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第3章~建設と武術と転生カエル~
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――ズパァァァァァァァァァァンッッ!!!!!!!
バッ!シュバン!ザッ!ガンガンッ!ブォォン!ドドドッ!ザッ!ガキンッ!バッ!
最初の1撃がぶつかり合い、衝撃と轟音が遠くまで奏でられた。そこから両者怒涛の攻防戦。
攻撃を出しては躱し出しては受け、互いに引く事なく連続で攻撃し続けていた。
「凄い迫力……」
「あの豚野郎、あんな図体でよく動きやがる」
「バレン頑張ってー!」
やはりこれだけの体格差が生じると余程スピードに差が無い限り、小さいバレンの方が間合いを詰めやすいのは確かだ。その証拠に、バレンの攻撃が数発ポルゴスにヒットしていた。
だが驚いた事に、バレンの有効打と思われた攻撃はポルゴスにあまり効いていない。
決してバレンの攻撃に威力が無い訳ではない。寧ろ攻撃は強いにも関わらず、ポルゴスの肉体が屈強過ぎて深いダメージを与えられていないのだ。
「頑丈な体ケロね……」
「まさか全力で攻撃している訳じゃないよな? マッサージかと思ったぜ」
どれだけ頑丈なんだよ⁉ 他の奴らは軽々ぶっ飛ばせたのに、バレンの攻撃がまるで効いていないじゃないか。階級が違い過ぎるって事なのか? いや。そういう問題じゃない。アイツが頑丈過ぎるんだ。
バレンは一旦間を置いたが、再びスピードに乗って攻撃ラッシュを繰り返した。
ポルゴスも負けじとバレンに攻撃を繰り出す。手数は圧倒的にバレンが上。しかし、徐々にポルゴスの攻撃がキレを増してきた。
「グッ……」
「どうした?そんなもんかバレン!」
いつの間にかバレンの攻撃数が減り、ポルゴスの手数が増えていく。更に、さっきまでは幾分か余裕を持って躱せていた筈のポルゴスの攻撃が、少しづつバレンとの距離を縮めていた。
「このままじゃ危ないよ」
ティファ―ナがそう口に出した刹那、バレンが神経をすり減らしながら躱していた巨大斧の存在。それに何時からか気が付いていたポルゴスが巨大斧をフェイントに使い、それに一瞬気を取られたバレンは判断が鈍り動きが止まった。
「――休んでる場合じゃねぇぞ」
「……⁉⁉」
「バレンッ!!」
――ドンッッッ!!!!
斧を持っている手とは反対のポルゴス拳が、遂にバレンを捉えてしまった。
隕石の様なポルゴスの拳を食らったバレンは、木々を粉砕しながら簡単に何十メートルとぶっ飛ばされ、遥か先の木に衝突して地面に落ちた。
「バレぇぇぇぇぇぇンッ!!」
バレンが飛ばされた方向を見ながらカイト君が大声で叫んだ。
「ブガガガガッ!油断禁物だぜバレン!」
ポルゴスも笑いながらぶっ飛ばした方向を見ている。
「なッ⁉ 今のヤバいって!バレーン!」
「待てよお頭」
僕は急いでバレンの元へ向かおうとしたが、それをディオルドが止めた。
「何でそんな落ち着いてるんだよディオルド! 今の見ただろ⁉ 早くバレンが無事か確認しなくちゃ!」
「生きてるから大丈夫だよ。ちゃんと魔力が感じられる」
「ホントに⁉」
「ああ。ただ、かなり状況はヤバいけどな」
僕の視界の奥、今いる位置からだとその姿はかなり小さく僅かしか確認出来なかったが、フラっと動いたバレンが見えた。
「ハァ……ハァ……ハァ……ハァ……」
「しぶといな。辛うじて息があったか。ブガガガ」
「バレーーン!」
本当にヤバいじゃん! もうあんな状態じゃとても戦えない。ここから見ても、立っているのがやっとの感じじゃないか?
僕の思った通り。少しづつフラフラと歩いてくるバレンは、息も上がり意識が朦朧としていた。それでも、何とか力を振り絞りこっちに戻ってきたが、結果は明白。このまま続けてもバレンに勝ち目はない。
「バレン!もう止めてよ!死んじゃうよ!」
「ガキが心配してくれてるぜ? どうだ? 気が変わったなら今からでも俺の仲間になッ……「あり得ねぇゲロ」
ポルゴスの言葉を遮り、バレンは力強く言い切った。
見るからにフラフラな状態にも関わらず、バレンの目はまだ諦めていなかった。ただ真っ直ぐにポルゴスを見るその視線は、瀕死寸前とは思えない程気迫に満ちていた。
「まだ諦めてねぇなバレンは」
「いくらやる気があってももう無理だよ! それとも何? この状況をひっくり返す奥の手でもあるっていうの⁉」
「そんな事俺に聞かれても知らねぇぜお頭。まぁ言えることがあるとすりゃ、一発逆転出来るような力も魔力もとても残ってるとは思えない。って事ぐらいかな」
「何だそれ! それが分かってるなら早く助けてよ!」
「それは出来ねぇ。まだバレンがやる気だからな。真剣勝負に手を出すなんて野暮だろうよ」
何こんな状況で格好良く決めてるんだ。野暮だろうよじゃないよ全く。何故そんなに落ち着いていられる。僕はもう気が気じゃないよ。まぁディオルドとティファ―ナなら、本当にヤバい瞬間の時には動いてくれると思うけど。
え? いざって時には勿論助けてくれる気ですよね? ディオルド。だから平気で見ているんだよね? そういう事で合ってるよね?
「強がってる割に今にも倒れそうだがな。まぁいい、このまま止めを刺してやろう!」
「バレン!!」
「死ねぇぇぇぇ!!」
バレンに止めを刺しにいったポルゴス。空高く振り上げられた巨大斧はその頂点で動きを止めると、バレン目掛け
て一気に振り下ろされた。
そしてそれは突如起こった――。
――ズガンッッ!!!!!
「……がッ……⁉⁉」
「――⁉」
起死回生の1撃とも言うべきか。
バレンは振り下ろされた巨大斧を搔い潜り、狙っていたかの様にそのポルゴスの攻撃に、渾身のカウンターを放った。
巨大斧が誰もいない地面を破壊すると同時、カウンターを狙ったバレンの掌底が見事ポルゴスの顎を捉え、巨大斧と共にポルゴスの巨体も崩れ落ちた。
「持ってやがったな。一発逆転の奥の手」
「凄いわバレン!」
「ハァ……ハァ……ハァ……」
だが、まだ勝負は終わっていなかった――。
バッ!シュバン!ザッ!ガンガンッ!ブォォン!ドドドッ!ザッ!ガキンッ!バッ!
最初の1撃がぶつかり合い、衝撃と轟音が遠くまで奏でられた。そこから両者怒涛の攻防戦。
攻撃を出しては躱し出しては受け、互いに引く事なく連続で攻撃し続けていた。
「凄い迫力……」
「あの豚野郎、あんな図体でよく動きやがる」
「バレン頑張ってー!」
やはりこれだけの体格差が生じると余程スピードに差が無い限り、小さいバレンの方が間合いを詰めやすいのは確かだ。その証拠に、バレンの攻撃が数発ポルゴスにヒットしていた。
だが驚いた事に、バレンの有効打と思われた攻撃はポルゴスにあまり効いていない。
決してバレンの攻撃に威力が無い訳ではない。寧ろ攻撃は強いにも関わらず、ポルゴスの肉体が屈強過ぎて深いダメージを与えられていないのだ。
「頑丈な体ケロね……」
「まさか全力で攻撃している訳じゃないよな? マッサージかと思ったぜ」
どれだけ頑丈なんだよ⁉ 他の奴らは軽々ぶっ飛ばせたのに、バレンの攻撃がまるで効いていないじゃないか。階級が違い過ぎるって事なのか? いや。そういう問題じゃない。アイツが頑丈過ぎるんだ。
バレンは一旦間を置いたが、再びスピードに乗って攻撃ラッシュを繰り返した。
ポルゴスも負けじとバレンに攻撃を繰り出す。手数は圧倒的にバレンが上。しかし、徐々にポルゴスの攻撃がキレを増してきた。
「グッ……」
「どうした?そんなもんかバレン!」
いつの間にかバレンの攻撃数が減り、ポルゴスの手数が増えていく。更に、さっきまでは幾分か余裕を持って躱せていた筈のポルゴスの攻撃が、少しづつバレンとの距離を縮めていた。
「このままじゃ危ないよ」
ティファ―ナがそう口に出した刹那、バレンが神経をすり減らしながら躱していた巨大斧の存在。それに何時からか気が付いていたポルゴスが巨大斧をフェイントに使い、それに一瞬気を取られたバレンは判断が鈍り動きが止まった。
「――休んでる場合じゃねぇぞ」
「……⁉⁉」
「バレンッ!!」
――ドンッッッ!!!!
斧を持っている手とは反対のポルゴス拳が、遂にバレンを捉えてしまった。
隕石の様なポルゴスの拳を食らったバレンは、木々を粉砕しながら簡単に何十メートルとぶっ飛ばされ、遥か先の木に衝突して地面に落ちた。
「バレぇぇぇぇぇぇンッ!!」
バレンが飛ばされた方向を見ながらカイト君が大声で叫んだ。
「ブガガガガッ!油断禁物だぜバレン!」
ポルゴスも笑いながらぶっ飛ばした方向を見ている。
「なッ⁉ 今のヤバいって!バレーン!」
「待てよお頭」
僕は急いでバレンの元へ向かおうとしたが、それをディオルドが止めた。
「何でそんな落ち着いてるんだよディオルド! 今の見ただろ⁉ 早くバレンが無事か確認しなくちゃ!」
「生きてるから大丈夫だよ。ちゃんと魔力が感じられる」
「ホントに⁉」
「ああ。ただ、かなり状況はヤバいけどな」
僕の視界の奥、今いる位置からだとその姿はかなり小さく僅かしか確認出来なかったが、フラっと動いたバレンが見えた。
「ハァ……ハァ……ハァ……ハァ……」
「しぶといな。辛うじて息があったか。ブガガガ」
「バレーーン!」
本当にヤバいじゃん! もうあんな状態じゃとても戦えない。ここから見ても、立っているのがやっとの感じじゃないか?
僕の思った通り。少しづつフラフラと歩いてくるバレンは、息も上がり意識が朦朧としていた。それでも、何とか力を振り絞りこっちに戻ってきたが、結果は明白。このまま続けてもバレンに勝ち目はない。
「バレン!もう止めてよ!死んじゃうよ!」
「ガキが心配してくれてるぜ? どうだ? 気が変わったなら今からでも俺の仲間になッ……「あり得ねぇゲロ」
ポルゴスの言葉を遮り、バレンは力強く言い切った。
見るからにフラフラな状態にも関わらず、バレンの目はまだ諦めていなかった。ただ真っ直ぐにポルゴスを見るその視線は、瀕死寸前とは思えない程気迫に満ちていた。
「まだ諦めてねぇなバレンは」
「いくらやる気があってももう無理だよ! それとも何? この状況をひっくり返す奥の手でもあるっていうの⁉」
「そんな事俺に聞かれても知らねぇぜお頭。まぁ言えることがあるとすりゃ、一発逆転出来るような力も魔力もとても残ってるとは思えない。って事ぐらいかな」
「何だそれ! それが分かってるなら早く助けてよ!」
「それは出来ねぇ。まだバレンがやる気だからな。真剣勝負に手を出すなんて野暮だろうよ」
何こんな状況で格好良く決めてるんだ。野暮だろうよじゃないよ全く。何故そんなに落ち着いていられる。僕はもう気が気じゃないよ。まぁディオルドとティファ―ナなら、本当にヤバい瞬間の時には動いてくれると思うけど。
え? いざって時には勿論助けてくれる気ですよね? ディオルド。だから平気で見ているんだよね? そういう事で合ってるよね?
「強がってる割に今にも倒れそうだがな。まぁいい、このまま止めを刺してやろう!」
「バレン!!」
「死ねぇぇぇぇ!!」
バレンに止めを刺しにいったポルゴス。空高く振り上げられた巨大斧はその頂点で動きを止めると、バレン目掛け
て一気に振り下ろされた。
そしてそれは突如起こった――。
――ズガンッッ!!!!!
「……がッ……⁉⁉」
「――⁉」
起死回生の1撃とも言うべきか。
バレンは振り下ろされた巨大斧を搔い潜り、狙っていたかの様にそのポルゴスの攻撃に、渾身のカウンターを放った。
巨大斧が誰もいない地面を破壊すると同時、カウンターを狙ったバレンの掌底が見事ポルゴスの顎を捉え、巨大斧と共にポルゴスの巨体も崩れ落ちた。
「持ってやがったな。一発逆転の奥の手」
「凄いわバレン!」
「ハァ……ハァ……ハァ……」
だが、まだ勝負は終わっていなかった――。
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