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第二章 ~仲間~
31 オーガ戦③
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「―――おいッ!何してんだよお前等らッ!!」
「「――⁉⁉」」
騎士団の男達にそう言い放ったのは他でもない“レイ”だった―。
さっきまでここで一緒に隠れて見ていた筈なのに、いつの間にか奴らに啖呵を切っていた。
明らかに出るべきではないタイミング……想定外の出来事にランベルは「あいつ馬鹿なの?」とローラにシンプル過ぎる質問をしてしまった。
答える気にもならないローラはやれやれと溜息を吐き、ランベルはそれがローラからの答えだとしっかり受け取った。
「……何だガキかよ」
「驚かせやがって」
まさかこんな森の奥で人と遭遇すると思っていなかった騎士団の二人は、突然現れたレイに少し驚いていたが子供のレイを見るや否や余裕そうな態度に変わった。男達のすぐ近くには召喚されたオーガもいる。
「どうした迷子か?」
「ガキとはいえ余計なとこを見られちまったな……」
「さっきポロン村を襲ったオーガもお前らの仕業か?」
「ポロン村?そんな村は知らねぇが確かにさっきオーガが一体逃げちまったな。ヒッヒッヒッ!」
「お前の家にお邪魔したか?」
さっきポロン村に現れたオーガはコイツらの仕業だった。
危うく村の人達が危険な目に遭っていたかもしれないのに何の悪びれもない態度の男達。
<我が感じたのはこの魔法陣か……>
「何がしてぇんだよお前ら」
ポロン村を襲ったのがコイツらだと分かったレイは眼光鋭く奴らを睨みつけている。
そこへローラとランベルも駆けつけて来た。
それを見た騎士団の男達の顔が険しくなっていく。
「ガキとはいえ流石に三人となるとアレだな」
「ああ。とても素直に黙っててくれる様子でもねぇしな」
男達は笑いながら「しょうがねぇ。」と言い、いきなり魔力を高め始めた―。
どうやら口封じをしたいらしい……。
「余計な事言わない様にちょっと躾けるか」
「安心しろ!殺しはしねぇからよ。ヒッヒッヒッ!」
騎士団の男二人と共にオーガ二体もやる気満々の様子。
さっきのオーガと同じ強さのオーガが二体……そしてそれを召喚した男達はそれ以上の魔力の持ち主。
そもそも騎士団だから戦闘が得意なBランク以上―。
流石にこの状況では勝ち目がない。ローラは飛んで逃げた方がいいとレイに声を掛けようとしたが、いつもとまるで違うレイの雰囲気に言葉が出なかった―。
陽気で浮かれているレイとは真逆―。
男達を睨むレイは何とも近寄りがたい冷酷なオーラを発していた。憎しみや怒りの感情が手に取る様に分かる。
何故こんなに“キレて”いるのか分からなかったローラだがその答えは直ぐに出た―。
「……“アイツ”と同じなんだよな……その面」
レイはとてもゆっくりとした足取りで相手の方へと近づいていく―。
それと同時に練り上げられるドラゴンの魔力。
感じた事の無い魔力とその“威圧”に、オーガと男達は無意識に後ずさりしていた。
「なッ、なんだ……このガキ……⁉」
「魔力の強さが異常だッ……!」
「グゥゥゥゥ……」
困惑する奴らを他所に、レイの魔力はどんどん強くなっていく。
ゆっくりだが歩みを止めることなく進んでいくレイ。
「一緒なんだよ……。人を傷つけてるのに……平気な顔でヘラヘラしてるその面がよぉ……。」
レイの瞳には騎士団の男達の顔と重なる様に……憎き“キャバル”の顔が映っていた――。
凄まじい魔力の濃さ。対峙している男達とオーガは最早恐怖で動けなかった。
小刻みに体が震える男達とオーガ……レイとの距離が十メートル程になった瞬間、突如“それ”は起きた―。
―――ズバァァァァンッッ……!!
「「―――がッ……⁉⁉⁉」」
ドドドドンッ!!!
騎士団の男二人とオーガ二体がいきなり吹っ飛ばされ、皆近くの木に叩きつけられるとそのまま地面に落下した。
何が起きたか全く分からない―。“何か”を食らった男達とオーガはそれぞれ呼吸が荒くなり何とか意識を保ちつつ、ダメージを負った箇所を抑えていた。
「ハァ……ハァ……ハァ……。ぐッ……な、何が起きた……⁉」
「分からねぇ……。全く見えなかった……」
攻撃を食らったであろう男達は当然ながら、それを見ていたローラとランベルですら何が起きたか分かっていない様だ。
レイの中に芽生えている憎悪の感情―。
良くも悪くもそれがより強い魔力を生み出しコントロールされている。
レイはその魔力で【ドラゴフィスト】の時に出すドラゴンの腕ではなく新たに“ドラゴンの尻尾”を出現させていた。
その尻尾でを鞭のようにしならせ敵を一掃したのだ―。
だが、レイ以外今の技に反応出来た者はいない。
完全に形勢逆転となった騎士団の男達は瞬時にこの場から撤退しようと判断し、ダメージを負いながらも一人の男が移動魔法を繰り出し、二人は淡い光に包まれていった―。
「ぐッ……とんだ事態になったぜ。今の内にずらかろう」
「チッ!まぁいい……オーガ共!ガキの相手しとけ!」
そう言い残し騎士団の男達は消えてしまった―。
命令されたオーガ達は立ち上がり、二体とも同時にレイ目掛けて襲い掛かるが、ビッグ・Gの時よりも一回り大きく数段上の魔力を纏った【ドラゴフィスト】が繰り出され一瞬で二体まとめて消滅させた―。
<―レイ……。(実の父親にここまで憎しみを抱いているとはな……。人間の生活など知らぬが、余程の環境で育ってきたか。)>
力の使い方が決して良いものとは言えない形だが、体を共有しているドーランだけには憎しみの深さが感じられた。
気持ちが落ち着き一呼吸したレイはいつも通りの調子に戻っていた。
「……くっそー。逃げられたか」
「大丈夫?レイ。」
「うっは~……レイ、お前めちゃくちゃ強いな!何したんだよ今」
状況が一区切りし、ローラとランベルもレイの近くへ行った。
ランベルはただただその強さに驚いていたが、ローラはさっきまでの憎しみを抱いていたレイが心配になっていた。
とは言えもういつものレイに戻っていたし、何より今起きた事の方が一刻を争う事態だと判断し、ローラはレイにあの騎士団達を追いかけようと言った。
「こんな所でモンスターを召喚してるなんて怪し過ぎるわ。しかも王国の騎士団が。」
「確かにそうだよな。アイツら何か企んでるみたいだし、何よりこのまま放っておいたらまた被害が出かねない。」
「行こうレイ!アイツらがいるだろう“水の王国”へ―。」
「「――⁉⁉」」
騎士団の男達にそう言い放ったのは他でもない“レイ”だった―。
さっきまでここで一緒に隠れて見ていた筈なのに、いつの間にか奴らに啖呵を切っていた。
明らかに出るべきではないタイミング……想定外の出来事にランベルは「あいつ馬鹿なの?」とローラにシンプル過ぎる質問をしてしまった。
答える気にもならないローラはやれやれと溜息を吐き、ランベルはそれがローラからの答えだとしっかり受け取った。
「……何だガキかよ」
「驚かせやがって」
まさかこんな森の奥で人と遭遇すると思っていなかった騎士団の二人は、突然現れたレイに少し驚いていたが子供のレイを見るや否や余裕そうな態度に変わった。男達のすぐ近くには召喚されたオーガもいる。
「どうした迷子か?」
「ガキとはいえ余計なとこを見られちまったな……」
「さっきポロン村を襲ったオーガもお前らの仕業か?」
「ポロン村?そんな村は知らねぇが確かにさっきオーガが一体逃げちまったな。ヒッヒッヒッ!」
「お前の家にお邪魔したか?」
さっきポロン村に現れたオーガはコイツらの仕業だった。
危うく村の人達が危険な目に遭っていたかもしれないのに何の悪びれもない態度の男達。
<我が感じたのはこの魔法陣か……>
「何がしてぇんだよお前ら」
ポロン村を襲ったのがコイツらだと分かったレイは眼光鋭く奴らを睨みつけている。
そこへローラとランベルも駆けつけて来た。
それを見た騎士団の男達の顔が険しくなっていく。
「ガキとはいえ流石に三人となるとアレだな」
「ああ。とても素直に黙っててくれる様子でもねぇしな」
男達は笑いながら「しょうがねぇ。」と言い、いきなり魔力を高め始めた―。
どうやら口封じをしたいらしい……。
「余計な事言わない様にちょっと躾けるか」
「安心しろ!殺しはしねぇからよ。ヒッヒッヒッ!」
騎士団の男二人と共にオーガ二体もやる気満々の様子。
さっきのオーガと同じ強さのオーガが二体……そしてそれを召喚した男達はそれ以上の魔力の持ち主。
そもそも騎士団だから戦闘が得意なBランク以上―。
流石にこの状況では勝ち目がない。ローラは飛んで逃げた方がいいとレイに声を掛けようとしたが、いつもとまるで違うレイの雰囲気に言葉が出なかった―。
陽気で浮かれているレイとは真逆―。
男達を睨むレイは何とも近寄りがたい冷酷なオーラを発していた。憎しみや怒りの感情が手に取る様に分かる。
何故こんなに“キレて”いるのか分からなかったローラだがその答えは直ぐに出た―。
「……“アイツ”と同じなんだよな……その面」
レイはとてもゆっくりとした足取りで相手の方へと近づいていく―。
それと同時に練り上げられるドラゴンの魔力。
感じた事の無い魔力とその“威圧”に、オーガと男達は無意識に後ずさりしていた。
「なッ、なんだ……このガキ……⁉」
「魔力の強さが異常だッ……!」
「グゥゥゥゥ……」
困惑する奴らを他所に、レイの魔力はどんどん強くなっていく。
ゆっくりだが歩みを止めることなく進んでいくレイ。
「一緒なんだよ……。人を傷つけてるのに……平気な顔でヘラヘラしてるその面がよぉ……。」
レイの瞳には騎士団の男達の顔と重なる様に……憎き“キャバル”の顔が映っていた――。
凄まじい魔力の濃さ。対峙している男達とオーガは最早恐怖で動けなかった。
小刻みに体が震える男達とオーガ……レイとの距離が十メートル程になった瞬間、突如“それ”は起きた―。
―――ズバァァァァンッッ……!!
「「―――がッ……⁉⁉⁉」」
ドドドドンッ!!!
騎士団の男二人とオーガ二体がいきなり吹っ飛ばされ、皆近くの木に叩きつけられるとそのまま地面に落下した。
何が起きたか全く分からない―。“何か”を食らった男達とオーガはそれぞれ呼吸が荒くなり何とか意識を保ちつつ、ダメージを負った箇所を抑えていた。
「ハァ……ハァ……ハァ……。ぐッ……な、何が起きた……⁉」
「分からねぇ……。全く見えなかった……」
攻撃を食らったであろう男達は当然ながら、それを見ていたローラとランベルですら何が起きたか分かっていない様だ。
レイの中に芽生えている憎悪の感情―。
良くも悪くもそれがより強い魔力を生み出しコントロールされている。
レイはその魔力で【ドラゴフィスト】の時に出すドラゴンの腕ではなく新たに“ドラゴンの尻尾”を出現させていた。
その尻尾でを鞭のようにしならせ敵を一掃したのだ―。
だが、レイ以外今の技に反応出来た者はいない。
完全に形勢逆転となった騎士団の男達は瞬時にこの場から撤退しようと判断し、ダメージを負いながらも一人の男が移動魔法を繰り出し、二人は淡い光に包まれていった―。
「ぐッ……とんだ事態になったぜ。今の内にずらかろう」
「チッ!まぁいい……オーガ共!ガキの相手しとけ!」
そう言い残し騎士団の男達は消えてしまった―。
命令されたオーガ達は立ち上がり、二体とも同時にレイ目掛けて襲い掛かるが、ビッグ・Gの時よりも一回り大きく数段上の魔力を纏った【ドラゴフィスト】が繰り出され一瞬で二体まとめて消滅させた―。
<―レイ……。(実の父親にここまで憎しみを抱いているとはな……。人間の生活など知らぬが、余程の環境で育ってきたか。)>
力の使い方が決して良いものとは言えない形だが、体を共有しているドーランだけには憎しみの深さが感じられた。
気持ちが落ち着き一呼吸したレイはいつも通りの調子に戻っていた。
「……くっそー。逃げられたか」
「大丈夫?レイ。」
「うっは~……レイ、お前めちゃくちゃ強いな!何したんだよ今」
状況が一区切りし、ローラとランベルもレイの近くへ行った。
ランベルはただただその強さに驚いていたが、ローラはさっきまでの憎しみを抱いていたレイが心配になっていた。
とは言えもういつものレイに戻っていたし、何より今起きた事の方が一刻を争う事態だと判断し、ローラはレイにあの騎士団達を追いかけようと言った。
「こんな所でモンスターを召喚してるなんて怪し過ぎるわ。しかも王国の騎士団が。」
「確かにそうだよな。アイツら何か企んでるみたいだし、何よりこのまま放っておいたらまた被害が出かねない。」
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