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第五章 ~秘宝の眠る島(トレジャーアイランド)編~
72 罠
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~グニ―島(ローラ&リエンナ)~
「あ~、いい天気!」
「潮の香りがここまでしますね」
ホウキで飛び立ったローラとリエンナは、気持ちよさそうに空を旅していた。
と言っても、そこまで離れた距離ではなかったので直ぐに目的の岩山へと着いた。
傾斜が鋭く、特に何かある様には見えなかった為、取り敢えず二人は岩山の一番下に降り立った。
「宝ってどこにあるのかしら?」
「この岩山も、特に変わった所は見られませんね」
ローラとリエンナは辺りを少し探索すると、何やら洞窟みたいなものを見つけた。
どこまで続いているか分からないがかなり深そう。真っ暗で洞窟の奥が見えなかった。
「何か出そうな感じ……」
「ひょっとして、この岩山の中に繋がっているのでしょうか?」
「あり得るわね。他に目立った所も無かったし。嫌だけど確かめるしかないわね」
ローラはそう言うと、魔力を練り上げ召喚魔法を使った。
両手を地面に合わせ、浮き出した光り輝く魔法陣の中から二体のモンスターが現れた。
「ヘイヘイヘーイ!」
「呼んだ?」
魔法陣から現れたのはローラの召喚獣、猪の“イノシ―”と狸の“タヌキチ”。
「久しぶりね!イノシ―、タヌキチ!」
イノシ―とタヌキチは二体ともローラの膝程の背丈。
イノシ―は元気で勢いがある性格で、タヌキチはおっとりでマイペースな性格だ。
「何の用だよローラ!」
「相変わらず元気ねイノシ―。あのね、今からこの洞窟を調べたいのよ」
「洞窟?何だこれ!真っ暗だな!」
「何処まで続いてるんだろう?」
「それを今から確認したいから手伝ってくれる?」
「よしきた!オイラが明るくしやるぞ!」
そう言ったイノシ―が勢いよく鼻から火を出した。出された火はユラユラとローラの頭上まで昇ると、ライト代わりに辺りを眩く照らした。
「ありがとイノシ―!これで進めるわね。行きましょ」
ローラとリエンナ、そしてイノシ―とタヌキチを加えた一行は、洞窟の中へと入って行った。
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
~グニ―島(レイ&ランベル)~
二人は何故か全力で走っていた―。
「何時まで“続く”んだよコレ!」
「――!気を付けろレイ!」
「……⁉⁉」
――ダダダダダダダダダッ!!!
先が鋭く尖った木の槍が、数十本以上どこからともなくレイ達目掛け飛んできた。
「うお!危ねぇ!」
「よそ見するな!走れ!」
生い茂る草木で視界も足場も悪い。
思う様に走れない二人だが、それでも必死に前へと突っ走っていく。
「また何か来るぞ!」
「――!!」
走るレイとランベル目掛け、今度は蔓に巻かれた大木が、振り子の様に襲い掛かって来た。
「い‟ッ⁉⁉」
「デカっ……!」
――ズザザザザザザザザッ!!!
草木を吹っ飛ばしながら凄まじい勢いで飛んできた大木を、二人は紙一重で避ける―。
「ハァ……ハァ……何なんだよ次から次に……」
「どう見ても“罠”だろ……。手の込んだ仕掛けだぜそれにしても」
「罠か……また一つ冒険感が出たな」
「確かにそうだけど、こんな動きにくい場所じゃ危ないぞ本当に」
「でも罠なんか仕掛けてあるって事は……」
「ああ。あるぜきっと……」
「「お宝が!!」」
ローラ達と別れて直ぐに、レイとランベルの二人はこのジャングルに仕掛けられた数々の罠の洗礼を受けていた。
巧妙に仕掛けられた罠。最初こそ慎重に進んでいたレイとランベルであったが、埒が明かない為、一か八かの全力疾走と言う勝負に出たのだった。
そしてそれが功を奏したのか、数分間休むことなく全力で走った事によりジャングルを抜け、岩山の一番下に辿り着いた。
「ハァ……ハァ……抜けたか?」
「ああ。ハァ……ハァ……多分な」
ゼーゼーと肩で息をしているレイとランベル。
ジャングルを抜けた二人の目の前には、高く聳える岩山が立ちはだかっていた。レイは辺りを見渡したが、二人の姿が確認出来ない。
「ローラとリエンナがいないな」
「まさかこの岩山の上か?」
「俺達も行くか。先にお宝見つけないと!捕まれランベル」
「落ちるなよ」
レイは魔力を練り上げると翼を出した。
まだまだドーラン程ではないが、レイはこの数か月で最低限の飛行が出来る様になった。
出せる翼は小さく速さもあまりない。だが岩山の高さは約五十メートル前後。このぐらいならば問題なく飛べる距離だった。
<失敗したら終わりだな>
「急に出てきて不吉な事言うなよ!」
「ドーランに任せた方が安心だぞ絶対」
「信用しろ俺を!」
レイは自らの魔力コントロールで翼を生やすと、そのままランベルを掴み一気に岩山の頂点目指し上昇した。
「うおぉーーっ!!絶対離すなよ!!」
絶叫するランベルを気にすることなく、ものの数秒で岩山の上に着いた。
「あ~、いい天気!」
「潮の香りがここまでしますね」
ホウキで飛び立ったローラとリエンナは、気持ちよさそうに空を旅していた。
と言っても、そこまで離れた距離ではなかったので直ぐに目的の岩山へと着いた。
傾斜が鋭く、特に何かある様には見えなかった為、取り敢えず二人は岩山の一番下に降り立った。
「宝ってどこにあるのかしら?」
「この岩山も、特に変わった所は見られませんね」
ローラとリエンナは辺りを少し探索すると、何やら洞窟みたいなものを見つけた。
どこまで続いているか分からないがかなり深そう。真っ暗で洞窟の奥が見えなかった。
「何か出そうな感じ……」
「ひょっとして、この岩山の中に繋がっているのでしょうか?」
「あり得るわね。他に目立った所も無かったし。嫌だけど確かめるしかないわね」
ローラはそう言うと、魔力を練り上げ召喚魔法を使った。
両手を地面に合わせ、浮き出した光り輝く魔法陣の中から二体のモンスターが現れた。
「ヘイヘイヘーイ!」
「呼んだ?」
魔法陣から現れたのはローラの召喚獣、猪の“イノシ―”と狸の“タヌキチ”。
「久しぶりね!イノシ―、タヌキチ!」
イノシ―とタヌキチは二体ともローラの膝程の背丈。
イノシ―は元気で勢いがある性格で、タヌキチはおっとりでマイペースな性格だ。
「何の用だよローラ!」
「相変わらず元気ねイノシ―。あのね、今からこの洞窟を調べたいのよ」
「洞窟?何だこれ!真っ暗だな!」
「何処まで続いてるんだろう?」
「それを今から確認したいから手伝ってくれる?」
「よしきた!オイラが明るくしやるぞ!」
そう言ったイノシ―が勢いよく鼻から火を出した。出された火はユラユラとローラの頭上まで昇ると、ライト代わりに辺りを眩く照らした。
「ありがとイノシ―!これで進めるわね。行きましょ」
ローラとリエンナ、そしてイノシ―とタヌキチを加えた一行は、洞窟の中へと入って行った。
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~グニ―島(レイ&ランベル)~
二人は何故か全力で走っていた―。
「何時まで“続く”んだよコレ!」
「――!気を付けろレイ!」
「……⁉⁉」
――ダダダダダダダダダッ!!!
先が鋭く尖った木の槍が、数十本以上どこからともなくレイ達目掛け飛んできた。
「うお!危ねぇ!」
「よそ見するな!走れ!」
生い茂る草木で視界も足場も悪い。
思う様に走れない二人だが、それでも必死に前へと突っ走っていく。
「また何か来るぞ!」
「――!!」
走るレイとランベル目掛け、今度は蔓に巻かれた大木が、振り子の様に襲い掛かって来た。
「い‟ッ⁉⁉」
「デカっ……!」
――ズザザザザザザザザッ!!!
草木を吹っ飛ばしながら凄まじい勢いで飛んできた大木を、二人は紙一重で避ける―。
「ハァ……ハァ……何なんだよ次から次に……」
「どう見ても“罠”だろ……。手の込んだ仕掛けだぜそれにしても」
「罠か……また一つ冒険感が出たな」
「確かにそうだけど、こんな動きにくい場所じゃ危ないぞ本当に」
「でも罠なんか仕掛けてあるって事は……」
「ああ。あるぜきっと……」
「「お宝が!!」」
ローラ達と別れて直ぐに、レイとランベルの二人はこのジャングルに仕掛けられた数々の罠の洗礼を受けていた。
巧妙に仕掛けられた罠。最初こそ慎重に進んでいたレイとランベルであったが、埒が明かない為、一か八かの全力疾走と言う勝負に出たのだった。
そしてそれが功を奏したのか、数分間休むことなく全力で走った事によりジャングルを抜け、岩山の一番下に辿り着いた。
「ハァ……ハァ……抜けたか?」
「ああ。ハァ……ハァ……多分な」
ゼーゼーと肩で息をしているレイとランベル。
ジャングルを抜けた二人の目の前には、高く聳える岩山が立ちはだかっていた。レイは辺りを見渡したが、二人の姿が確認出来ない。
「ローラとリエンナがいないな」
「まさかこの岩山の上か?」
「俺達も行くか。先にお宝見つけないと!捕まれランベル」
「落ちるなよ」
レイは魔力を練り上げると翼を出した。
まだまだドーラン程ではないが、レイはこの数か月で最低限の飛行が出来る様になった。
出せる翼は小さく速さもあまりない。だが岩山の高さは約五十メートル前後。このぐらいならば問題なく飛べる距離だった。
<失敗したら終わりだな>
「急に出てきて不吉な事言うなよ!」
「ドーランに任せた方が安心だぞ絶対」
「信用しろ俺を!」
レイは自らの魔力コントロールで翼を生やすと、そのままランベルを掴み一気に岩山の頂点目指し上昇した。
「うおぉーーっ!!絶対離すなよ!!」
絶叫するランベルを気にすることなく、ものの数秒で岩山の上に着いた。
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