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第1話 無力は死ぬだけ
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俺は城壁から街を見下ろした。
建物は倒壊し、あちこちから火の手が上がっている。
「くそ……ッ!」
街で唯一無事なのは、小高い丘にあるこの伯爵の小城だけ。周囲にある民家や店は、ゴブリン共の手によって破壊し尽されていた。
「来たぞォォォッ!!」
見張りの兵士が大声で叫ぶ。木で作ったであろう梯子を持ったゴブリン達が、城壁に近付いて来た。その数は優に数百。そして更にその後方には四千弱のゴブリン軍が。
「奴らの侵入を絶対に許すな!」
「「うおおお!!」」
ハンク戦士長の声に、七十程の兵士達が呼応する。
これが、この城の全兵士だ。
「今度こそ突破されるぞ……」
「もう終わりだ」
隣から絶望の声が聞こえてきた。
恐怖に青ざめ、震えている中年男性と老人。彼らは俺と同じ、ただの町民だ。魔物と戦えるだけの勇気も力もない。
しかしゴブリンの侵入を防ぐ為には、俺達い一般町民も戦わねばならなかった。 弓も魔法も使えない。だが城壁から石を落とす事は出来るのだから。
兵士七十人、町人二百人。たったそれだけの戦力で、俺達は三日間もゴブリンの攻撃を凌いだ。ハンク戦士長の優れた武と指揮力のお陰だ。でもそれも潮時。いつ来るか分からない襲撃に怯え、まともに眠る事も出来ず、食事の量もまるで足りていなかった。既に皆の疲労は限界だった。
「畜生……応援はいつ来るんだよ……」
隣の男が半ベソでボソリと呟いた。
領主であるルートガー伯爵は、ゴブリンの襲撃直後に百騎の騎兵と共に、この街を脱出していた。
本人は「逃げるのではない! 援軍を呼びに行くのだ!」と戯言を吐いたが、伯爵本人が行く必要などない。俺達を見捨てたのだ。
ハンク戦士長と、彼に忠実な兵士達だけが、ここに残って俺達の為に戦ってくれていた。しかし、伯爵が他の貴族に援軍を求めているのは確かな筈だ。そろそろ助けが来てもよさそうなのだが。
「四千のゴブリンと戦える領主なんて、この辺りにはいねぇ!」
別の男が、半ベソをかく男を怒鳴りつけた。
そう。この辺りの領主が所有する兵力は、ぜいぜい数百程度。連合軍でも編成しない限り、とてもじゃないが太刀打ち出来ない。だから直ぐの援軍が来ないのだ。
「“邪神”の言い伝えは本当だったのか……」
男は涙を拭い、そう漏らす。
邪神降臨の伝説――。
ここベルックスの街には、大昔から邪神が地獄から甦ると伝えられている。
「あいつが邪神なのだろうか」
俺はゴブリン軍の中央にいる魔物を見る。ゴブリンロード、ゴブリンの王の中の王だ。 通常十匹程度の群れしか作らないゴブリンだが、ゴブリンロードが誕生した時だけは別。
奴はその力と知性を用い、他のゴブリンの群れを次々と吸収する。そして、小さな街なら簡単に滅ぼせる程の大軍団となるのだ。
「投石始め!」
城壁に数十の梯子が掛けられた。俺は集めて置いた石を一つ手に取り、真下にいるゴブリンに向かって投げつける。隣にいる男達も一心不乱に石を放っている。
「食らえ、火球!」
兵士の手から火の球が発射され、ゴブリンに着弾すると小さな爆発を起こした。梯子が後ろに倒れ、登っていたゴブリン達は地面に叩きつけられ即死。
「狙撃ぃぃぃ!」
兵士が狙撃のスキルを使い、矢を放つ。彼の放った矢は全て、ヘッドショットを決めていた。
魔法とスキルの力は偉大だ。
生まれた時に神から授けられるこの力がなければ、魔物が蔓延るこの世界で、人類が繁栄する事はかっただろう。
だが、俺にはその魔法もスキルの才能も全くなかった。
「くそがッ! 来るな!」
俺はゴブリンと自分の無能さに対する怒り、両方の怒りを込めて石を投げる。ゴブリンは梯子から落下する。
ざまあみろ。
ゴブリン達も連日の戦いで疲労している様子。昨日までの勢いが失われており、城壁の上まで辿り着ける者は一匹もいなかった。
「ゴブリン達が撤退していくぞ、今日も何とか生き延びられた様だ」
「「うおおお!」」
兵士と町民から歓声が上がった。流石にもう駄目だろうと思っていた状況から、まさかの勝利。誰もが興奮するのは無理もない。
ハンク戦士長は街の外に目を向けた。
それに釣られ、俺もその方角を見る。すると、空に幾つもの黒い点が見えた。
「鳥?」
その群れはゴブリン達の陣地へと降り立った。かなり大きい鳥だ。暫くすると、徐に飛び出し、こちらを向かってきた。
「あれはハーピーだ! 奴らめ、手を組んだのか。弓を構えろ!」
兵士達が弓を構える。マズい。矢が足りない上に、先程のゴブリンを撃退する為に魔力も消耗している。この状態でハーピーを撃ち落とせるのか。
ゴブリンを掴んだハーピーが、一気に小城の上空へと向かってくる。
「撃てぇぇぇッ!」
矢と魔法がハーピーに向けて一斉に発射された。だがハーピーの機動力が高く、数匹しか撃ち落とせない。
手間取っていると、ハーピーが地上に降下。ゴブリンの先兵を降ろした。
「何としてでも死守するんだ!」
「「うおおお!」」
ハンク戦士長は強い。ゴブリンの先兵を次々と斬り殺していく。彼の勇猛さに兵士達も鼓舞され、勇敢に戦う。兵士達が圧倒的に有利だ。
俺は不意に城壁の外を見る。そして、戦士長に大声で叫んだ。
「戦士長! ゴブリン達が、再び梯子を持って攻めてきました!」
ハンク戦士長はゴブリンを斬り殺しながら、目を見開いた。
「ちっ、城壁は君達で守ってくれ!」
俺達町民の投石だけでゴブリンを撃退しろと?
そんなの無理だ。他の町民も俺と同じ事を思ったのだろう。何人かがパニックを起こし、それが周囲に伝播してしまった。
ある者は女子供が隠れている城内に逃げ、ある者はその場で泣き叫び、ある者はゴブリンに殺される前に城壁から身を投げた。
投石をまともに行っている者は、もう三割にも満たなかった。
「うわぁぁぁぁ!」
「せ、戦士長、助けて下さいッ」
ハーピー達が何人かの兵士を掴み、上空へと舞う。
グシャッ。
空中から落とされ、兵士の四肢があらぬ方向に曲がった。
地上のゴブリンと上空の二方向からの攻撃を受け、兵士達は完全に形勢不利となる。挙句に数百のゴブリンが梯子を登り始めているという始末。
完全に終わった。
「……いや、諦めるな。まだ生きてるじゃないか」
俺は石を拾い、梯子を登るゴブリンに投げ付けた。全然当たらないし、そもそも人でが全く足りない。ゴブリン達がどんどん梯子を登って来る。
「もう無理だ……!」
一人の町人が石を捨て逃げ去ろうとしたが、直後ハーピーに捕まり、城壁の下へと落とされた。それで前線は完全に崩壊した。町人は我先にと、城内に逃げ込んで行く。まだ投石を続けているのは二十人もいない。
ゴブリンが城壁から顔を覗かせた。奴はニヤりと不敵な笑みを浮かべると、壁を乗り越え、城壁の上に侵入する。
「この、クソゴブリンが……! 死ねぇッ」
俺は木の棒でゴブリンの頭を打ち付けた。一瞬間が空き、ゴブリンは恐る恐る自分の頭を撫でる。
そして、自分の手に血液が付いていないからだろう。不思議そうな表情を浮かべた。
「ぐっ、俺みたいな奴じゃあ、ゴブリン一匹すら殺す事も出来ない」
俺は恐らく世界一の無能だ。魔法、スキルは何一つ習得出来ず、おまけにステータスは“オール1”ときた。齢十歳にも満たない子供にガチで負ける程喧嘩が弱い。ゴブリンに放った渾身の一撃も、全くダメージになっていなかった。
城壁に次々とゴブリンが現れた。
十歳くらいの女の子が、泣きながら棒を振ってゴブリンを追い払おうとしている。
「あの子はミルクの子、か」
限られた食料は、戦闘要員から優先的に配給されていた。
一番は兵士。次に投石係。隠れているだけの女子供に与えられる事はない。あの女の子は、産まれたばかりの弟のミルクを貰う為に、投石係となったのだ。
他の大人達が逃げる中、家族を守る為に最期まで勇敢に戦おうとしている。なんと立派な事か。
そんな彼女を、ゴブリン達がニタニタと笑いながら囲み込んだ。短剣やこん棒で彼女の腕を斬り付け、肩を殴打した。
「や、やめろぉぉぉ!」
俺は少女を助けようと、反射的に駆け出していた。
刹那、脇腹に熱い感覚が生じた。
「ぐっ……!」
脇腹には、先程頭を殴ったゴブリンの短剣が深々と刺さっていた。俺は思わず膝から崩れ落ちた。
「くそ……。俺は子供一人救う事すら出来ない……」
自分の弱さが憎い。無能な自分が憎い。神が憎い。
何故神は、俺に一つも力を授けてくれなかったのか。もし俺が勇者ならば、みんなを救う事だって出来ただろう。幼少の頃から勇者に憧れ、無駄な訓練を続けてきたがこの様だ。
そんな俺を嘲笑うかの様に、ゴブリンは得意の気味悪い笑みを浮かべると、こん棒を躊躇なく振り下ろした。
ズガッ。
結局、この世界は弱肉強食。無力は死ぬだけだ。
建物は倒壊し、あちこちから火の手が上がっている。
「くそ……ッ!」
街で唯一無事なのは、小高い丘にあるこの伯爵の小城だけ。周囲にある民家や店は、ゴブリン共の手によって破壊し尽されていた。
「来たぞォォォッ!!」
見張りの兵士が大声で叫ぶ。木で作ったであろう梯子を持ったゴブリン達が、城壁に近付いて来た。その数は優に数百。そして更にその後方には四千弱のゴブリン軍が。
「奴らの侵入を絶対に許すな!」
「「うおおお!!」」
ハンク戦士長の声に、七十程の兵士達が呼応する。
これが、この城の全兵士だ。
「今度こそ突破されるぞ……」
「もう終わりだ」
隣から絶望の声が聞こえてきた。
恐怖に青ざめ、震えている中年男性と老人。彼らは俺と同じ、ただの町民だ。魔物と戦えるだけの勇気も力もない。
しかしゴブリンの侵入を防ぐ為には、俺達い一般町民も戦わねばならなかった。 弓も魔法も使えない。だが城壁から石を落とす事は出来るのだから。
兵士七十人、町人二百人。たったそれだけの戦力で、俺達は三日間もゴブリンの攻撃を凌いだ。ハンク戦士長の優れた武と指揮力のお陰だ。でもそれも潮時。いつ来るか分からない襲撃に怯え、まともに眠る事も出来ず、食事の量もまるで足りていなかった。既に皆の疲労は限界だった。
「畜生……応援はいつ来るんだよ……」
隣の男が半ベソでボソリと呟いた。
領主であるルートガー伯爵は、ゴブリンの襲撃直後に百騎の騎兵と共に、この街を脱出していた。
本人は「逃げるのではない! 援軍を呼びに行くのだ!」と戯言を吐いたが、伯爵本人が行く必要などない。俺達を見捨てたのだ。
ハンク戦士長と、彼に忠実な兵士達だけが、ここに残って俺達の為に戦ってくれていた。しかし、伯爵が他の貴族に援軍を求めているのは確かな筈だ。そろそろ助けが来てもよさそうなのだが。
「四千のゴブリンと戦える領主なんて、この辺りにはいねぇ!」
別の男が、半ベソをかく男を怒鳴りつけた。
そう。この辺りの領主が所有する兵力は、ぜいぜい数百程度。連合軍でも編成しない限り、とてもじゃないが太刀打ち出来ない。だから直ぐの援軍が来ないのだ。
「“邪神”の言い伝えは本当だったのか……」
男は涙を拭い、そう漏らす。
邪神降臨の伝説――。
ここベルックスの街には、大昔から邪神が地獄から甦ると伝えられている。
「あいつが邪神なのだろうか」
俺はゴブリン軍の中央にいる魔物を見る。ゴブリンロード、ゴブリンの王の中の王だ。 通常十匹程度の群れしか作らないゴブリンだが、ゴブリンロードが誕生した時だけは別。
奴はその力と知性を用い、他のゴブリンの群れを次々と吸収する。そして、小さな街なら簡単に滅ぼせる程の大軍団となるのだ。
「投石始め!」
城壁に数十の梯子が掛けられた。俺は集めて置いた石を一つ手に取り、真下にいるゴブリンに向かって投げつける。隣にいる男達も一心不乱に石を放っている。
「食らえ、火球!」
兵士の手から火の球が発射され、ゴブリンに着弾すると小さな爆発を起こした。梯子が後ろに倒れ、登っていたゴブリン達は地面に叩きつけられ即死。
「狙撃ぃぃぃ!」
兵士が狙撃のスキルを使い、矢を放つ。彼の放った矢は全て、ヘッドショットを決めていた。
魔法とスキルの力は偉大だ。
生まれた時に神から授けられるこの力がなければ、魔物が蔓延るこの世界で、人類が繁栄する事はかっただろう。
だが、俺にはその魔法もスキルの才能も全くなかった。
「くそがッ! 来るな!」
俺はゴブリンと自分の無能さに対する怒り、両方の怒りを込めて石を投げる。ゴブリンは梯子から落下する。
ざまあみろ。
ゴブリン達も連日の戦いで疲労している様子。昨日までの勢いが失われており、城壁の上まで辿り着ける者は一匹もいなかった。
「ゴブリン達が撤退していくぞ、今日も何とか生き延びられた様だ」
「「うおおお!」」
兵士と町民から歓声が上がった。流石にもう駄目だろうと思っていた状況から、まさかの勝利。誰もが興奮するのは無理もない。
ハンク戦士長は街の外に目を向けた。
それに釣られ、俺もその方角を見る。すると、空に幾つもの黒い点が見えた。
「鳥?」
その群れはゴブリン達の陣地へと降り立った。かなり大きい鳥だ。暫くすると、徐に飛び出し、こちらを向かってきた。
「あれはハーピーだ! 奴らめ、手を組んだのか。弓を構えろ!」
兵士達が弓を構える。マズい。矢が足りない上に、先程のゴブリンを撃退する為に魔力も消耗している。この状態でハーピーを撃ち落とせるのか。
ゴブリンを掴んだハーピーが、一気に小城の上空へと向かってくる。
「撃てぇぇぇッ!」
矢と魔法がハーピーに向けて一斉に発射された。だがハーピーの機動力が高く、数匹しか撃ち落とせない。
手間取っていると、ハーピーが地上に降下。ゴブリンの先兵を降ろした。
「何としてでも死守するんだ!」
「「うおおお!」」
ハンク戦士長は強い。ゴブリンの先兵を次々と斬り殺していく。彼の勇猛さに兵士達も鼓舞され、勇敢に戦う。兵士達が圧倒的に有利だ。
俺は不意に城壁の外を見る。そして、戦士長に大声で叫んだ。
「戦士長! ゴブリン達が、再び梯子を持って攻めてきました!」
ハンク戦士長はゴブリンを斬り殺しながら、目を見開いた。
「ちっ、城壁は君達で守ってくれ!」
俺達町民の投石だけでゴブリンを撃退しろと?
そんなの無理だ。他の町民も俺と同じ事を思ったのだろう。何人かがパニックを起こし、それが周囲に伝播してしまった。
ある者は女子供が隠れている城内に逃げ、ある者はその場で泣き叫び、ある者はゴブリンに殺される前に城壁から身を投げた。
投石をまともに行っている者は、もう三割にも満たなかった。
「うわぁぁぁぁ!」
「せ、戦士長、助けて下さいッ」
ハーピー達が何人かの兵士を掴み、上空へと舞う。
グシャッ。
空中から落とされ、兵士の四肢があらぬ方向に曲がった。
地上のゴブリンと上空の二方向からの攻撃を受け、兵士達は完全に形勢不利となる。挙句に数百のゴブリンが梯子を登り始めているという始末。
完全に終わった。
「……いや、諦めるな。まだ生きてるじゃないか」
俺は石を拾い、梯子を登るゴブリンに投げ付けた。全然当たらないし、そもそも人でが全く足りない。ゴブリン達がどんどん梯子を登って来る。
「もう無理だ……!」
一人の町人が石を捨て逃げ去ろうとしたが、直後ハーピーに捕まり、城壁の下へと落とされた。それで前線は完全に崩壊した。町人は我先にと、城内に逃げ込んで行く。まだ投石を続けているのは二十人もいない。
ゴブリンが城壁から顔を覗かせた。奴はニヤりと不敵な笑みを浮かべると、壁を乗り越え、城壁の上に侵入する。
「この、クソゴブリンが……! 死ねぇッ」
俺は木の棒でゴブリンの頭を打ち付けた。一瞬間が空き、ゴブリンは恐る恐る自分の頭を撫でる。
そして、自分の手に血液が付いていないからだろう。不思議そうな表情を浮かべた。
「ぐっ、俺みたいな奴じゃあ、ゴブリン一匹すら殺す事も出来ない」
俺は恐らく世界一の無能だ。魔法、スキルは何一つ習得出来ず、おまけにステータスは“オール1”ときた。齢十歳にも満たない子供にガチで負ける程喧嘩が弱い。ゴブリンに放った渾身の一撃も、全くダメージになっていなかった。
城壁に次々とゴブリンが現れた。
十歳くらいの女の子が、泣きながら棒を振ってゴブリンを追い払おうとしている。
「あの子はミルクの子、か」
限られた食料は、戦闘要員から優先的に配給されていた。
一番は兵士。次に投石係。隠れているだけの女子供に与えられる事はない。あの女の子は、産まれたばかりの弟のミルクを貰う為に、投石係となったのだ。
他の大人達が逃げる中、家族を守る為に最期まで勇敢に戦おうとしている。なんと立派な事か。
そんな彼女を、ゴブリン達がニタニタと笑いながら囲み込んだ。短剣やこん棒で彼女の腕を斬り付け、肩を殴打した。
「や、やめろぉぉぉ!」
俺は少女を助けようと、反射的に駆け出していた。
刹那、脇腹に熱い感覚が生じた。
「ぐっ……!」
脇腹には、先程頭を殴ったゴブリンの短剣が深々と刺さっていた。俺は思わず膝から崩れ落ちた。
「くそ……。俺は子供一人救う事すら出来ない……」
自分の弱さが憎い。無能な自分が憎い。神が憎い。
何故神は、俺に一つも力を授けてくれなかったのか。もし俺が勇者ならば、みんなを救う事だって出来ただろう。幼少の頃から勇者に憧れ、無駄な訓練を続けてきたがこの様だ。
そんな俺を嘲笑うかの様に、ゴブリンは得意の気味悪い笑みを浮かべると、こん棒を躊躇なく振り下ろした。
ズガッ。
結局、この世界は弱肉強食。無力は死ぬだけだ。
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