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第七章【鬼の国】
第百十八話 正体は……
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「そういえば、何でここに?」
「アキトが大巫女様に呼ばれたんです」
「アキトが?なんで?」
「何ででしょう?わかりません」
「嘉伯くんは?知ってる?」
「知らない」
全員が頭を捻りながら、階段を登って行く。エリオネルに飛翔は使えないのか聞いたら、結界が張られているため魔法は使えないとのことだった。悔しい。
休憩と水分を取りながら上まで来た。汗だくだ。アキトが存外平気そうなのが腑に落ちない。
しばらく休憩して、汗が引いたところで建物に入る。建物の外観を見る余裕はなかった。
建物に入ると木製の細かい骨組みに、至る所にお札が貼られており、ビックリしてしまった。不気味というより神秘的なのは、骨組みの間から沢山日の光が入っているからだろうか。
建物は六角形をしているらしく、上に行くために広い傾斜があった。人一人分の身長くらいの幅のその傾斜は、六角形の壁にくっつくようにして作ってあり、それがぐるぐると上まで続いているようだった。
嘉伯くんに案内されて、上まで登る。開けた部屋に、女の子が居た。
特筆すべきは、その子の髪が真っ白で、目が濁っていることだ。見た目は少女なのだが、雰囲気なのか妙齢の女性のようにも見える。上衣は白く、袴が赤い。
「大巫女様、マリヤ、エリオネル、アキトの3名をお連れしました」
嘉伯くんが目の前で腕を揃え、深く礼をした。
「マリヤよ、其方気付いておるな」
少女にしては低い女の人の声が、大巫女から発せられる。気づいているとは、何にだろうか?
「………《解呪》」
大巫女がアキトに向けて手をかざすと、バチバチバチッと細い雷のようなものが空気中に沢山走った。
俯いたアキトがドクンドクンと大きくなる。
信じられない思いでアキトを見ていると、顔を上げたその顔は見覚えのある人になっていた。
「グリード………」
似ているとは思っていた。でも、別人だと思いたかった。
バッと抱きしめられる。エリオネルが俺を背後に庇うのがわかった。
「あー、やっとこの姿で居られる」
アキトの服が伸びに伸びて七分袖と七分丈になっている。グリードがぐいーっと伸びをした。
「騙してたの?」
「違う、呪われてた」
大巫女が解呪と言っていたから、誰かがグリードにかけた呪いを彼女が解いたんだろう。どうやらグリードは、呪いをかけられて、小さくなっていたらしい。
「誰が呪ったの?」
「神だ」
また、神さま!この世界では祝福したり、催眠かけたり、呪ったり、神さま忙しいな。
「何でグリードを呪ったりするの?」
「さあ?面白かったからじゃないかな?」
その言葉にカッと怒りが灯った。勝手すぎる!
「俺を封印したいんだよね?」
「封印?」
エリオネルが訝しげに呟く。あ、そうだ、グリードが魔王だってこと言ってないんだった。
「エリオネル、多分グリードは魔王だよ」
「魔王!?」
黙って聞いていた嘉伯くんが大きな声を出してビックリしてしまう。
「そうだよね?グリード」
「ああ」
沈黙が訪れる。周りを見回して様子を伺うと、ビックリしすぎたリチアさんが腰を抜かしていた。
「貴方のことは、マリヤから聞いてます」
「知ってる」
「絶対に渡さないし、封印もさせてもらう」
「わかってる。でも、すんなり封印される気はない」
ピリ、と空気が張り詰めるのがわかる。何だか、グリードから諦観めいたものを感じた。気のせいだろうか?
「マリヤ、こっちへおいで」
エリオネルの前で何てこと言うのだろうか。行くわけない。
「行かない」
「そう。仕方ない」
さっとグリードの姿が揺れて、俺の前まで来た。抱きすくめられて、口づけを落とされる。
ちゅ、とリップ音がしたのを聞いたエリオネルが、グリードを殴ろうとした。
バシッとそれを事もなげにグリードが防ぐ。
「グリード!!」
「俺はマリヤのことは、すぐには諦めない。この世界が崩壊したとしても」
不穏なことを言うグリードに困惑する。
「マリヤよ、魔王を封印できねば、この世界は無に帰す。よくよく考えて、答えを出すことだ」
大巫女の発言に言葉を失う。
「無に帰すってどういうことですか?」
「言葉の通りだ。黒の森が世界を覆い、生き物は息絶える」
そんなの、封印する以外方法がないじゃないか。
「アキトが大巫女様に呼ばれたんです」
「アキトが?なんで?」
「何ででしょう?わかりません」
「嘉伯くんは?知ってる?」
「知らない」
全員が頭を捻りながら、階段を登って行く。エリオネルに飛翔は使えないのか聞いたら、結界が張られているため魔法は使えないとのことだった。悔しい。
休憩と水分を取りながら上まで来た。汗だくだ。アキトが存外平気そうなのが腑に落ちない。
しばらく休憩して、汗が引いたところで建物に入る。建物の外観を見る余裕はなかった。
建物に入ると木製の細かい骨組みに、至る所にお札が貼られており、ビックリしてしまった。不気味というより神秘的なのは、骨組みの間から沢山日の光が入っているからだろうか。
建物は六角形をしているらしく、上に行くために広い傾斜があった。人一人分の身長くらいの幅のその傾斜は、六角形の壁にくっつくようにして作ってあり、それがぐるぐると上まで続いているようだった。
嘉伯くんに案内されて、上まで登る。開けた部屋に、女の子が居た。
特筆すべきは、その子の髪が真っ白で、目が濁っていることだ。見た目は少女なのだが、雰囲気なのか妙齢の女性のようにも見える。上衣は白く、袴が赤い。
「大巫女様、マリヤ、エリオネル、アキトの3名をお連れしました」
嘉伯くんが目の前で腕を揃え、深く礼をした。
「マリヤよ、其方気付いておるな」
少女にしては低い女の人の声が、大巫女から発せられる。気づいているとは、何にだろうか?
「………《解呪》」
大巫女がアキトに向けて手をかざすと、バチバチバチッと細い雷のようなものが空気中に沢山走った。
俯いたアキトがドクンドクンと大きくなる。
信じられない思いでアキトを見ていると、顔を上げたその顔は見覚えのある人になっていた。
「グリード………」
似ているとは思っていた。でも、別人だと思いたかった。
バッと抱きしめられる。エリオネルが俺を背後に庇うのがわかった。
「あー、やっとこの姿で居られる」
アキトの服が伸びに伸びて七分袖と七分丈になっている。グリードがぐいーっと伸びをした。
「騙してたの?」
「違う、呪われてた」
大巫女が解呪と言っていたから、誰かがグリードにかけた呪いを彼女が解いたんだろう。どうやらグリードは、呪いをかけられて、小さくなっていたらしい。
「誰が呪ったの?」
「神だ」
また、神さま!この世界では祝福したり、催眠かけたり、呪ったり、神さま忙しいな。
「何でグリードを呪ったりするの?」
「さあ?面白かったからじゃないかな?」
その言葉にカッと怒りが灯った。勝手すぎる!
「俺を封印したいんだよね?」
「封印?」
エリオネルが訝しげに呟く。あ、そうだ、グリードが魔王だってこと言ってないんだった。
「エリオネル、多分グリードは魔王だよ」
「魔王!?」
黙って聞いていた嘉伯くんが大きな声を出してビックリしてしまう。
「そうだよね?グリード」
「ああ」
沈黙が訪れる。周りを見回して様子を伺うと、ビックリしすぎたリチアさんが腰を抜かしていた。
「貴方のことは、マリヤから聞いてます」
「知ってる」
「絶対に渡さないし、封印もさせてもらう」
「わかってる。でも、すんなり封印される気はない」
ピリ、と空気が張り詰めるのがわかる。何だか、グリードから諦観めいたものを感じた。気のせいだろうか?
「マリヤ、こっちへおいで」
エリオネルの前で何てこと言うのだろうか。行くわけない。
「行かない」
「そう。仕方ない」
さっとグリードの姿が揺れて、俺の前まで来た。抱きすくめられて、口づけを落とされる。
ちゅ、とリップ音がしたのを聞いたエリオネルが、グリードを殴ろうとした。
バシッとそれを事もなげにグリードが防ぐ。
「グリード!!」
「俺はマリヤのことは、すぐには諦めない。この世界が崩壊したとしても」
不穏なことを言うグリードに困惑する。
「マリヤよ、魔王を封印できねば、この世界は無に帰す。よくよく考えて、答えを出すことだ」
大巫女の発言に言葉を失う。
「無に帰すってどういうことですか?」
「言葉の通りだ。黒の森が世界を覆い、生き物は息絶える」
そんなの、封印する以外方法がないじゃないか。
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