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二頁 アジサイの涙
21話 いつの間にか始まっていた本編イベント
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やらかした。
俺って本当に周り見えなくなるんだな……じゃなくて! どうすんのこの空気。
今俺はものすごい好奇の視線に晒されていた。
『速報! シュヴァリエ・アクナイトが花束を手にご機嫌だった! エヴェイユ殿下が目撃!!!』
という内容が朝からあちこちで飛び交っている。
原因はまさに昨日の件。ガゼボから出てきたシュヴァリエ・アクナイトが花束を持っていた、と偶然目撃した生徒が友人に話し瞬く間に広まったらしい。噂を聞いたエヴェイユも偶然出会った彼が花束を持っていたと公言したことで更に尾ひれがついた結果、まだ冷めやらないアクナイト公爵家の離婚騒動もあり一層騒がれることとなった。
ですよね。広まらないわけないよね。シュヴァリエに花束という組み合わせ自体衝撃だというのに、人目があるということを何故あの時失念していたのかわからない。
あれほど急な人格や行動の変貌は気をつけようと思っていたのがさほど時間が経たずに崩れた。というか途中からすっかり忘れていた。間抜けにも程があるだろ。
「はあ……」
アクナイトの人間が短期間にやらかして注目を集めないはずはない。シエル兄さんはともかくルアルへの皺寄せが大変なことになるなこりゃ。ああ、どうしよう。エヴェイユとエンカウントしたってだけでも憂鬱なのに自分で注目集めるようなことをしでかすとか、馬鹿にも程がある。これじゃあいくらクラルテたちを避けたところで、ろくなことにならないだろ絶対。しかもタイミングが最悪すぎる。針の筵どころか地獄の針山がそのまま降ってきたような気分だ。
もうこのまま授業サボろうかな……って、げぇっ!
廊下の向こうからクラルテとエヴェイユ、それからアウルがやってきていた。この状況でエヴェイユとは会いたくねえ!
俺は咄嗟に角を曲がり、クラルテたちをやり過ごそうとした……が。聞こえてきた会話に俺は思わず足を止める。
「昨日見せてくれた小箱に関してあれから進展はありましたか?」
「いいえ、誰も知らないと。まだ全員に聞いたわけじゃないですけど、アウルさんに協力してもらいながらクラスの人に聞き込みしているところです」
「そうですか。アウル公子の方はどうですか?」
「俺の方も今のところは」
「なるほど……しかし、あの小箱の中身はまだ確かめていないのですか?」
「すみません……いくら持ち主探しとはいえ、人の物を勝手に開けるのはできなくて」
「真面目ですね。物事は時に必要事項と割り切ることも大切ですよ」
「は、はい」
「他に何か変わったことはありましたか?」
「あの後もう一度小箱が沈められていた池に行ってみたらその近くにアジサイがありました。なんかわざわざ枝を切って地面に落としてから踏み潰したような感じになっていましたけど」
「へえ、面白いことをする人もいるのですね」
三人の内容に俺は遠い目になりながら額に手を当てた。本当に俺は間抜けだ。こんな大事なことなんでもっと早く思い出さないかな……。
「最悪……」
エヴェイユ本編ルート序盤、クラルテは学内の図書館に寄った帰りある水音を聞く。気になって様子を見に行くもそこには誰も居らずただ小さな池があるだけだった。不思議に思ったクラルテが水面を覗き込むと、そこには高級品と思われる小箱が沈んでいた。その小箱はまだ新しく、誰かの落とし物かと思ったクラルテは小箱のことを相談しようとアウルを探していたところエヴェイユに会い彼に相談をする、という流れだ。
……で、その話の中でエヴェイユが言っていた。
ーーエヴェイユさん、こんなところにいるなんて珍しいですね
ーー少々気分転換に。ガゼボで偶然シュヴァリエ公子とお会いしましてね
ーーシュヴァリエさんに?
ーーええ。同じ学園にいながら彼とだけは不思議と会話の機会が少ないもので。久しぶりにお話できたのですよ
ーーそうなんですね。僕もクラスメイトなのに全然お話できなくて
ーーシュヴァリエ公子は孤高な人ですから、なかなか難しいでしょう
ーーはい、まあ……
クラルテはエヴェイユに小箱のことを相談する直前、ガゼボでシュヴァリエに会った、と。あの時に思い出していれば避けられたのに、ああ俺の馬鹿!!!
「はあ……なんかこういうのばっかりだな俺」
うっかり本音がこぼれた。気分が沈みかけたところで、唐突にクラルテの言葉が引っかかる。
「クラルテの奴、アジサイが踏みつけられていたとか言っていなかったか?」
もし事実だとしたら許せねえんだけど? 花を冒涜する奴は全員俺の敵確定なんだよ。
……どうする?
正直に言えば関わりたくない。それに俺はゲームで犯人を知っているから調べる必要はないんだけど……なんか気になるんだよな。本編ストーリー内に花が踏み荒らされていたなんて話はなかったはずだ。
犯人は判っている。動機も知っている。だけどだからこそ違和感が強い。……一体なんなんだ?
「……花の件もあるし確認してみるか」
別に確認してどうこうするわけでもない。気になるし気に食わないから動くだけ。花を荒らす奴はどんな理由があろうとシバくし、俺の押し花ライフを邪魔するってんなら徹底的に間引いてやる。じゃないとストーリーに邪魔されてコレクション集めが進まないんだよ! 前世でも二十歳でご臨終だったから全っ然集められなかったし、今世は今世こそは何が何でもやってやる!!!
というわけで、早速間引き作業開始!
けどいきなり犯人のところに行ったら怪しまれるからひとまず現場を見てみるか。捜査の基本は現場からってね。
「確か小箱を見つけたのは校舎裏の森への入り口付近にある池だったはず。図書館はそこの近くだからな。けどここからだと大体二十分くらいかかるから、授業開始に間に合わない。…………よし、サボろう」
何か別のものでも出てくるかもしれないし、万が一誰かに好奇心やらなんやらでぶっ壊されてもたまらない。善は急げっていうじゃないか! ……最近まで休んでいたのにまたって思われるかもしれないけど、ここは必要休校ということで。な~に、一日くらいサボったって死にやしないさ。前世じゃ遅刻三昧で不良扱いだったし今更今更。さあ、早速出発~!
♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎
……つ、着いた。
なんでこんなに広いんだろう。前世の学校は走ったら授業に間に合うくらいだったのに、ほんと無駄に面積あるんだから。学園持ちの森まで含めたら一体何平米になるんだ。
「……で、これが小箱の沈んでいた池ね。やっぱりゲーム背景そのままだ」
北側にあるこの池は太陽こそ当たらないものの、空の写り込む水面がキラキラと反射する綺麗な場所だ。ゲーム内でも好きな背景のひとつだったな。
うん、本当に綺麗だ。……そのほとりで花びらが無残に散らされていることを除けば、だけど。いや本当にひどいな。ここまでふっ散らかすことある? アジサイになんか恨みでもあんのかちくしょう!
……綺麗な切り口だな。鋏で丁寧に切り取らないとこんな状態にはならない。わざわざこんな状態で刈り取ってから地面に捨てる……なんてことあるか? だとしたら相当変わっているな。他の花を傷つけたくなかったか、たとえ壊すとしても綺麗な状態で採りたかったか……あとは、このアジサイは誰かからの贈り物だったから八つ当たりした。
「誰かにプレゼントする時って普通なら何本か束にして渡すよな? まあ一本だけ渡すこともあるけど……複数本持っているなら荒らしたのがこの一本だけっていうのは違和感がある。それに……」
俺はその場にしゃがみ込んで、散らされたアジサイを見つめる。花びらには靴裏の跡がくっきりとついていた。よほど激しくすり潰したのか、色素が薄れてしまっているのもある。
「ったく、俺のコレクション荒らしやがって」
ひとりをいいことに悪態をついたその時。
「そこで何をしている?」
カサリと草を踏みつける音がしたと思ったら冷ややかな声が背中に刺さった。知っている声に後ろを振り向くとそこには。
「なぜ貴方がここにいるのです?」
主人公の絶対的な味方でありゲームの攻略対象の一人である。
ーーアウル・オルニス
俺って本当に周り見えなくなるんだな……じゃなくて! どうすんのこの空気。
今俺はものすごい好奇の視線に晒されていた。
『速報! シュヴァリエ・アクナイトが花束を手にご機嫌だった! エヴェイユ殿下が目撃!!!』
という内容が朝からあちこちで飛び交っている。
原因はまさに昨日の件。ガゼボから出てきたシュヴァリエ・アクナイトが花束を持っていた、と偶然目撃した生徒が友人に話し瞬く間に広まったらしい。噂を聞いたエヴェイユも偶然出会った彼が花束を持っていたと公言したことで更に尾ひれがついた結果、まだ冷めやらないアクナイト公爵家の離婚騒動もあり一層騒がれることとなった。
ですよね。広まらないわけないよね。シュヴァリエに花束という組み合わせ自体衝撃だというのに、人目があるということを何故あの時失念していたのかわからない。
あれほど急な人格や行動の変貌は気をつけようと思っていたのがさほど時間が経たずに崩れた。というか途中からすっかり忘れていた。間抜けにも程があるだろ。
「はあ……」
アクナイトの人間が短期間にやらかして注目を集めないはずはない。シエル兄さんはともかくルアルへの皺寄せが大変なことになるなこりゃ。ああ、どうしよう。エヴェイユとエンカウントしたってだけでも憂鬱なのに自分で注目集めるようなことをしでかすとか、馬鹿にも程がある。これじゃあいくらクラルテたちを避けたところで、ろくなことにならないだろ絶対。しかもタイミングが最悪すぎる。針の筵どころか地獄の針山がそのまま降ってきたような気分だ。
もうこのまま授業サボろうかな……って、げぇっ!
廊下の向こうからクラルテとエヴェイユ、それからアウルがやってきていた。この状況でエヴェイユとは会いたくねえ!
俺は咄嗟に角を曲がり、クラルテたちをやり過ごそうとした……が。聞こえてきた会話に俺は思わず足を止める。
「昨日見せてくれた小箱に関してあれから進展はありましたか?」
「いいえ、誰も知らないと。まだ全員に聞いたわけじゃないですけど、アウルさんに協力してもらいながらクラスの人に聞き込みしているところです」
「そうですか。アウル公子の方はどうですか?」
「俺の方も今のところは」
「なるほど……しかし、あの小箱の中身はまだ確かめていないのですか?」
「すみません……いくら持ち主探しとはいえ、人の物を勝手に開けるのはできなくて」
「真面目ですね。物事は時に必要事項と割り切ることも大切ですよ」
「は、はい」
「他に何か変わったことはありましたか?」
「あの後もう一度小箱が沈められていた池に行ってみたらその近くにアジサイがありました。なんかわざわざ枝を切って地面に落としてから踏み潰したような感じになっていましたけど」
「へえ、面白いことをする人もいるのですね」
三人の内容に俺は遠い目になりながら額に手を当てた。本当に俺は間抜けだ。こんな大事なことなんでもっと早く思い出さないかな……。
「最悪……」
エヴェイユ本編ルート序盤、クラルテは学内の図書館に寄った帰りある水音を聞く。気になって様子を見に行くもそこには誰も居らずただ小さな池があるだけだった。不思議に思ったクラルテが水面を覗き込むと、そこには高級品と思われる小箱が沈んでいた。その小箱はまだ新しく、誰かの落とし物かと思ったクラルテは小箱のことを相談しようとアウルを探していたところエヴェイユに会い彼に相談をする、という流れだ。
……で、その話の中でエヴェイユが言っていた。
ーーエヴェイユさん、こんなところにいるなんて珍しいですね
ーー少々気分転換に。ガゼボで偶然シュヴァリエ公子とお会いしましてね
ーーシュヴァリエさんに?
ーーええ。同じ学園にいながら彼とだけは不思議と会話の機会が少ないもので。久しぶりにお話できたのですよ
ーーそうなんですね。僕もクラスメイトなのに全然お話できなくて
ーーシュヴァリエ公子は孤高な人ですから、なかなか難しいでしょう
ーーはい、まあ……
クラルテはエヴェイユに小箱のことを相談する直前、ガゼボでシュヴァリエに会った、と。あの時に思い出していれば避けられたのに、ああ俺の馬鹿!!!
「はあ……なんかこういうのばっかりだな俺」
うっかり本音がこぼれた。気分が沈みかけたところで、唐突にクラルテの言葉が引っかかる。
「クラルテの奴、アジサイが踏みつけられていたとか言っていなかったか?」
もし事実だとしたら許せねえんだけど? 花を冒涜する奴は全員俺の敵確定なんだよ。
……どうする?
正直に言えば関わりたくない。それに俺はゲームで犯人を知っているから調べる必要はないんだけど……なんか気になるんだよな。本編ストーリー内に花が踏み荒らされていたなんて話はなかったはずだ。
犯人は判っている。動機も知っている。だけどだからこそ違和感が強い。……一体なんなんだ?
「……花の件もあるし確認してみるか」
別に確認してどうこうするわけでもない。気になるし気に食わないから動くだけ。花を荒らす奴はどんな理由があろうとシバくし、俺の押し花ライフを邪魔するってんなら徹底的に間引いてやる。じゃないとストーリーに邪魔されてコレクション集めが進まないんだよ! 前世でも二十歳でご臨終だったから全っ然集められなかったし、今世は今世こそは何が何でもやってやる!!!
というわけで、早速間引き作業開始!
けどいきなり犯人のところに行ったら怪しまれるからひとまず現場を見てみるか。捜査の基本は現場からってね。
「確か小箱を見つけたのは校舎裏の森への入り口付近にある池だったはず。図書館はそこの近くだからな。けどここからだと大体二十分くらいかかるから、授業開始に間に合わない。…………よし、サボろう」
何か別のものでも出てくるかもしれないし、万が一誰かに好奇心やらなんやらでぶっ壊されてもたまらない。善は急げっていうじゃないか! ……最近まで休んでいたのにまたって思われるかもしれないけど、ここは必要休校ということで。な~に、一日くらいサボったって死にやしないさ。前世じゃ遅刻三昧で不良扱いだったし今更今更。さあ、早速出発~!
♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎
……つ、着いた。
なんでこんなに広いんだろう。前世の学校は走ったら授業に間に合うくらいだったのに、ほんと無駄に面積あるんだから。学園持ちの森まで含めたら一体何平米になるんだ。
「……で、これが小箱の沈んでいた池ね。やっぱりゲーム背景そのままだ」
北側にあるこの池は太陽こそ当たらないものの、空の写り込む水面がキラキラと反射する綺麗な場所だ。ゲーム内でも好きな背景のひとつだったな。
うん、本当に綺麗だ。……そのほとりで花びらが無残に散らされていることを除けば、だけど。いや本当にひどいな。ここまでふっ散らかすことある? アジサイになんか恨みでもあんのかちくしょう!
……綺麗な切り口だな。鋏で丁寧に切り取らないとこんな状態にはならない。わざわざこんな状態で刈り取ってから地面に捨てる……なんてことあるか? だとしたら相当変わっているな。他の花を傷つけたくなかったか、たとえ壊すとしても綺麗な状態で採りたかったか……あとは、このアジサイは誰かからの贈り物だったから八つ当たりした。
「誰かにプレゼントする時って普通なら何本か束にして渡すよな? まあ一本だけ渡すこともあるけど……複数本持っているなら荒らしたのがこの一本だけっていうのは違和感がある。それに……」
俺はその場にしゃがみ込んで、散らされたアジサイを見つめる。花びらには靴裏の跡がくっきりとついていた。よほど激しくすり潰したのか、色素が薄れてしまっているのもある。
「ったく、俺のコレクション荒らしやがって」
ひとりをいいことに悪態をついたその時。
「そこで何をしている?」
カサリと草を踏みつける音がしたと思ったら冷ややかな声が背中に刺さった。知っている声に後ろを振り向くとそこには。
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主人公の絶対的な味方でありゲームの攻略対象の一人である。
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