてくる彼の人物像は全て噂話で、彼と直接会話をして得た情報ではなかった。あの箱事件の時に一度だけ顔を合わせたきりできちんと会話をするのはフェイバースパイダーの事件が初めてだった。だからだろうか。彼は皆が噂をするような人物像とはだいぶ違うように見える。
「クオーレはどう思った?」
「……わからない。だが意地を張るところはあるだろう。あとは見かけによらずかなり無茶をする」
「ぷっ……そうだな」
彼とのことを思い出したのか、珍しくアウルが吹き出した。あの洞窟内で何があったのかは一切話そうとはしない。だが彼をここまで笑わせるだけのことがあったのだろう。
……ああ、そうだ。花といえば。
「アウル。実は我が伯爵家で面白い事が起こったんだ」
「面白い事?」
「ああ。ちょうどフェイバースパイダーの子が正式に眷属として認められたのと同時刻、屋敷に咲いていたカンパニュラの花が一晩だけ一斉に枯れた」
「はあ?」
予想通りアウルは声を上げて目を見開き信じられないとばかりに俺を見つめた。俺も母上からお聞きした時は信じられなかったからアウルの気持ちはよくわかる。
「事実だ。しかし屋敷の人間も口を揃えて全く同じことを証言した。流石にこれを疑うのは無理がある」
「確かに……だがなぜそんなことに?」
「…………実はそのことでアクナイト公子に話をしてみた」
「……へえ? それで彼はなんて言っていた?」
「『命を救えたから』と」
「それがカンパニュラとどう関係があるんだ?」
「カンパニュラの原産地で伝わる御伽話があると言っていた」
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あるところにカンパニュールという美しい娘がいた。彼女の仕事は神さまの果樹園になっている黄金のリンゴを守ること。それは不思議なリンゴで、半分食べるとどんな病でも治してしまい、全部食べると不老不死になると言われている。そんな黄金のリンゴを狙って、盗みに入る者が後を立たなかった。
「もし、リンゴを盗む者が現れたら『銀の鈴』を鳴らして、知らせるように」
と果樹園の番人から言われていた。
ある日この果樹園に黄金のリンゴを盗もうと泥棒が侵入した。カンパニュールはみんなに知らせようと「銀の鈴」を鳴らそうとしたが、それに気づいた泥棒の手にかかりカンパニュールは命を落としてしまう。
番人が気付いた時にはもう手遅れで、黄金のリンゴの力を使うこともできなかった。
しかし悲運の末路を辿ったカンパニュールを哀れんだ女神によって彼女は鐘の形をした花として生まれ変わった。彼女の生まれ変わりであるその花は彼女の名に因んで【カンパニュラ】と名付けられた。
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「……ということらしい。その物語からカンパニュラは別名『命の花』と呼ばれるそうだ」
「そんな逸話があったのか……カンパニュラの花の形はまさか銀の鈴が関係しているのか?」
「諸説あるが少なくとも原産地の物語ではそう言われているらしい」
「……彼はよくそんな話を知っていたな」
「俺も聞いた時は驚いた」
「だがその話でなぜカンパニュラの花が枯れたのかわかったな」
「ああ……そうだな」
人の身では決して推し量れない世界の神秘を目の当たりにした気分だ。もしこの話を家族にした場合、父上はわからないが母上は確実に後世へ残そうとするだろう。だがいっそ残してもいいのかもしれない。あの現象は眷属からのメッセージだと。
「アクナイト公子には後日正式に感謝の意を示すことになっている。出歩けるようになったとはいえまだ万全ではないはずだから」
「その通り。まだ足元がふらついていることに多分本人は気付いていない」
「はあ……」
彼は体を労ることを知らないのだろうか? あれではいつか本当に取り返しのつかないことになりかねない気がする。
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真剣さを帯びたアウルの言葉に俺も思考を戻す。フェイバースパイダーはどうにかできたが、喜んでいる場合ではない。
「……ああ、そうだな」
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「……そうか」
「まあエヴェイユも陛下も相手には心当たりがあるようだったが、断定できる証拠がないのだろう」
「厄介な……」
アウルも同意するように表情を険しくさせる。これ以上おかしな方向に事態が発展しなけれはいいが。
「今回の件にはアクナイト公爵家の人間も関わっている。遠からず彼らにも声がかかるだろう」
「アクナイト公子はどう動くのか」
どうと問われても困るのだが。そもそも彼はそういった面倒事に好き好んで関わるような人間には見えない。
「全力で回避しようとするだろうな」
「違いない」
アウルの様子を見るに俺がどう返答するかわかっていたらしい。本当に肝心なところで読めない男だ。
「だがそんな彼がいなければ……フェイバースパイダーは子共々助からなかったかもしれないな。フェイバースパイダーとの意思疎通ならクラルテもできるが、あの戦いの中で卵まで守れたかはわからない」
……確かにアウルの言う通りだ。もちろん何かしら手段はあったかもしれないが確実に守れたかと言われれば難しいという結論になる。あの者たちの動きは訓練されたもののそれだ。俺たちを殺すのに躊躇いを感じなかったことも踏まえて、アクナイト公子は本当に健闘したと思う。
いずれにせよ、フェイバースパイダーとその子にとってアクナイト公子は恩人だ。そして我がカンパニュラ伯爵家にとっても。
——いつかこの恩を返せる日が来るだろうか。
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