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第五章 ~秘宝の眠る島(トレジャーアイランド)編~
70 男のロマン
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~火の王国・冒険者ギルド~
「―今日はどんなクエストがあるかな~」
ゴーストハウスのクエストが終わって早一週間。
世にも珍しい体験をしたレイ達だが、あれから特に変化もなく今日もまた冒険者ギルドへと足を運んでいた。
「この前話した通り、“Bランク”のクエストとかダンジョン受けてみない?」
そう。
レイ達は先日、Aランクに指定されていたゴーストハウスのクエストを無事クリアした為その実績が反映され、ローラとランベルのハンターランクが一つ上がったのだ。
現在の一行のランクはレイとリエンナがDランク。
ランベルがCランク。そしてローラがBランクとなった。
「そっか!ローラ達のランクが上がったから上のクエストが受けられるのか」
「って言っても、まだBランクでも下の方のクエストしか受けられないけどね。私達の条件に合いそうなの探しましょ」
ランクが上がれば受けられるクエストの数も当然増える。
数多あるクエストの中からいつもの様に探していると、突然ランベルがあるクエストの内容を見てハッと目を見開き止まった。
一瞬のフリーズの後、すぐさまランベルはレイにそのクエストを見せに行く。
「……レ、レイ……」
「ん?」
ランベルの声と手が微かに震えていた。
手に持っていたクエストの内容が記された紙を、ブルブルと震えながらレイに渡した。
ランベルのその様子は只事ではなさそう―。
「こ、これを……このクエストを見てくれ……」
「どうした?クエストに何かあったのッ――⁉ これは……!!」
ランベルから受け取ったクエストを見て、レイは全身に衝撃が走った。
二人は小刻みに震えながら静かに目を合わせていた。
その一方、ローラとリエンナも普段通りにクエストを探している。
「これとかどうでしょう?」
「へぇ~、結構良さそうね!これとかもどう?」
「いいですね。まだ行った事がない地域なので気になります」
「変なクエスト引き当てない様にしなくちゃ……」
「フフフ。それもまた刺激的で良いんじゃないですか?」
「あなた結構物好きね」
「確かに危ない事も何度かありましたけど、私は皆さんと過ごせる毎日がとても楽しいです」
「リエンナ……。そうね。確かに退屈はしないわね!まぁもう少し落ち着いて出来ればもっと良いとッ―「なぁこれ見ろよ!!」
ローラがそう言いかけた瞬間、レイとランベルが勢いよく割って入って来た。
「もう!ホントに騒がしい!一体何?」
不機嫌そうに言うローラを微塵も気にすることなく、レイとランベルは何やら目を輝かせながら、手に持っているクエストをローラとリエンナに見せるのだった。
そこにはこう記されていた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【Bランククエスト】
パーティ人数:二人~四人
依頼内容:宝探し
場所:ソウル海域・グニー島
生息モンスターランク:中級
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「「宝探し……?」」
クエストを見たローラとリエンナは同時に呟いた。
「今回はこのクエストにしよう!」
「ああ!これで決定だ!」
レイとランベルは異様な盛り上がりを見せている。
クエストの内容もいまいち詳細が分からないが、それよりも、レイとランベルが何故こんなに“テンションが高い”のかが不思議でしょうがないローラとリエンナ。
「このクエスト自体は別にいいけど、何?そのテンション」
「いやいや、逆に何だよそのテンション!ちゃんと見たか?」
「待てレイ!これはローラ如きじゃ理解出来ん」
「何よその言い方!このクエストが何だって言うのよ!」
ローラの問いに、レイとランベルはドヤ顔で答えた。
「「冒険は男のロマンだろ!!」」
「「…………え??」」
理解出来ずに佇むローラとリエンナ。
「だってこれ見ろよ!“宝探し”だぜ?」
「場所も海のどっかにある島だ!って事は船で“冒険”するって事だろ!」
「あるんだよ絶対!宝の地図とそれに記されたお宝が!」
「男なら行くしかないだろ!な!」
「「冒険!冒険!お宝!お宝!」」
コレが男の子と女の子の差だろうか―。
男の子二人は肩を組みながら熱弁し愉快に乗っているが、残された女の子二人はビックリするぐらい響いていなかった。
あまりの興奮ぶりにもう面倒くさくなったローラは、そのまま顔色一つ変えず、無言でクエストの手続きをした。
「「冒険!冒険!お宝!お宝!」
レイとランベルが、静かに去ったローラとリエンナに気付いたのはそれから三十分後だった―。
「「冒険!冒険!お宝!お宝!」
「―今日はどんなクエストがあるかな~」
ゴーストハウスのクエストが終わって早一週間。
世にも珍しい体験をしたレイ達だが、あれから特に変化もなく今日もまた冒険者ギルドへと足を運んでいた。
「この前話した通り、“Bランク”のクエストとかダンジョン受けてみない?」
そう。
レイ達は先日、Aランクに指定されていたゴーストハウスのクエストを無事クリアした為その実績が反映され、ローラとランベルのハンターランクが一つ上がったのだ。
現在の一行のランクはレイとリエンナがDランク。
ランベルがCランク。そしてローラがBランクとなった。
「そっか!ローラ達のランクが上がったから上のクエストが受けられるのか」
「って言っても、まだBランクでも下の方のクエストしか受けられないけどね。私達の条件に合いそうなの探しましょ」
ランクが上がれば受けられるクエストの数も当然増える。
数多あるクエストの中からいつもの様に探していると、突然ランベルがあるクエストの内容を見てハッと目を見開き止まった。
一瞬のフリーズの後、すぐさまランベルはレイにそのクエストを見せに行く。
「……レ、レイ……」
「ん?」
ランベルの声と手が微かに震えていた。
手に持っていたクエストの内容が記された紙を、ブルブルと震えながらレイに渡した。
ランベルのその様子は只事ではなさそう―。
「こ、これを……このクエストを見てくれ……」
「どうした?クエストに何かあったのッ――⁉ これは……!!」
ランベルから受け取ったクエストを見て、レイは全身に衝撃が走った。
二人は小刻みに震えながら静かに目を合わせていた。
その一方、ローラとリエンナも普段通りにクエストを探している。
「これとかどうでしょう?」
「へぇ~、結構良さそうね!これとかもどう?」
「いいですね。まだ行った事がない地域なので気になります」
「変なクエスト引き当てない様にしなくちゃ……」
「フフフ。それもまた刺激的で良いんじゃないですか?」
「あなた結構物好きね」
「確かに危ない事も何度かありましたけど、私は皆さんと過ごせる毎日がとても楽しいです」
「リエンナ……。そうね。確かに退屈はしないわね!まぁもう少し落ち着いて出来ればもっと良いとッ―「なぁこれ見ろよ!!」
ローラがそう言いかけた瞬間、レイとランベルが勢いよく割って入って来た。
「もう!ホントに騒がしい!一体何?」
不機嫌そうに言うローラを微塵も気にすることなく、レイとランベルは何やら目を輝かせながら、手に持っているクエストをローラとリエンナに見せるのだった。
そこにはこう記されていた。
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【Bランククエスト】
パーティ人数:二人~四人
依頼内容:宝探し
場所:ソウル海域・グニー島
生息モンスターランク:中級
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「「宝探し……?」」
クエストを見たローラとリエンナは同時に呟いた。
「今回はこのクエストにしよう!」
「ああ!これで決定だ!」
レイとランベルは異様な盛り上がりを見せている。
クエストの内容もいまいち詳細が分からないが、それよりも、レイとランベルが何故こんなに“テンションが高い”のかが不思議でしょうがないローラとリエンナ。
「このクエスト自体は別にいいけど、何?そのテンション」
「いやいや、逆に何だよそのテンション!ちゃんと見たか?」
「待てレイ!これはローラ如きじゃ理解出来ん」
「何よその言い方!このクエストが何だって言うのよ!」
ローラの問いに、レイとランベルはドヤ顔で答えた。
「「冒険は男のロマンだろ!!」」
「「…………え??」」
理解出来ずに佇むローラとリエンナ。
「だってこれ見ろよ!“宝探し”だぜ?」
「場所も海のどっかにある島だ!って事は船で“冒険”するって事だろ!」
「あるんだよ絶対!宝の地図とそれに記されたお宝が!」
「男なら行くしかないだろ!な!」
「「冒険!冒険!お宝!お宝!」」
コレが男の子と女の子の差だろうか―。
男の子二人は肩を組みながら熱弁し愉快に乗っているが、残された女の子二人はビックリするぐらい響いていなかった。
あまりの興奮ぶりにもう面倒くさくなったローラは、そのまま顔色一つ変えず、無言でクエストの手続きをした。
「「冒険!冒険!お宝!お宝!」
レイとランベルが、静かに去ったローラとリエンナに気付いたのはそれから三十分後だった―。
「「冒険!冒険!お宝!お宝!」
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