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第1章~追放と人魚と婚約破棄~
08 記録メモ~表~
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「ジル!これで貯まったでしょ?早くギルド建てようよ!」
「えっ……あ、うん。そ、そうだね……!ハハハ」
驚き過ぎて顔が引きつっちゃう。だってとんでもない額が貯まってるんだもん!
しかもたかが1週間で。誰でも驚くでしょこれは。今回のクエストだって500,000Gだよ!500,000!あり得ないって。
この間のリヴァイアサンのクエストでも報酬は1,000,000Gなのに。
まぁ金額だけ聞けばかなり高いじゃんって思うよね。
でも少し冷静になって考えよう。確かに報酬は高い。だけど、リヴァイアサンを倒すにはまず船が必要。そうなったらこの報酬からその分引かれるよね。
次に、いくら船を出したからといっても、確実にリヴァイアサンと遭遇するかは分からない。ここは完全に運任せ。回数が重なれば重なる程出費も嵩む。
報酬が1,000,000Gであっても、余計な出費を抑えなければ結局手元に残る額が少なくなってしまう。
それが自分だけに全て入るのならまだいいが、高額報酬のクエストなどAランク以上の実力者や、パーティを組んでいない限り滅多に稼げない。パーティを組めば自然と報酬は山分けにもなる。
それに何と言っても命の危険というリスクが常に隣り合わせだ。
こう考えると、リヴァイアサンのクエストもさほど報酬が良い感じはしなくなる。その辺の感覚は人それぞれだけどね。でも命を落としたら元も子もない事は誰にでも分かるでしょ。
けど勿論、クエストにはあらゆるパターンが存在する。今回のティファ―ナが正に良い例だ。
報酬こそリヴァイアサンの半分だが、重要なのは中身。結局の所、最終的にどれだけ自分達が得できるのかが大事なんだ。
今回ティファ―ナが受けたクエストは素材集め。素材と言っても種類は多岐に渡るけど。
そこら辺で簡単に入手出来る物から、危険なエリアや上級モンスターが出てくる場所でしか入手出来ない物まで様々だ。素材を手に入れるには指定のモンスターを倒さないといけない場合だって多々ある。
ティファ―ナの場合はモンスター討伐こそ無いが、そもそも危険度が高く指定されたエリアであった。
場所は海底―。
異世海でも遥か北の方角。年中氷点下を記録する極寒エリア。
クエストの依頼内容は、このエリアの海底にあると言われている特殊な石の入手。普通の人間ならばまず辿り着くことが不可能。しかし、人魚族や魚人族等、海を得意とする者ならば話は早い。
後は、周辺に出るモンスターと万が一遭遇した時に対処できるか否か、目的の場所に辿り着き確実に物を入手出来るか。不測の事態が起こっても冷静に対応出来る実力があるのかどうか。もし条件が合い、これといったトラブルも無ければ最高の形でクエストクリアだ。
海系のクエストは陸のものと比べると当然数は少ないが、自然と入手困難な物や危険度が高いとのイメージから報酬の相場が少し高くなっている。
そして見事ティファ―ナは、条件も合いトラブルに遭遇する事もなくクエストをこなし、報酬を受け取った。
言うまでもなく、海に出るのに船も使っていなければ、誰かとパーティを組んだ訳でもないので余計な出費は一切無し。全額1人で手にしたんだから凄いよホントに。
でも1番何が凄いかって、クエストに掛かった時間だよね。
ティファ―ナが行った極寒エリアは、海を得意とする種族でも、僕が今いる場所から約2日程掛かると言う。海の種族でも、泳ぎの速い者もいればそこまで速くない者もいる。だから平均で掛かるのが2日ぐらいらしい。それでも人間の僕達からするとあり得ない速さだ。
僕はこの日、ティファ―ナが今回のクエストを受けると言い出してから始めてその情報を知った。平均でそのぐらいならば、人魚族の遊泳スピードならもう少し速く辿り着けそうだなと思った。片道で1日掛かっても往復で2日。
余裕で平均以上のスピードだ。……そんな安易な考えをした僕は何処まで馬鹿なのだろう。
この1週間、ずっとティファ―ナのクエストを終える速さに驚かされていたのに、何故普通の発想をしてしまったのか自分でもよく分からない。
平均でいくならば往復で4日。早い種族でも2日ぐらい。だから僕も、この間にギルドに必要な物を色々準備しようと思いティファ―ナにもそう伝えた。
出会ってからずっとティファ―ナはクエストを受け続け、僕はギルドでただただ待っていた。待っていたと言うより、戻って来るのが早すぎて何処にも行けなかったんだよね。
でも流石に今回は場所が場所なだけに、少し時間が掛かるかな~と思っていたのに、いざ蓋を開けてみればティファ―ナはものの“40分”程で戻って来た――。
ここまでくると最早怖いよね。怖いよ僕は。
速いって事は分かっていたけど40分ってヤバくない?しかも往復で。しかもちゃんと指定の石みたいなの持ってるし! 40分で500,000G……こんな事があって良いのだろうか……。
まぁそんなこんなの1週間だった訳だから、ギルドを建てられる大金が貯まるのも十分納得出来る。
――ガサガサッ……。
ただギルドで待つのも退屈だから、暇つぶしにメモしていたんだ。“ティファ―ナのクエスト記録”も今となっては紙にギッシリ記録が残っているな。
ーーーーーーーーーーーーーーー
~ティファ―ナクエスト記録~
・1日目
Fランク 500G
Fランク 1,000G
Fランク 1,000G
Eランク 1,500G
Eランク 1,000G
Eランク 2,000G
Eランク 2,500G
受注数:7 総額:9,500G
・2日目
Eランク 1,500G
Eランク 1,000G
Fランク 1,000G
Eランク 2,000G
Fランク 1,000G
Eランク 3,000G
Eランク 2,000G
Eランク 2,000G
ティファ―ナFランク→Eランク
ここまで一緒にクエストしたが、海のクエストもあると知り挑戦したいと言う。
Eランク 5,000G
Eランク 3,500G
Eランク 4,000G
Eランク 4,000G
受注数:12 総額:30,000G
・3日目
Eランク 4,500G
Eランク 3,000G
Eランク 5,000G
Eランク 5,000G
Eランク 3,500G
Eランク 4,500G
Eランク 4,000G
Eランク 5,000G
Eランク 3,000G
Eランク 5,500G
Eランク 10,000G
Eランク 5,000G
Eランク 4,000G
Eランク 5,000G
Eランク 7,000G
Eランク 6,500G
Eランク 5,000G
Eランク 6,000G
Eランク 8,000G
Eランク 8,500G
Eランク 8,000G
受注数:21 総額:116,000G
海のクエストで回転率がかなり上がった。
しかもやっぱり海系は相場が高い。
「えっ……あ、うん。そ、そうだね……!ハハハ」
驚き過ぎて顔が引きつっちゃう。だってとんでもない額が貯まってるんだもん!
しかもたかが1週間で。誰でも驚くでしょこれは。今回のクエストだって500,000Gだよ!500,000!あり得ないって。
この間のリヴァイアサンのクエストでも報酬は1,000,000Gなのに。
まぁ金額だけ聞けばかなり高いじゃんって思うよね。
でも少し冷静になって考えよう。確かに報酬は高い。だけど、リヴァイアサンを倒すにはまず船が必要。そうなったらこの報酬からその分引かれるよね。
次に、いくら船を出したからといっても、確実にリヴァイアサンと遭遇するかは分からない。ここは完全に運任せ。回数が重なれば重なる程出費も嵩む。
報酬が1,000,000Gであっても、余計な出費を抑えなければ結局手元に残る額が少なくなってしまう。
それが自分だけに全て入るのならまだいいが、高額報酬のクエストなどAランク以上の実力者や、パーティを組んでいない限り滅多に稼げない。パーティを組めば自然と報酬は山分けにもなる。
それに何と言っても命の危険というリスクが常に隣り合わせだ。
こう考えると、リヴァイアサンのクエストもさほど報酬が良い感じはしなくなる。その辺の感覚は人それぞれだけどね。でも命を落としたら元も子もない事は誰にでも分かるでしょ。
けど勿論、クエストにはあらゆるパターンが存在する。今回のティファ―ナが正に良い例だ。
報酬こそリヴァイアサンの半分だが、重要なのは中身。結局の所、最終的にどれだけ自分達が得できるのかが大事なんだ。
今回ティファ―ナが受けたクエストは素材集め。素材と言っても種類は多岐に渡るけど。
そこら辺で簡単に入手出来る物から、危険なエリアや上級モンスターが出てくる場所でしか入手出来ない物まで様々だ。素材を手に入れるには指定のモンスターを倒さないといけない場合だって多々ある。
ティファ―ナの場合はモンスター討伐こそ無いが、そもそも危険度が高く指定されたエリアであった。
場所は海底―。
異世海でも遥か北の方角。年中氷点下を記録する極寒エリア。
クエストの依頼内容は、このエリアの海底にあると言われている特殊な石の入手。普通の人間ならばまず辿り着くことが不可能。しかし、人魚族や魚人族等、海を得意とする者ならば話は早い。
後は、周辺に出るモンスターと万が一遭遇した時に対処できるか否か、目的の場所に辿り着き確実に物を入手出来るか。不測の事態が起こっても冷静に対応出来る実力があるのかどうか。もし条件が合い、これといったトラブルも無ければ最高の形でクエストクリアだ。
海系のクエストは陸のものと比べると当然数は少ないが、自然と入手困難な物や危険度が高いとのイメージから報酬の相場が少し高くなっている。
そして見事ティファ―ナは、条件も合いトラブルに遭遇する事もなくクエストをこなし、報酬を受け取った。
言うまでもなく、海に出るのに船も使っていなければ、誰かとパーティを組んだ訳でもないので余計な出費は一切無し。全額1人で手にしたんだから凄いよホントに。
でも1番何が凄いかって、クエストに掛かった時間だよね。
ティファ―ナが行った極寒エリアは、海を得意とする種族でも、僕が今いる場所から約2日程掛かると言う。海の種族でも、泳ぎの速い者もいればそこまで速くない者もいる。だから平均で掛かるのが2日ぐらいらしい。それでも人間の僕達からするとあり得ない速さだ。
僕はこの日、ティファ―ナが今回のクエストを受けると言い出してから始めてその情報を知った。平均でそのぐらいならば、人魚族の遊泳スピードならもう少し速く辿り着けそうだなと思った。片道で1日掛かっても往復で2日。
余裕で平均以上のスピードだ。……そんな安易な考えをした僕は何処まで馬鹿なのだろう。
この1週間、ずっとティファ―ナのクエストを終える速さに驚かされていたのに、何故普通の発想をしてしまったのか自分でもよく分からない。
平均でいくならば往復で4日。早い種族でも2日ぐらい。だから僕も、この間にギルドに必要な物を色々準備しようと思いティファ―ナにもそう伝えた。
出会ってからずっとティファ―ナはクエストを受け続け、僕はギルドでただただ待っていた。待っていたと言うより、戻って来るのが早すぎて何処にも行けなかったんだよね。
でも流石に今回は場所が場所なだけに、少し時間が掛かるかな~と思っていたのに、いざ蓋を開けてみればティファ―ナはものの“40分”程で戻って来た――。
ここまでくると最早怖いよね。怖いよ僕は。
速いって事は分かっていたけど40分ってヤバくない?しかも往復で。しかもちゃんと指定の石みたいなの持ってるし! 40分で500,000G……こんな事があって良いのだろうか……。
まぁそんなこんなの1週間だった訳だから、ギルドを建てられる大金が貯まるのも十分納得出来る。
――ガサガサッ……。
ただギルドで待つのも退屈だから、暇つぶしにメモしていたんだ。“ティファ―ナのクエスト記録”も今となっては紙にギッシリ記録が残っているな。
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~ティファ―ナクエスト記録~
・1日目
Fランク 500G
Fランク 1,000G
Fランク 1,000G
Eランク 1,500G
Eランク 1,000G
Eランク 2,000G
Eランク 2,500G
受注数:7 総額:9,500G
・2日目
Eランク 1,500G
Eランク 1,000G
Fランク 1,000G
Eランク 2,000G
Fランク 1,000G
Eランク 3,000G
Eランク 2,000G
Eランク 2,000G
ティファ―ナFランク→Eランク
ここまで一緒にクエストしたが、海のクエストもあると知り挑戦したいと言う。
Eランク 5,000G
Eランク 3,500G
Eランク 4,000G
Eランク 4,000G
受注数:12 総額:30,000G
・3日目
Eランク 4,500G
Eランク 3,000G
Eランク 5,000G
Eランク 5,000G
Eランク 3,500G
Eランク 4,500G
Eランク 4,000G
Eランク 5,000G
Eランク 3,000G
Eランク 5,500G
Eランク 10,000G
Eランク 5,000G
Eランク 4,000G
Eランク 5,000G
Eランク 7,000G
Eランク 6,500G
Eランク 5,000G
Eランク 6,000G
Eランク 8,000G
Eランク 8,500G
Eランク 8,000G
受注数:21 総額:116,000G
海のクエストで回転率がかなり上がった。
しかもやっぱり海系は相場が高い。
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