38 / 103
三頁 ローダンセの喜劇
36話 ローダンセ一族の屋敷
しおりを挟む
翌日軽く今日の確認をした後それぞれのグループに分かれて行動を開始した。
ゲームの知識で大体屋敷の場所は知っているが、シュヴァリエとしては知らないので店主に場所を伺う。
「前の伯爵様のお屋敷ですか? なぜそのようなことを……」
「ああ、すみません。少々気になってしまって。非常に美しいというお話を小耳に挟んだものですから。遠目からでも見られたらと」
「場所を知っているのなら教えてください。お願いします」
……。
こんなに必死になってまあ。昨日から様子が変だし。それほどまでに見つけたいんだろう。彼の手がかりを。
「前の領主様のお屋敷だったら、ここの通りを右に進んで三つ目の角を左に曲がったらお屋敷に続く道があります。そこを道なりに行くと見えてきますよ」
「教えていただき感謝いたします」
「ただ、以前とはだいぶ様変わりされていますからあんまり期待されないほうがいいですよ」
「様変わり……?」
「ええまあ……こればかりは実際に見てもらったほうが早いですね」
「そうですか。ありがとうございます」
ルーフの必死な頼みに折れた店主が意味深なことを言いながら場所を教えてくれた。
宿を出た俺たちはルーフが先導するように前を歩き、言われた通りの道順を進んでいく……が。
ルーフの奴、歩くの早え……。全然追いつけないんだけど。もうちょいゆっくり歩いてもらっていいですかね!?
「パフィオペディラム公子」
声をかけられたことでようやくこちらを振り向いたルーフはやや気まずそうに視線を逸らした。
「申し訳ありませんアクナイト公子。気が急ぐあまり周りが見えておりませんでした」
「……焦ったところで目的のものが見つかるとでも思っているのか? そんなことで発見できるのならすでに何かしら見つけていると思うが」
「……」
黙った。でも焦ったところでどうしようもない。それに……残念ながらあんたの欲している情報、いや『人』は屋敷にはいないんだよ。
「何をそんなに焦っているのか知らないが、私たちの目的はあくまで学外ワークだということを忘れるな」
「……はい、申し訳ありません」
なんか納得いかないって感じの返事だけど、ゲーム内でのルーフはそこまで分別のつかない人間というではないし、少し苦言を呈すれば大丈夫だろう。こういうのってあんまり言いすぎるのもちょっと違うし。
それからは俺に歩幅を合わせながら進んでいく。
それから店主に教えられた道を行くと、ややくたびれた屋敷が見えてきた。
「あれか……」
「……あ、」
屋敷の姿に小さく声を上げたルーフを一瞥して俺はルーフを追い越し、先ヘ進む。こんなところで立ち止まっても意味はない。まずは屋敷の状況を把握しないと見つかるものも見つからないだろ。
「アクナイト公子、お待ちください」
「なんだ?」
「何があるかわかりません。自分が先導します」
「……そうか。少しばかり心ここにあらずといった様子だったからてっきり引き返すと思ったのだが」
「アクナイト公子を置いてひとりで帰るような真似はしません」
「好きにしろ」
こいつが俺を置いていくなんて考えてないって―の。だけど、これから見る光景は少々覚悟がいるかもしれないな……。
ーー俺の懸念は当たった。
ルーフは屋敷の惨状を見るなり絶句し、その場で呆然としてしまった。俺もゲームの背景で見たことあるけど、実際に見るとかなりひどいな。数年前まで人が住んでいたとは思えない。ほんとなにをどうしたらここまでボロくなるのやら。
「外観を見る限り、一家の失踪以来誰も来ていないといった感じではあるが……」
「アクナイト公子、中に入られるのですか?」
「入りたいのか?」
「許可を頂けるのなら」
いや許可って、あのなぁ……。俺にそんな権限あると思ってんのか? 今は空き家とはいえ、元は貴族の屋敷なんだぞ。しかも何かの罪で財産が没収になったわけでもない貴族の。併呑されているといっても、ローダンセ一族が戻ってくれば失踪理由によってはここに戻れる可能性がある以上管理はコランバイン伯爵の仕事の一つだ。本来ならここに入るためにはコランバイン伯爵の許可が必要なんだよ。……本来なら、ね?
「構わない。どうやらまともな管理もされていないようだし、荒らさない程度ならば入ってもいいだろう」
「ありがとうございます」
ルーフは一礼をして屋敷の門に手をかける。するとーー
「……開いている」
やっぱり管理が杜撰だ。そもそも管理していないよなこれ。
ルーフに続いて俺も屋敷の中へ。完全に不法侵入なんだけどそんなことも言っていられないし、こんなになるまで放っておかれているんだ。多少調べるくらい目を瞑ってくれるだろう。それにーーわざわざ俺たちをこんなところに送りやがった以上はそういった意味合いもあるだろうし。
それにしても『様変わり』ねぇ……? 俺はストーリーの回想背景としてなら見たことあるんだよなここの景色。だけどゲームの過去回想って大抵白黒とかグレースケールだったりするからちゃんとしたカラーで見ていない。それでもかなり寂れてしまったっていうのはわかる。
「以前来たときとは様相がまるで違うな……」
「君はここに来るのは初めてではないのか? 昨日私が聞いたとき手を挙げなかった気がするが?」
「そ、それは……。申し訳ありません」
「……はあ。もしあそこで手を挙げてしまえば情報収集担当から外されてしまうとでも思ったのだろう?」
「……申し訳ありません」
「私とてそこまで非情ではないつもりなのだがな。まあいい、次からはきちんと申告するように」
「はい。寛大なお心に感謝申し上げます」
このくらいで寛大って言われてもなんか複雑なんだけど……まあいっか。
それよりもこの屋敷だ。
「ではまず君に質問だ」
「はい、なんなりと」
「正面玄関までの道を挟むように並んでいるのはすべてローダンセの花で間違いないか?」
「はい.間違いございません」
「そうか。君はローダンセ伯爵一家とはどういう関係だ?」
「先代ローダンセ伯爵夫妻が私の祖母の妹でその孫であるローダンセ伯爵子息フェリキタスは私の再従兄弟です」
ここはゲームの設定通りだな。
この第二章でもダントツで人気の高いモブキャラーーフェリキタス・ローダンセ。ルーフ・パフィオペディラムとフェリキタス・ローダンセはセットで大人気だった。兄貴曰く、この二人は出てきた直後にファンの間で二次創作の主人公として大量に描かれただけでなく、スピンオフ版の主人公として出してほしいとゲーム会社に手紙やメールが届いたほど爆発的な人気を誇るキャラらしい。理由は……【手折れぬ花の守護者】のジャンル的にお察しということで。
……っと、このままじゃ話が脱線しそうだ。
「再従兄弟……ならば、失踪前になにか連絡は来なかったのか?」
「父がローダンセ伯爵から奇妙な手紙を受け取ったという話は聞いていますが、内容がわからずそのまま保管されています」
そこもゲーム通りだな。これ以上突っ込むと余計なフラグが立ちかねないし、込み入った話は終わりにしよう。それよりも、だ。
「このローダンセの花は交易品か?」
「はい。ですが……この屋敷の一角には伯爵夫人が直々に品種改良した特別なローダンセがあるとフェリキタスから聞いたことがあります」
……品種改良されたローダンセ?
「それは事実か?」
「は、はい。夫人からも直接お聞きしましたので間違いないかと」
「どこにある?」
「たしか……中庭の東側の花壇の一角と」
「……」
ルーフよ、グッジョブ!!!!!
「案内しろ」
「……は?」
「その花壇に案内しろと言っている」
「え、あ……はい」
突然食いついた俺にルーフはだいぶ困惑しているようだが、そんなもの知らん。夫人が独自に開発した新種のローダンセ。そんなお宝、逃してなるものか!!!
「アクナイト公子……?」
いけね、気を抜くとこいつの前でニヤつきそうだ。落ち着け。取り繕え。俺は冷酷で傲慢なシュヴァリエ・アクナイトなんだから。
……が、どんなに頑張っても抑えられないのも好奇心というやつでして。
俺はルーフを半ば脅すように中庭へと案内させた。
「確かこのあたりです」
ルーフに案内されたのは中庭の真東にある花壇だった。一見ほかの花壇と何ら変わらないように見える。
しかし雑草だらけの花壇のなかで明らかに普通のローダンセとは違うものがあった。
通常のローダンセの色はピンク、ローズピンクそして白の三色だ。しかしこの花壇に咲いているのはターコイズのような緑がかった明るい青。本当にローダンセかと疑ってしまうところだが間違いなくこれはローダンセだった。
「よくこんな色が……」
俺は思わずその場にしゃがみ込んで雑草を抜きながらじっくりと花の観察を始めた……が、それはルーフの言葉で中断された。
「アクナイト公子、すみません」
「……なんだ?」
「その花壇の後ろにあるのは何でしょうか?」
「後ろ……?」
雑草をかき分けよくよく見ると花壇の後ろに不思議な溝があった。なんだこれ。
「少々調べてみます。万が一のことがございますのでアクナイト公子はお下がりください」
「ああ」
ルーフに言われるがまま位置を交換し、ルーフは持っていた剣で溝周辺に生えていた雑草を斬り捨てる。……ローダンセには一切傷をつけることなく。よくやるわ。俺には絶対できる気がしない。
「アクナイト公子、どうやらこの溝は取っ手になっているようです」
「こんなところに取っ手……隠し通路でもあるのかもしれないな」
「開けてみますか?」
「ああ、くれぐれも用心しろ。取っ手の位置を見るに上下に動く仕組みだろう」
「やってみます」
ルーフは取っ手に手をかけて力いっぱい上に押し上げた。その先にはーー
「……やはり隠し通路だったか」
人が一人通れる程度の大きさの入り口と先の見えない階段だった。
ゲームの知識で大体屋敷の場所は知っているが、シュヴァリエとしては知らないので店主に場所を伺う。
「前の伯爵様のお屋敷ですか? なぜそのようなことを……」
「ああ、すみません。少々気になってしまって。非常に美しいというお話を小耳に挟んだものですから。遠目からでも見られたらと」
「場所を知っているのなら教えてください。お願いします」
……。
こんなに必死になってまあ。昨日から様子が変だし。それほどまでに見つけたいんだろう。彼の手がかりを。
「前の領主様のお屋敷だったら、ここの通りを右に進んで三つ目の角を左に曲がったらお屋敷に続く道があります。そこを道なりに行くと見えてきますよ」
「教えていただき感謝いたします」
「ただ、以前とはだいぶ様変わりされていますからあんまり期待されないほうがいいですよ」
「様変わり……?」
「ええまあ……こればかりは実際に見てもらったほうが早いですね」
「そうですか。ありがとうございます」
ルーフの必死な頼みに折れた店主が意味深なことを言いながら場所を教えてくれた。
宿を出た俺たちはルーフが先導するように前を歩き、言われた通りの道順を進んでいく……が。
ルーフの奴、歩くの早え……。全然追いつけないんだけど。もうちょいゆっくり歩いてもらっていいですかね!?
「パフィオペディラム公子」
声をかけられたことでようやくこちらを振り向いたルーフはやや気まずそうに視線を逸らした。
「申し訳ありませんアクナイト公子。気が急ぐあまり周りが見えておりませんでした」
「……焦ったところで目的のものが見つかるとでも思っているのか? そんなことで発見できるのならすでに何かしら見つけていると思うが」
「……」
黙った。でも焦ったところでどうしようもない。それに……残念ながらあんたの欲している情報、いや『人』は屋敷にはいないんだよ。
「何をそんなに焦っているのか知らないが、私たちの目的はあくまで学外ワークだということを忘れるな」
「……はい、申し訳ありません」
なんか納得いかないって感じの返事だけど、ゲーム内でのルーフはそこまで分別のつかない人間というではないし、少し苦言を呈すれば大丈夫だろう。こういうのってあんまり言いすぎるのもちょっと違うし。
それからは俺に歩幅を合わせながら進んでいく。
それから店主に教えられた道を行くと、ややくたびれた屋敷が見えてきた。
「あれか……」
「……あ、」
屋敷の姿に小さく声を上げたルーフを一瞥して俺はルーフを追い越し、先ヘ進む。こんなところで立ち止まっても意味はない。まずは屋敷の状況を把握しないと見つかるものも見つからないだろ。
「アクナイト公子、お待ちください」
「なんだ?」
「何があるかわかりません。自分が先導します」
「……そうか。少しばかり心ここにあらずといった様子だったからてっきり引き返すと思ったのだが」
「アクナイト公子を置いてひとりで帰るような真似はしません」
「好きにしろ」
こいつが俺を置いていくなんて考えてないって―の。だけど、これから見る光景は少々覚悟がいるかもしれないな……。
ーー俺の懸念は当たった。
ルーフは屋敷の惨状を見るなり絶句し、その場で呆然としてしまった。俺もゲームの背景で見たことあるけど、実際に見るとかなりひどいな。数年前まで人が住んでいたとは思えない。ほんとなにをどうしたらここまでボロくなるのやら。
「外観を見る限り、一家の失踪以来誰も来ていないといった感じではあるが……」
「アクナイト公子、中に入られるのですか?」
「入りたいのか?」
「許可を頂けるのなら」
いや許可って、あのなぁ……。俺にそんな権限あると思ってんのか? 今は空き家とはいえ、元は貴族の屋敷なんだぞ。しかも何かの罪で財産が没収になったわけでもない貴族の。併呑されているといっても、ローダンセ一族が戻ってくれば失踪理由によってはここに戻れる可能性がある以上管理はコランバイン伯爵の仕事の一つだ。本来ならここに入るためにはコランバイン伯爵の許可が必要なんだよ。……本来なら、ね?
「構わない。どうやらまともな管理もされていないようだし、荒らさない程度ならば入ってもいいだろう」
「ありがとうございます」
ルーフは一礼をして屋敷の門に手をかける。するとーー
「……開いている」
やっぱり管理が杜撰だ。そもそも管理していないよなこれ。
ルーフに続いて俺も屋敷の中へ。完全に不法侵入なんだけどそんなことも言っていられないし、こんなになるまで放っておかれているんだ。多少調べるくらい目を瞑ってくれるだろう。それにーーわざわざ俺たちをこんなところに送りやがった以上はそういった意味合いもあるだろうし。
それにしても『様変わり』ねぇ……? 俺はストーリーの回想背景としてなら見たことあるんだよなここの景色。だけどゲームの過去回想って大抵白黒とかグレースケールだったりするからちゃんとしたカラーで見ていない。それでもかなり寂れてしまったっていうのはわかる。
「以前来たときとは様相がまるで違うな……」
「君はここに来るのは初めてではないのか? 昨日私が聞いたとき手を挙げなかった気がするが?」
「そ、それは……。申し訳ありません」
「……はあ。もしあそこで手を挙げてしまえば情報収集担当から外されてしまうとでも思ったのだろう?」
「……申し訳ありません」
「私とてそこまで非情ではないつもりなのだがな。まあいい、次からはきちんと申告するように」
「はい。寛大なお心に感謝申し上げます」
このくらいで寛大って言われてもなんか複雑なんだけど……まあいっか。
それよりもこの屋敷だ。
「ではまず君に質問だ」
「はい、なんなりと」
「正面玄関までの道を挟むように並んでいるのはすべてローダンセの花で間違いないか?」
「はい.間違いございません」
「そうか。君はローダンセ伯爵一家とはどういう関係だ?」
「先代ローダンセ伯爵夫妻が私の祖母の妹でその孫であるローダンセ伯爵子息フェリキタスは私の再従兄弟です」
ここはゲームの設定通りだな。
この第二章でもダントツで人気の高いモブキャラーーフェリキタス・ローダンセ。ルーフ・パフィオペディラムとフェリキタス・ローダンセはセットで大人気だった。兄貴曰く、この二人は出てきた直後にファンの間で二次創作の主人公として大量に描かれただけでなく、スピンオフ版の主人公として出してほしいとゲーム会社に手紙やメールが届いたほど爆発的な人気を誇るキャラらしい。理由は……【手折れぬ花の守護者】のジャンル的にお察しということで。
……っと、このままじゃ話が脱線しそうだ。
「再従兄弟……ならば、失踪前になにか連絡は来なかったのか?」
「父がローダンセ伯爵から奇妙な手紙を受け取ったという話は聞いていますが、内容がわからずそのまま保管されています」
そこもゲーム通りだな。これ以上突っ込むと余計なフラグが立ちかねないし、込み入った話は終わりにしよう。それよりも、だ。
「このローダンセの花は交易品か?」
「はい。ですが……この屋敷の一角には伯爵夫人が直々に品種改良した特別なローダンセがあるとフェリキタスから聞いたことがあります」
……品種改良されたローダンセ?
「それは事実か?」
「は、はい。夫人からも直接お聞きしましたので間違いないかと」
「どこにある?」
「たしか……中庭の東側の花壇の一角と」
「……」
ルーフよ、グッジョブ!!!!!
「案内しろ」
「……は?」
「その花壇に案内しろと言っている」
「え、あ……はい」
突然食いついた俺にルーフはだいぶ困惑しているようだが、そんなもの知らん。夫人が独自に開発した新種のローダンセ。そんなお宝、逃してなるものか!!!
「アクナイト公子……?」
いけね、気を抜くとこいつの前でニヤつきそうだ。落ち着け。取り繕え。俺は冷酷で傲慢なシュヴァリエ・アクナイトなんだから。
……が、どんなに頑張っても抑えられないのも好奇心というやつでして。
俺はルーフを半ば脅すように中庭へと案内させた。
「確かこのあたりです」
ルーフに案内されたのは中庭の真東にある花壇だった。一見ほかの花壇と何ら変わらないように見える。
しかし雑草だらけの花壇のなかで明らかに普通のローダンセとは違うものがあった。
通常のローダンセの色はピンク、ローズピンクそして白の三色だ。しかしこの花壇に咲いているのはターコイズのような緑がかった明るい青。本当にローダンセかと疑ってしまうところだが間違いなくこれはローダンセだった。
「よくこんな色が……」
俺は思わずその場にしゃがみ込んで雑草を抜きながらじっくりと花の観察を始めた……が、それはルーフの言葉で中断された。
「アクナイト公子、すみません」
「……なんだ?」
「その花壇の後ろにあるのは何でしょうか?」
「後ろ……?」
雑草をかき分けよくよく見ると花壇の後ろに不思議な溝があった。なんだこれ。
「少々調べてみます。万が一のことがございますのでアクナイト公子はお下がりください」
「ああ」
ルーフに言われるがまま位置を交換し、ルーフは持っていた剣で溝周辺に生えていた雑草を斬り捨てる。……ローダンセには一切傷をつけることなく。よくやるわ。俺には絶対できる気がしない。
「アクナイト公子、どうやらこの溝は取っ手になっているようです」
「こんなところに取っ手……隠し通路でもあるのかもしれないな」
「開けてみますか?」
「ああ、くれぐれも用心しろ。取っ手の位置を見るに上下に動く仕組みだろう」
「やってみます」
ルーフは取っ手に手をかけて力いっぱい上に押し上げた。その先にはーー
「……やはり隠し通路だったか」
人が一人通れる程度の大きさの入り口と先の見えない階段だった。
430
お気に入りに追加
1,947
あなたにおすすめの小説
悪役令息に転生して絶望していたら王国至宝のエルフ様にヨシヨシしてもらえるので、頑張って生きたいと思います!
梻メギ
BL
「あ…もう、駄目だ」プツリと糸が切れるように限界を迎え死に至ったブラック企業に勤める主人公は、目覚めると悪役令息になっていた。どのルートを辿っても断罪確定な悪役令息に生まれ変わったことに絶望した主人公は、頑張る意欲そして生きる気力を失い床に伏してしまう。そんな、人生の何もかもに絶望した主人公の元へ王国お抱えのエルフ様がやってきて───!?
【王国至宝のエルフ様×元社畜のお疲れ悪役令息】
▼この作品と出会ってくださり、ありがとうございます!初投稿になります、どうか温かい目で見守っていただけますと幸いです。
▼こちらの作品はムーンライトノベルズ様にも投稿しております。
▼毎日18時投稿予定
俺は北国の王子の失脚を狙う悪の側近に転生したらしいが、寒いのは苦手なのでトンズラします
椿谷あずる
BL
ここはとある北の国。綺麗な金髪碧眼のイケメン王子様の側近に転生した俺は、どうやら彼を失脚させようと陰謀を張り巡らせていたらしい……。いやいや一切興味がないし!寒いところ嫌いだし!よし、やめよう!
こうして俺は逃亡することに決めた。
悪役令息の死ぬ前に
やぬい
BL
「あんたら全員最高の馬鹿だ」
ある日、高貴な血筋に生まれた公爵令息であるラインハルト・ニーチェ・デ・サヴォイアが突如として婚約者によって破棄されるという衝撃的な出来事が起こった。
彼が愛し、心から信じていた相手の裏切りに、しかもその新たな相手が自分の義弟だということに彼の心は深く傷ついた。
さらに冤罪をかけられたラインハルトは公爵家の自室に幽閉され、数日後、シーツで作った縄で首を吊っているのを発見された。
青年たちは、ラインハルトの遺体を抱きしめる男からその話を聞いた。その青年たちこそ、マークの元婚約者と義弟とその友人である。
「真実も分からないクセに分かった風になっているガキがいたからラインは死んだんだ」
男によって過去に戻された青年たちは「真実」を見つけられるのか。
【完結】王子様たちに狙われています。本気出せばいつでも美しくなれるらしいですが、どうでもいいじゃないですか。
竜鳴躍
BL
同性でも子を成せるようになった世界。ソルト=ペッパーは公爵家の3男で、王宮務めの文官だ。他の兄弟はそれなりに高級官吏になっているが、ソルトは昔からこまごまとした仕事が好きで、下級貴族に混じって働いている。机で物を書いたり、何かを作ったり、仕事や趣味に没頭するあまり、物心がついてからは身だしなみもおざなりになった。だが、本当はソルトはものすごく美しかったのだ。
自分に無頓着な美人と彼に恋する王子と騎士の話。
番外編はおまけです。
特に番外編2はある意味蛇足です。
主人公のライバルポジにいるようなので、主人公のカッコ可愛さを特等席で愛でたいと思います。
小鷹けい
BL
以前、なろうサイトさまに途中まであげて、結局書きかけのまま放置していたものになります(アカウントごと削除済み)タイトルさえもうろ覚え。
そのうち続きを書くぞ、の意気込みついでに数話分投稿させていただきます。
先輩×後輩
攻略キャラ×当て馬キャラ
総受けではありません。
嫌われ→からの溺愛。こちらも面倒くさい拗らせ攻めです。
ある日、目が覚めたら大好きだったBLゲームの当て馬キャラになっていた。死んだ覚えはないが、そのキャラクターとして生きてきた期間の記憶もある。
だけど、ここでひとつ問題が……。『おれ』の推し、『僕』が今まで嫌がらせし続けてきた、このゲームの主人公キャラなんだよね……。
え、イジめなきゃダメなの??死ぬほど嫌なんだけど。絶対嫌でしょ……。
でも、主人公が攻略キャラとBLしてるところはなんとしても見たい!!ひっそりと。なんなら近くで見たい!!
……って、なったライバルポジとして生きることになった『おれ(僕)』が、主人公と仲良くしつつ、攻略キャラを巻き込んでひっそり推し活する……みたいな話です。
本来なら当て馬キャラとして冷たくあしらわれ、手酷くフラれるはずの『ハルカ先輩』から、バグなのかなんなのか徐々に距離を詰めてこられて戸惑いまくる当て馬の話。
こちらは、ゆるゆる不定期更新になります。
公爵家の五男坊はあきらめない
三矢由巳
BL
ローテンエルデ王国のレームブルック公爵の妾腹の五男グスタフは公爵領で領民と交流し、気ままに日々を過ごしていた。
生母と生き別れ、父に放任されて育った彼は誰にも期待なんかしない、将来のことはあきらめていると乳兄弟のエルンストに語っていた。
冬至の祭の夜に暴漢に襲われ二人の運命は急変する。
負傷し意識のないエルンストの枕元でグスタフは叫ぶ。
「俺はおまえなしでは生きていけないんだ」
都では次の王位をめぐる政争が繰り広げられていた。
知らぬ間に巻き込まれていたことを知るグスタフ。
生き延びるため、グスタフはエルンストとともに都へ向かう。
あきらめたら待つのは死のみ。
もう人気者とは付き合っていられません
花果唯
BL
僕の恋人は頭も良くて、顔も良くておまけに優しい。
モテるのは当然だ。でも――。
『たまには二人だけで過ごしたい』
そう願うのは、贅沢なのだろうか。
いや、そんな人を好きになった僕の方が間違っていたのだ。
「好きなのは君だ」なんて言葉に縋って耐えてきたけど、それが間違いだったってことに、ようやく気がついた。さようなら。
ちょうど生徒会の補佐をしないかと誘われたし、そっちの方に専念します。
生徒会長が格好いいから見ていて癒やされるし、一石二鳥です。
※ライトBL学園モノ ※2024再公開・改稿中
氷の華を溶かしたら
こむぎダック
BL
ラリス王国。
男女問わず、子供を産む事ができる世界。
前世の記憶を残したまま、転生を繰り返して来たキャニス。何度生まれ変わっても、誰からも愛されず、裏切られることに疲れ切ってしまったキャニスは、今世では、誰も愛さず何も期待しないと心に決め、笑わない氷華の貴公子と言われる様になった。
ラリス王国の第一王子ナリウスの婚約者として、王子妃教育を受けて居たが、手癖の悪い第一王子から、冷たい態度を取られ続け、とうとう婚約破棄に。
そして、密かにキャニスに、想いを寄せて居た第二王子カリストが、キャニスへの贖罪と初恋を実らせる為に奔走し始める。
その頃、母国の騒ぎから逃れ、隣国に滞在していたキャニスは、隣国の王子シェルビーからの熱烈な求愛を受けることに。
初恋を拗らせたカリストとシェルビー。
キャニスの氷った心を溶かす事ができるのは、どちらか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる