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ニ
しおりを挟む「紅葉さん……」
愛しい人の名前を呼んでみる。
それに応えてくれる可能性は、少しも存在しない。
何故なら、俺は冴えない教師である上に、彼に嫌われているらしいからだ。
何故嫌われているのか、検討も付かない。
今日も可愛かったな、と廊下で見た彼を思い出して愛しい気持ちが溢れる。
同時に悲しくなった。
何で教師になんかなったんだろうか……
でも、だからこそ紅葉さんに会えたのだ。
何も変わらない日々に、嫌気が差しそうだった。
誰かの気配に、微睡みから目を覚ます。
明日の授業の準備をして、布団に潜ったのがついさっきだ。
教員寮はだだっ広く、最盛期に建てられたものだから、今は三分の一しか使われていない。
静かなのが好きだから、誰も住んでいない区画に居るはずなのに……
さっと、人の動く気配がする。
薬草学を担当しているといっても、この学校自体がレベルの高い教師しか居ない。
そんな所に忍んで来るとは……
生徒が悪戯目的で来たかと当たりを付ける。
しばらく様子を見ようとジッとしていると、近付いて来るのが分かった。
なかなか、気配を消すのが上手い。
俺が侵入を許している時点で、上忍ほどの実力がある。今、学校でその実力を持っているのは、五人くらいだったか。
その中に紅葉さんも居るが、こんな何も無いところに用事なんてないはず。
知らずため息が出そうになった。
「先生」
ドキュンっと胸が高鳴った。
(紅葉さんだ!!!な、何でこんな所に?!!)
憧れの人の、突然の訪問に体が硬直する。
そっと胸に手を置かれる。
キャーーーーー!!
く、紅葉さん!胸に手が!!!
「先生?寝てる?」
寝てます寝てます。
起きると紅葉さんが帰ってしまうような気がして、必死で寝たフリをした。
柔らかい感触がする。
@§☆◎◆#£!??
ちゅ、ちゅと何度も唇が触れる感触がして、天に昇る気持ちになった。
気持ちが良すぎて、目がチカチカする。
月明かりしかないような部屋なのに、頭の中は凄い光量に侵された。
う……うあ。
紅葉さん、あの…すいません。気持ち良すぎて愚息が……
「!!!!!????」
紅葉さんの柔らかい手が、竿に触れる。
「う……」
これは、我慢できない!
「やっぱり起きてた」
月明かりだけでも美しい、紅葉さんが妖しく微笑む。
「な、何で……」
いや、本当に何で!!?
紅葉さんには浮ついた噂は無いのに、この行動はどういうことだろうか?
いや、何でも良いです。ありがとうございます。
「先生と、えっちなことがしたいだけ」
プシューッと頭から煙が出た。
艶やかな赤い唇が、弧を描く。
その唇に捕らわれて、動けなくなる。
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