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女神とスキルの始まり②
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現代でも選ばれた者にしか継承されないリューティス王国が誇る7つの最強の神器。これがこの王国に神器が生まれた瞬間である。
言わずもがな、その神器の威力は圧倒的。
スキルと覚醒、そして神器までも手にしたリューティス王国はピンチから一転。再び息を吹き返したリューティス王国は神器の力によって獣人族とその他の王国の攻撃を遥かに上回る強さを手にしてしまった――。
スキルと神器を手にしたリューティス王国は唯一無二にして最強の存在。獣王率いる祖の王国でさえもその力を前に敗れ、彼ら獣人族は大陸の最も端となる“最果ての地”まで追いやられてしまったのだった。
目の前に立ち塞がった祖の王国というリューティス王国最大にして最後の敵が消え去り、もうこの世界の誰もリューティス王国の勢いを止める事が出来なくなってしまった。
その事実が更なる拍車をかけ、リューティス王国の侵略は日々確実にその領土を広げていき、毎日大量の屍が転がるまでに禍々しく荒れた日々を繰り返す事となった。
終わりの見えないリューティス王国の侵略にただただ恐怖を抱く事しか出来なかった他国の民達は、誰が言い出したわけでもなく、気が付けば次第に多くの者達が両手を合わせ、祈る様に天を仰いでいた。
皆が祈りを捧げる先――それは、この世界の始まりとも言われる“3神柱”の存在。
当時を生きていた者達ならば誰もが知っている3神柱。
『精霊王イヴ』
『獣天シシガミ』
『竜神王ドラドムート』
誰が言わずとも、リューティス王国の脅威に晒されていた大勢の者達が皆自然と3神柱に祈りを捧げた。神の存在など勿論誰も見た事がない。だがもう殆どの者達が祈る事しか出来なかったのだ。
祈りを捧げるだけでリューティス王国の侵略が止まる事はない。
しかし、それでもやはり祈るしか出来ない。
最早成す術なく、全ての者達がただただこのリューティス王国の侵略が終わるのを待つしかないと諦めかけた時……皆の祈りが遂に3神柱に通じたのだ。
そう。
深淵神アビスの召喚には命という取り返しのつかない代償が必要であったが、3神柱はそんな深淵神アビスとはまるで対照的。3神柱は何の代償もない、生ける多くの者達の純粋で真っ直ぐな強い思いに共鳴しその姿を現した。
そして、神秘的な輝きと共にこの世に舞い降りた3神柱は瞬く間に深淵神アビスを封じ込み、脅威を晒していたリューティス王国の侵略を食い止めたのだった。
これをきっかけに戦乱の時代は一気に幕引き。
全ての王国が今日の様な歴史を繰り返してはならぬと、この先無意味な侵略や戦争を互いに起こさないという取り決めを交わした。
戦乱の時代が終わった事により世界はみるみるうちに平和となり、多くの者達が平穏に暮らし始めた。
だが、遠くない未来。
この平和が何時か脅かされる事になるであろうと3神柱は悟っていた――。
何故ならば、深淵の世界からアビスを召喚するにはそれ相応の代償が必要であり、リューティス王国が代償にしたその37,564の命は、言うなれば儀式の“1つ目の代償”。これはあくまでアビスを“召喚するのに必要”な代償であり、この召喚にはまだ続きが存在する。
それは、この世界に召喚されたアビスが召喚した者達へ告げる“制約の代償”――。
リューティス王国はアビスを召喚し、スキルと武器という強力な力を手に入れる代わりに2つ目の代償となるアビスとの制約を結ばなければならなかった。
アビスが国王に告げた見返りが“世界”。
つまり、アビスはスキルと武器をリューティス王国に与える代わりにこの世界を渡せと申したのだ。そして国王はアビスのこの申し出を受け入れ、両者の制約は結ばれたのである。
本来であればリューティス王国が世界全てを侵略し、後にその全てを深淵神アビスが手にする事となる制約であったのだが、突如現れた3神柱によってアビスは封印されてしまった。
だが、深淵神アビスの制約は“絶対”。
3神柱の神々でさえも、深淵神アビスのその強大な力を封じ込めるのが限界だったのだ。アビスを完全に消さない限りこの制約の代償は必ず返されてしまう……。だからこそ、それを悟っていた3神柱は来るべき日に備え、自ら達もこの世界に留まる事を選んだ。
グリム達に今訪れている終焉とは、他ならぬこの深淵神アビスの制約の代償。アビスの召喚からもう何百年と月日経ち、当たり前の如く当時の者達など誰1人として生きていないが、この制約の代償は今もなお継続されている――。
アビスは封印されながらもゆっくりと着実に力を蓄え、その力が徐々に強くなり外に漏れ始めている。その影響の1つが紛れもないノーバディやラグナレクの存在であった。
ノーバディとラグナレクの活発化。
それはすなわち、深淵神アビスの“復活”が近い事の兆しであった。
この世界に留まる事を選んだ3神柱は、アビスが何時の日か復活した際、己達の力だけではまたアビスを倒しきれないと判断し、人間に与えられるアビスのスキルを逆手に取ろうと考えた。
己達神々の力と“選ばれし人間”、そしてアビス自身のスキルの力を全て総括し次こそ深淵神アビスをこの世界から消滅させる事を誓った3神柱。
来るべき運命の日に備え、3神柱はこの世界の未来を全て託す運命の者を選び出した。
それこそが……。
『エミリア・シールベス』
『フーリン・イデント』
そして――。
『グリム・レオハート』
世界の運命は、この3人に全て託されたのだった――。
言わずもがな、その神器の威力は圧倒的。
スキルと覚醒、そして神器までも手にしたリューティス王国はピンチから一転。再び息を吹き返したリューティス王国は神器の力によって獣人族とその他の王国の攻撃を遥かに上回る強さを手にしてしまった――。
スキルと神器を手にしたリューティス王国は唯一無二にして最強の存在。獣王率いる祖の王国でさえもその力を前に敗れ、彼ら獣人族は大陸の最も端となる“最果ての地”まで追いやられてしまったのだった。
目の前に立ち塞がった祖の王国というリューティス王国最大にして最後の敵が消え去り、もうこの世界の誰もリューティス王国の勢いを止める事が出来なくなってしまった。
その事実が更なる拍車をかけ、リューティス王国の侵略は日々確実にその領土を広げていき、毎日大量の屍が転がるまでに禍々しく荒れた日々を繰り返す事となった。
終わりの見えないリューティス王国の侵略にただただ恐怖を抱く事しか出来なかった他国の民達は、誰が言い出したわけでもなく、気が付けば次第に多くの者達が両手を合わせ、祈る様に天を仰いでいた。
皆が祈りを捧げる先――それは、この世界の始まりとも言われる“3神柱”の存在。
当時を生きていた者達ならば誰もが知っている3神柱。
『精霊王イヴ』
『獣天シシガミ』
『竜神王ドラドムート』
誰が言わずとも、リューティス王国の脅威に晒されていた大勢の者達が皆自然と3神柱に祈りを捧げた。神の存在など勿論誰も見た事がない。だがもう殆どの者達が祈る事しか出来なかったのだ。
祈りを捧げるだけでリューティス王国の侵略が止まる事はない。
しかし、それでもやはり祈るしか出来ない。
最早成す術なく、全ての者達がただただこのリューティス王国の侵略が終わるのを待つしかないと諦めかけた時……皆の祈りが遂に3神柱に通じたのだ。
そう。
深淵神アビスの召喚には命という取り返しのつかない代償が必要であったが、3神柱はそんな深淵神アビスとはまるで対照的。3神柱は何の代償もない、生ける多くの者達の純粋で真っ直ぐな強い思いに共鳴しその姿を現した。
そして、神秘的な輝きと共にこの世に舞い降りた3神柱は瞬く間に深淵神アビスを封じ込み、脅威を晒していたリューティス王国の侵略を食い止めたのだった。
これをきっかけに戦乱の時代は一気に幕引き。
全ての王国が今日の様な歴史を繰り返してはならぬと、この先無意味な侵略や戦争を互いに起こさないという取り決めを交わした。
戦乱の時代が終わった事により世界はみるみるうちに平和となり、多くの者達が平穏に暮らし始めた。
だが、遠くない未来。
この平和が何時か脅かされる事になるであろうと3神柱は悟っていた――。
何故ならば、深淵の世界からアビスを召喚するにはそれ相応の代償が必要であり、リューティス王国が代償にしたその37,564の命は、言うなれば儀式の“1つ目の代償”。これはあくまでアビスを“召喚するのに必要”な代償であり、この召喚にはまだ続きが存在する。
それは、この世界に召喚されたアビスが召喚した者達へ告げる“制約の代償”――。
リューティス王国はアビスを召喚し、スキルと武器という強力な力を手に入れる代わりに2つ目の代償となるアビスとの制約を結ばなければならなかった。
アビスが国王に告げた見返りが“世界”。
つまり、アビスはスキルと武器をリューティス王国に与える代わりにこの世界を渡せと申したのだ。そして国王はアビスのこの申し出を受け入れ、両者の制約は結ばれたのである。
本来であればリューティス王国が世界全てを侵略し、後にその全てを深淵神アビスが手にする事となる制約であったのだが、突如現れた3神柱によってアビスは封印されてしまった。
だが、深淵神アビスの制約は“絶対”。
3神柱の神々でさえも、深淵神アビスのその強大な力を封じ込めるのが限界だったのだ。アビスを完全に消さない限りこの制約の代償は必ず返されてしまう……。だからこそ、それを悟っていた3神柱は来るべき日に備え、自ら達もこの世界に留まる事を選んだ。
グリム達に今訪れている終焉とは、他ならぬこの深淵神アビスの制約の代償。アビスの召喚からもう何百年と月日経ち、当たり前の如く当時の者達など誰1人として生きていないが、この制約の代償は今もなお継続されている――。
アビスは封印されながらもゆっくりと着実に力を蓄え、その力が徐々に強くなり外に漏れ始めている。その影響の1つが紛れもないノーバディやラグナレクの存在であった。
ノーバディとラグナレクの活発化。
それはすなわち、深淵神アビスの“復活”が近い事の兆しであった。
この世界に留まる事を選んだ3神柱は、アビスが何時の日か復活した際、己達の力だけではまたアビスを倒しきれないと判断し、人間に与えられるアビスのスキルを逆手に取ろうと考えた。
己達神々の力と“選ばれし人間”、そしてアビス自身のスキルの力を全て総括し次こそ深淵神アビスをこの世界から消滅させる事を誓った3神柱。
来るべき運命の日に備え、3神柱はこの世界の未来を全て託す運命の者を選び出した。
それこそが……。
『エミリア・シールベス』
『フーリン・イデント』
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『グリム・レオハート』
世界の運命は、この3人に全て託されたのだった――。
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