29 / 112
第二章 ~仲間~
28 ランベル・モレー
しおりを挟む
「――この声は“ランベル”か」
お爺さんが椅子から立ち上がり玄関の方へ歩いて行く。
「爺さん婆さん!取り敢えず朝も“いなかった”ぜ。大丈夫だった!」
「そうかぃ。毎日ありがとうのぉ」
ランベルとお爺さんの会話は普通にレイ達まで聞こえていた。話を聞いたローラがドロン婆さんに
「何かあったの?」と尋ねると、ドロン婆さんはゆっくり話し始めた。
「ああ。別に対したことではないんだがね、最近この村や村の周辺でゴブリンが現れてのぉ……畑や農作物を荒らされていたんじゃ。そこまでの被害ではなかったし、荒らしていたのがゴブリンだと分かってからはランベルが村を見て回ってくれていたんじゃよ」
ドロン婆さんの話を聞きレイとローラは自然と目を合わせていた。
二人に思い浮かぶのは昨日のゴブリン帝国とビッグ・G。
このポロン村はトワイライトとまた少し離れた場所にあるが、タイミングといい被害内容といい恐らくあのゴブリン達。
まさかここまで来ていたとは……と改めて呆れる二人だった。
「最近は毎日の様にどっかで見かてたんだけどな。珍しく昨日から今に至るまで一体もいなかったぜ?荒らされてるところもないみたいだし。まぁいないならいないで良いんだけどね」
ランベルとお爺さんが話している玄関先へレイとローラも出向いた。
金髪の髪が程よく伸びており、それをオールバックで束ねている。
腰には剣を差しておりハンタータグを首から提げていた。
「ん?見かけない顔だな。爺さんの孫か?」
「ハハハ。そうじゃの、まぁ孫みたいなもんじゃな」
顔合わせたレイとローラとランベル。物珍しそうにレイ達を見るランベルに自己紹介をした。
「俺はレイ!よろしくな。お前もハンターなのか!」
「私はローラ!この村にもゴブリンが出てるんだって?」
「あ、ああ。俺はランベル……“ランベル・モレ―”。この村にもって……他でも出てるのか?」
ランベルに聞かれ、レイとローラは昨日の事を話した。
恐らくポロン村に来ていたのはゴブリン達はゴブリン帝国っていうビッグ・G率いるゴブリン集団の奴らで、昨日同じように畑を荒らされてると言うトワイライトの町長さんの依頼で、そのゴブリン達を倒してきたから多分もう出ないよと全てを説明した。
それを聞いたランベルとお爺さんとお婆さんも、そうだったのかと驚いた後にレイ達にお礼を言っていた。
結構ピンチだったが、やっぱりアイツ等を倒しておいて良かったとつくづく思うレイとローラ。
レイとローラとランベルは同い年という事もあってか自然と仲良く打ち解けていた。
「……ランベル!タグ見せてくれよ!」
「タグ?お前こんなの珍しいのか?変わった奴だなぁ」
「まだ昨日ハンター登録したばかりなの」
「へぇ~。それにしても食いつき過ぎじゃないか?何も珍しい物じゃないぞ」
ランベルが戸惑うのも無理はない。
ハンタータグなどそこら辺の子供から大人まで多くの人が持っている。ハンターをメインにやらずとも登録だけを済ませている人は多々いる。
そんな当たり前をここまで興味津々になる人を初めて見たからだ。これはランベルに限らずほぼ全員が思うであろう。
逆を言えばそれだけレイが特殊な環境で育ってきた証拠だった―。
「ちょっと特殊なのよね……。ランベルはハンター本職でいくの?」
「まぁな!」
「ランベルは“騎士団”を目指しておるからのぉ」
「凄~い!騎士団目指してるんだ!」
騎士団とは各国を護る選ばれし剣士、騎士達である。どこの国でも騎士団に入る為にはハンターランクB以上に加え、騎士団の入団テストに合格しなければならない過酷で狭き門なのだ。
その分国民からの信頼や支持はとても厚く、王国にはなくてはならない存在である。
「俺が目指してるのはただの騎士団じゃなくて、騎士団の“大団長”な!そこを間違えてもらっちゃ困るぜ」
ランベルはドヤ顔でそう付け加えた。
大団長とは一人しかなることが出来ない選ばれし騎士団の中でも更にトップの存在。
全ての騎士団をまとめるリーダーである。
「すげぇー!ランベルお前大団長になるのかよ!」
「ああ!すげぇだろ!」
「なってから言いなさいよ……」
レイとランベルの能天気な会話にすかさずローラがツッコんだ。
「いや。ランベルはなれるぜ!だってこれを見ろよローラ。タグが“Dランク”!俺より上のランクだ!」
「……夢は遠いわね」
「馬鹿にしてんのか!お前のタグ見せてみろよ!」
ランベルにそう言われたローラは勝ち誇った顔でタグを見せつけた。
その輝くシルバーのタグを見せられたランベルは勢いよく崩れ落ち、地面を叩きながら「チクショウ……!」と悔しがっている。
「―――うわぁぁ……!!!」
三人がわちゃわちゃ話していると、突然遠くの方から叫び声が聞こえてきた。
何事かと思いレイ達は辺りを見渡すが変わった様は無い。
空耳かと思った瞬間、ポロン村の村人が勢いよくレイ達の方へ駆け寄って来た。
「ランベルッ……!大変だッ!横の森で“オーガ”が出た!」
「――何ッ⁉」
オーガとは人の倍以上ある大型で凶悪なモンスター。鬼とも呼ばれるオーガは気性が荒くとても攻撃的だ。
どこからか彷徨ったのか、ゴブリンと違いこんな所に出るのはとても珍しいモンスターである。
村人によると、森で山菜を取っていた他の村人がオーガを発見したらしい。
そしてオーガはポロン村へ向かってきていると言う。
「何でこんな所にオーガなんかッ⁉……ってランベルッ⁉どこ行くのよ!」
いの一番に走り出したランベル。どうやらオーガの所へ向かうらしい。
それを見たレイもランベルの後を追いかけていく。危険だと分かっていても二人をほっとけないローラは、ドロン婆さん達に絶対誰も近づかせないでと言い残しレイとランベルを追ったー。
お爺さんが椅子から立ち上がり玄関の方へ歩いて行く。
「爺さん婆さん!取り敢えず朝も“いなかった”ぜ。大丈夫だった!」
「そうかぃ。毎日ありがとうのぉ」
ランベルとお爺さんの会話は普通にレイ達まで聞こえていた。話を聞いたローラがドロン婆さんに
「何かあったの?」と尋ねると、ドロン婆さんはゆっくり話し始めた。
「ああ。別に対したことではないんだがね、最近この村や村の周辺でゴブリンが現れてのぉ……畑や農作物を荒らされていたんじゃ。そこまでの被害ではなかったし、荒らしていたのがゴブリンだと分かってからはランベルが村を見て回ってくれていたんじゃよ」
ドロン婆さんの話を聞きレイとローラは自然と目を合わせていた。
二人に思い浮かぶのは昨日のゴブリン帝国とビッグ・G。
このポロン村はトワイライトとまた少し離れた場所にあるが、タイミングといい被害内容といい恐らくあのゴブリン達。
まさかここまで来ていたとは……と改めて呆れる二人だった。
「最近は毎日の様にどっかで見かてたんだけどな。珍しく昨日から今に至るまで一体もいなかったぜ?荒らされてるところもないみたいだし。まぁいないならいないで良いんだけどね」
ランベルとお爺さんが話している玄関先へレイとローラも出向いた。
金髪の髪が程よく伸びており、それをオールバックで束ねている。
腰には剣を差しておりハンタータグを首から提げていた。
「ん?見かけない顔だな。爺さんの孫か?」
「ハハハ。そうじゃの、まぁ孫みたいなもんじゃな」
顔合わせたレイとローラとランベル。物珍しそうにレイ達を見るランベルに自己紹介をした。
「俺はレイ!よろしくな。お前もハンターなのか!」
「私はローラ!この村にもゴブリンが出てるんだって?」
「あ、ああ。俺はランベル……“ランベル・モレ―”。この村にもって……他でも出てるのか?」
ランベルに聞かれ、レイとローラは昨日の事を話した。
恐らくポロン村に来ていたのはゴブリン達はゴブリン帝国っていうビッグ・G率いるゴブリン集団の奴らで、昨日同じように畑を荒らされてると言うトワイライトの町長さんの依頼で、そのゴブリン達を倒してきたから多分もう出ないよと全てを説明した。
それを聞いたランベルとお爺さんとお婆さんも、そうだったのかと驚いた後にレイ達にお礼を言っていた。
結構ピンチだったが、やっぱりアイツ等を倒しておいて良かったとつくづく思うレイとローラ。
レイとローラとランベルは同い年という事もあってか自然と仲良く打ち解けていた。
「……ランベル!タグ見せてくれよ!」
「タグ?お前こんなの珍しいのか?変わった奴だなぁ」
「まだ昨日ハンター登録したばかりなの」
「へぇ~。それにしても食いつき過ぎじゃないか?何も珍しい物じゃないぞ」
ランベルが戸惑うのも無理はない。
ハンタータグなどそこら辺の子供から大人まで多くの人が持っている。ハンターをメインにやらずとも登録だけを済ませている人は多々いる。
そんな当たり前をここまで興味津々になる人を初めて見たからだ。これはランベルに限らずほぼ全員が思うであろう。
逆を言えばそれだけレイが特殊な環境で育ってきた証拠だった―。
「ちょっと特殊なのよね……。ランベルはハンター本職でいくの?」
「まぁな!」
「ランベルは“騎士団”を目指しておるからのぉ」
「凄~い!騎士団目指してるんだ!」
騎士団とは各国を護る選ばれし剣士、騎士達である。どこの国でも騎士団に入る為にはハンターランクB以上に加え、騎士団の入団テストに合格しなければならない過酷で狭き門なのだ。
その分国民からの信頼や支持はとても厚く、王国にはなくてはならない存在である。
「俺が目指してるのはただの騎士団じゃなくて、騎士団の“大団長”な!そこを間違えてもらっちゃ困るぜ」
ランベルはドヤ顔でそう付け加えた。
大団長とは一人しかなることが出来ない選ばれし騎士団の中でも更にトップの存在。
全ての騎士団をまとめるリーダーである。
「すげぇー!ランベルお前大団長になるのかよ!」
「ああ!すげぇだろ!」
「なってから言いなさいよ……」
レイとランベルの能天気な会話にすかさずローラがツッコんだ。
「いや。ランベルはなれるぜ!だってこれを見ろよローラ。タグが“Dランク”!俺より上のランクだ!」
「……夢は遠いわね」
「馬鹿にしてんのか!お前のタグ見せてみろよ!」
ランベルにそう言われたローラは勝ち誇った顔でタグを見せつけた。
その輝くシルバーのタグを見せられたランベルは勢いよく崩れ落ち、地面を叩きながら「チクショウ……!」と悔しがっている。
「―――うわぁぁ……!!!」
三人がわちゃわちゃ話していると、突然遠くの方から叫び声が聞こえてきた。
何事かと思いレイ達は辺りを見渡すが変わった様は無い。
空耳かと思った瞬間、ポロン村の村人が勢いよくレイ達の方へ駆け寄って来た。
「ランベルッ……!大変だッ!横の森で“オーガ”が出た!」
「――何ッ⁉」
オーガとは人の倍以上ある大型で凶悪なモンスター。鬼とも呼ばれるオーガは気性が荒くとても攻撃的だ。
どこからか彷徨ったのか、ゴブリンと違いこんな所に出るのはとても珍しいモンスターである。
村人によると、森で山菜を取っていた他の村人がオーガを発見したらしい。
そしてオーガはポロン村へ向かってきていると言う。
「何でこんな所にオーガなんかッ⁉……ってランベルッ⁉どこ行くのよ!」
いの一番に走り出したランベル。どうやらオーガの所へ向かうらしい。
それを見たレイもランベルの後を追いかけていく。危険だと分かっていても二人をほっとけないローラは、ドロン婆さん達に絶対誰も近づかせないでと言い残しレイとランベルを追ったー。
0
お気に入りに追加
1,383
あなたにおすすめの小説
無属性魔術師、最強パーティの一員でしたが去りました。
ぽてさら
ファンタジー
ヴェルダレア帝国に所属する最強冒険者パーティ『永遠の色調《カラーズ・ネスト》』は強者が揃った世界的にも有名なパーティで、その名を知らぬ者はいないとも言われるほど。ある事情により心に傷を負ってしまった無属性魔術師エーヤ・クリアノートがそのパーティを去っておよそ三年。エーヤは【エリディアル王国】を拠点として暮らしていた。
それからダンジョン探索を避けていたが、ある日相棒である契約精霊リルからダンジョン探索を提案される。渋々ダンジョンを探索しているとたった一人で魔物を相手にしている美少女と出会う。『盾の守護者』だと名乗る少女にはある目的があって―――。
個の色を持たない「無」属性魔術師。されど「万能の力」と定義し無限の可能性を創造するその魔術は彼だけにしか扱えない。実力者でありながら凡人だと自称する青年は唯一無二の無属性の力と仲間の想いを胸に再び戦場へと身を投げ出す。
青年が扱うのは無属性魔術と『罪』の力。それらを用いて目指すのは『七大迷宮』の真の踏破。
チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい
616號
ファンタジー
不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。
大切”だった”仲間に裏切られたので、皆殺しにしようと思います
騙道みりあ
ファンタジー
魔王を討伐し、世界に平和をもたらした”勇者パーティー”。
その一員であり、”人類最強”と呼ばれる少年ユウキは、何故か仲間たちに裏切られてしまう。
仲間への信頼、恋人への愛。それら全てが作られたものだと知り、ユウキは怒りを覚えた。
なので、全員殺すことにした。
1話完結ですが、続編も考えています。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
ゴミアイテムを変換して無限レベルアップ!
桜井正宗
ファンタジー
辺境の村出身のレイジは文字通り、ゴミ製造スキルしか持っておらず馬鹿にされていた。少しでも強くなろうと帝国兵に志願。お前のような無能は雑兵なら雇ってやると言われ、レイジは日々努力した。
そんな努力もついに報われる日が。
ゴミ製造スキルが【経験値製造スキル】となっていたのだ。
日々、優秀な帝国兵が倒したモンスターのドロップアイテムを廃棄所に捨てていく。それを拾って【経験値クリスタル】へ変換して経験値を獲得。レベルアップ出来る事を知ったレイジは、この漁夫の利を使い、一気にレベルアップしていく。
仲間に加えた聖女とメイドと共にレベルを上げていくと、経験値テーブルすら操れるようになっていた。その力を使い、やがてレイジは帝国最強の皇剣となり、王の座につく――。
※HOTランキング1位ありがとうございます!
※ファンタジー7位ありがとうございます!
神の加護を受けて異世界に
モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。
その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。
そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。
追放された美少女を助けた底辺おっさんが、実は元”特級冒険者”だった件について。
いちまる
ファンタジー
【毎週木曜日更新!】
採取クエストしか受けない地味なおっさん冒険者、ダンテ。
ある日彼は、ひょんなことからA級冒険者のパーティーを追放された猫耳族の少女、セレナとリンの面倒を見る羽目になってしまう。
最初は乗り気でなかったダンテだが、ふたりの夢を聞き、彼女達の力になると決意した。
――そして、『特級冒険者』としての実力を隠すのをやめた。
おっさんの正体は戦闘と殺戮のプロ!
しかも猫耳少女達も実は才能の塊だった!?
モンスターと悪党を物理でぶちのめす、王道冒険譚が始まる――!
※本作はカクヨム、小説家になろうでも掲載しています。
転生無双なんて大層なこと、できるわけないでしょう!〜公爵令息が家族、友達、精霊と送る仲良しスローライフ〜
西園寺若葉
ファンタジー
転生したラインハルトはその際に超説明が適当な女神から、訳も分からず、チートスキルをもらう。
どこに転生するか、どんなスキルを貰ったのか、どんな身分に転生したのか全てを分からず転生したラインハルトが平和な?日常生活を送る話。
- カクヨム様にて、週間総合ランキングにランクインしました!
- アルファポリス様にて、人気ランキング、HOTランキングにランクインしました!
- この話はフィクションです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる