【魔力商人】の僕は異世界を商売繫盛で成り上がる~追放で海に捨てられた為、海上ギルド建てたら実力も売上も波に乗って異世界最強に~

きょろ

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第4章~賢者と聖女と新たな門出~

40 安心安全でより快適に

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 ――トントントン! カンカンカン!
「それこっちに持ってきてくれるか?」
「はい! 分かりました!」

 バレンに経緯を聞き、僕も出来る範囲で作業に加わった。
 完全に日が沈む寸前。辺りも暗くなってきた頃、今日はもう終わろうと職人さんが皆に言った。

「――お。起きたみたいだなお頭!」
「本当だ。ジルただいまー!」
「ディオルド! ティファ―ナ!」

 今日の作業が終わった所で、タイミング良くティファ―ナとディオルドも帰って来た。そしてディオルドが徐に、僕に紙切れを渡す。

「ん? 何これ……えぇッ⁉ もしかしてクエストで……」
「当り前だろ。それ以外何があるんだよ」

 ディオルドが僕に渡した紙。そこには今受けてきたクエストの明細票が記されていた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーー
Aランク 2,850,000G  Aランク 3,410,000G        
Aランク 5,700,000G  Aランク 3,990,000G  

トータル:15,950,000G  
ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 またサラッととんでもない報酬額出たッ~~!

「スマイル・ベット無くてよ。はした金しか稼げなかったぜ」
「はいコレ私の」

 続け様に今度はティファ―ナも明細票を渡してきた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーー
Aランク(スマイル・ベット) 24,600,000G

トータル:24,600,000G
ーーーーーーーーーーーーーーーーー


 ご苦労様でした。
 何回も言うけど、君達は本当に凄い。ありがとう。

「私も今回探すのにまた時間掛かっちゃったよ」
「あっただけラッキーだろうよ。まぁこれで村の修繕費は大丈夫だろ。金の話は任せたぜお頭」

 こんなお金持ってたら商人として交渉する意味がないよ。一括で払えちゃうもん。まぁそれでも2人が苦労して稼いできたお金だから、大事に使わなくちゃ。この数日で金銭感覚が狂ってるよ僕。しっかりしろ!

 自身を叱咤し、僕は職人さん所に費用の話をしに行く事にした。

「すいません」
「ん、どうした?」
「今回の村の修繕、トビオさんから頼んで頂いたと伺ったんですけど」
「おう。君がトビオさんの知り合いの子かい? 彼から話は聞いてるよ」
「受けて頂いてありがとうございます! あの、修繕の費用の事なんですが」
「ああ、その話か。君にすればいいのかな? 俺達もスコッチ村の酒が大好きだからね、村がオークの襲撃に遭ったと聞いて力になりたいと思ったんだ。気持ちだけならドンとタダにしたいんだが、流石にそうもいかなくてな」
「ハハハ。それは当然ですよ」
「今日で思いのほか作業が進んだからね、後2日もあれば無事終わりそうだ。え~と、一応これが今回の費用なんだけど。いいかな?」

 やっぱりトビオさんの知り合いだから安くしてくれているのかな。思ったより金額が高くない。いや、普通からしたら高額だよ。何軒も直さないといけない村全体の修繕だからね。これならティファ―ナとディオルドが稼いできてくれた報酬で全然足りる。寧ろ後10個分以上村を直せるな。

「費用見せてくれよお頭」
「ディオルド」

 僕の後ろからヒョイっと金額が書かれた紙を取ったディオルド。

「これ安くしてくれてるんだよな?」
「勿論だとも。自分で言うのもアレだが、他の業者と比べても1番安く抑えてるよ」
「成程な。じゃあこの10倍払えるからよ、もう2度と村が壊されない様に特別仕様で造ってくれ」

 おいおい、また何を言い出すんだ君は。

「ハッハッハッ!面白いことを言う青年だ。安心してくれ、家は完璧に直しているよ」

 当然の反応と言えば当然だ。今のディオルドが言った事は、普通の人ならほぼ“冗談”だと思う。
 僕達みたいな若者がそんな大金を稼げるわけないからね。普通なら。
 申し訳ありません職人さん。こんな事は人生で数回起こるかどうかのイレギュラーみたいなものなんです。どうか驚かずに聞いて下さい。あなたの目の間にいる人、普通じゃないんです。

「もしかして冗談だと思ってる?」
「兄ちゃんの気持ちは十分伝わってるよ! 俺達もこの村の酒が好きだからな。気持ちだけ受け取っておくよ。なぁに、家は今までより頑丈に造るさ」

 やっぱり冗談だと思っている様だ。それを察したディオルドは無言で僕を見ると、顎をクイっと動かして僕に訴えかけてきた。

 “さっきの明細票を見せてやれ”、と言わんばかりにね。

「あの、すいません。もしこの金額よりも多めに払えるとしたら、僕の隣にいる赤髪が言った様に、元より少しだけ丈夫に造れたりしますか?」
「え? それは勿論出来るけど……今のままでもしっかり丈夫にしているよ!」
「そうですよね~ハハハ」
「回りくどいんだよ。貸せ」

 ディオルドは急に僕から明細票を取り上げると、勢いよく職人さんに見せつけた。

「金はある。俺もここの酒が大好きになった。もう無いとは思うが、また万が一が起こったら心配だ。だからこの金全部使って、この村を安心安全でより快適に暮らしやすく、美味い酒もずっと作り続けられて、村の人達が一生楽しく過ごせる最強の村にしてくれって言ってんだよ」

 職人さんはディオルドの申し出に驚いた表情を浮かべていたが、本当の驚きはその直後。

「金はあるって、お兄ちゃんまだ若いのにそんな貯金使い切ったら…………って、ええぇぇぇぇぇぇ⁉⁉」

 こうして、次の日から壮大な修繕作業が始まり、集まった職人さん達によって僅か2日でディオルドの注文通りの
新たなスコッチ村が完成したのだった。 


「――よっしゃ! それじゃ完成祝いに皆で宴だ!」
『『乾杯!!』』

 

 もう僕は飲まない。
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