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第28召喚 差出人もとんでもない人っぽい
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♢♦♢
~ダンジョン・メインフロア~
「見つけたわよ、アーサー君」
リリアは受付のモニターを見ながらアーサーにそう言った。
「ありがとうございますリリアさん! それで、『一の園』ってどこのギルドなんですか?」
アーサーとエレイン、そして突如としてアーサー達の前に姿を現したシェリル・ローライン。
予想だにしていなかった面子でアーサーが訪れたのはダンジョン。
理由はシェリルから受け取った封筒にあった唯一の手掛かり、『一の園』というギルドの情報を得る為。リリアに調べてもらえば何か分かるかもしれないと思ったアーサーは、直ぐにこのダンジョンへと足を運んだのだ。
「ちょっと待って……。こんな事って有り得るのかしら」
何やらモニターを見ながら驚いている様子のリリア。そんな彼女を見てアーサーも一瞬きょとんした。
「リリアさん、どうしたんですか?」
「いや……あのね、このギルド『一の園』なんだけど……ここに記録されているデータが間違っていなければ、ギルド人数は1人だけ」
「え、1人だけのギルド?」
人数が1人だけのギルドはそれほど珍しい訳ではない。だが基本的には4~5人のパーティが組める人数になってからギルド設立をするのが一般的な流れであるが、スキルが『ヒーラー』や『鍛冶師』の者達が稀にダンジョンには挑まずに専門職としてギルド設立をする場合がある。
ダンジョンでの病院的役割を果たしていると言えば分かりやすいだろう。需要と供給が成り立っている、お互いに必要不可欠な存在ともなっている。
しかし、リリアが驚いているのはギルド人数が1人だからではなかった。
「ええ。それも“彼女”のスキルはヒーラーや鍛冶師ではなくて『魔術師』よ……。しかもこのギルドが創設されたのが、今から“99年前”になっているの」
「きゅ、99年前!? 一体その人何歳なんですか!? と言うかまだ生きて……」
皆まで言い掛け、これは失礼な発言だと悟ったアーサーは反射的に自分の口を押えていた。だがリリアも思っている事は同じだったのだろう。それにアーサーとリリアは『魔術師』という聞き慣れないスキルも気になった。
「生きてはいる筈よ。もし死んだのならハンターとしてのデータは全て消えてしまうから、残っているのなら生きていると思うわ。それにこの人の魔術師って私もアカデミー生の頃に本でしか見た事がないけど、凄い珍しいスキルじゃなかったかしら?」
「そうですね……。確か魔術師のスキルはこれまでに1人しか見つかっていないとか言われてる珍しいやつです。そんな人が何故僕にこんな封筒を……?」
調べた結果余計に訳が分からなくなったアーサーは、徐に隣にいたシェリルに尋ねた。
しかし。
「何度も言いましたが私も知りません。お会いした事がありませんので」
「やっぱりそうなのか……。もう意味不明だよホントに!」
ダンジョンに来る前、アーサーは勿論シェリルに聞いていた。この封筒の差出人はどんな人物で何が目的なんだと。何故シェリルを自分なんかの所に来させたのかと。だがシェリル本人は一切知らないとの事。
差出人とのやり取りは最低限であり、いつもウォッチでのメッセージか今回の様な封筒が彼女の元に届くらしく、シェリル自身も1度もこの差出人に会った事がないそうだ。彼女曰く、差出人は“何時からか自分がお世話になっている信用出来る人”という絶妙に理解に苦しむ返答であった。
(そんな馬鹿げた話があるか)
アーサーは率直にそう思ったが、無表情で真っ直ぐ自分を見つめるシェリルを見て、アーサーはこれが本当に真実なんだと理解――いや、恐怖を覚えた瞬間であった。
「それよりアーサー君。何で君があの勇者の子と一緒にいるのかしら?」
封筒の差出人から突如話が切り替わる。アーサーにそう尋ねるリリアは目を細めて少し機嫌が悪そうだ。
「いや、それが僕にも全く理由が分からなくて……。なので今こうして調べている所なんです」
「ふーん。(ちょっと、何でよりによってあの有名なシェリルちゃんが私のアーサー君といるのよ。まさか彼女もアーサー君を狙ってるのかしら? だとしたら早急に手を打たないといけないわね)」
リリアがそんな事を思っているなど、アーサーはおろかエレインもシェリルも微塵も気付く訳がなかった。
「リリアさん、因みにその人の名前と一の園ギルドの場所って分かります?」
「ちょっと待ってね。え~と、名前は“イヴ・アプルナナバ”。ギルドの場所は……登録されていないわね」
(イヴ・アプルナナバか……聞いた事がないな)
手に入った情報は名前のみ。
これ以上の手掛かりがないアーサーは再び頭を悩ませたが、もう遅い時間になっていた事もあってとりあえず今日の所は帰ろうという結論に至る。
リリアにお礼を言ったアーサー達はダンジョンを後にしたのだった。
~ダンジョン・メインフロア~
「見つけたわよ、アーサー君」
リリアは受付のモニターを見ながらアーサーにそう言った。
「ありがとうございますリリアさん! それで、『一の園』ってどこのギルドなんですか?」
アーサーとエレイン、そして突如としてアーサー達の前に姿を現したシェリル・ローライン。
予想だにしていなかった面子でアーサーが訪れたのはダンジョン。
理由はシェリルから受け取った封筒にあった唯一の手掛かり、『一の園』というギルドの情報を得る為。リリアに調べてもらえば何か分かるかもしれないと思ったアーサーは、直ぐにこのダンジョンへと足を運んだのだ。
「ちょっと待って……。こんな事って有り得るのかしら」
何やらモニターを見ながら驚いている様子のリリア。そんな彼女を見てアーサーも一瞬きょとんした。
「リリアさん、どうしたんですか?」
「いや……あのね、このギルド『一の園』なんだけど……ここに記録されているデータが間違っていなければ、ギルド人数は1人だけ」
「え、1人だけのギルド?」
人数が1人だけのギルドはそれほど珍しい訳ではない。だが基本的には4~5人のパーティが組める人数になってからギルド設立をするのが一般的な流れであるが、スキルが『ヒーラー』や『鍛冶師』の者達が稀にダンジョンには挑まずに専門職としてギルド設立をする場合がある。
ダンジョンでの病院的役割を果たしていると言えば分かりやすいだろう。需要と供給が成り立っている、お互いに必要不可欠な存在ともなっている。
しかし、リリアが驚いているのはギルド人数が1人だからではなかった。
「ええ。それも“彼女”のスキルはヒーラーや鍛冶師ではなくて『魔術師』よ……。しかもこのギルドが創設されたのが、今から“99年前”になっているの」
「きゅ、99年前!? 一体その人何歳なんですか!? と言うかまだ生きて……」
皆まで言い掛け、これは失礼な発言だと悟ったアーサーは反射的に自分の口を押えていた。だがリリアも思っている事は同じだったのだろう。それにアーサーとリリアは『魔術師』という聞き慣れないスキルも気になった。
「生きてはいる筈よ。もし死んだのならハンターとしてのデータは全て消えてしまうから、残っているのなら生きていると思うわ。それにこの人の魔術師って私もアカデミー生の頃に本でしか見た事がないけど、凄い珍しいスキルじゃなかったかしら?」
「そうですね……。確か魔術師のスキルはこれまでに1人しか見つかっていないとか言われてる珍しいやつです。そんな人が何故僕にこんな封筒を……?」
調べた結果余計に訳が分からなくなったアーサーは、徐に隣にいたシェリルに尋ねた。
しかし。
「何度も言いましたが私も知りません。お会いした事がありませんので」
「やっぱりそうなのか……。もう意味不明だよホントに!」
ダンジョンに来る前、アーサーは勿論シェリルに聞いていた。この封筒の差出人はどんな人物で何が目的なんだと。何故シェリルを自分なんかの所に来させたのかと。だがシェリル本人は一切知らないとの事。
差出人とのやり取りは最低限であり、いつもウォッチでのメッセージか今回の様な封筒が彼女の元に届くらしく、シェリル自身も1度もこの差出人に会った事がないそうだ。彼女曰く、差出人は“何時からか自分がお世話になっている信用出来る人”という絶妙に理解に苦しむ返答であった。
(そんな馬鹿げた話があるか)
アーサーは率直にそう思ったが、無表情で真っ直ぐ自分を見つめるシェリルを見て、アーサーはこれが本当に真実なんだと理解――いや、恐怖を覚えた瞬間であった。
「それよりアーサー君。何で君があの勇者の子と一緒にいるのかしら?」
封筒の差出人から突如話が切り替わる。アーサーにそう尋ねるリリアは目を細めて少し機嫌が悪そうだ。
「いや、それが僕にも全く理由が分からなくて……。なので今こうして調べている所なんです」
「ふーん。(ちょっと、何でよりによってあの有名なシェリルちゃんが私のアーサー君といるのよ。まさか彼女もアーサー君を狙ってるのかしら? だとしたら早急に手を打たないといけないわね)」
リリアがそんな事を思っているなど、アーサーはおろかエレインもシェリルも微塵も気付く訳がなかった。
「リリアさん、因みにその人の名前と一の園ギルドの場所って分かります?」
「ちょっと待ってね。え~と、名前は“イヴ・アプルナナバ”。ギルドの場所は……登録されていないわね」
(イヴ・アプルナナバか……聞いた事がないな)
手に入った情報は名前のみ。
これ以上の手掛かりがないアーサーは再び頭を悩ませたが、もう遅い時間になっていた事もあってとりあえず今日の所は帰ろうという結論に至る。
リリアにお礼を言ったアーサー達はダンジョンを後にしたのだった。
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