40 / 70
第4章~賢者と聖女と新たな門出~
38 酒は飲んでも飲まれるな
しおりを挟む
♢♦♢
~スコッチ村・翌日~
「あ゛ぁ~~~~……」
「近くにいたら呪われそうケロ」
「ハッハッハッ! こりゃ1日動けねぇなお頭!」
「どうしたのジル? 具合悪いそうだけど」
痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛ぁぁぁぁぁぁい!!!
頭がとんでもなく痛ぁぁぁぁぁぁい!
頭の中でどんちゃん騒ぎされてる様な気分だ。何だよコレ。
「完全に二日酔いだゲロな」
「酒弱かったのかお頭は。ティファ―ナはいいのか?」
「何が?」
「どうやらティファ―ナは強いみたいだお頭。まぁこカチればっかりはしょうがねぇな」
「二日酔いって何? ジル大丈夫なの? 私も一緒に寝てあげようか」
今とんでもなく嬉しい言葉が聞こえた気がする。だが頭が痛すぎてそれどころではない。頭がカチ割れそうなんだこっちは。
あ゛ぁ~~~……ヤバい。全く動く気になれない。
「どうする? お頭がダウンだ。特にすることもねぇしよ、村の手伝いしようぜ俺達も」
「それいいわね。賛成」
「それは助かるケロ。ありがとうな」
「こんな美味い酒ご馳走してもらったら当然だよな。それじゃお頭、俺達行ってくるからよ。気にせず兎に角休んでろよ。治まるまで待つしかねぇから」
ディオルドはそう言って、村の修復の手伝いに行った。勿論ティファ―ナとバレンも。
昨日は村の人達も大変だったのに、僕達にお酒や料理まで出してくれた。こうして泊まる場所まで用意してくれるなんて至れり尽くせりだ。そこまでしてもらったのだから、当然僕も村の人達の手伝いをしたい。そうしたい気持ちは山々だが、マジで動けない。あ゛ぁ~~~。
いつ治まるんだろうコレ……って、ゔッ。やば。気持ちわる。ダメだ出そう。いや待て待て待て。それはマズイ。何とかすぐそこのトイレまで持ちこたえろ。吐くならせめてトイレでッ……「―オ゛ェ゛ェェェェェェ!!!」
二日酔い最悪。吐いてしまった。もう絶対お酒飲まない。絶対だ。いや、例え飲んだとしても飲まれてはいけない。僕は痛感した。
それにしても、何とかトイレに間に合って良かった。宿まで用意してもらった上にそこを汚すなんてクズ人間だ。ギリギリ間に合ったお陰で最悪は回避出来たかな。それに吐いたら少しスッキリしたぞ。うん。って言ってもまだ頭はガンガンだけどね。
こういう時に回復魔法が得意な人がいれば治してくれるかもしれないのにな。ティファ―ナもディオルドも出来ないかな? 出来ないよな。バレンもヒーラータイプじゃないし。そもそもこんなくだらない事に回復魔法なんて使ってくれる人いないよ。彼に僕がヒーラーだったとしてこんな奴お断りだ。
これは自業自得。しょうがないんだもう。これは自分への戒めだと思ってしっかり身に受けよう。その場の勢いで調子乗って飲んでしまった結果がコレ。僕が悪いんだから。
あ゛ぁ~。頭痛が治まったら絶対僕も村の人達に恩返しがしたい。いや、絶対にするぞ。しなきゃダメだ。恩ばかり受けて返さないなんて人として恥を知れ。この頭の痛みが治まった時には絶対に。絶対に僕も―。
そうして僕はいつの間にか眠ってしまった。
♢♦♢
――トントントン! カンカンカン!
「……ん……?」
外から聞こえる物音で、僕は目が覚めた。
そうか、いつの間にか寝ちゃったんだ。少し寝たお陰かな。大分痛みが治まってるぞ。
――トントントン! カンカンカン!
ずっとしているこの音は何だろう? あ。もう日が沈み始めてる。そんなに寝ていたのか僕は。
若干痛みは残っているものの、さっきまでとは比べ物にならない程気分が良い。治まってくれて良かった。本当にもう懲り懲りだ。
僕はそんな事を思いながら、寝ていた宿から外へと出た―。
「――おーい! こっちに運んでくれ!」
「木材余ってるか?」
「ちょっと手伝ってくれ!」
「これでも飲んで休んで下さい」
外へ出ると、スコッチ村は凄い活気に包まれていた。
「何だこれ……」
最初にいた村の人達よりも何だか人数が増えてる気がする。
それにあちこちで職人さん達が家と建物を修繕しているぞ。この村の人達なのかな? それとも修繕に来た業者さんかな?
「お! 起きたケロね」
「バレン」
僕が村の様子を見ていると、それに気付いたバレンが僕の方へ来た。
「頭はどうケロ?」
「もう大分マシになったよ。まだ少し響いてるけど」
「ゲロロロ。顔色が全然良くなってるよ。動いて話せるなら良かったケロね」
「ハハハ。反省してるよ本当に。バレン、これは……」
僕は活気づいている村の人達を見ながらバレンに聞いた。ついさっきこうなったとはとても思えない。それぐらい皆が一丸となって動いてるんだもん。きっと朝からずっとやっていたんだろう。
「ああ。これゲロか。実はな――」
バレンは僕が眠っている間に起きた事を話してくれた。
~スコッチ村・翌日~
「あ゛ぁ~~~~……」
「近くにいたら呪われそうケロ」
「ハッハッハッ! こりゃ1日動けねぇなお頭!」
「どうしたのジル? 具合悪いそうだけど」
痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛ぁぁぁぁぁぁい!!!
頭がとんでもなく痛ぁぁぁぁぁぁい!
頭の中でどんちゃん騒ぎされてる様な気分だ。何だよコレ。
「完全に二日酔いだゲロな」
「酒弱かったのかお頭は。ティファ―ナはいいのか?」
「何が?」
「どうやらティファ―ナは強いみたいだお頭。まぁこカチればっかりはしょうがねぇな」
「二日酔いって何? ジル大丈夫なの? 私も一緒に寝てあげようか」
今とんでもなく嬉しい言葉が聞こえた気がする。だが頭が痛すぎてそれどころではない。頭がカチ割れそうなんだこっちは。
あ゛ぁ~~~……ヤバい。全く動く気になれない。
「どうする? お頭がダウンだ。特にすることもねぇしよ、村の手伝いしようぜ俺達も」
「それいいわね。賛成」
「それは助かるケロ。ありがとうな」
「こんな美味い酒ご馳走してもらったら当然だよな。それじゃお頭、俺達行ってくるからよ。気にせず兎に角休んでろよ。治まるまで待つしかねぇから」
ディオルドはそう言って、村の修復の手伝いに行った。勿論ティファ―ナとバレンも。
昨日は村の人達も大変だったのに、僕達にお酒や料理まで出してくれた。こうして泊まる場所まで用意してくれるなんて至れり尽くせりだ。そこまでしてもらったのだから、当然僕も村の人達の手伝いをしたい。そうしたい気持ちは山々だが、マジで動けない。あ゛ぁ~~~。
いつ治まるんだろうコレ……って、ゔッ。やば。気持ちわる。ダメだ出そう。いや待て待て待て。それはマズイ。何とかすぐそこのトイレまで持ちこたえろ。吐くならせめてトイレでッ……「―オ゛ェ゛ェェェェェェ!!!」
二日酔い最悪。吐いてしまった。もう絶対お酒飲まない。絶対だ。いや、例え飲んだとしても飲まれてはいけない。僕は痛感した。
それにしても、何とかトイレに間に合って良かった。宿まで用意してもらった上にそこを汚すなんてクズ人間だ。ギリギリ間に合ったお陰で最悪は回避出来たかな。それに吐いたら少しスッキリしたぞ。うん。って言ってもまだ頭はガンガンだけどね。
こういう時に回復魔法が得意な人がいれば治してくれるかもしれないのにな。ティファ―ナもディオルドも出来ないかな? 出来ないよな。バレンもヒーラータイプじゃないし。そもそもこんなくだらない事に回復魔法なんて使ってくれる人いないよ。彼に僕がヒーラーだったとしてこんな奴お断りだ。
これは自業自得。しょうがないんだもう。これは自分への戒めだと思ってしっかり身に受けよう。その場の勢いで調子乗って飲んでしまった結果がコレ。僕が悪いんだから。
あ゛ぁ~。頭痛が治まったら絶対僕も村の人達に恩返しがしたい。いや、絶対にするぞ。しなきゃダメだ。恩ばかり受けて返さないなんて人として恥を知れ。この頭の痛みが治まった時には絶対に。絶対に僕も―。
そうして僕はいつの間にか眠ってしまった。
♢♦♢
――トントントン! カンカンカン!
「……ん……?」
外から聞こえる物音で、僕は目が覚めた。
そうか、いつの間にか寝ちゃったんだ。少し寝たお陰かな。大分痛みが治まってるぞ。
――トントントン! カンカンカン!
ずっとしているこの音は何だろう? あ。もう日が沈み始めてる。そんなに寝ていたのか僕は。
若干痛みは残っているものの、さっきまでとは比べ物にならない程気分が良い。治まってくれて良かった。本当にもう懲り懲りだ。
僕はそんな事を思いながら、寝ていた宿から外へと出た―。
「――おーい! こっちに運んでくれ!」
「木材余ってるか?」
「ちょっと手伝ってくれ!」
「これでも飲んで休んで下さい」
外へ出ると、スコッチ村は凄い活気に包まれていた。
「何だこれ……」
最初にいた村の人達よりも何だか人数が増えてる気がする。
それにあちこちで職人さん達が家と建物を修繕しているぞ。この村の人達なのかな? それとも修繕に来た業者さんかな?
「お! 起きたケロね」
「バレン」
僕が村の様子を見ていると、それに気付いたバレンが僕の方へ来た。
「頭はどうケロ?」
「もう大分マシになったよ。まだ少し響いてるけど」
「ゲロロロ。顔色が全然良くなってるよ。動いて話せるなら良かったケロね」
「ハハハ。反省してるよ本当に。バレン、これは……」
僕は活気づいている村の人達を見ながらバレンに聞いた。ついさっきこうなったとはとても思えない。それぐらい皆が一丸となって動いてるんだもん。きっと朝からずっとやっていたんだろう。
「ああ。これゲロか。実はな――」
バレンは僕が眠っている間に起きた事を話してくれた。
0
お気に入りに追加
1,270
あなたにおすすめの小説
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
全能で楽しく公爵家!!
山椒
ファンタジー
平凡な人生であることを自負し、それを受け入れていた二十四歳の男性が交通事故で若くして死んでしまった。
未練はあれど死を受け入れた男性は、転生できるのであれば二度目の人生も平凡でモブキャラのような人生を送りたいと思ったところ、魔神によって全能の力を与えられてしまう!
転生した先は望んだ地位とは程遠い公爵家の長男、アーサー・ランスロットとして生まれてしまった。
スローライフをしようにも公爵家でできるかどうかも怪しいが、のんびりと全能の力を発揮していく転生者の物語。
※少しだけ設定を変えているため、書き直し、設定を加えているリメイク版になっています。
※リメイク前まで投稿しているところまで書き直せたので、二章はかなりの速度で投稿していきます。
転生して貴族になったけど、与えられたのは瑕疵物件で有名な領地だった件
桜月雪兎
ファンタジー
神様のドジによって人生を終幕してしまった七瀬結希。
神様からお詫びとしていくつかのスキルを貰い、転生したのはなんと貴族の三男坊ユキルディス・フォン・アルフレッドだった。
しかし、家族とはあまり折り合いが良くなく、成人したらさっさと追い出された。
ユキルディスが唯一信頼している従者アルフォンス・グレイルのみを連れて、追い出された先は国内で有名な瑕疵物件であるユンゲート領だった。
ユキルディスはユキルディス・フォン・ユンゲートとして開拓から始まる物語だ。
はぁ?とりあえず寝てていい?
夕凪
ファンタジー
嫌いな両親と同級生から逃げて、アメリカ留学をした帰り道。帰国中の飛行機が事故を起こし、日本の女子高生だった私は墜落死した。特に未練もなかったが、強いて言えば、大好きなもふもふと一緒に暮らしたかった。しかし何故か、剣と魔法の異世界で、貴族の子として転生していた。しかも男の子で。今世の両親はとてもやさしくいい人たちで、さらには前世にはいなかった兄弟がいた。せっかくだから思いっきり、もふもふと戯れたい!惰眠を貪りたい!のんびり自由に生きたい!そう思っていたが、5歳の時に行われる判定の儀という、魔法属性を調べた日を境に、幸せな日常が崩れ去っていった・・・。その後、名を変え別の人物として、相棒のもふもふと共に旅に出る。相棒のもふもふであるズィーリオスの為の旅が、次第に自分自身の未来に深く関わっていき、仲間と共に逃れられない運命の荒波に飲み込まれていく。
※第二章は全体的に説明回が多いです。
<<<小説家になろうにて先行投稿しています>>>
積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!
ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。
悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。
【完結】貧乏令嬢の野草による領地改革
うみの渚
ファンタジー
八歳の時に木から落ちて頭を打った衝撃で、前世の記憶が蘇った主人公。
優しい家族に恵まれたが、家はとても貧乏だった。
家族のためにと、前世の記憶を頼りに寂れた領地を皆に支えられて徐々に発展させていく。
主人公は、魔法・知識チートは持っていません。
加筆修正しました。
お手に取って頂けたら嬉しいです。
【完結】神スキル拡大解釈で底辺パーティから成り上がります!
まにゅまにゅ
ファンタジー
平均レベルの低い底辺パーティ『龍炎光牙《りゅうえんこうが》』はオーク一匹倒すのにも命懸けで注目もされていないどこにでもでもいる冒険者たちのチームだった。
そんなある日ようやく資金も貯まり、神殿でお金を払って恩恵《ギフト》を授かるとその恩恵《ギフト》スキルは『拡大解釈』というもの。
その効果は魔法やスキルの内容を拡大解釈し、別の効果を引き起こせる、という神スキルだった。その拡大解釈により色んなものを回復《ヒール》で治したり強化《ブースト》で獲得経験値を増やしたりととんでもない効果を発揮する!
底辺パーティ『龍炎光牙』の大躍進が始まる!
第16回ファンタジー大賞奨励賞受賞作です。
聖女の娘に転生したのに、色々とハードな人生です。
みちこ
ファンタジー
乙女ゲームのヒロインの娘に転生した主人公、ヒロインの娘なら幸せな暮らしが待ってると思ったけど、実際は親から放置されて孤独な生活が待っていた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる