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4杯目~導き酒~
47 終焉の光~協奏曲~
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「危ない危ない……! 今のはヤバかった……ヒャハハ」
「笑い事じゃない! 集中しろ馬鹿タヌキ!」
「今はタヌキじゃないでしょうよアクルちゃん」
奴が咆哮を放った刹那、俺は再び一太刀攻撃を入れ2人の元へ寄った。
「アクル、ルルカ、助かったぜ。どうにか攻撃が通じるみてぇだな」
「ああ。援護ぐらいしか出来ないが任せろ。お前は奴の首を切り落とす事だけに集中すればいい」
「そうそう。ジンの旦那が倒さなきゃ全滅だからね。頑張ってもらわなきゃ困るんよ」
「相変わらずだなお前は……。それより“どうだ”?」
当初の見込み通り、リフェルの魔法は満月龍相手には使えない。さっきみたいに魔力が相殺されちまう様だ。だがこんな事は想定内。俺達は他に手を考えていた。
「“問題なし”! これなら永遠にこの姿でいられるね」
そう。
リフェルの魔法は“満月龍には”通じない。しかし逆を言えば、“満月龍以外”ならば今までと変わらず魔法が使える。
ルルカの呪いはまだ消えていない。
コイツが人間の姿をキープ出来るのは魔力を全て消耗してしまう10分が限界であったが、付与魔法で余り余るリフェルの魔力を与えればずっと人間の姿でいられるんじゃないかと、俺達は前から試していたのだ。
取り敢えず結果は成功。
対象が満月龍でなければ大丈夫なのは分かった。後は……。
「リフェル! アクルとルルカに付与魔法全部掛けろ」
直接攻撃出来ないなら出来ないでやり方を変えるだけだ。
リフェルは2人に付与魔法を掛ける。
最後の問題はこの付与の効果がどこまで持つか……。
対象が満月龍じゃないとは言え根本は奴の魔力。実際に付与状態でもその効果が相殺される事なく奴を攻撃出来るのか……。これも実際に試してみる他ねぇ。
「身体強化、魔力値上昇、魔法威力上昇、耐魔法防御値上昇、全状態異常効果無効。アクル、ルルカ共に通常の戦力値より大幅上昇。満月龍と1対1で戦闘した場合、2人の勝率は1.374%にまで引きあがりました。
ついでに即死レベルの致命傷を受けてもガードしてくれる魔法陣シールドが10枚守ってくれています。全て破壊されてもまた私がシールドを追加してあげますので、心置きなく戦いに集中して下さい」
「寧ろ死ぬイメージが強まったのは俺だけ……?」
「初めから分かり切っていた事だ。切り替えろ。サシで戦わなくていいのが唯一の救いだ」
「間違いないね」
羨ましい限りだ。
本当なら俺にも付与魔法掛けてもらいてぇ。即死レベルもガードしてくれるシールドって何だよ。反則だろソレ。欲しいぞ俺も。
「羨ましそうな目で見ている暇はありませんよジンフリー。アナタには“掛けられない”のだから、早く極限まで魂力を高めて満月龍を倒しなさい! もたもたしていると死にますよ」
「はいはい、分かってますよ。……エマ大丈夫か?」
「平気よ……。大した事ないわ」
見るからに余裕がない。無理もねぇがな。こんなの目の前にして正気を保つ方が難しい。この上ない絶望感を感じたいるだろうが、それでもエマの凄い所は、完全に気持ちが折れていない事。
常人では考えられない環境で育ったこの子は、まさに終焉が眼前に迫っている中でも尚、気持ちを立て直そうとしている。
『ギギャァァッ!』
「――来るぞ!」
それでも満月龍は待ってくれない。
これは互いの命を奪うか奪われるかの生存の戦いだ――。
「俺はまた顔面狙いでいくから宜しく!」
「ジンフリーの“竜化”まで攻撃の手を休めるな。リフェル、オラとルルカの魔力が切れない様に援護頼む」
「了解!」
態勢を整えた満月龍が再び怒涛の攻撃を仕掛けてくる。
俺達3人は一進一退の攻防を続けた。
――ズドォン! ガキィン! ブワンッ! シュバババ! ボオォォォ!
誰も言葉を発する事なく、ただひたすら激闘だけが続く。
――シュバン! ズガガッ! ザシュン! ボゴォン! ガキィン!
鳴り響く激しい轟音と地響き。
もしここが王国のど真ん中であったら、一体何人の犠牲者が出ているのだろうか。
――ボゴォン! ガキィン! ドドドッ! シュバババ! ボオォォォ!
「うらぁッ!!」
『ヴォォォ!!』
もうどれだけの時間が経った……?
「ハァ……ハァ……ハァ……」
何十分? いや、何時間だ……?
「大丈夫かジンフリー」
「ああ……ハァ……ハァ……余裕だよ」
あれから魂力は練り上げてとっくに“準備”は整った。
だが如何せん、中々隙が作れねぇ。
流石満月と言うべきか……攻撃を食らわせれば食らわす程、弱るどころか動きが洗練され攻撃しづらくなってきている。心なしか攻撃の威力もキレも上がってんじゃねぇか……?
「ぶっちゃけ……あの満月龍と……ハァ……ここまで渡り合えている事が奇跡だ……」
「だろうな。リフェルの魔法効果がデカい」
「ああ。竜化も問題はねぇ……後は……一瞬でいい。僅か一瞬でいいから……奴の首を斬る隙さえあれば……」
満月龍の強さが増しているのは事実。俺が体力消耗しているのを差し引いてもな。このままじゃジリ貧……。
何とか隙をついて、次の一撃で全てを終わらせるしかねぇ――。
「後もう少しなんだけどな……。お前の体力が尽きる前に、どうにかしてオラとルルカが隙を作ってやる。それを見逃すなよ」
「頼むぜ……」
情けないがそろそろ体力が限界。
3人で必死に攻撃を仕掛けているが、後1歩……後もう1歩で何とか隙を作れそうなのによ……。
「――私に付与魔法掛けて」
「笑い事じゃない! 集中しろ馬鹿タヌキ!」
「今はタヌキじゃないでしょうよアクルちゃん」
奴が咆哮を放った刹那、俺は再び一太刀攻撃を入れ2人の元へ寄った。
「アクル、ルルカ、助かったぜ。どうにか攻撃が通じるみてぇだな」
「ああ。援護ぐらいしか出来ないが任せろ。お前は奴の首を切り落とす事だけに集中すればいい」
「そうそう。ジンの旦那が倒さなきゃ全滅だからね。頑張ってもらわなきゃ困るんよ」
「相変わらずだなお前は……。それより“どうだ”?」
当初の見込み通り、リフェルの魔法は満月龍相手には使えない。さっきみたいに魔力が相殺されちまう様だ。だがこんな事は想定内。俺達は他に手を考えていた。
「“問題なし”! これなら永遠にこの姿でいられるね」
そう。
リフェルの魔法は“満月龍には”通じない。しかし逆を言えば、“満月龍以外”ならば今までと変わらず魔法が使える。
ルルカの呪いはまだ消えていない。
コイツが人間の姿をキープ出来るのは魔力を全て消耗してしまう10分が限界であったが、付与魔法で余り余るリフェルの魔力を与えればずっと人間の姿でいられるんじゃないかと、俺達は前から試していたのだ。
取り敢えず結果は成功。
対象が満月龍でなければ大丈夫なのは分かった。後は……。
「リフェル! アクルとルルカに付与魔法全部掛けろ」
直接攻撃出来ないなら出来ないでやり方を変えるだけだ。
リフェルは2人に付与魔法を掛ける。
最後の問題はこの付与の効果がどこまで持つか……。
対象が満月龍じゃないとは言え根本は奴の魔力。実際に付与状態でもその効果が相殺される事なく奴を攻撃出来るのか……。これも実際に試してみる他ねぇ。
「身体強化、魔力値上昇、魔法威力上昇、耐魔法防御値上昇、全状態異常効果無効。アクル、ルルカ共に通常の戦力値より大幅上昇。満月龍と1対1で戦闘した場合、2人の勝率は1.374%にまで引きあがりました。
ついでに即死レベルの致命傷を受けてもガードしてくれる魔法陣シールドが10枚守ってくれています。全て破壊されてもまた私がシールドを追加してあげますので、心置きなく戦いに集中して下さい」
「寧ろ死ぬイメージが強まったのは俺だけ……?」
「初めから分かり切っていた事だ。切り替えろ。サシで戦わなくていいのが唯一の救いだ」
「間違いないね」
羨ましい限りだ。
本当なら俺にも付与魔法掛けてもらいてぇ。即死レベルもガードしてくれるシールドって何だよ。反則だろソレ。欲しいぞ俺も。
「羨ましそうな目で見ている暇はありませんよジンフリー。アナタには“掛けられない”のだから、早く極限まで魂力を高めて満月龍を倒しなさい! もたもたしていると死にますよ」
「はいはい、分かってますよ。……エマ大丈夫か?」
「平気よ……。大した事ないわ」
見るからに余裕がない。無理もねぇがな。こんなの目の前にして正気を保つ方が難しい。この上ない絶望感を感じたいるだろうが、それでもエマの凄い所は、完全に気持ちが折れていない事。
常人では考えられない環境で育ったこの子は、まさに終焉が眼前に迫っている中でも尚、気持ちを立て直そうとしている。
『ギギャァァッ!』
「――来るぞ!」
それでも満月龍は待ってくれない。
これは互いの命を奪うか奪われるかの生存の戦いだ――。
「俺はまた顔面狙いでいくから宜しく!」
「ジンフリーの“竜化”まで攻撃の手を休めるな。リフェル、オラとルルカの魔力が切れない様に援護頼む」
「了解!」
態勢を整えた満月龍が再び怒涛の攻撃を仕掛けてくる。
俺達3人は一進一退の攻防を続けた。
――ズドォン! ガキィン! ブワンッ! シュバババ! ボオォォォ!
誰も言葉を発する事なく、ただひたすら激闘だけが続く。
――シュバン! ズガガッ! ザシュン! ボゴォン! ガキィン!
鳴り響く激しい轟音と地響き。
もしここが王国のど真ん中であったら、一体何人の犠牲者が出ているのだろうか。
――ボゴォン! ガキィン! ドドドッ! シュバババ! ボオォォォ!
「うらぁッ!!」
『ヴォォォ!!』
もうどれだけの時間が経った……?
「ハァ……ハァ……ハァ……」
何十分? いや、何時間だ……?
「大丈夫かジンフリー」
「ああ……ハァ……ハァ……余裕だよ」
あれから魂力は練り上げてとっくに“準備”は整った。
だが如何せん、中々隙が作れねぇ。
流石満月と言うべきか……攻撃を食らわせれば食らわす程、弱るどころか動きが洗練され攻撃しづらくなってきている。心なしか攻撃の威力もキレも上がってんじゃねぇか……?
「ぶっちゃけ……あの満月龍と……ハァ……ここまで渡り合えている事が奇跡だ……」
「だろうな。リフェルの魔法効果がデカい」
「ああ。竜化も問題はねぇ……後は……一瞬でいい。僅か一瞬でいいから……奴の首を斬る隙さえあれば……」
満月龍の強さが増しているのは事実。俺が体力消耗しているのを差し引いてもな。このままじゃジリ貧……。
何とか隙をついて、次の一撃で全てを終わらせるしかねぇ――。
「後もう少しなんだけどな……。お前の体力が尽きる前に、どうにかしてオラとルルカが隙を作ってやる。それを見逃すなよ」
「頼むぜ……」
情けないがそろそろ体力が限界。
3人で必死に攻撃を仕掛けているが、後1歩……後もう1歩で何とか隙を作れそうなのによ……。
「――私に付与魔法掛けて」
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