16 / 73
第16召喚 スキルが更なる高みへいきました
しおりを挟む
♢♦♢
アーサーがひたすらフロア周回する事早1ヵ月――。
Dランクの最上物であるゴブリンアーティファクト、それも全てがLv9であるアーサーの能力値では最早この新Eランクフロアは容易過ぎた。
しつこいと言うのか、ある意味持続力があると言うのか。
あれからもアーサーは変わらずアカデミーでバット達に嫌がらせを受ける日々を過ごしていが、バット達の嫌がらせ自体はもうアーサーも気にしていない。ここまでくると日常だ。
しかし、そんなバット達の嫌がらせよりも彼の心を揺さぶったのが母親の容体。
不治の病にかかってしまった母親は当然体調が思わしくないのだが、「ここ1ヵ月でまた体が弱ってきている」とお見舞いに行っているエレインから伝えられたアーサーはどうしようもない虚無感を覚えていた。
母親の容体を聞いた翌日、アーサーはこれまで全く気にしていなかったバット達の嫌がらせに猛烈に苛立ってしまった。だが今の実力で歯向かった所で結果は以前と同じ。そう思ったアーサーは再びその怒りを全てエネルギーに変え、ただひたすらダンジョンにストレスをぶつける。
毎日、毎日、毎日。
休みの日は朝から晩までずっと。アーサーは愚直に前だけを見て日々乗り越えていた。
そして。
遂にそんな彼の努力が実を結ぶ瞬間が訪れた――。
**
~ダンジョン・フロア19~
『ギギャッ!?』
今日も流れ作業かの如くフロア19のビッグゴブリンを倒したアーサー。
「よ~し、これでどうなるか……頼む! 奇跡よ起きてくれ!」
アーサーは自分しかいなフロア19で大きく叫ぶ。彼は自らのウォッチを確認した後、溜まったスキルPを使用した。
『スキルPを1,500使用。召喚士Lv20になりました。召喚士Lv20になった事によりランクが上がります』
『召喚士のランクが上がったので、ランクアップ召喚の可能ランクがDランクから“Cランク”にアップしました』
『ランクアップ召喚の上限回数が上がります』
彼の世界が180度変わったあの日――。
そしてあの日と全く同じ、ウォッチから流れたこの無機質な祝福が再びアーサーの世界をも上のランクへと押し上げた。
「や、やったぁぁぁぁぁッ……!」
両手でガッツポーズをしながら大興奮するアーサー。
そう。彼は遂にやり遂げた。
この1ヵ月ひたすらフロア周回をしたアーサーは毎日アーティファクトとスキルPを着実に溜めていた。
溜めて溜めて溜めて。召喚して召喚して召喚して。
数え切れない程地道な作業を繰り返したアーサーは、あれから召喚士としてのレベルを確実に上げていき今日遂にスキルがLv20に達した。しかもその瞬間ウォッチから流れた音声は、アーサーが何よりも期待を抱いて待ち望んでいたものであった。
「キタキタキタキタキターーー! ヤバいぞこれは……!」
ウォッチの音声を聞いたアーサーの体は次第に小刻みに震える。溢れ出る興奮に、思わず呼吸の仕方を忘れて息苦しくなるアーサー。
まさかという可能性に懸けていた彼は、まだ今日分の召喚を1度も使っていない。そしてゴクリと生唾を呑み込んだアーサーが次に取った行動。それは勿論。
「ランクアップ召喚――!」
元気よく叫んだアーサーの声が、彼しかいない静かなフロアに木霊する。
アーサーがひたすらフロア周回する事早1ヵ月――。
Dランクの最上物であるゴブリンアーティファクト、それも全てがLv9であるアーサーの能力値では最早この新Eランクフロアは容易過ぎた。
しつこいと言うのか、ある意味持続力があると言うのか。
あれからもアーサーは変わらずアカデミーでバット達に嫌がらせを受ける日々を過ごしていが、バット達の嫌がらせ自体はもうアーサーも気にしていない。ここまでくると日常だ。
しかし、そんなバット達の嫌がらせよりも彼の心を揺さぶったのが母親の容体。
不治の病にかかってしまった母親は当然体調が思わしくないのだが、「ここ1ヵ月でまた体が弱ってきている」とお見舞いに行っているエレインから伝えられたアーサーはどうしようもない虚無感を覚えていた。
母親の容体を聞いた翌日、アーサーはこれまで全く気にしていなかったバット達の嫌がらせに猛烈に苛立ってしまった。だが今の実力で歯向かった所で結果は以前と同じ。そう思ったアーサーは再びその怒りを全てエネルギーに変え、ただひたすらダンジョンにストレスをぶつける。
毎日、毎日、毎日。
休みの日は朝から晩までずっと。アーサーは愚直に前だけを見て日々乗り越えていた。
そして。
遂にそんな彼の努力が実を結ぶ瞬間が訪れた――。
**
~ダンジョン・フロア19~
『ギギャッ!?』
今日も流れ作業かの如くフロア19のビッグゴブリンを倒したアーサー。
「よ~し、これでどうなるか……頼む! 奇跡よ起きてくれ!」
アーサーは自分しかいなフロア19で大きく叫ぶ。彼は自らのウォッチを確認した後、溜まったスキルPを使用した。
『スキルPを1,500使用。召喚士Lv20になりました。召喚士Lv20になった事によりランクが上がります』
『召喚士のランクが上がったので、ランクアップ召喚の可能ランクがDランクから“Cランク”にアップしました』
『ランクアップ召喚の上限回数が上がります』
彼の世界が180度変わったあの日――。
そしてあの日と全く同じ、ウォッチから流れたこの無機質な祝福が再びアーサーの世界をも上のランクへと押し上げた。
「や、やったぁぁぁぁぁッ……!」
両手でガッツポーズをしながら大興奮するアーサー。
そう。彼は遂にやり遂げた。
この1ヵ月ひたすらフロア周回をしたアーサーは毎日アーティファクトとスキルPを着実に溜めていた。
溜めて溜めて溜めて。召喚して召喚して召喚して。
数え切れない程地道な作業を繰り返したアーサーは、あれから召喚士としてのレベルを確実に上げていき今日遂にスキルがLv20に達した。しかもその瞬間ウォッチから流れた音声は、アーサーが何よりも期待を抱いて待ち望んでいたものであった。
「キタキタキタキタキターーー! ヤバいぞこれは……!」
ウォッチの音声を聞いたアーサーの体は次第に小刻みに震える。溢れ出る興奮に、思わず呼吸の仕方を忘れて息苦しくなるアーサー。
まさかという可能性に懸けていた彼は、まだ今日分の召喚を1度も使っていない。そしてゴクリと生唾を呑み込んだアーサーが次に取った行動。それは勿論。
「ランクアップ召喚――!」
元気よく叫んだアーサーの声が、彼しかいない静かなフロアに木霊する。
284
お気に入りに追加
1,232
あなたにおすすめの小説

素材ガチャで【合成マスター】スキルを獲得したので、世界最強の探索者を目指します。
名無し
ファンタジー
学園『ホライズン』でいじめられっ子の生徒、G級探索者の白石優也。いつものように不良たちに虐げられていたが、勇気を出してやり返すことに成功する。その勢いで、近隣に出没したモンスター討伐に立候補した優也。その選択が彼の運命を大きく変えていくことになるのであった。

異世界帰りの元勇者、日本に突然ダンジョンが出現したので「俺、バイト辞めますっ!」
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
俺、結城ミサオは異世界帰りの元勇者。
異世界では強大な力を持った魔王を倒しもてはやされていたのに、こっちの世界に戻ったら平凡なコンビニバイト。
せっかく強くなったっていうのにこれじゃ宝の持ち腐れだ。
そう思っていたら突然目の前にダンジョンが現れた。
これは天啓か。
俺は一も二もなくダンジョンへと向かっていくのだった。

ダンジョンで有名モデルを助けたら公式配信に映っていたようでバズってしまいました。
夜兎ましろ
ファンタジー
高校を卒業したばかりの少年――夜見ユウは今まで鍛えてきた自分がダンジョンでも通用するのかを知るために、はじめてのダンジョンへと向かう。もし、上手くいけば冒険者にもなれるかもしれないと考えたからだ。
ダンジョンに足を踏み入れたユウはとある女性が魔物に襲われそうになっているところに遭遇し、魔法などを使って女性を助けたのだが、偶然にもその瞬間がダンジョンの公式配信に映ってしまっており、ユウはバズってしまうことになる。
バズってしまったならしょうがないと思い、ユウは配信活動をはじめることにするのだが、何故か助けた女性と共に配信を始めることになるのだった。

スキル間違いの『双剣士』~一族の恥だと追放されたが、追放先でスキルが覚醒。気が付いたら最強双剣士に~
きょろ
ファンタジー
この世界では5歳になる全ての者に『スキル』が与えられる――。
洗礼の儀によってスキル『片手剣』を手にしたグリム・レオハートは、王国で最も有名な名家の長男。
レオハート家は代々、女神様より剣の才能を与えられる事が多い剣聖一族であり、グリムの父は王国最強と謳われる程の剣聖であった。
しかし、そんなレオハート家の長男にも関わらずグリムは全く剣の才能が伸びなかった。
スキルを手にしてから早5年――。
「貴様は一族の恥だ。最早息子でも何でもない」
突如そう父に告げられたグリムは、家族からも王国からも追放され、人が寄り付かない辺境の森へと飛ばされてしまった。
森のモンスターに襲われ絶対絶命の危機に陥ったグリム。ふと辺りを見ると、そこには過去に辺境の森に飛ばされたであろう者達の骨が沢山散らばっていた。
それを見つけたグリムは全てを諦め、最後に潔く己の墓を建てたのだった。
「どうせならこの森で1番派手にしようか――」
そこから更に8年――。
18歳になったグリムは何故か辺境の森で最強の『双剣士』となっていた。
「やべ、また力込め過ぎた……。双剣じゃやっぱ強すぎるな。こりゃ1本は飾りで十分だ」
最強となったグリムの所へ、ある日1体の珍しいモンスターが現れた。
そして、このモンスターとの出会いがグレイの運命を大きく動かす事となる――。

劣等生のハイランカー
双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
ダンジョンが当たり前に存在する世界で、貧乏学生である【海斗】は一攫千金を夢見て探索者の仮免許がもらえる周王学園への入学を目指す!
無事内定をもらえたのも束の間。案内されたクラスはどいつもこいつも金欲しさで集まった探索者不適合者たち。通称【Fクラス】。
カーストの最下位を指し示すと同時、そこは生徒からサンドバッグ扱いをされる掃き溜めのようなクラスだった。
唯一生き残れる道は【才能】の覚醒のみ。
学園側に【将来性】を示せねば、一方的に搾取される未来が待ち受けていた。
クラスメイトは全員ライバル!
卒業するまで、一瞬たりとも油断できない生活の幕開けである!
そんな中【海斗】の覚醒した【才能】はダンジョンの中でしか発現せず、ダンジョンの外に出れば一般人になり変わる超絶ピーキーな代物だった。
それでも【海斗】は大金を得るためダンジョンに潜り続ける。
難病で眠り続ける、余命いくばくかの妹の命を救うために。
かくして、人知れず大量のTP(トレジャーポイント)を荒稼ぎする【海斗】の前に不審に思った人物が現れる。
「おかしいですね、一学期でこの成績。学年主席の私よりも高ポイント。この人は一体誰でしょうか?」
学年主席であり【氷姫】の二つ名を冠する御堂凛華から注目を浴びる。
「おいおいおい、このポイントを叩き出した【MNO】って一体誰だ? プロでもここまで出せるやつはいねーぞ?」
時を同じくゲームセンターでハイスコアを叩き出した生徒が現れた。
制服から察するに、近隣の周王学園生であることは割ている。
そんな噂は瞬く間に【学園にヤバい奴がいる】と掲示板に載せられ存在しない生徒【ゴースト】の噂が囁かれた。
(各20話編成)
1章:ダンジョン学園【完結】
2章:ダンジョンチルドレン【完結】
3章:大罪の権能【完結】
4章:暴食の力【完結】
5章:暗躍する嫉妬【完結】
6章:奇妙な共闘【完結】
7章:最弱種族の下剋上【完結】

召喚されたら無能力だと追放されたが、俺の力はヘルプ機能とチュートリアルモードだった。世界の全てを事前に予習してイージーモードで活躍します
あけちともあき
ファンタジー
異世界召喚されたコトマエ・マナビ。
異世界パルメディアは、大魔法文明時代。
だが、その時代は崩壊寸前だった。
なのに人類同志は争いをやめず、異世界召喚した特殊能力を持つ人間同士を戦わせて覇を競っている。
マナビは魔力も闘気もゼロということで無能と断じられ、彼を召喚したハーフエルフ巫女のルミイとともに追放される。
追放先は、魔法文明人の娯楽にして公開処刑装置、滅びの塔。
ここで命運尽きるかと思われたが、マナビの能力、ヘルプ機能とチュートリアルシステムが発動する。
世界のすべてを事前に調べ、起こる出来事を予習する。
無理ゲーだって軽々くぐり抜け、デスゲームもヌルゲーに変わる。
化け物だって天変地異だって、事前の予習でサクサククリア。
そして自分を舐めてきた相手を、さんざん煽り倒す。
当座の目的は、ハーフエルフ巫女のルミイを実家に帰すこと。
ディストピアから、ポストアポカリプスへと崩壊していくこの世界で、マナビとルミイのどこか呑気な旅が続く。

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ
25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。
目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。
ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。
しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。
ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。
そんな主人公のゆったり成長期!!

現代ダンジョンで成り上がり!
カメ
ファンタジー
現代ダンジョンで成り上がる!
現代の世界に大きな地震が全世界同時に起こると共に、全世界にダンジョンが現れた。
舞台はその後の世界。ダンジョンの出現とともに、ステータスが見れる様になり、多くの能力、スキルを持つ人たちが現れる。その人達は冒険者と呼ばれる様になり、ダンジョンから得られる貴重な資源のおかげで稼ぎが多い冒険者は、多くの人から憧れる職業となった。
四ノ宮翔には、いいスキルもステータスもない。ましてや呪いをその身に受ける、呪われた子の称号を持つ存在だ。そんな彼がこの世界でどう生き、成り上がるのか、その冒険が今始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる