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2杯目~旅立ち酒~
25 かすり傷
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「……大丈夫か?」
「問題ありマセン。余り二想定外だったので思考ガ停止してイルだけデス」
リフェルの仰る通り。俺達の目的は満月龍の討伐。
強大な満月龍の力を利用してあの満月龍を制そうと思っていたのに。
それが唯一奴に対抗できる力だと思っていたのに。
満月龍のまだ知らぬ情報をアクルから得た瞬間、俺達の旅は静かに終わりを告げようとしていた――。
だってもうよく分からん。
満月龍の魔力じゃ奴を倒せないどころか回復されるって……。
しかも残る唯一の方法である紅鏡龍とかいうドラゴンはもう存在しない。しかもそれ倒したの俺の先祖とか言うし。そもそも紅鏡龍が存在したとしても、あんな化け物ドラゴンを手懐けるなんて到底不可能。よってどの道討伐する術がない。
いや……。だから俺の先祖はどうやって紅鏡龍を倒した?
アクルは魂力がどうのこうの言っていたけど、まさか俺の先祖も魔力使えなかったとか? 遺伝するって聞いたことはある。でも俺の親もお爺もお婆も普通に魔力持ってたけどな。
仮に魂力だけだろうが強い魔力があろうが、そんなの満月龍の前では無に等しい筈だ。それにも関わらずたった2人で? 俺と同じ人間が?
あり得ねぇ。どんな魔法使ったんだよ。それとも魂力で倒したのか? それこそあり得ねぇだろ。
「まだ動かないな」
「一瞬の思考停止カラ必死に脳みそフル回転させている様デス。まぁ元々のキャパが大したことナイので直ぐに正常に戻りマスよ」
リフェルにそんな事を言われているとも知らない俺は、自分なりに必死に頭を振り絞りながら自問自答していた。
僅か数秒の事。
だが俺にとっては解けない問題を永遠に問われている様な、そんな感覚であった。
そして……。
考えに考えた俺は、ある1つの結論へと辿り着いた。
“もう考えるの止めよ――。”
こうして俺は正常に戻る事が出来た。
「――よし。結果どうする?」
俺はリフェルとアクルに聞いた。
「ハイ。アクルからの情報を得た私の最新の計算では……エラー。他に討伐方法に辿り着くデータが存在しマセン。満月龍の魔力デ倒せないとナルと私ノ役目は最早終わりデス。エラー箇所は満月龍ノ討伐方法。このエラーが解消ししない様ナラバ私は起動停止致しマス」
「おいおい、ちょっと待て! 何だよ起動停止って」
「満月龍の魔力デ倒せないと分かった以上、私達の旅の成功率は0%。スル意味がありマセン。ソウなれば当然私の役目も終わりデスので、起動停止が必然の形となりマスよ」
「確かにそうかもしれねぇが待て、早まるな。要はそのエラーを解消すりゃいいんだろ? アクル、その2人はどうやって紅鏡龍を倒したんだ?」
「ああ。お前の先祖であるバン・ショウ・ドミナトルは、当時人類の中で最強と謳われた大剣士であり、もう1人のローゼン・シンラーという女は魔女の血を引く者であった。魔女には魔法とは別に“魔術”という特殊な術がある。強い術の代わりに代償を払わなければならないらしいが、その威力や効力は折り紙付きだ。
そんなローゼンは、魔術によって満月龍の“鱗”を生み出した」
「満月龍の鱗? どうしてそんな物を……」
「正確には“それしか”出来なかったのだ。例え代償を払った魔術だとしても、所詮は1人の人間の力。その鱗1枚生み出す為、ローゼンは自らの寿命と右腕と右足……そして全魔力を失った」
寿命だと……?それが魔術の代償とかいうやつなのか……? しかもたった鱗1枚でそんなに……。
「まさに命懸け。そうして生み出した満月龍の鱗で、2人は一振りの剣を作った。この世で唯一紅鏡龍に攻撃が通じる最強の剣だ。
そしてそれを扱うは最強の大剣士バン。
バンはその剣術の腕が最強と謳われた所以であるが、剣術レベルと同等……いや、それ以上にバンという名を世界に轟かせたの理由は、人間離れした圧倒的な“威力”――。
バンの一振りは大地を裂き天を割ると言われた程。そしてそれを可能にしたのが外でもない、人間の持つ魂力だそうだ。
結末は至ってシンプル。
バンはその満月龍の鱗の剣で紅鏡龍と対峙。当然の如くバンは紅鏡龍相手に苦戦をした様だが、最後は奴の首を一刀両断し、壮絶な闘いに決着を着けたとの事だ」
話しが飛躍し過ぎて直ぐに言葉が出てこなかった。
「――オラが知っているのはこれぐらい。お前達が本当に知りたいであろう満月龍の居場所や倒し方に正確な事は言えぬ。理屈では分かっていてもオラは魂力すら扱えないからな。バンの実力がかなりのものと言う他ない」
「そうか……。ありがとうなアクル。お陰でかなり有力な情報を得られたぜ」
「人間は嫌いだがお前達には息子を助けてもらった。もっと具体的な事を知っていれば良かったのだが」
「十分だよ。このままお前に会わなかったら俺達は間違いなく死んでいたからな。ハハハ」
「これはオラの憶測だが、お前の持つその剣……もしかしたら“紅剣・ベニフリート”かも知れぬな」
ベニフリート……? 何だそれ?
俺は自らの腰に提げてあった剣を見た。
「さっき言っただろう。5年前にお前が満月龍に襲われた時、“かすり傷”を付けるのが精一杯だったと」
「ああ。それがどう……」
そうか――。
「気付いた様だな。満月龍にダメージを与えられるのは“紅鏡龍のみ”。つまり、お前のその剣は紅鏡龍で造られた剣の可能性が極めて高い。と言うより、間違いなくそうだろうな」
「この剣が……」
「紅鏡龍を倒した後、バンとローゼンは紅鏡龍で再び剣を作ったと言われている。その目的は勿論満月龍の討伐。
だが、どうやら2人が生きている間には出会えなかったらしい。まぁそもそも紅鏡龍を見つけて倒した事自体が奇跡だ。何せ相手は幻のドラゴン。人間の寿命では生きている内に遭遇する方が困難だ。
お前がバン・ショウ・ドミナトルの末裔ならば、ベニフリートがお前に渡っているのもまた必然か」
ガキの頃お爺に貰ったこの剣がまさかそんな凄い物だったとは。ろくに手入れもしてねぇのに長持ちするなとは思っていたけどよ。それにしても想定外過ぎた。
「これがベニフリートとか言う紅鏡龍の剣なら、満月龍の鱗で作ったもう一振りはどうなったんだ?」
「満月龍の剣は数日後に消滅してしまったらしい。代償を払ったとはいえ所詮魔術で生み出した物だからな」
成程。だとすればますますこの剣が重要になってくるな。これからはもっと大事にしよう……。
そんな事を思っていると、またもリフェルが唐突に話し出した。
「エラー解除。情報のアップデートによりマダ起動停止致しマセン」
「お、何か直ったみたいだぞ」
「ジンフリー。引き続き満月龍ヲ探しマスよ。私の1ターンキル作戦は無効となりマシタが、満月龍の魔力でまだ魔法は使えマス。仕方ありマセンが魔力0のアナタをサポートしてあげマス。魔力0では何も出来マセンから」
「そうだな。魔力0の俺じゃ魔法が使えない。だから早速使ってくれリフェル」
「何ヲ?」
「行くぞ。“フランクゲート”によ」
「――⁉」
「問題ありマセン。余り二想定外だったので思考ガ停止してイルだけデス」
リフェルの仰る通り。俺達の目的は満月龍の討伐。
強大な満月龍の力を利用してあの満月龍を制そうと思っていたのに。
それが唯一奴に対抗できる力だと思っていたのに。
満月龍のまだ知らぬ情報をアクルから得た瞬間、俺達の旅は静かに終わりを告げようとしていた――。
だってもうよく分からん。
満月龍の魔力じゃ奴を倒せないどころか回復されるって……。
しかも残る唯一の方法である紅鏡龍とかいうドラゴンはもう存在しない。しかもそれ倒したの俺の先祖とか言うし。そもそも紅鏡龍が存在したとしても、あんな化け物ドラゴンを手懐けるなんて到底不可能。よってどの道討伐する術がない。
いや……。だから俺の先祖はどうやって紅鏡龍を倒した?
アクルは魂力がどうのこうの言っていたけど、まさか俺の先祖も魔力使えなかったとか? 遺伝するって聞いたことはある。でも俺の親もお爺もお婆も普通に魔力持ってたけどな。
仮に魂力だけだろうが強い魔力があろうが、そんなの満月龍の前では無に等しい筈だ。それにも関わらずたった2人で? 俺と同じ人間が?
あり得ねぇ。どんな魔法使ったんだよ。それとも魂力で倒したのか? それこそあり得ねぇだろ。
「まだ動かないな」
「一瞬の思考停止カラ必死に脳みそフル回転させている様デス。まぁ元々のキャパが大したことナイので直ぐに正常に戻りマスよ」
リフェルにそんな事を言われているとも知らない俺は、自分なりに必死に頭を振り絞りながら自問自答していた。
僅か数秒の事。
だが俺にとっては解けない問題を永遠に問われている様な、そんな感覚であった。
そして……。
考えに考えた俺は、ある1つの結論へと辿り着いた。
“もう考えるの止めよ――。”
こうして俺は正常に戻る事が出来た。
「――よし。結果どうする?」
俺はリフェルとアクルに聞いた。
「ハイ。アクルからの情報を得た私の最新の計算では……エラー。他に討伐方法に辿り着くデータが存在しマセン。満月龍の魔力デ倒せないとナルと私ノ役目は最早終わりデス。エラー箇所は満月龍ノ討伐方法。このエラーが解消ししない様ナラバ私は起動停止致しマス」
「おいおい、ちょっと待て! 何だよ起動停止って」
「満月龍の魔力デ倒せないと分かった以上、私達の旅の成功率は0%。スル意味がありマセン。ソウなれば当然私の役目も終わりデスので、起動停止が必然の形となりマスよ」
「確かにそうかもしれねぇが待て、早まるな。要はそのエラーを解消すりゃいいんだろ? アクル、その2人はどうやって紅鏡龍を倒したんだ?」
「ああ。お前の先祖であるバン・ショウ・ドミナトルは、当時人類の中で最強と謳われた大剣士であり、もう1人のローゼン・シンラーという女は魔女の血を引く者であった。魔女には魔法とは別に“魔術”という特殊な術がある。強い術の代わりに代償を払わなければならないらしいが、その威力や効力は折り紙付きだ。
そんなローゼンは、魔術によって満月龍の“鱗”を生み出した」
「満月龍の鱗? どうしてそんな物を……」
「正確には“それしか”出来なかったのだ。例え代償を払った魔術だとしても、所詮は1人の人間の力。その鱗1枚生み出す為、ローゼンは自らの寿命と右腕と右足……そして全魔力を失った」
寿命だと……?それが魔術の代償とかいうやつなのか……? しかもたった鱗1枚でそんなに……。
「まさに命懸け。そうして生み出した満月龍の鱗で、2人は一振りの剣を作った。この世で唯一紅鏡龍に攻撃が通じる最強の剣だ。
そしてそれを扱うは最強の大剣士バン。
バンはその剣術の腕が最強と謳われた所以であるが、剣術レベルと同等……いや、それ以上にバンという名を世界に轟かせたの理由は、人間離れした圧倒的な“威力”――。
バンの一振りは大地を裂き天を割ると言われた程。そしてそれを可能にしたのが外でもない、人間の持つ魂力だそうだ。
結末は至ってシンプル。
バンはその満月龍の鱗の剣で紅鏡龍と対峙。当然の如くバンは紅鏡龍相手に苦戦をした様だが、最後は奴の首を一刀両断し、壮絶な闘いに決着を着けたとの事だ」
話しが飛躍し過ぎて直ぐに言葉が出てこなかった。
「――オラが知っているのはこれぐらい。お前達が本当に知りたいであろう満月龍の居場所や倒し方に正確な事は言えぬ。理屈では分かっていてもオラは魂力すら扱えないからな。バンの実力がかなりのものと言う他ない」
「そうか……。ありがとうなアクル。お陰でかなり有力な情報を得られたぜ」
「人間は嫌いだがお前達には息子を助けてもらった。もっと具体的な事を知っていれば良かったのだが」
「十分だよ。このままお前に会わなかったら俺達は間違いなく死んでいたからな。ハハハ」
「これはオラの憶測だが、お前の持つその剣……もしかしたら“紅剣・ベニフリート”かも知れぬな」
ベニフリート……? 何だそれ?
俺は自らの腰に提げてあった剣を見た。
「さっき言っただろう。5年前にお前が満月龍に襲われた時、“かすり傷”を付けるのが精一杯だったと」
「ああ。それがどう……」
そうか――。
「気付いた様だな。満月龍にダメージを与えられるのは“紅鏡龍のみ”。つまり、お前のその剣は紅鏡龍で造られた剣の可能性が極めて高い。と言うより、間違いなくそうだろうな」
「この剣が……」
「紅鏡龍を倒した後、バンとローゼンは紅鏡龍で再び剣を作ったと言われている。その目的は勿論満月龍の討伐。
だが、どうやら2人が生きている間には出会えなかったらしい。まぁそもそも紅鏡龍を見つけて倒した事自体が奇跡だ。何せ相手は幻のドラゴン。人間の寿命では生きている内に遭遇する方が困難だ。
お前がバン・ショウ・ドミナトルの末裔ならば、ベニフリートがお前に渡っているのもまた必然か」
ガキの頃お爺に貰ったこの剣がまさかそんな凄い物だったとは。ろくに手入れもしてねぇのに長持ちするなとは思っていたけどよ。それにしても想定外過ぎた。
「これがベニフリートとか言う紅鏡龍の剣なら、満月龍の鱗で作ったもう一振りはどうなったんだ?」
「満月龍の剣は数日後に消滅してしまったらしい。代償を払ったとはいえ所詮魔術で生み出した物だからな」
成程。だとすればますますこの剣が重要になってくるな。これからはもっと大事にしよう……。
そんな事を思っていると、またもリフェルが唐突に話し出した。
「エラー解除。情報のアップデートによりマダ起動停止致しマセン」
「お、何か直ったみたいだぞ」
「ジンフリー。引き続き満月龍ヲ探しマスよ。私の1ターンキル作戦は無効となりマシタが、満月龍の魔力でまだ魔法は使えマス。仕方ありマセンが魔力0のアナタをサポートしてあげマス。魔力0では何も出来マセンから」
「そうだな。魔力0の俺じゃ魔法が使えない。だから早速使ってくれリフェル」
「何ヲ?」
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「――⁉」
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