61 / 143
第三章 開戦
第11話 突入!!金色邸!!
しおりを挟む
小さい頃、欲しいものは全て手に入った。
行きたいところはどこでも連れてってもらえたし、何をしても褒められた。
あの頃は世界は優しくて俺の味方なのだと信じて疑わなかった……
そう、あの時までは。
◆
「こちらにお座りください」
無駄に豪華でピカピカしているゴルディオの邸宅をしばらく進むと、広い部屋に案内される。
部屋の中央には大きい長方形のテーブルが鎮座しており、ゴルディオの秘書にそこに座るよう促される。
ちなみにテーブルも純金製みたいだ。果たして売ったらいくらになるのだろうか。
「うおっ、あの鎧スゲーな」
「確かに。よく出来てるな」
席に座ると正面に置いてある、これまた純金製の大きい全身鎧《フルプレートメイル》が目に付く。
魔力を感じられるため魔道具なのだろう。ゴルディオが着るのだろうか? 似合わなそうだ。
それにしても魔道具にうるさい俺から見ても見事な出来だ。
そんなことを思っているとあのうるさい声が聞こえてくる。
「ハハハ!! 待たせたな諸君!!」
「来たか……」
俺たちが入ってきたのとは別の扉よりゴルディオが入室してくる。
ゴルディオは昨日より更に服装が派手になっている。
金ぴかのスーツに金ぴかの靴。
純金のネックレスに指輪、ピアス、サングラス、etc……
全身真っ金々の成金スタイル。
昨日の服装はまだ遠慮していたみたいだな。
「さて、話し合いを始めようじゃないか」
ゴルディオは俺たちの向かいにドカッと腰を下ろすとそう切り出してくる。
「話し合い……だと?」
俺はその言葉にイラつき、純金製の机に右足の踵《かかと》を『ダン!』と振り下ろす。
「ふざけるなよ。もう話し合いなんて次元は超えてるんだ、俺たちはお喋りしに来たんじゃない。お前をぶち殺しに来たんだ」
「俺の真意も聞かずに早計じゃないかな? 何も俺はあんたの国を滅ぼしたいワケじゃないんだぜ?」
もっともらしい事を言うゴルディオ。
今すぐその頭吹っ飛ばしてもいいがここまで言われて何も聞かないのも後味が悪いか。
「……いいだろう。ここまで来たんだ、戯言くらい聞いてやろう」
「賢明な判断、感謝するよ。俺がお前らの国にちょっかいをかけた理由、それは……」
「お前の国を貰うためさ!!」
舌を出し挑発的に言い放つゴルディオ。
俺は体が急速に冷めていくのを感じる。
どうやら人は怒りが頂点を突破すると冷静になるみたいだ……
話を聞こうと思った俺が馬鹿だったよ。
いいぜ。やってやるよ。
「ヴォルク」
「おうよ大将。俺も限界だぜ!」
俺の呼びかけと共に目の前の不届き者に飛び掛かるヴォルク。
既に半狼化しており、気合が入っているのかこの前よりも速く、鋭い。
「死にさらせやっ!!」
ゴルディオの首元に迫る凶爪。
しかしその一撃は思いもよらない人物に止められる。
「なにっ!!」
すんでの所でヴォルクの腕を掴んだのは、なんと先ほどまで物言わぬ置物だった黄金の鎧だ。
おそらく鎧に魔力遮断効果があるのだろう。
まさか中に人がいるとはな。
「俺の自慢の騎士《ナイト》さ。遊んでやれ」
「御意」
鎧の男は3m近い体躯を持つ。
しかし半狼化したヴォルクも負けず劣らずデカい。十分勝てるだろう。
「そいつは任せたぞ」
「任せて下さい大将。アレ、使わせて貰います」
ヴォルクはそう言うと「ふんぬらっ!!」と黄金騎士を壁に投げ飛ばす。
黄金の壁はその衝撃に耐えきれず大穴が空き、隣の部屋とつながる。
「では俺たちは上でやりあうとしようか。いい場所を用意してある。」
そう言い指を鳴らすと天上より階段が下りてくる。
無駄なところに凝りやがる。
嫌いじゃないがな。
「いいぜ、思う存分語り合おうじゃないか」
俺はガン! と拳を突き合わせ宣言する。
「拳でな!!」
◇
「くくっ、取り残されてしもうたのお。折角じゃ、わしらもやるか?」
4人が部屋から退出したことによりテレサとゴルディオの秘書、リアだけが残っていた。
「勘弁してください。私は戦闘は不得手なのです」
「ほう、その割には堂々としとるの。わしが怖くないのか?」
テレサは妖艶に舌をペロリと出しながら杖をリアの顎に当てる。
この距離なら彼女の首など痛みを感じる前に吹っ飛ばせるだろう。
「怖くないと言ったら嘘になります。しかしゴルディオ様から貴女は野蛮な方ではないと聞き及んでおります」
「かっ! あの若造め。知った口を聞きおって」
テレサのそんな様子にリアは少し頬を緩める。
やはり緊張しているようだ。
「それで? わざわざわしと二人きりになったんじゃ。何か言いたいことがあるんじゃろ?」
「話が早くて助かります。実は……」
邸内で起こる二つの激戦をよそに女性たちの密会は静かに行われたのだった……
行きたいところはどこでも連れてってもらえたし、何をしても褒められた。
あの頃は世界は優しくて俺の味方なのだと信じて疑わなかった……
そう、あの時までは。
◆
「こちらにお座りください」
無駄に豪華でピカピカしているゴルディオの邸宅をしばらく進むと、広い部屋に案内される。
部屋の中央には大きい長方形のテーブルが鎮座しており、ゴルディオの秘書にそこに座るよう促される。
ちなみにテーブルも純金製みたいだ。果たして売ったらいくらになるのだろうか。
「うおっ、あの鎧スゲーな」
「確かに。よく出来てるな」
席に座ると正面に置いてある、これまた純金製の大きい全身鎧《フルプレートメイル》が目に付く。
魔力を感じられるため魔道具なのだろう。ゴルディオが着るのだろうか? 似合わなそうだ。
それにしても魔道具にうるさい俺から見ても見事な出来だ。
そんなことを思っているとあのうるさい声が聞こえてくる。
「ハハハ!! 待たせたな諸君!!」
「来たか……」
俺たちが入ってきたのとは別の扉よりゴルディオが入室してくる。
ゴルディオは昨日より更に服装が派手になっている。
金ぴかのスーツに金ぴかの靴。
純金のネックレスに指輪、ピアス、サングラス、etc……
全身真っ金々の成金スタイル。
昨日の服装はまだ遠慮していたみたいだな。
「さて、話し合いを始めようじゃないか」
ゴルディオは俺たちの向かいにドカッと腰を下ろすとそう切り出してくる。
「話し合い……だと?」
俺はその言葉にイラつき、純金製の机に右足の踵《かかと》を『ダン!』と振り下ろす。
「ふざけるなよ。もう話し合いなんて次元は超えてるんだ、俺たちはお喋りしに来たんじゃない。お前をぶち殺しに来たんだ」
「俺の真意も聞かずに早計じゃないかな? 何も俺はあんたの国を滅ぼしたいワケじゃないんだぜ?」
もっともらしい事を言うゴルディオ。
今すぐその頭吹っ飛ばしてもいいがここまで言われて何も聞かないのも後味が悪いか。
「……いいだろう。ここまで来たんだ、戯言くらい聞いてやろう」
「賢明な判断、感謝するよ。俺がお前らの国にちょっかいをかけた理由、それは……」
「お前の国を貰うためさ!!」
舌を出し挑発的に言い放つゴルディオ。
俺は体が急速に冷めていくのを感じる。
どうやら人は怒りが頂点を突破すると冷静になるみたいだ……
話を聞こうと思った俺が馬鹿だったよ。
いいぜ。やってやるよ。
「ヴォルク」
「おうよ大将。俺も限界だぜ!」
俺の呼びかけと共に目の前の不届き者に飛び掛かるヴォルク。
既に半狼化しており、気合が入っているのかこの前よりも速く、鋭い。
「死にさらせやっ!!」
ゴルディオの首元に迫る凶爪。
しかしその一撃は思いもよらない人物に止められる。
「なにっ!!」
すんでの所でヴォルクの腕を掴んだのは、なんと先ほどまで物言わぬ置物だった黄金の鎧だ。
おそらく鎧に魔力遮断効果があるのだろう。
まさか中に人がいるとはな。
「俺の自慢の騎士《ナイト》さ。遊んでやれ」
「御意」
鎧の男は3m近い体躯を持つ。
しかし半狼化したヴォルクも負けず劣らずデカい。十分勝てるだろう。
「そいつは任せたぞ」
「任せて下さい大将。アレ、使わせて貰います」
ヴォルクはそう言うと「ふんぬらっ!!」と黄金騎士を壁に投げ飛ばす。
黄金の壁はその衝撃に耐えきれず大穴が空き、隣の部屋とつながる。
「では俺たちは上でやりあうとしようか。いい場所を用意してある。」
そう言い指を鳴らすと天上より階段が下りてくる。
無駄なところに凝りやがる。
嫌いじゃないがな。
「いいぜ、思う存分語り合おうじゃないか」
俺はガン! と拳を突き合わせ宣言する。
「拳でな!!」
◇
「くくっ、取り残されてしもうたのお。折角じゃ、わしらもやるか?」
4人が部屋から退出したことによりテレサとゴルディオの秘書、リアだけが残っていた。
「勘弁してください。私は戦闘は不得手なのです」
「ほう、その割には堂々としとるの。わしが怖くないのか?」
テレサは妖艶に舌をペロリと出しながら杖をリアの顎に当てる。
この距離なら彼女の首など痛みを感じる前に吹っ飛ばせるだろう。
「怖くないと言ったら嘘になります。しかしゴルディオ様から貴女は野蛮な方ではないと聞き及んでおります」
「かっ! あの若造め。知った口を聞きおって」
テレサのそんな様子にリアは少し頬を緩める。
やはり緊張しているようだ。
「それで? わざわざわしと二人きりになったんじゃ。何か言いたいことがあるんじゃろ?」
「話が早くて助かります。実は……」
邸内で起こる二つの激戦をよそに女性たちの密会は静かに行われたのだった……
0
お気に入りに追加
728
あなたにおすすめの小説
フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ
25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。
目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。
ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。
しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。
ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。
そんな主人公のゆったり成長期!!
転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。
【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する
雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。
その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。
代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。
それを見た柊茜は
「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」
【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。
追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん…....
主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します
レベルが上がらずパーティから捨てられましたが、実は成長曲線が「勇者」でした
桐山じゃろ
ファンタジー
同い年の幼馴染で作ったパーティの中で、ラウトだけがレベル10から上がらなくなってしまった。パーティリーダーのセルパンはラウトに頼り切っている現状に気づかないまま、レベルが低いという理由だけでラウトをパーティから追放する。しかしその後、仲間のひとりはラウトについてきてくれたし、弱い魔物を倒しただけでレベルが上がり始めた。やがてラウトは精霊に寵愛されし最強の勇者となる。一方でラウトを捨てた元仲間たちは自業自得によるざまぁに遭ったりします。※小説家になろう、カクヨムにも同じものを公開しています。
クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。
異世界へ誤召喚されちゃいました~女神の加護でほのぼのスローライフ送ります~
モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎
飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。
保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。
そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。
召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。
強制的に放り込まれた異世界。
知らない土地、知らない人、知らない世界。
不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。
そんなほのぼのとした物語。
大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです
飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。
だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。
勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し!
そんなお話です。
異世界に転移した僕、外れスキルだと思っていた【互換】と【HP100】の組み合わせで最強になる
名無し
ファンタジー
突如、異世界へと召喚された来栖海翔。自分以外にも転移してきた者たちが数百人おり、神父と召喚士から並ぶように指示されてスキルを付与されるが、それはいずれもパッとしなさそうな【互換】と【HP100】という二つのスキルだった。召喚士から外れ認定され、当たりスキル持ちの右列ではなく、外れスキル持ちの左列のほうに並ばされる来栖。だが、それらは組み合わせることによって最強のスキルとなるものであり、来栖は何もない状態から見る見る成り上がっていくことになる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる