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第19召喚 僕はとても後悔しました
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最早自分では到底計り知れないスケールの話に、リリアもどう対応した良いかと頭を抱え出した。しかし、そんな事を考えたところで自分には関係ない。そう思ったリリアは今までと何ら変わりなく、ひたすら獲物に狙いを定める狡猾な猛獣の如き視線でアーサーを見る。そしてアーサーはこのタイミングで、ハンターランクの昇格テストを受けたいとリリアに告げたのだった。
「あら、やっと受ける気になったのね。分かったわ。じゃあ昇格テストの申請を出しておくわね」
「ありがとうございます」
「今のアーサー君なら力を持て余すわね。その上の炎Cランクも受ける? とは言っても人Dランクに合格してフロア20~49を攻略してからになっちゃうけど」
炎Cランク――。
正直今のアーサーならば昇格テストを受けても余裕で受かるレベル。だが現状、アーサーが最も優先しようとしているのは他ならぬバットへの反撃。下準備が整ったアーサーは今すぐにでも『黒の終焉』に乗り込んでやろうと思っていたが、ふと冷静になった彼はある事を思いつく。
(そうか。折角ここまで強くなったんだから、どうせならハンターランクもバットと同じにして目にもの見せてやる。散々見下していた僕と同列になった挙句、力でもぶっ飛ばされたら相当なダメージになるだろう。よし、決めた!)
1人大きく頷いたアーサーは再びリリアに伝える。
「リリアさん。そうしたら先ずはやっぱり人Dランクの昇格テストを受けます。それで1週間に以内に全フロア攻略して、そのまま炎Cランクの昇格テストを受ける事にします!」
バットとの因縁にケリを着けるのは1週間後。
全てが完璧に整った状態で、今度こそ全てを終わらせる。
アーサーはそう決心したのだった。
「了解。明日にでも昇格テストを受けられると思うから頑張ってね。受かったらお姉さんが思いっ切り抱き締めてあ・げ・る」
単純な手法だと分かっていながらも、やはり凄まじい破壊力の色気と妖艶なバイオレンスさで攻撃されたアーサーは危うく昇天しかけた。だが紙一重で正気を保ったアーサーはブンブンと頭を振って雑念を取っ払うと、突然何かを思い出す。
「あ! 忘れるところだった」
「どうしたの?」
そう言ったアーサーは何やら鞄から小包を取り出すと、それをリリアへと渡した。
「ん? なにかしら」
「いや、なんて言うか……。僕がハンターになった頃からずっとリリアさんにはお世話になっていたし、お祝いも貰ってこのスキルの事についても相談に乗ってもらっていたので、大した物ではないですけど僕からの感謝の気持ちです!」
そう。リリアに渡した物はアーサーからのささやかな御礼の気持ち。
女性に贈り物などした事がないアーサーはここ数日ずっと悩み、結果普段から使える日用品と、リリアが以前から好きだと言っていた甘い食べ物を選んだ。
何でも高価な物であれば良いとは限らないが、それでもアーサーはここ1カ月フロア周回で手に入れた魔鉱石と召喚したアーティファクトを換金し続け、当初の想定を遥かに上回る2,000,000Gという大金を稼ぎ出していた。
だからこそ誰よりも1番お世話になっているリリアに対し、今まででのアーサーであれば絶対に買えなかった少し贅沢な値段の物をリリアに贈った。少しでも恩返しが出来ればと。
(やだ……。これってもうアーサー君も私を“そういう対象”として見てるって事よね? もう我慢できないかも――)
危険な妄想を広げるリリアを他所に、無事感謝の気持ちを渡したアーサーは彼女に手を振ってダンジョンを後にするのだった。
**
しかし。
アーサーは後に強く自身を恨む事となる。今日のこの決断が間違っていたと――。
アーサーが虎視眈々と“奴”を狙う裏で、“奴”もまたアーサーの知らないところで不穏な動きを見せていた。
何故あの時動かなかったのだろう……。
何故こんな事になってしまったのだろう……。
何故“エレイン”がこんな目に遭ってしまったのだろう。
「もうアイツはマジで許さない。僕を本気で怒らせたな……“バット”――!」
「あら、やっと受ける気になったのね。分かったわ。じゃあ昇格テストの申請を出しておくわね」
「ありがとうございます」
「今のアーサー君なら力を持て余すわね。その上の炎Cランクも受ける? とは言っても人Dランクに合格してフロア20~49を攻略してからになっちゃうけど」
炎Cランク――。
正直今のアーサーならば昇格テストを受けても余裕で受かるレベル。だが現状、アーサーが最も優先しようとしているのは他ならぬバットへの反撃。下準備が整ったアーサーは今すぐにでも『黒の終焉』に乗り込んでやろうと思っていたが、ふと冷静になった彼はある事を思いつく。
(そうか。折角ここまで強くなったんだから、どうせならハンターランクもバットと同じにして目にもの見せてやる。散々見下していた僕と同列になった挙句、力でもぶっ飛ばされたら相当なダメージになるだろう。よし、決めた!)
1人大きく頷いたアーサーは再びリリアに伝える。
「リリアさん。そうしたら先ずはやっぱり人Dランクの昇格テストを受けます。それで1週間に以内に全フロア攻略して、そのまま炎Cランクの昇格テストを受ける事にします!」
バットとの因縁にケリを着けるのは1週間後。
全てが完璧に整った状態で、今度こそ全てを終わらせる。
アーサーはそう決心したのだった。
「了解。明日にでも昇格テストを受けられると思うから頑張ってね。受かったらお姉さんが思いっ切り抱き締めてあ・げ・る」
単純な手法だと分かっていながらも、やはり凄まじい破壊力の色気と妖艶なバイオレンスさで攻撃されたアーサーは危うく昇天しかけた。だが紙一重で正気を保ったアーサーはブンブンと頭を振って雑念を取っ払うと、突然何かを思い出す。
「あ! 忘れるところだった」
「どうしたの?」
そう言ったアーサーは何やら鞄から小包を取り出すと、それをリリアへと渡した。
「ん? なにかしら」
「いや、なんて言うか……。僕がハンターになった頃からずっとリリアさんにはお世話になっていたし、お祝いも貰ってこのスキルの事についても相談に乗ってもらっていたので、大した物ではないですけど僕からの感謝の気持ちです!」
そう。リリアに渡した物はアーサーからのささやかな御礼の気持ち。
女性に贈り物などした事がないアーサーはここ数日ずっと悩み、結果普段から使える日用品と、リリアが以前から好きだと言っていた甘い食べ物を選んだ。
何でも高価な物であれば良いとは限らないが、それでもアーサーはここ1カ月フロア周回で手に入れた魔鉱石と召喚したアーティファクトを換金し続け、当初の想定を遥かに上回る2,000,000Gという大金を稼ぎ出していた。
だからこそ誰よりも1番お世話になっているリリアに対し、今まででのアーサーであれば絶対に買えなかった少し贅沢な値段の物をリリアに贈った。少しでも恩返しが出来ればと。
(やだ……。これってもうアーサー君も私を“そういう対象”として見てるって事よね? もう我慢できないかも――)
危険な妄想を広げるリリアを他所に、無事感謝の気持ちを渡したアーサーは彼女に手を振ってダンジョンを後にするのだった。
**
しかし。
アーサーは後に強く自身を恨む事となる。今日のこの決断が間違っていたと――。
アーサーが虎視眈々と“奴”を狙う裏で、“奴”もまたアーサーの知らないところで不穏な動きを見せていた。
何故あの時動かなかったのだろう……。
何故こんな事になってしまったのだろう……。
何故“エレイン”がこんな目に遭ってしまったのだろう。
「もうアイツはマジで許さない。僕を本気で怒らせたな……“バット”――!」
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