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第4章~賢者と聖女と新たな門出~

38 酒は飲んでも飲まれるな

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 ♢♦♢

~スコッチ村・翌日~


「あ゛ぁ~~~~……」
「近くにいたら呪われそうケロ」
「ハッハッハッ! こりゃ1日動けねぇなお頭!」
「どうしたのジル? 具合悪いそうだけど」

 痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛ぁぁぁぁぁぁい!!!

 頭がとんでもなく痛ぁぁぁぁぁぁい!
 頭の中でどんちゃん騒ぎされてる様な気分だ。何だよコレ。

「完全に二日酔いだゲロな」
「酒弱かったのかお頭は。ティファ―ナはいいのか?」
「何が?」
「どうやらティファ―ナは強いみたいだお頭。まぁこカチればっかりはしょうがねぇな」
「二日酔いって何? ジル大丈夫なの? 私も一緒に寝てあげようか」

 今とんでもなく嬉しい言葉が聞こえた気がする。だが頭が痛すぎてそれどころではない。頭がカチ割れそうなんだこっちは。

 あ゛ぁ~~~……ヤバい。全く動く気になれない。

「どうする? お頭がダウンだ。特にすることもねぇしよ、村の手伝いしようぜ俺達も」
「それいいわね。賛成」
「それは助かるケロ。ありがとうな」
「こんな美味い酒ご馳走してもらったら当然だよな。それじゃお頭、俺達行ってくるからよ。気にせず兎に角休んでろよ。治まるまで待つしかねぇから」

 ディオルドはそう言って、村の修復の手伝いに行った。勿論ティファ―ナとバレンも。
 昨日は村の人達も大変だったのに、僕達にお酒や料理まで出してくれた。こうして泊まる場所まで用意してくれるなんて至れり尽くせりだ。そこまでしてもらったのだから、当然僕も村の人達の手伝いをしたい。そうしたい気持ちは山々だが、マジで動けない。あ゛ぁ~~~。

 いつ治まるんだろうコレ……って、ゔッ。やば。気持ちわる。ダメだ出そう。いや待て待て待て。それはマズイ。何とかすぐそこのトイレまで持ちこたえろ。吐くならせめてトイレでッ……「―オ゛ェ゛ェェェェェェ!!!」

 二日酔い最悪。吐いてしまった。もう絶対お酒飲まない。絶対だ。いや、例え飲んだとしても飲まれてはいけない。僕は痛感した。

 それにしても、何とかトイレに間に合って良かった。宿まで用意してもらった上にそこを汚すなんてクズ人間だ。ギリギリ間に合ったお陰で最悪は回避出来たかな。それに吐いたら少しスッキリしたぞ。うん。って言ってもまだ頭はガンガンだけどね。

 こういう時に回復魔法が得意な人がいれば治してくれるかもしれないのにな。ティファ―ナもディオルドも出来ないかな? 出来ないよな。バレンもヒーラータイプじゃないし。そもそもこんなくだらない事に回復魔法なんて使ってくれる人いないよ。彼に僕がヒーラーだったとしてこんな奴お断りだ。

 これは自業自得。しょうがないんだもう。これは自分への戒めだと思ってしっかり身に受けよう。その場の勢いで調子乗って飲んでしまった結果がコレ。僕が悪いんだから。

 あ゛ぁ~。頭痛が治まったら絶対僕も村の人達に恩返しがしたい。いや、絶対にするぞ。しなきゃダメだ。恩ばかり受けて返さないなんて人として恥を知れ。この頭の痛みが治まった時には絶対に。絶対に僕も―。

 そうして僕はいつの間にか眠ってしまった。

 ♢♦♢


 ――トントントン! カンカンカン!
 「……ん……?」

 外から聞こえる物音で、僕は目が覚めた。
 そうか、いつの間にか寝ちゃったんだ。少し寝たお陰かな。大分痛みが治まってるぞ。

 ――トントントン! カンカンカン!
 ずっとしているこの音は何だろう? あ。もう日が沈み始めてる。そんなに寝ていたのか僕は。

 若干痛みは残っているものの、さっきまでとは比べ物にならない程気分が良い。治まってくれて良かった。本当にもう懲り懲りだ。

 僕はそんな事を思いながら、寝ていた宿から外へと出た―。


「――おーい! こっちに運んでくれ!」
「木材余ってるか?」
「ちょっと手伝ってくれ!」
「これでも飲んで休んで下さい」

 外へ出ると、スコッチ村は凄い活気に包まれていた。

「何だこれ……」

 最初にいた村の人達よりも何だか人数が増えてる気がする。
 それにあちこちで職人さん達が家と建物を修繕しているぞ。この村の人達なのかな? それとも修繕に来た業者さんかな?

「お! 起きたケロね」
「バレン」

 僕が村の様子を見ていると、それに気付いたバレンが僕の方へ来た。

「頭はどうケロ?」
「もう大分マシになったよ。まだ少し響いてるけど」
「ゲロロロ。顔色が全然良くなってるよ。動いて話せるなら良かったケロね」
「ハハハ。反省してるよ本当に。バレン、これは……」

 僕は活気づいている村の人達を見ながらバレンに聞いた。ついさっきこうなったとはとても思えない。それぐらい皆が一丸となって動いてるんだもん。きっと朝からずっとやっていたんだろう。

「ああ。これゲロか。実はな――」

 バレンは僕が眠っている間に起きた事を話してくれた。
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