零ノ朔日

エノモト ルイ

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第ニ章:朔日~運命ノ起動~

05:「白キ日」

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 ――思い出すのは五年前のあの日。

 暖かな日差しが差し込む白いカーテンの懐かしき部屋で、白髪の少年、晃日と黒髪の少女、宵月はその幼い顔を涙で濡らしながら、手に大きな荷物を持った黒髪の男と白髪の女の顔を見上げていた。
 その後ろでは、ソファーに寝そべった灰髪の少女、愛瞳が手当を受けた傷だらけの体をさすりながら、その様子を眺めていた。

「それじゃあ、お父さんたちは仕事に行ってくる……もう暫くは帰れないだろう。明日には遥香と徒乃が迎えに来る。それまでは大人しく待っているんだぞ」

 ぼさっとした黒髪を掻き上げ、不健康そうな顔をしたその父親は涙を流す二人の息子達に言って聴かせた。
 それでも尚泣き止めない二人を、眼帯を着けた白髪の母親が豊満な胸に二人を抱き寄せ、優しくその頭を撫でる。

「大丈夫よ、あなた達なら。晃日はしっかり妹と愛瞳ちゃんの事を護ってあげなさい。宵月は、そんなお兄ちゃんの事を支えてあげてね。愛瞳ちゃんも、二人の事をよろしくね」
「はい、分かりました。玄宇さんも、樂世さんもどうかお身体にはお気をつけて……」
「ははっ……流石は、隠し子とは言え代表の娘さん、財閥令嬢だな。しっかりと根が座っている」
「ありがとうございます……お二人が勤めている生体研究グループも、お二人の存在あって成り立っているようなものですから……」
「12歳とは思えないくらいしっかりしているね。でも愛瞳ちゃんは自分の身分を隠すために代表が親戚に預けたんだから、その事も気を付けるんだよ」
「はい……ありがとうございます」

 父親の玄宇が、愛瞳の頭を優しく撫でる。彼女は痣だらけの頬を少し赤らめていたが、それでもしっかりと頭を下げた。
 母の胸の中で泣き続ける二人を、樂世は更に強く抱きしめた。

「ほら、もういい加減しっかりしなさい!ちゃんと、二人の事守ってあげるんだよ!宵月も!約束だからね?」
「……うん分かった」
「頑張るよ、お母さん……」
「よし、良い子だ」

 黒髪を掻きながら、玄宇は二人の頭もわしわしと撫でた。
 既に二人は泣き止み、愛瞳と共に玄関から出て行く両親を見届ける。

「それじゃあ、行ってくる……」
「頑張るんだよ、三人とも!」

 それが双子が最後に見た、両親の姿だった。
 それからというもの、二人はその約束を胸に秘め、今の歳まで生き続けてきた。
 二人で支え合って生きてきたからこそ、彼らの中で約束の意義はとても重いモノとなっていた。
 故に、彼らは悔やんでいたのだ、大切な約束の一つでもあった、愛瞳を護れず、死なせてしまった事が。

 ……だからこそ、彼らは常人には到底真似できない決意がある。

 それは時として人に狂気と言わしめるかも知れないが、だがそれでも、自分が信じた約束の為に、彼らは動き続けてきた。

「……そうだ……そうだよ……二度と……約束を破るなんて……してたまるか!」

 直後、逢星の振り下ろされた灰の刃は彼女の前髪を一部切り裂いた所で停止していた。
 その細腕を掴むのは、血にまみれた白い右手。

「……やっぱり、目覚めたんだね……お兄ちゃん」
「晃日……!?」
「……」

 逢星の目線の先に、確かに彼は立っていた。
 一つ結びにした白銀の髪を靡かせ、破壊されたはずの右腕で、彼は強く弟の腕を掴み、握りしめていた。
 血痕は確かに残っていたが、全身に刻まれていたはずの刺し傷や、胸に開けられたはずの風穴も、その全てが消え去っている。

「心臓が炉として覚醒したか……っはははは!流石兄さんだ!」
「……失せろ」

 直後、目にも止まらぬ速さで体を引き上げられた逢星は勢いよく体を吹き飛ばされ、廃屋の壁へと激突した。
 一人その場に立っていた晃日の胸には、白く輝く光が灯り、やがてそれは鼓動に合わせて脈打ち、血管を沿うようにして全身に広がっていった。
 その目もまた、光を帯びて、白光を纏う。
 輝きを纏った彼の体は、太陽のように熱を帯び、辺りに熱気を放つ。

「晃日……その光は……」
「……良く分からない。でも、なんだか……」

 彼は握られた自分の右手の拳を見て、静かに目を閉じ、そしてキッと鋭く見開き、逢星を睨んだ。

「何故だか懐かしい気がする。ずっとずっと昔から宿っていたような……」
「っはは……当然だよ。兄さんや姉さんは、その力を父さんや母さんから貰い受けていたんだから……今までただそれが目覚めてなかっただけだ」

 体を起こした逢星が壁に突き刺さっていた剣を引き抜いた。
 その様子から全くダメージは受けていないように見える。

「でも……まだ、僕の方が……強い!!!」

 剣を構え直した逢星が灰の輝きを身に纏い、その場から晃日に向けて飛び上がった。
 本来であれば常人にその速さは目で追えない。
 しかし白き光を纏った晃日には、全てが手に取るように見えた。まるでそれは自分以外の世界の速度が遅くなったかのように、ただ一点、自分に向かってくる逢星にのみ収束した集中力がそう錯覚させていた。
 そして今の自分にその一撃を抑え込む為の手段が無いとも同時に分からせた。

「……」

 だが、彼の目線はそれを捉えた。
 足元に転がっていた、白いパンドラの箱。
 彼は直感的に、今こそこれがこの状況を切り拓く為の一手になると確信した。
 もしその力を得られなければ、確実に次の一手で自分の体は両断される。

「……」

 しかし彼は、駆け引きに出た。
 僅かな一瞬にその箱へと、意を決して手を伸ばす。

「届かなくて悔やむくらいなら、燃え尽きてでもこの手で掴んで見せる」

 そしてその手は箱へと触れた。
 同時に、手から広がった輝きは箱に刻まれた幾何学的な模様に沿って流れ込んでゆく。
 光に満たされたその箱は、直後、紋様の形に合わせて展開を始め、内部を顕にする。

 そこに収められていたのは、幾つかの武装、そして白銀に眩く輝く一振りの剣。
 その剣は逢星が持つ物と同じ形状をしていたが、確実にそれはただのモノでは無いと思わせるに十分な気配を感じさせた。

「……使うよ、父さん、母さん……約束を、宵月を護る為に」

 彼は剣の柄を強く握りしめ、そして振り上げた。
 刹那、元の速度に戻る世界。
 正面と正面からぶつかりあった剣の刃は重厚な金属音を鳴り響かせ、火花を散らした。

「箱が!」
「その『刀』……いや、剣はっ!」
「……これでお前と互角だな、逢星っ!」

 ギリギリと軋む音を鳴らしながら徐々に晃日の体と白き剣が逢星の体を圧し始める。
 隙を睨んだ逢星が切り返し、幾度か斬撃を繰り出すが、その全てを間違いなく晃日は目で見切り、弾き返していく。そのぶつかり合いは傍から見れば静止画を何枚も連続で眺めてるような気分になるほど、目では捉えられぬ速さだった。

「っははは!やっと楽しくなってきたよ、兄さん!」
「……そうだな」

 突きが飛んでくるのを見切った晃日がその動きを利用して逢星の剣を跳ね上げ、突き返す。
 身の危険を顧みないその踏み込みによってお互いの刃が晃日には頬に、逢星には腹部に同時に襲いかかった。

「……っ」
「っぐ……あっは……ははははっ!」

 頬をかすめた刃は僅かに切り傷を残し、腹部を穿たれた逢星は溢れ出す血液を抑えながらよろよろと後退る。
 しかし晃日の頬についた傷は瞬時に跡形も無く消滅し、治癒されていた。

「新陳代謝の加速『真術まじゅつ』……それを無意識下で常に発動できるって……流石は兄さん!」

 口から血を吐き、飛び上がった逢星は廃屋の屋根の上に立った。

「今日の所は退かせてもらうよ、兄さん。最後に一つ、人類に何が起きてるのだけ教えてあげよう」

 そういう彼を、晃日と宵月がただ見上げて注目した。

「……あの天の光は、人類を選別し、進化へと導く為の破滅の光だ。その光を浴び、適応出来た者のみが、心臓を中心に全身の構造が変貌し、心臓を炉として窮極の物質……『心素ごそ』を生成出来るようになる。その心素を用いて『真術』を使役出来るようになった者こそが選ばれし者、新人類へと進化する。それが……この『零ノ朔日』だ」
「なんの話だか分かんねえけど……だけど、何となく分かったよ」

 瞬時に晃日が箱から白い拳銃を取り出すと容赦無く引き金を逢星に向けて引いた。
 光を纏った弾丸は真っ直ぐ逢星に向かって飛んで行ったが、弾丸がその場に行き着く頃には、彼の姿は跡形も無くなっていた。

『あとはその天使型の『真物マモノ』達に任せるよ。せいぜい覚えたての真術を扱って、楽しんでくれよ……何故なら彼ら真物は、これから現れる者達のほんの足元にも及ばない、ただの雑兵に過ぎないからね』

 どからか聞こえてきた楽しそうな声が終らぬうちに、宙に舞っていた顔無しの天使達が一斉に二人に襲い掛かる。

「……宵月、そのまま動かないでいてくれ」
「わ、分かった」

 彼女を護るようにして立った晃日は剣を地面に突き立てると、両手に拳銃を構える。
 迫ってくる天使の大軍達に意識を集中させた瞬間、世界の時間が停止したかのように錯覚し、それを利用して確実に一体一体に向けて引き金を引いた。
 宙に静止したように見えた弾丸は、彼が意識を解いた瞬間に一斉に光を纏って放たれ、天使達を撃ちぬき、バラバラに粉砕して消滅させた。
 砕け散った天使達のカケラが降り注ぐ中、生き残り襲い掛かってきた少数の天使に対応し、剣を地面から引き抜くとその勢いで目の前にいた天使の剣を弾き、そのままその剣を蹴り飛ばし隣にいた天使の胸を刺し穿ち、粉砕する。

「……腕に」

 背後から迫って来た天使に対して、晃日が振り返り様に腕に意識を集中させる。白く発光する紋様が腕にのみ広がり、そのまま顔の無い天使の頭を握り絞めると、次の瞬間にはもう既に頭部のみがその場に残っており、吹き飛んだ体が地面に転がっている。
 遅れて音が聞こえてきた宵月には何が起きたのか分からなかったが、唖然としている間に数体の天使が粉砕され破片と化していた。

「これで……終わりだ」

 最後に正面から迫って来た天使の剣を弾き飛ばし、胴体を両断すると共に、辺りは静寂に満たされた。
 遅れて宙に弾け飛んでいた剣が地面に落ち、突き刺さる金属音を聞いて、宵月は瞬きをした。
 自分の目の前に立つ兄は剣や銃器を一振りして消すように何処かへと仕舞うと、ゆっくりと振り向き、膝を付いて自分と目線を併せる。

「……大丈夫か?怪我は無いか?」
「ううん、擦り傷だけだから……」
「見せて見ろ」

 彼に促され宵月が膝を出す。
 赤く傷跡が裂けたその場所に、晃日が人差し指を差し出し、白光を纏わせてそっと撫でると傷口を縫い合わせるかのように皮膚と皮膚が繋がり、治癒された。

「……まるで魔法みたいだね」
「真術、と言っていたからな。なんでか分かんないけど……まるで頭で考えた事が全部思い通りに行くような……」

 気付けば辺りは明るくなり、天を見上げてみればいつも通りの太陽が煌々と輝きながらそこにあった。
 未だに在り得ないという様子で晃日は自分の手を見つめている。

「……って、そんな事より皆大丈夫かな、早く連絡を……」

 宵月がスマートフォンを取り出したその時、一通の電話を受信した。

「あっ、徒乃ちゃんからだ。大丈夫だったのかな……」

 彼女はほっとした様子で通話ボタンを押した。
 しかし、そのスピーカーの向こうから聞こえてくる声は、普段の彼女からは想像もつかないくらい切迫した声だった。

『あ、あぁ……宵月ちゃん!』
「え、徒乃ちゃん……どうしたの?」
『は、早く!早く家にきて……っ!お姉ちゃんが……お姉ちゃんが!!!』
「ち、ちょっと、徒乃!?」
「……どうした?」

 彼女が聞き返す間もなく、電話は切れてしまった。
 だがその様子からただ事では無いのが容易に分かる。

「……行くか」
「急ごうよ、こんな出来事の後だから、襲われたのかも知れない……」

 二人は目線を併せ、頷き合うと家に向かって走り出した。
 ただ間に合うと信じて。

 しかし、運命の歯車はまだ廻り始めたばかりであった。
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