やがて神Sランクとなる無能召喚士の黙示録~追放された僕は唯一無二の最強スキルを覚醒。つきましては、反撃ついでに世界も救えたらいいなと~

きょろ

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第43召喚 僅かな油断が命取りに

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 シェリルの一撃を受けたキマイラは唸り声を上げ、斬られた胴体から僅かに血を流していた。

「攻撃が浅かったですね」
「いや、十分だシェリル。これなら勝てる!」

 キマイラを仕留めるとまではいかなかったが、シェリルの攻撃は確かに奴にダメージを負わせている。正直能力的にアーサー達とキマイラに大差はない。だが少しではあるがアーサー達がキマイラを上回っていた。

「モルナはその人と皆を頼む! 安全な所まで下がっていてくれ!」
「OK! 任せて」
「行くぞシェリル!」
「はい!」

 再び剣を構えたアーサーとシェリルは同時にキマイラ目掛けて走り出す。

『グガアアア!』

 アーサーとシェリルを敵だと認識したキマイラは自らに向かって来るアーサー達を一掃しようと口から炎を放った。

 人など一瞬で丸焦げにしてしまうであろう炎ブレス。
 奴の攻撃になんとか反応出来たアーサーは炎を上手く躱し、既にワンテンポ早く反応していたシェリルは炎を躱した動きのまま一気にキマイラとの間合いを詰めた。

 ――シュバン。
『ギギャッ!』

 シェリルの一振りがまたもキマイラを捉える。
 致命的なダメージとはならないが確実に攻撃は効いていた。

 その証拠に攻撃を食らったキマイラは怒りのままに鉤爪を振り回し始めたが、大振りになったその単調なキマイラの攻撃に冷静に対応したアーサーとシェリルは2人で着実に攻撃を重ねたのだった。

「す、凄いぞあの子達……」
「勇者様が我々を救ってくれるのか……!」

 希望も戦意も気力も失っていたハンター達が、アーサーとシェリルの勇ましい姿を見て次第に生気が戻り始める。

 視界に映るは美しい白銀の舞。
 その動きはまるで妖精が優雅に空を舞っているかの様。
 美しい白銀の揺らめきは荒れ狂うキマイラの攻撃を何度も掻い潜ると同時に、強い白銀の一閃が何度も繰り出されてはキマイラを襲う。

 視界に映るは懸命な黒髪の少年。
 その動きは決して見惚れてしまう様な動きではない。
 だがその粗削りで愚直に剣を振るう少年の姿は見ている者達を勇気付け、更には失いかけていた希望の火を皆に灯した。

「「はあああッ!」」
『グガァァァ……ッ!』

 アーサーは――いや、シェリルもまた決して余裕がある訳ではない。とても出会ってから日が浅いとは思えない息の合った2人の連携攻撃。この2人の攻撃に、キマイラは確実にダメージを積み重ねられ苦しそうな素振りを垣間見せていた。

 一方のアーサーとシェリルもいつからか呼吸が荒くなり、動きに僅かにキレがなくなっている様子。しかし、一心不乱に剣を振るう2人のその闘志には一切の陰りはない。周りで見ていたハンター達も勇敢な若者の戦う姿を目の当たりにし、失っていた言葉を若き力を後押しする声援に変えた。

「が、頑張れぇぇッ!」
「キマイラも確実に弱っているぞ!」 
「頼む! 絶対に勝ってくれ!」
「いけぇぇぇぇッ!」

 絶望の中に見出された光。皆がアーサーとシェリルを応援する。
 雰囲気が一変し、大丈夫だと判断したモルナはアーサーとシェリルに加勢する。

「イケるよアーサー様、シェリル! このまま一気に倒そう!」

 モルナが加わった事によってアーサーとシェリルの士気も上がり、戦いは更にアーサー達が優勢となった。

(勝てる。このまま3人で押し切ればこいつを倒せる――)

 モルナの加勢がダメ押しとなり、アーサーは勝利を確信した。

 そして。

 戦いの中で生まれた僅かな“油断”は、時として取り返しのつかない事態となって己に返ってくるものだ――。

 グラッ。

(しまッ……!?)

 僅か一瞬。

 アーサーは足場の悪さによってバランスを崩した。
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