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第三章 ~パーティ結成編~
52 グリゴレ山脈
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□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
~火の王国・グリゴレ山脈麓の村~
グリゴレ山脈―。
火の王国の西側に位置する山脈。
グリゴレ山脈とその周辺一部は、特殊気候により常時気温が低く、よく雪が降る事もある為グリゴレ山脈は常に雪を被った雪の山としても知られている。
そのグリゴレ山脈の気候や特徴から、ここに生息するモンスターは毛量の多い獣系のモンスターが多く存在している。
中でも、“雪人獣”と“雪崩狐”というこの山脈で中級クラスに指定されているモンスターがいる。
村に着いたレイ達は依頼主の元に話を聞きに行った。
依頼主は行方不明になった男性の奥さん。
家には奥さんと二人の子供と祖父母がいた。子供の歳は六~十歳くらいのお兄ちゃんと妹だ。
奥さんによると、旦那さんが三日前にグリゴレ山脈へ魔草を採取に行ったっきり帰ってこないと言う。
しょっちゅう雪が降るこの地域だが、旦那さんが出掛けた日の午後に珍しく激しい吹雪があったらしい。
慣れているグリゴレ山脈で道に迷う事は無いと言い切る奥さん達。
きっとその吹雪のせいで何処かで遭難してしまったのではないかと、村の人達総出で探したが見つからなかったそうだ。
話を聞いたレイ達は直ぐに探しに行こうと依頼主の家を出て、すぐ目の前に聳えるグリゴレ山脈へと入って行った―。
~グリゴレ山脈~
「……すっげー雪!すっげー積もってるしすっげー寒い!」
いつも通り、語彙力はないが興奮している事だけは一目瞭然のレイ。
初めて見る雪山にテンションがいつになく高い。
「俺もグリゴレ山脈は初めてだな。聞いていた以上の寒さ」
「私達も慣れていないから気を付けて進まないといけませんね」
「依頼人の話だとよく雪が降ってるみたいだけど、今はちょうど降ってなくてラッキーだな」
「今の内にどんどん行きましょう。これなら視界も良くて探しやすい。ただでさえ雪山なんて慣れていないから降られたら大変よ」
体の芯まで冷える寒さに、雪が積もる足元。
普通に歩くのでさえいちいち足が雪に取られてしまう。
「……なぁ。……飛んだ方が早くねぇか?」
大興奮して一番周りが見えていないと思っていたレイの、まさかの確信を付く一言に場が凍った―。
数秒沈黙が続いた後、ローラは無言でホウキを出す。
「――さてと。それじゃあ本格的に探しましょうか!」
「おい!俺の案が良いと思ったなら素直に賛同すればいいじゃないか!」
なんとなく認めたくなかった三人はレイの言葉を聞き流し、早速依頼人の旦那さんを探し始めるのだった。
「――じゃあ見つかったらすぐにコレで連絡してね!いくよリエンナ」
「はい!」
レイ達は扱い慣れた無線機をそれぞれ耳に付けると、ローラとリエンナはホウキに乗り飛び上がっていった。
「よし!俺達も行くかランベル!頼むぞドーラン」
<またか……>
文句を言いつつもドーランはいつも通りレイの背中に翼を生やした。
「ちょい待て」
飛ぼうとするレイをランベルが止めた。
「どうした?」
「この流れだとどうやら俺はお前と探すみたいだな」
「……それがどうしたんだ?」
「いいかレイ……。お前はローラみたいなホウキじゃないから、一緒に飛ぶ“お前以外”が非常に危険だと分かっているのか?」
そう―。
ランベルは先日の事がトラウマになっていた―。
レイの出したドラゴンの腕に鷲掴みされ、まるで鳥に捕獲された獲物の様な気持ちを味わっていたランベル。
先日の恐ろしい記憶が一気にフラッシュバックしたのだ。
「大袈裟だな……」
「大袈裟じゃねぇ!もしまたあんな運び方するなら俺は飛ばんッ!!」
<ならばその時の大団長とやらと同じように、我の腕に捕まって乗ればよいであろう>
「それも断るッ!!」
「なんでだよ!」
「ぶっちゃけ危ない。アレはマジで。まずドーランの腕太すぎて上手く掴めない絶対。大団長は俺より全然デカいし何より大団長だから出来たと思うぞアレは」
「じゃあどうすりゃいいんだよ」
「もっと快適且つ安全に頼む!」
ランベルの必死の訴えに、レイとドーランは溜息を付きながらとりあえず承諾した。
<面倒くさい奴だ全く>
「俺のせいかよ!元はと言えばドーランのせいだな!」
<何故我のせいになるのだ>
「そりゃそうだろ!だって“我は黒龍”……みたいな最強感出してるけどよ、空飛ばせるのレイだけじゃん。どうせならその魔力で皆が乗れるぐらいの移動用のドラゴン丸々一頭出すとかしてくれれば全て解決なんだよなぁ~。
案外セコい力なんだな、黒龍の魔力って」
――ブチンッッ……!!
この時ドーランの中で何かが音を立ててキレた―。
<――この戯けがッ!!!たかが人間の小僧が何をほざいているッ!!
この程度しか出来ぬのはレイの実力不足!!我が黒龍の力はこんなものではないッ!!舐めるな!!
これが本来の魔力の使い方だ!!良く見ておれ!!>
プライドを傷つけられたドーランの底力が披露された―。
~火の王国・グリゴレ山脈麓の村~
グリゴレ山脈―。
火の王国の西側に位置する山脈。
グリゴレ山脈とその周辺一部は、特殊気候により常時気温が低く、よく雪が降る事もある為グリゴレ山脈は常に雪を被った雪の山としても知られている。
そのグリゴレ山脈の気候や特徴から、ここに生息するモンスターは毛量の多い獣系のモンスターが多く存在している。
中でも、“雪人獣”と“雪崩狐”というこの山脈で中級クラスに指定されているモンスターがいる。
村に着いたレイ達は依頼主の元に話を聞きに行った。
依頼主は行方不明になった男性の奥さん。
家には奥さんと二人の子供と祖父母がいた。子供の歳は六~十歳くらいのお兄ちゃんと妹だ。
奥さんによると、旦那さんが三日前にグリゴレ山脈へ魔草を採取に行ったっきり帰ってこないと言う。
しょっちゅう雪が降るこの地域だが、旦那さんが出掛けた日の午後に珍しく激しい吹雪があったらしい。
慣れているグリゴレ山脈で道に迷う事は無いと言い切る奥さん達。
きっとその吹雪のせいで何処かで遭難してしまったのではないかと、村の人達総出で探したが見つからなかったそうだ。
話を聞いたレイ達は直ぐに探しに行こうと依頼主の家を出て、すぐ目の前に聳えるグリゴレ山脈へと入って行った―。
~グリゴレ山脈~
「……すっげー雪!すっげー積もってるしすっげー寒い!」
いつも通り、語彙力はないが興奮している事だけは一目瞭然のレイ。
初めて見る雪山にテンションがいつになく高い。
「俺もグリゴレ山脈は初めてだな。聞いていた以上の寒さ」
「私達も慣れていないから気を付けて進まないといけませんね」
「依頼人の話だとよく雪が降ってるみたいだけど、今はちょうど降ってなくてラッキーだな」
「今の内にどんどん行きましょう。これなら視界も良くて探しやすい。ただでさえ雪山なんて慣れていないから降られたら大変よ」
体の芯まで冷える寒さに、雪が積もる足元。
普通に歩くのでさえいちいち足が雪に取られてしまう。
「……なぁ。……飛んだ方が早くねぇか?」
大興奮して一番周りが見えていないと思っていたレイの、まさかの確信を付く一言に場が凍った―。
数秒沈黙が続いた後、ローラは無言でホウキを出す。
「――さてと。それじゃあ本格的に探しましょうか!」
「おい!俺の案が良いと思ったなら素直に賛同すればいいじゃないか!」
なんとなく認めたくなかった三人はレイの言葉を聞き流し、早速依頼人の旦那さんを探し始めるのだった。
「――じゃあ見つかったらすぐにコレで連絡してね!いくよリエンナ」
「はい!」
レイ達は扱い慣れた無線機をそれぞれ耳に付けると、ローラとリエンナはホウキに乗り飛び上がっていった。
「よし!俺達も行くかランベル!頼むぞドーラン」
<またか……>
文句を言いつつもドーランはいつも通りレイの背中に翼を生やした。
「ちょい待て」
飛ぼうとするレイをランベルが止めた。
「どうした?」
「この流れだとどうやら俺はお前と探すみたいだな」
「……それがどうしたんだ?」
「いいかレイ……。お前はローラみたいなホウキじゃないから、一緒に飛ぶ“お前以外”が非常に危険だと分かっているのか?」
そう―。
ランベルは先日の事がトラウマになっていた―。
レイの出したドラゴンの腕に鷲掴みされ、まるで鳥に捕獲された獲物の様な気持ちを味わっていたランベル。
先日の恐ろしい記憶が一気にフラッシュバックしたのだ。
「大袈裟だな……」
「大袈裟じゃねぇ!もしまたあんな運び方するなら俺は飛ばんッ!!」
<ならばその時の大団長とやらと同じように、我の腕に捕まって乗ればよいであろう>
「それも断るッ!!」
「なんでだよ!」
「ぶっちゃけ危ない。アレはマジで。まずドーランの腕太すぎて上手く掴めない絶対。大団長は俺より全然デカいし何より大団長だから出来たと思うぞアレは」
「じゃあどうすりゃいいんだよ」
「もっと快適且つ安全に頼む!」
ランベルの必死の訴えに、レイとドーランは溜息を付きながらとりあえず承諾した。
<面倒くさい奴だ全く>
「俺のせいかよ!元はと言えばドーランのせいだな!」
<何故我のせいになるのだ>
「そりゃそうだろ!だって“我は黒龍”……みたいな最強感出してるけどよ、空飛ばせるのレイだけじゃん。どうせならその魔力で皆が乗れるぐらいの移動用のドラゴン丸々一頭出すとかしてくれれば全て解決なんだよなぁ~。
案外セコい力なんだな、黒龍の魔力って」
――ブチンッッ……!!
この時ドーランの中で何かが音を立ててキレた―。
<――この戯けがッ!!!たかが人間の小僧が何をほざいているッ!!
この程度しか出来ぬのはレイの実力不足!!我が黒龍の力はこんなものではないッ!!舐めるな!!
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