【魔力商人】の僕は異世界を商売繫盛で成り上がる~追放で海に捨てられた為、海上ギルド建てたら実力も売上も波に乗って異世界最強に~

きょろ

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第3章~建設と武術と転生カエル~

27 スマイルベット

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~冒険者ギルド~

「――さぁて。それじゃ俺らもひと稼ぎと行こうかティファ―ナ」
「うん!どんどん稼ごう」
「無理だけはしないでよ2人共」

 冒険者ギルドに着いた僕達は早速クエストを選ぼうとしていた。

 異常なティファ―ナでも1千万稼ぐのに1週間は掛かった。とは言っても、ランクが上がった後半の報酬とペース計算すれば、正直もっと稼いでいる。Bランクからまた報酬額が一気に高くなったからね。本当に前の様なペースでこなす気なら、ティファ―ナだけでも1日400~500万Gを稼ぎ出す計算だ。恐ろしい。

「ティファ―ナはBランクだっけ?それなら何より先ずAランクにするんだ」

 ディオルドが少し真面目な顔でそう言った。

「どうして?」
「Bランクでも十分報酬が高いが、Aランクはそこからまた高くなる。当たり前だがな。それにAランク以上には更に“スマイル・ベット”が受けられる」
「――⁉」
「何それ?」

 Aランク以上の冒険者が受けられるという“超高額報酬クエスト”、別名『スマイル・ベット』

 その昔、ある王家が暇つぶしの賭けで、世界中の冒険者に1つの超高額クエストを依頼した。
 クエスト内容は、モンスターの中で絶対的トップに君臨する“ドラゴン”の討伐。
 
 数百年以上前は、今ほど魔力が発達していなく、人間や他の種族がドラゴンを倒すなんてあり得ない時代。
そんな時代で、その場にいた王家の者達が「こんなの出来る筈がない」と大笑いしながらクエストを出したことから、『笑いの賭けスマイル・ベット』と呼ばれる様になったと言う―。

 これは、数百年経った現代でも当たり前の様に存在している。しかし、長年の歴史の中で徐々に変化していき、今ではドラゴンとまではいかないにしても、それと同レベルのモンスターの討伐等が、超高難度クエスト……スマイル・ベットとして指定されている。

「スマイル・ベットって本当にあるんだ……って、もしかしてディオルドAランクなの⁉」
「何言ってんだ今更。当たり前だろ」

 ええ⁉ マジで⁉

「え、ディオルドって今いくつ?」
「18」

 やっぱり! 僕と2つしか変わらない。それでもうAランクってヤバすぎるでしょ。ラウギリでもようやくCランクになったぐらいなのに。

「お頭の歳の時には、もうAランクだぜちなみに」

 もうディオルドしか勝たん。
 たった今あなたを化け物認定しました。

「待ってよ。しかもそれって当然魔力一切無しの剣術のみって事だよね……?」
「当り前だろ。クエスト1個でいちいち魔力なんか使えるか」

 いくらここが剣と魔法の世界とは言え、魔力を一切使わないなんて有り得ないぞ。
 侍や剣士は勿論、槍とか斧とかで戦う場合だって最低限魔力を纏わなきゃ、攻撃力だってないし、自分の身も危険だ。魔力0なんて、そんなのただの身体能力勝負じゃないか。なんてデタラメな男なんだ。

「その実力で何で騎士団の入団試験レベルで落ちるんだよ」
「あれは試験のやり方が良くねぇよな」
「その体質には同情するけどさ、そもそも何で騎士団に入りたかったの?」
「別に大した理由はないけどな。強いて言うなら、物心ついた時から俺に剣を教えた人が騎士団だったからかな」

 ディオルドに剣を教えたと?
 この化け物の上に更に化け物がいると?

「くだらねぇ質問は終わりだ。俺はもうスマイル・ベット受けてくるぜ。ティファ―ナも早くAランクになれよ」
「分かった。頑張る!」

 そう言って、ディオルドとティファ―ナはそれぞれクエストへと旅立った。

 また待ちぼうけか。まぁいいだろう。こうなったらやる事は1つ。商人として、ティファ―ナとディオルドの売上をしっかり記帳しよう。それしかない。

 そして5日が経った―。

 ♢♦♢

~冒険者ギルド~

 きっと僕は、これから先のまだかなり長い人生の中で、天変地異でも起こらない限り、驚くという感情は2度と生まれないだろう。

 そう思える程の衝動をたった今……いや、正確には4日前から受けているんだ―。

「――な?問題なく稼げただろ?」
「凄いねスマイル・ベット! あまり数はないけど」
「まぁそれはしょうがねぇ。危険だし、額が額だからな」

 冒険者ギルドの椅子に座りながら話すティファ―ナとディオルド。テーブルには飲み物とお菓子。
 その隣のテーブルで、僕は黙々と計算中である。

「お頭、終わったか?」
「ジルまだぁ?」
「もうすぐだからちょっと待ってよ!」

 迅速且つ慎重に計算しないと、“桁”を間違えちゃうよ。こんな数字数えた事ないもんだって。ただ計算してるだけなのに手汗も凄いし震えが止まらない。書く数字もいびつな形になってるよ。

「――よし。出来た」

 無意識の内に肩にも凄い力が入っていた。ふぅーっと僕は深呼吸して、今しがた終わった“売上帳”に再度視線を落とした。

 数字が驚愕過ぎて、気を抜くと視線どころか目ん玉ごと落ちそうだ。

「どれどれ」
「ジル見せて!」

 ティファ―ナとディオルドも、売上帳を覗き込んできた。

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