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第七章【鬼の国】

第百十九話 封印する方法

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「封印する方法は一つ」

 グリードが言い出して、教えてくれるのかと驚く。

「マリヤが俺を殺すしかない」

「………」

 グリードを?人を俺が殺す?

 心臓がドクンドクンと波打つ。言い様のない恐怖が心を支配する。

「マリヤよ、その男を殺すのは容易ではないぞ。殺されてくれる気にならねば、殺せぬ」

 え?殺されてくれる気って……

 グリードが俺に殺されてもいいと思わないとムリってこと?そんなのムリじゃん。

「条件はもう決めてある。ただでは教えないけど」

 グリードが俺を抱きしめながら、そう言った。




 大巫女の前を辞して、お城に帰ってきた。

 グリードもエリオネルも手を離してくれなくて、困り果てながら帰ってきたのだ。

「グリード、俺、エリオネルとイチャイチャしたいから、ずっと居られると困るんだけど」

「マリヤは俺のこと、封印しなくていいの?」

「よくないけど、今すぐどうこうじゃないだろ。その間ずっとできないとか、俺がムリ」

 チラッとエリオネルを見ると、顔を真っ赤にしていた。だから、可愛いんよ。

 キュンキュンと疼く胸を押さえてグリードに向き直る。

「俺は3人でしてもいいよ?」

「は!?しないけど!!」

「残念。無理矢理抱いたら恨み買いそうだし、うーん、恨み買うのもいいかな?」

 何だか物騒なことを言い始める。

「賢者に会うまでの2日に1回、マリヤを独り占めできるなら、条件教えてもいい」

「エッチなことなし?」

「んー。それは約束できない」

「じゃあ、ムリ」

「わかった。エッチなことなしね」

「エリオネル、それでいい?」

「よくないけど、……よくない」

 エリオネルは逡巡しゅんじゅんしたあと、否定の言葉を口にした。

 コンコンと障子を叩く音がする。

「はーい」

「ヴァンプフィルドです」

「ユリアーノさん!」

 障子を開けると、黒曜国の服に身を包んだユリアーノさんが居た。

「あの、魔族の気配がするのですが……」

「ああ、入ってください」

 ゆっくり部屋に入ってきたユリアーノさんは、畳に座っているグリードを見て驚愕の表情をする。

「ま、魔族……ですか?」

「いえ、魔王です」

「魔王!??」

「あの、一応大丈夫なので座ってもらっていいですか?」

 頭がはてなだらけになっているであろうユリアーノさんに座ってもらう。

「こちら、魔王のグリード、こちら、枢機卿のユリアーノさんです」

「よろしくお願いします?」

「ふむ」

 ふむって何。何だかそれが面白くて笑ってしまう。

「何故、魔王が出現しているのでしょうか?」

「あ、元々旅の一行に居たらしくて、アキトっていう小さい子がグリードだったみたいです。神さまが呪って、グリードは小さくなってたんだそうです」

「………」

 何か言って。

「とりあえず、大丈夫なんですか?」

「今のところ大丈夫そうですけど、わからないです」

 正直、大丈夫じゃない気がするけど、魔族を圧倒するような力の持ち主だ。何か、例えばバルカスのように俺を拐ってしまったら、誰にもどうすることもできない気がする。
 でも、グリードはそうしないような気がした。

「それで、今後どうするか話し合ってたところです」

 ユリアーノさんにグリードに言われた封印の方法、条件のことなどを話す。

「ジルコンさんの、お通夜みたいな顔はそういうことですか……」

 エリオネルを見ると、なるほどお通夜みたいに無表情で、落ち込んでるようにみえる。

「でも、2日に1回で条件教えてもらえるんですよね?拐われるより全然いいのではないですか?」

「わかってます」

「エリオネル、俺も寂しいけど、世界がかかってるでしょう?俺、エリオネルが居るこの世界が無くなったら嫌だよ」

「………わかった。でも、本当の意味で納得してないのは知っていてほしい」

「うん。かまわないって言われるより、全然嬉しい」

 エリオネルのところに行って、上から唇を落とす。彼は上を向いて受け入れてくれた。
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