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一頁 覚醒のロベリア
4話 どうやら殺されかけたらしい
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バキッという乾いた音と共に鈍い痛みが俺の頬を支配した。……やると思ったわ。
激しくよろめいたものの辛うじて倒れずにいられたのは渋々とはいえ鍛えていたからだろう。過去のシュヴァリエ、グッジョブ! ……じゃなくて。
目の前では公爵が憤怒の炎を宿しながら俺を見下ろしていた。あの後、義母が告げ口したんだろう。義母を揶揄ったその日の夜に速攻呼び出され、部屋に入るなり殴られた。その義母は公爵の一歩下がったところで勝ち誇ったような顔を向けている。……このクソババア、心狭すぎだろ。密集して咲いている花よりも狭いんじゃない? 腹立つわ~。
「いくら卑しい女が産んだとはいえ情けでお前をアクナイトに入れてやったというのに、その恩を忘れて女主を愚弄するとはな」
何が情けだよ。ただアクナイトの名前に傷がつくのが怖かっただけだろうが。
「いいか。お前は私の慈悲で生かされていることを忘れるな。私の子は長男のシエルと長女のルアルのみだ。ただの下僕が身の程を弁えろ。次このようなことがあれば、その時はお前を市井へ放り出す」
脅しのつもりなのか本気なのか……まあ本気なんだろうな。それに以前のシュヴァリエは下町に戻ることを何よりも恐れていた。平民という身分のなることじゃなくて実の父親に見捨てられることが怖かった。それは公爵も承知でこんなことを言う。こう言えばこいつは逆らわないと知っているから言うことを聞かせる最高の呪文だ。
……ただし、以前のシュヴァリエだったら、ね?
放り出すって言ったよな? むしろ大歓迎だわ。こんなところにいるくらいなら平民になった方がマシだ。この公爵家の価値って俺にとっては金以外にないんだし。それにやられっぱなしは性に合わないんだよ。絶対にお返ししてやるから覚悟しておけ。
「申し訳ありませんでした。父上」
「ふん、さっさと失せろ」
うわー嫌そうな顔。仮にも自分の息子がそんなに嫌かよショックだなー。……なんて思えればよかったんだけど、俺は存外薄情なのかも。
とか考えながらよろよろしていたら強制的に部屋から締め出された。殴った挙句にゴミ袋よろしくポイ捨てとか……大人だからってなにをやっても許されると思ってんのか畜生。
「痛った……」
殴るのはいいけど顔は大事なんだからもう少し手加減しろよ。
「ちっ……!」
おっと、思わず舌打ちをしてしまった。誰かに聞かれたらまず……くはないな。だって俺公爵子息だし、そもそもシュヴァリエは冷酷だ。まず近寄ろうとさえしない。陰口は叩いているかもしれないが。まあ、そこはおいおい片付けるとして、そろそろサリクスが戻ってきてもいいころだな。ひとまず部屋に戻ろう。
♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎
自室に戻るとやはりサリクスが戻ってきていた。
「あ、シュヴァリエ様! お帰りなさいませ」
「ああ、頼んだものは?」
「はい、バッチリです!」
満面の笑みを浮かべながらサリクスは答える。シュヴァリエの時も思っていたが仕事が早いな。いい子だし。
「じゃあ、早速見せてくれ」
「はい~、お茶をお淹れしますのでごゆっくりご覧になってください」
サリクスがお茶を淹れてくれている間に俺はテーブルの上に置かれた数枚の絵を手に取った。……腹立つほどに絵が上手い。こいつ、なんでこんなところで侍従なんかやっているんだ。まあ、こいつに辞められたら困るから言わないけど。
……そんなことよりも。
この中から手掛かりが見つかればいいんだけど、何か気になるものはないかな。
数枚の絵をじっくり見ていくと、サラダの盛りつけの中に引っかかるものがあった。
サラダを担当している料理人がキキョウに似た形をした青紫色の花を手に持っている。料理人は周囲に目を向けたまま皿に入れていた。しかも1番下の層に。
……なるほどな。
「何かわかったんですか?」
「ああ、わかった。……俺はやっぱり殺されかけたんだと確証したよ」
「え!? 殺さ」
「しっ! 大声を出すな」
やや強めの口調で咎めると、サリクスは慌てて口を覆う。ほんの少し顔色が悪くなったサリクスは、僅かに声を震わせながら小さく口を開く。
「……それ、本当ですか?」
「考えてもみろって。公爵家の飯に偶然毒が入るなんてあるか? 意図して入れない限りあり得ないんだよ」
「ですが、毒を盛られたことが確かなら何故旦那様は調査をされていないのでしょう?」
「俺は息子じゃないらしいからな」
「そんなこと……」
「いいんだよ。俺も親とは思っていないからお互い様だ」
俺の言葉にサリクスは目を見開いた。まあそうだよな、シュヴァリエが公爵から愛されたがっていることを1番知っているのはこいつだから。
「シュヴァリエ様……一体どうなされたのですか?」
「別に……面と向かってはっきり言われたんだ。もういいさ」
「ですが、シュヴァリエ様も実子であることに変わりはありません」
「……お前は自分の心配をしていろ。俺たちのことに口を挟むことを許した覚えはないぞ」
そう言うとやや傷ついた顔をしながらも、サリクスは静かに一礼をした。
……ごめんサリクス。違和感を抱かせないための芝居とはいえ、心にもないことを言ってしまった。徐々に緩和していくから許して。
「そ、それで、なぜ確証を得られたんですか?」
「ああ、この絵を見てみろ。サラダ担当の奴が青紫色の花を持っているよな」
「はい。……やたらと周りを警戒しているような?」
「ああ、その通りだ。ただの盛り付けになぜ周囲を見る必要があるのか。その理由はこの花にある」
「花……ですか?」
「この花の名前はロベリア。花の形状からおそらくサワギキョウだろう」
「聞いたことありませんね。綺麗な花ですが、何かあるんですか?」
「これは全草に毒があるんだよ。うっかり食べると頭痛や嘔吐、麻痺、呼吸困難なんかを引き起こし、最悪死に至る」
そこまで解説するとサリクスの顔からわかりやすく血の気が失せた。まあ一歩間違えていたら俺は確実に死んでいたのだから無理もない。……もうちょい焦ればいいのに冷静だな自分。
「……本当によくお目覚めになられましたね」
「我ながら運がいい」
「そんな呑気な……」
サリクスからやや呆れを含んだ眼差しが送られてくるがひとまずスルーして。
花弁ならサラダに使うこともあるから怪しまれないと思ったんだろう。とりあえず直接の下手人はわかった。バッチリ顔が描かれているし、行動も言い逃れはできない。
問題は誰が黒幕か、ということだ。まずはこいつの身元を割り出してから徐々に証拠を固めていこう。綺麗さっぱり片付けてから学園に戻りたい。
……というか全寮制の学園に通っているはずの俺がこんなところにいるのは、いきなり呼び出しを食らったからだ。その直後にこれなんだから意図的なのは明白なわけで。こんなに簡単にネタバレするとか、犯人は相当間抜けなのか証拠が見つかるわけがないと確信しているのか、あったとしても俺の話は聞くわけないと考えているのか。……全部だろうな。
……話を戻して。とりあえずこいつの取り調べをするか。
「サリクス、この料理人を徹底的に洗え。俺はロベリアの入手経路と日付を調べてくる」
「お一人で、ですか?」
「ああ。調べられていることに勘づかれたくないから情報ギルドに行ってくる。俺は頻繁に利用しているから怪しまれないはずだ」
「かしこまりました。お気をつけていってらっしゃいませ」
「ああ。そっちは頼んだぞ」
「お任せください」
サリクスを見送った俺はクローゼットを開け、最奥に隠している服を引っ張り出した。これは迷彩と認識阻害が施された服でシュヴァリエはこれを着て町を歩いていた。特に良からぬことを考えている時は必ずと言っていいほどに。……どこで手に入れるんだこんなもの。シュヴァリエの消息不明の理由ってこれだったりして。
なんて余計なことを考えながら着替えを済ませ、窓から飛び降りた俺は裏庭の隅の一角へ向かった。
その一角は無駄に広い屋敷からも当然庭からも死角にあり、ここだけは植物が育たないという謎のポイントだ。そんな奇妙なこの場所、実は隠し通路の入り口でもある。しかも公爵すら把握していない超・秘密の通路なのだ。……よく見つけたものだよね。こんなもの公爵家所有の図書館にも記載なかった……隠し通路の場所は普通書かないか。
それにしても、屋敷の隠し通路なんだから公爵は把握していそうなものだけど、なんで知らないんだろう?
……まあいいか。不気味がって誰も近づかないし俺専用ってことで。
それじゃあ、いざ情報ギルドへ!
……なにか大事なことを忘れているような?
激しくよろめいたものの辛うじて倒れずにいられたのは渋々とはいえ鍛えていたからだろう。過去のシュヴァリエ、グッジョブ! ……じゃなくて。
目の前では公爵が憤怒の炎を宿しながら俺を見下ろしていた。あの後、義母が告げ口したんだろう。義母を揶揄ったその日の夜に速攻呼び出され、部屋に入るなり殴られた。その義母は公爵の一歩下がったところで勝ち誇ったような顔を向けている。……このクソババア、心狭すぎだろ。密集して咲いている花よりも狭いんじゃない? 腹立つわ~。
「いくら卑しい女が産んだとはいえ情けでお前をアクナイトに入れてやったというのに、その恩を忘れて女主を愚弄するとはな」
何が情けだよ。ただアクナイトの名前に傷がつくのが怖かっただけだろうが。
「いいか。お前は私の慈悲で生かされていることを忘れるな。私の子は長男のシエルと長女のルアルのみだ。ただの下僕が身の程を弁えろ。次このようなことがあれば、その時はお前を市井へ放り出す」
脅しのつもりなのか本気なのか……まあ本気なんだろうな。それに以前のシュヴァリエは下町に戻ることを何よりも恐れていた。平民という身分のなることじゃなくて実の父親に見捨てられることが怖かった。それは公爵も承知でこんなことを言う。こう言えばこいつは逆らわないと知っているから言うことを聞かせる最高の呪文だ。
……ただし、以前のシュヴァリエだったら、ね?
放り出すって言ったよな? むしろ大歓迎だわ。こんなところにいるくらいなら平民になった方がマシだ。この公爵家の価値って俺にとっては金以外にないんだし。それにやられっぱなしは性に合わないんだよ。絶対にお返ししてやるから覚悟しておけ。
「申し訳ありませんでした。父上」
「ふん、さっさと失せろ」
うわー嫌そうな顔。仮にも自分の息子がそんなに嫌かよショックだなー。……なんて思えればよかったんだけど、俺は存外薄情なのかも。
とか考えながらよろよろしていたら強制的に部屋から締め出された。殴った挙句にゴミ袋よろしくポイ捨てとか……大人だからってなにをやっても許されると思ってんのか畜生。
「痛った……」
殴るのはいいけど顔は大事なんだからもう少し手加減しろよ。
「ちっ……!」
おっと、思わず舌打ちをしてしまった。誰かに聞かれたらまず……くはないな。だって俺公爵子息だし、そもそもシュヴァリエは冷酷だ。まず近寄ろうとさえしない。陰口は叩いているかもしれないが。まあ、そこはおいおい片付けるとして、そろそろサリクスが戻ってきてもいいころだな。ひとまず部屋に戻ろう。
♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎
自室に戻るとやはりサリクスが戻ってきていた。
「あ、シュヴァリエ様! お帰りなさいませ」
「ああ、頼んだものは?」
「はい、バッチリです!」
満面の笑みを浮かべながらサリクスは答える。シュヴァリエの時も思っていたが仕事が早いな。いい子だし。
「じゃあ、早速見せてくれ」
「はい~、お茶をお淹れしますのでごゆっくりご覧になってください」
サリクスがお茶を淹れてくれている間に俺はテーブルの上に置かれた数枚の絵を手に取った。……腹立つほどに絵が上手い。こいつ、なんでこんなところで侍従なんかやっているんだ。まあ、こいつに辞められたら困るから言わないけど。
……そんなことよりも。
この中から手掛かりが見つかればいいんだけど、何か気になるものはないかな。
数枚の絵をじっくり見ていくと、サラダの盛りつけの中に引っかかるものがあった。
サラダを担当している料理人がキキョウに似た形をした青紫色の花を手に持っている。料理人は周囲に目を向けたまま皿に入れていた。しかも1番下の層に。
……なるほどな。
「何かわかったんですか?」
「ああ、わかった。……俺はやっぱり殺されかけたんだと確証したよ」
「え!? 殺さ」
「しっ! 大声を出すな」
やや強めの口調で咎めると、サリクスは慌てて口を覆う。ほんの少し顔色が悪くなったサリクスは、僅かに声を震わせながら小さく口を開く。
「……それ、本当ですか?」
「考えてもみろって。公爵家の飯に偶然毒が入るなんてあるか? 意図して入れない限りあり得ないんだよ」
「ですが、毒を盛られたことが確かなら何故旦那様は調査をされていないのでしょう?」
「俺は息子じゃないらしいからな」
「そんなこと……」
「いいんだよ。俺も親とは思っていないからお互い様だ」
俺の言葉にサリクスは目を見開いた。まあそうだよな、シュヴァリエが公爵から愛されたがっていることを1番知っているのはこいつだから。
「シュヴァリエ様……一体どうなされたのですか?」
「別に……面と向かってはっきり言われたんだ。もういいさ」
「ですが、シュヴァリエ様も実子であることに変わりはありません」
「……お前は自分の心配をしていろ。俺たちのことに口を挟むことを許した覚えはないぞ」
そう言うとやや傷ついた顔をしながらも、サリクスは静かに一礼をした。
……ごめんサリクス。違和感を抱かせないための芝居とはいえ、心にもないことを言ってしまった。徐々に緩和していくから許して。
「そ、それで、なぜ確証を得られたんですか?」
「ああ、この絵を見てみろ。サラダ担当の奴が青紫色の花を持っているよな」
「はい。……やたらと周りを警戒しているような?」
「ああ、その通りだ。ただの盛り付けになぜ周囲を見る必要があるのか。その理由はこの花にある」
「花……ですか?」
「この花の名前はロベリア。花の形状からおそらくサワギキョウだろう」
「聞いたことありませんね。綺麗な花ですが、何かあるんですか?」
「これは全草に毒があるんだよ。うっかり食べると頭痛や嘔吐、麻痺、呼吸困難なんかを引き起こし、最悪死に至る」
そこまで解説するとサリクスの顔からわかりやすく血の気が失せた。まあ一歩間違えていたら俺は確実に死んでいたのだから無理もない。……もうちょい焦ればいいのに冷静だな自分。
「……本当によくお目覚めになられましたね」
「我ながら運がいい」
「そんな呑気な……」
サリクスからやや呆れを含んだ眼差しが送られてくるがひとまずスルーして。
花弁ならサラダに使うこともあるから怪しまれないと思ったんだろう。とりあえず直接の下手人はわかった。バッチリ顔が描かれているし、行動も言い逃れはできない。
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……というか全寮制の学園に通っているはずの俺がこんなところにいるのは、いきなり呼び出しを食らったからだ。その直後にこれなんだから意図的なのは明白なわけで。こんなに簡単にネタバレするとか、犯人は相当間抜けなのか証拠が見つかるわけがないと確信しているのか、あったとしても俺の話は聞くわけないと考えているのか。……全部だろうな。
……話を戻して。とりあえずこいつの取り調べをするか。
「サリクス、この料理人を徹底的に洗え。俺はロベリアの入手経路と日付を調べてくる」
「お一人で、ですか?」
「ああ。調べられていることに勘づかれたくないから情報ギルドに行ってくる。俺は頻繁に利用しているから怪しまれないはずだ」
「かしこまりました。お気をつけていってらっしゃいませ」
「ああ。そっちは頼んだぞ」
「お任せください」
サリクスを見送った俺はクローゼットを開け、最奥に隠している服を引っ張り出した。これは迷彩と認識阻害が施された服でシュヴァリエはこれを着て町を歩いていた。特に良からぬことを考えている時は必ずと言っていいほどに。……どこで手に入れるんだこんなもの。シュヴァリエの消息不明の理由ってこれだったりして。
なんて余計なことを考えながら着替えを済ませ、窓から飛び降りた俺は裏庭の隅の一角へ向かった。
その一角は無駄に広い屋敷からも当然庭からも死角にあり、ここだけは植物が育たないという謎のポイントだ。そんな奇妙なこの場所、実は隠し通路の入り口でもある。しかも公爵すら把握していない超・秘密の通路なのだ。……よく見つけたものだよね。こんなもの公爵家所有の図書館にも記載なかった……隠し通路の場所は普通書かないか。
それにしても、屋敷の隠し通路なんだから公爵は把握していそうなものだけど、なんで知らないんだろう?
……まあいいか。不気味がって誰も近づかないし俺専用ってことで。
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