魔力0の俺は王家から追放された挙句なぜか体にドラゴンが棲みついた~伝説のドラゴンの魔力を手に入れた俺はちょっと王家を懲らしめようと思います~

きょろ

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第一章 ~追放と出会い~

14 冒険者ギルド

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~とある空の上~

「――ここから一番近いのは“火の王都・フレイム”ね。そこで登録しましょ」
「これで俺もハンターかぁ……」

 レイとローラの二人はツインヴァルトを後にし、『火の王都・フレイム』を目指し飛んでいた。

 このソウルエンドは大きな三つの大陸に六つの王国が存在する。
 サン大陸、ムーン大陸、ソウル大陸の三つの大陸と火、水、風、土、雷、無の六つの王国があり、レイ達がいるのはソウル大陸火の王国である。
 
 ロックロス家やアルカトラズもこのソウル大陸にあり、この大陸は主に火の王国と、大陸を跨ぐ形での王国との二つの王国が存在している。

それぞれの王国には一人の王がおり、全六人いる王達よりも更に格式高い存在の王家がいる。その王家のトップに立ち世界最高権力を持つのがロックロス家。すなわち現ソウルエンドの絶対的王が…キャバル・ロックロスだ。

各国に一つずつある冒険者ギルド。どこの王国でも分かりやすいように決まって王都に建っている。
レイ達はその冒険者ギルドがある火の王国の王都、“フレイム”に向かう事にしたのだが、余程ハンター登録やこれからの冒険が楽しみなのか、レイの顔はニヤニヤと緩みっぱなしだ。
その顔を見て「気持ち悪ッ……」とローラに言われるレイだったが、ワクワクが抑えられないレイには全く聞こえていなかった。

ツインヴァルトから少し距離のある王都であったが、レイとローラの飛行能力を持ってすれば大した事は無かった。
他愛もない会話をしている内に目的の王都が見えた―。

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~火の王都フレイム・冒険者ギルド~

飛んでいた二人はそのまま冒険者ギルドの建物前に降り立った。
遠くからでも分かる程高いギルド。王都ともあって街も人もとても活気づいている。

「おおーー!!初めて来たぜ冒険者ギルド!!」

「ちょっとそんな大声出さないでよ恥ずかしいッ!」

これまでまともに外の世界を経験したことが無かったレイは、出会う人、物、匂い、環境、全てが新鮮だった。
辛い過去を経験しその反動で“こう”なるのも分からなくはないが、それを差し引いたとしても興奮しすぎだとローラに懸命に止められているレイだった。

「おおーー!!人もいっぱい!店もいっぱい!初めて見る物だらけだぜ!!」

「うるさいってばホントにッ!!」

あまりに騒ぐレイの周りからの人の視線はとても痛く穴があったら入りたいぐらい恥ずかしいと思うローラ。
だがそのレイの純真無垢に目を輝かせている姿を見て、何か吹っ切れた様子のローラは笑みを浮かべながら歩き出すと、グッとレイの首根っこを掴んで引っ張った。

「ほら!早くハンター登録しに行くわよ!」

「おう!!」

レイとローラはギルドの中へと入っていった。
ギルドはとても広く高さもあり、中には大勢のハンターが見られる。ここでふとローラは非常事態に気付く―。
昨日のアルカトラズでの騒動はきっと大問題になっているのではないかと―。
それもその筈…世界で一番厳重なアルカトラズが襲撃され、フロア「10」から脱走者が出たとなればソウルエンド中がパニックになっているに違いない。

考えただけでゾッとしたローラは、お気楽に旅立とうとしている馬鹿な自分達を責めた。
ギルドの一階の広いフロアには大抵どこでもテレビが設置されている。それを思い出したローラは慌ててテレビの所に行き、“昨日の出来事”をニュースで確認した―。

《――本日の天気は概ね晴れの予報…》

「あれ…?ニュースになっていない…?」

暫くテレビを見ているローラ。急に走り出したローラの所へレイも追いつく。

「何だよ急に走り出して」

「昨日の事が“何も”ニュースでやっていないのよ…」

《――続いては今王都で流行っている食べ物の紹介コーナーです!……》

あれだけの騒動が起きたとなれば朝からそのニュースで持ち切りのはず…。
しかもそれがアルカトラズで起きてフロア「10」にいたイヴが逃げ出したとなれば世界中に危険が及びかねない事態なのにまるでニュースになっていない。
不思議そうに画面を見つめているローラだが、レイは全てを知っているかのように落ち着いていた。

「キャバルの野郎だよ…」

「―え⁉キャバルってキャバル王…?レイのお父さんなんだよね…」

「父親だと思った事は一度もないけどな」

<成程…。ロックロス家が“揉み消した”か>

「ああ…多分な」

「揉み消したって…⁉昨日のあの大事件をッ⁉そんなのどーやって…⁉」

「アイツなら出来るんだよそれぐらい。誰も逆らう奴なんていないからな」

サラッというレイにローラは恐怖を覚えた―。
本来ならばソウルエンドを揺るがす程の事態。それにも関わらず、理由は分からないがニュースになるどころか“無かった事”になっているロックロス家の圧力に背筋がゾッとした。
たった一人の力でここまでの事が出来てしまうのかと、ローラは改めてレイの…ロックロス家という存在の凄さを体感したのだった―。

「でも何で…⁉昨日の出来事が何かロックロス家にとって不都合な事でもあったの…⁉」

「詳しい事は分からないが一つは“俺の存在”だろうな…。俺が追放されてからアルカトラズの奴らに名前がバレるまで数時間しか経ってない。キャバルもまさかこんな形でロックロスの名が外に出るとは予想もしていなかっただろうから、俺の存在ごと隠蔽してるだろ。
イヴが逃げた事を公表すれば色々辻褄を合わせなきゃいけない…だから余計な事をせず一切何も無かった事にしたんだよ。恐らくな…」

「嘘…。そんな事って…」

これから自分達が敵に回すであろうこの世界最大の力、ロックロス家―。
図らずもその大きさを見せつけられたローラは一気に不安になったが、やはり慣れているレイは直ぐに気持ちを切り替えている。

「そんな事より早く俺のハンター登録しようぜ!」

「そんな事ってアンタ…。まぁ悩んでも仕方ないし取り敢えず登録済ませましょ。ハァ~…一気に気が重くなってきた…」

そんなこんなで無事?レイのハンター登録が出来た。


落ち込むローラとは対照的に、ハンター登録し終えたレイがギルドで大はしゃぎしていたのは言うまでもない―。
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