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第四章 ~幽霊屋敷(ゴーストハウス)編~
62 家族の写真
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~ゴーストハウス・一階~
「――取り敢えず何か手掛かりになりそうなのを探すか。そういえばさ……“ルーク”、“ネル”!お前らランベルとリエンナ見なかったか?」
「レイのお友達?僕達は見てないよ」
「この屋敷でいなくなったって事は“皆と同じ”だよ」
レイが呼んだ名前は子供達の名。
男の子がルークで女の子がネルという名前らしい。
聞いたところによると、歳は二人共七歳。ルークとネルは双子との事。
家族はパパ、ママ、一番上のお兄ちゃんと、その下にお姉ちゃんが二人。ルークとネルを合わせて五人兄妹……全部で七人家族だと言う。
この屋敷にずっと住んでいたらしいが、気が付いたらルークとネルの二人だけになっており、他の家族はいなくなってしまって行方も分からない。
こうなる前の記憶も曖昧で、“その日”は確かに家族全員がこの屋敷にいたそうだ。
唯一分かる事としては、ルークとネルも自覚しているが、自分達の姿が普通の人達には視えない事。
これまでに何度もこの屋敷に足を踏み入れた人達がいたらしいが、ルークとネルが皆の前に行ったり、大声を出しても誰にも気づかれなかったらしい。
自分達の姿が見えて会話をしたのはレイ達が初めてだと。
それと、ルークとネルには記憶を失う前の最後の記憶が共通して一つのあるらしく、その記憶によると今の様な状態になる前に不気味な“黒い影”の様なものを見た気がすると言っていた。
話を聞けば聞く程摩訶不思議な現状に、レイとローラもどうしていいか悩んだ末、当初の目的通り取り敢えずこの屋敷を調べる事にしたのだった。
「僕達が案内してあげるよ」とルークとネルが屋敷の中を順番に案内してくれた。
「……ねぇレイ……ひょっとしてあの子達……」
「ああ。信じ難いけど、俺もまさかと思ってるよ……」
ローラとレイは、ルーク達に聞こえない様に小声で話している。
ルーク達の話を聞いたレイとローラには、まさかと思う一つの答えが浮かんでいた。
それは……
ルークとネルが、本物の霊やお化けと言われる類の存在であるという事―。
俄かにはとても信じがたい話だが、実際に自分達が目で見て会話までしている以上、最早気のせいなんていうレベルではない事は分かっている。
受け入れるのに時間が掛かるかもしれないが、起きてる事は間違いなく現実だ―。
しかし仮にこれが現実で、ルークとネルの存在も理解出来るとしても、他にも多々疑問があった。
恐らく、ルークとネルが言った、この屋敷に足を踏み入れた人達は、調査や依頼で来たハンターや騎士団員達であろう。
そして普通の人ではルーク達の存在には気付かない。だが何故かレイ達にはルークとネルの姿が視えた―。
それに加え、“何度もこの屋敷に足を踏み入れた人達がいた”との発言から、少なくともルーク達は今の姿になってから最低でも二年は経っている事になる。
レイ達が今回のクエストを受注した時に、このゴーストハウスの最終調査は“二年前”と依頼に記されていたからだ。
何故ルーク達が視えるのか?
何故今の様な状態になってしまったのか?
いなくなった他の家族達はどうしたのか?
ランベルとリエンナは無事なのか?
記憶にある黒い影とは何なのか?
それがこうなった原因と関係があるのか?
レイとローラは今自分達に起こっている余りに不思議で不可解な珍現象に、頭の中が?マークで溢れ返っていた。
目の前に確かに存在するお化けと言っても過言ではない存在。
本来なら、お化けが苦手なローラにとっては気絶しても可笑しくない状況にも関わらず、非現実的過ぎるこの状況が良くも悪くもローラの恐怖心を麻痺させていた。
「……ダメだ。とても少し考えただけじゃ答えが出ない」
「そうね……でも取り敢えずあの子達も放っておけないし、ランベルとリエンナも探さなくちゃ。考えるのは後にしましょう」
ルークとネルに案内されながらレイ達は屋敷を調べた。
ある部屋で、レイが何かを見つけたのかそれを手に持ち眺めていた。
「写真だ……」
埃まみれの写真。
写真立てに入れられてあったその写真は、とても古そうでガラスの部分は全て割れていた。少し汚れていたものの、暖かい家族を感じられる一枚だった。
そこに写る人物を見て、レイは少しだけ驚いた。
「ルーク、ネル……。コレがお前達の家族か」
そこには七人の家族の姿が―。
他の人達は分からないが、その写真には“今と変わらない”ルークとネルの姿も写っている。
ローラもその写真を見て驚いた。
「これって……」
「そう。これが僕の家族だよ。パパ、ママ、お兄ちゃんとお姉ちゃん達」
「皆どこに行っちゃったの?私早く会いたいなぁ」
レイは何気なく写真の裏を見た。
すると、そこには写真を撮った日であろうか……“日付”が書かれていた。
それを見て再び驚くレイとローラ。
「噓……ちょっと待って……」
~ゴーストハウス・一階~
「――取り敢えず何か手掛かりになりそうなのを探すか。そういえばさ……“ルーク”、“ネル”!お前らランベルとリエンナ見なかったか?」
「レイのお友達?僕達は見てないよ」
「この屋敷でいなくなったって事は“皆と同じ”だよ」
レイが呼んだ名前は子供達の名。
男の子がルークで女の子がネルという名前らしい。
聞いたところによると、歳は二人共七歳。ルークとネルは双子との事。
家族はパパ、ママ、一番上のお兄ちゃんと、その下にお姉ちゃんが二人。ルークとネルを合わせて五人兄妹……全部で七人家族だと言う。
この屋敷にずっと住んでいたらしいが、気が付いたらルークとネルの二人だけになっており、他の家族はいなくなってしまって行方も分からない。
こうなる前の記憶も曖昧で、“その日”は確かに家族全員がこの屋敷にいたそうだ。
唯一分かる事としては、ルークとネルも自覚しているが、自分達の姿が普通の人達には視えない事。
これまでに何度もこの屋敷に足を踏み入れた人達がいたらしいが、ルークとネルが皆の前に行ったり、大声を出しても誰にも気づかれなかったらしい。
自分達の姿が見えて会話をしたのはレイ達が初めてだと。
それと、ルークとネルには記憶を失う前の最後の記憶が共通して一つのあるらしく、その記憶によると今の様な状態になる前に不気味な“黒い影”の様なものを見た気がすると言っていた。
話を聞けば聞く程摩訶不思議な現状に、レイとローラもどうしていいか悩んだ末、当初の目的通り取り敢えずこの屋敷を調べる事にしたのだった。
「僕達が案内してあげるよ」とルークとネルが屋敷の中を順番に案内してくれた。
「……ねぇレイ……ひょっとしてあの子達……」
「ああ。信じ難いけど、俺もまさかと思ってるよ……」
ローラとレイは、ルーク達に聞こえない様に小声で話している。
ルーク達の話を聞いたレイとローラには、まさかと思う一つの答えが浮かんでいた。
それは……
ルークとネルが、本物の霊やお化けと言われる類の存在であるという事―。
俄かにはとても信じがたい話だが、実際に自分達が目で見て会話までしている以上、最早気のせいなんていうレベルではない事は分かっている。
受け入れるのに時間が掛かるかもしれないが、起きてる事は間違いなく現実だ―。
しかし仮にこれが現実で、ルークとネルの存在も理解出来るとしても、他にも多々疑問があった。
恐らく、ルークとネルが言った、この屋敷に足を踏み入れた人達は、調査や依頼で来たハンターや騎士団員達であろう。
そして普通の人ではルーク達の存在には気付かない。だが何故かレイ達にはルークとネルの姿が視えた―。
それに加え、“何度もこの屋敷に足を踏み入れた人達がいた”との発言から、少なくともルーク達は今の姿になってから最低でも二年は経っている事になる。
レイ達が今回のクエストを受注した時に、このゴーストハウスの最終調査は“二年前”と依頼に記されていたからだ。
何故ルーク達が視えるのか?
何故今の様な状態になってしまったのか?
いなくなった他の家族達はどうしたのか?
ランベルとリエンナは無事なのか?
記憶にある黒い影とは何なのか?
それがこうなった原因と関係があるのか?
レイとローラは今自分達に起こっている余りに不思議で不可解な珍現象に、頭の中が?マークで溢れ返っていた。
目の前に確かに存在するお化けと言っても過言ではない存在。
本来なら、お化けが苦手なローラにとっては気絶しても可笑しくない状況にも関わらず、非現実的過ぎるこの状況が良くも悪くもローラの恐怖心を麻痺させていた。
「……ダメだ。とても少し考えただけじゃ答えが出ない」
「そうね……でも取り敢えずあの子達も放っておけないし、ランベルとリエンナも探さなくちゃ。考えるのは後にしましょう」
ルークとネルに案内されながらレイ達は屋敷を調べた。
ある部屋で、レイが何かを見つけたのかそれを手に持ち眺めていた。
「写真だ……」
埃まみれの写真。
写真立てに入れられてあったその写真は、とても古そうでガラスの部分は全て割れていた。少し汚れていたものの、暖かい家族を感じられる一枚だった。
そこに写る人物を見て、レイは少しだけ驚いた。
「ルーク、ネル……。コレがお前達の家族か」
そこには七人の家族の姿が―。
他の人達は分からないが、その写真には“今と変わらない”ルークとネルの姿も写っている。
ローラもその写真を見て驚いた。
「これって……」
「そう。これが僕の家族だよ。パパ、ママ、お兄ちゃんとお姉ちゃん達」
「皆どこに行っちゃったの?私早く会いたいなぁ」
レイは何気なく写真の裏を見た。
すると、そこには写真を撮った日であろうか……“日付”が書かれていた。
それを見て再び驚くレイとローラ。
「噓……ちょっと待って……」
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