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第七章【鬼の国】
第百十二話 喧嘩
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「一目惚れだけど、私が惚れたのは、マリヤの内面だよ。最初に会った時覚えてる?リチアを助けた時だよ。あんなにカッコいい人、初めて会った」
カーッと顔が熱くなる。そうだったんだ、知らなかった。
「あ、俺顔かも……、ごめん」
「いいよ、顔も私の一部だから。私を好きになってくれたんだったら、何でもいい」
「性格も大好きだよ。エリオネルのこと、知る度に好きになっていってる」
座っているエリオネルに、向かい合うように跨る。はあ、本当に大好きだな。この気持ちが嘘だなんて信じられないから、これでいいのか。
ちゅ、と唇を合わせるとエリオネルがにこっと笑ってくれた。
「マリ」「あ!嘉伯くんあのまま置いてきちゃった!エリオネル、俺、嘉伯くんに会ってくる」
「ちょっと待って、マリヤ。何されたか忘れたの?」
そう言われて昨日の色々を思い出す。行かせないように両手を腰に充てられて、立ち上がることができない。
「覚えてます」
「赤くなるの、可愛いけど気に入らない」
「エリオネル?おねがい」
「はあー、自分が可愛いのわかってやってる?」
思いっきりため息吐かれた。
「エリオネルもついてきて?」
「それは、もちろんついて行くけど」
やっぱり、エリオネルは俺に激甘だな。ちゅ、と頬にキスするとしょうがないという風に笑ってくれた。
「嘉伯くん」
「マリヤ!!」
嘉伯くんの部屋の障子を叩くと、スパーンと目の前の障子が開く。
あ、と思う間もなく体を抱きしめられた。
ぐいっと後ろに引っ張られる。エリオネルだ。ちょ、嘉伯くん離れないな?
「嘉伯、マリヤを離して」
「いーやーだー!絶対離さない!」
「嘉伯くん、お話したいから、ちょっと離して?」
「また抱きついてもいいなら離す」
「わかったから」
「マリヤ!?」
「話し進まないから、二人とも黙って。嘉伯くん、お部屋に入ってもいい?」
「うん!どーぞ!」
ニッコニコの嘉伯くんに毒気が抜かれていく。最近、こんなんばっかりだな。
嘉伯くんの部屋は結構広めで、箪笥が沢山あった。
「嘉伯くん、昨日のことはすぐには許せない」
「はい」
嘉伯くんが畳の上で正座をする。その前に俺が、俺の左隣にエリオネルが座った。
「旅に加わるのも、俺の一存では何ともできないし、俺のこと好きでもエリオネル以外に応える気ないから、ただただしんどいと思う」
「俺、マリヤと一緒に居れるならかまわないよ」
「あの、本当にずっとエリオネルとはイチャイチャしてるから、しんどいだけだよ」
「それでも、マリヤと一緒に居たい」
困った。諦める気が全然ないじゃん。
「とりあえず、保留でいいかな?できれば、諦めてもらいたいんだけど……」
「絶対やだ!」
ぎゅっと抱きしめられて、あ、そういえば後で抱きついても良いって言ったな、と思い出した。
「嘉伯!!」
「あーやだやだ。嫉妬深い男って」
嘉伯くんがエリオネルを煽って、エリオネルがぐいぐいと俺と嘉伯くんを引き離そうとする。
「痛い痛い!無理矢理剥がすと俺が痛いって」
「マリヤが良いって言うから」
「仕方ないじゃん、話し進まなかったんだから」
エリオネルの視線が痛い。ごめんって。
お昼ご飯が運ばれてきて、嘉伯くんは離してくれた。3人でご飯を食べることになったが、エリオネルは仏頂面で、反対に嘉伯くんはニコニコしている。
しょうがないなあ。ご飯を食べ終わって、エリオネルの膝の上に乗った。
「マリヤ?」
「俺にはエリオネルだけって言ってるのに」
唇を食むようにして、ちゅ、ちゅ、と口づける。嘉伯くんに見られてるけど、知らないっ。
「ふーん?」
嘉伯くんの声が聞こえると、ぐいっと後ろに引っ張られて、エリオネルの上に腰が乗ったまま後ろに倒れた。痛みはなくて、顎を掴まれて口を塞がれる。
ぬる、と舌が入ってきて、嘉伯くんにキスされてると気がついた。
「ん、んんー!」
バコッとエリオネルが嘉伯くんを殴る。その隙に抜け出して、エリオネルの後ろに隠れた。
「何すんの!」
「いきなり目の前でキスし始めるのも、どうかと思うけど」
「俺はエリオネルとイチャイチャするってちゃんと言ったよ」
「俺は俺で勝手にやるから気にしないで」
「ダメだって言ってるでしょ!」
「昨日のことも許してないのに、とりあえず手を出す気力もないくらいボコボコにする」
エリオネルが手をボキボキ鳴らしている。エリオネル、ヤンキーみたいだよ!?
「来いよ、喧嘩慣れしてないお坊ちゃまが」
体格差がめちゃくちゃあるのに、嘉伯くんは自信があるみたいだった。
オロオロしていると、殴り合いが始まってしまった。
俺じゃあ止められないから、誰か呼んで来ないと!
部屋から出ると、女中さんが居た。
「すみません!喧嘩が始まってしまって!誰か呼んでくれませんか!?」
「わかりました。すぐに」
女中さんはさっと走って行った。忍者みたい。
怖くて部屋に入れないでいると、後ろから髪の長い人が来た。その後ろに5人居てビックリしてしまう。
6人は部屋に入ると、二人を引き剥がし、落ち着くまで抑え込んだ。
カーッと顔が熱くなる。そうだったんだ、知らなかった。
「あ、俺顔かも……、ごめん」
「いいよ、顔も私の一部だから。私を好きになってくれたんだったら、何でもいい」
「性格も大好きだよ。エリオネルのこと、知る度に好きになっていってる」
座っているエリオネルに、向かい合うように跨る。はあ、本当に大好きだな。この気持ちが嘘だなんて信じられないから、これでいいのか。
ちゅ、と唇を合わせるとエリオネルがにこっと笑ってくれた。
「マリ」「あ!嘉伯くんあのまま置いてきちゃった!エリオネル、俺、嘉伯くんに会ってくる」
「ちょっと待って、マリヤ。何されたか忘れたの?」
そう言われて昨日の色々を思い出す。行かせないように両手を腰に充てられて、立ち上がることができない。
「覚えてます」
「赤くなるの、可愛いけど気に入らない」
「エリオネル?おねがい」
「はあー、自分が可愛いのわかってやってる?」
思いっきりため息吐かれた。
「エリオネルもついてきて?」
「それは、もちろんついて行くけど」
やっぱり、エリオネルは俺に激甘だな。ちゅ、と頬にキスするとしょうがないという風に笑ってくれた。
「嘉伯くん」
「マリヤ!!」
嘉伯くんの部屋の障子を叩くと、スパーンと目の前の障子が開く。
あ、と思う間もなく体を抱きしめられた。
ぐいっと後ろに引っ張られる。エリオネルだ。ちょ、嘉伯くん離れないな?
「嘉伯、マリヤを離して」
「いーやーだー!絶対離さない!」
「嘉伯くん、お話したいから、ちょっと離して?」
「また抱きついてもいいなら離す」
「わかったから」
「マリヤ!?」
「話し進まないから、二人とも黙って。嘉伯くん、お部屋に入ってもいい?」
「うん!どーぞ!」
ニッコニコの嘉伯くんに毒気が抜かれていく。最近、こんなんばっかりだな。
嘉伯くんの部屋は結構広めで、箪笥が沢山あった。
「嘉伯くん、昨日のことはすぐには許せない」
「はい」
嘉伯くんが畳の上で正座をする。その前に俺が、俺の左隣にエリオネルが座った。
「旅に加わるのも、俺の一存では何ともできないし、俺のこと好きでもエリオネル以外に応える気ないから、ただただしんどいと思う」
「俺、マリヤと一緒に居れるならかまわないよ」
「あの、本当にずっとエリオネルとはイチャイチャしてるから、しんどいだけだよ」
「それでも、マリヤと一緒に居たい」
困った。諦める気が全然ないじゃん。
「とりあえず、保留でいいかな?できれば、諦めてもらいたいんだけど……」
「絶対やだ!」
ぎゅっと抱きしめられて、あ、そういえば後で抱きついても良いって言ったな、と思い出した。
「嘉伯!!」
「あーやだやだ。嫉妬深い男って」
嘉伯くんがエリオネルを煽って、エリオネルがぐいぐいと俺と嘉伯くんを引き離そうとする。
「痛い痛い!無理矢理剥がすと俺が痛いって」
「マリヤが良いって言うから」
「仕方ないじゃん、話し進まなかったんだから」
エリオネルの視線が痛い。ごめんって。
お昼ご飯が運ばれてきて、嘉伯くんは離してくれた。3人でご飯を食べることになったが、エリオネルは仏頂面で、反対に嘉伯くんはニコニコしている。
しょうがないなあ。ご飯を食べ終わって、エリオネルの膝の上に乗った。
「マリヤ?」
「俺にはエリオネルだけって言ってるのに」
唇を食むようにして、ちゅ、ちゅ、と口づける。嘉伯くんに見られてるけど、知らないっ。
「ふーん?」
嘉伯くんの声が聞こえると、ぐいっと後ろに引っ張られて、エリオネルの上に腰が乗ったまま後ろに倒れた。痛みはなくて、顎を掴まれて口を塞がれる。
ぬる、と舌が入ってきて、嘉伯くんにキスされてると気がついた。
「ん、んんー!」
バコッとエリオネルが嘉伯くんを殴る。その隙に抜け出して、エリオネルの後ろに隠れた。
「何すんの!」
「いきなり目の前でキスし始めるのも、どうかと思うけど」
「俺はエリオネルとイチャイチャするってちゃんと言ったよ」
「俺は俺で勝手にやるから気にしないで」
「ダメだって言ってるでしょ!」
「昨日のことも許してないのに、とりあえず手を出す気力もないくらいボコボコにする」
エリオネルが手をボキボキ鳴らしている。エリオネル、ヤンキーみたいだよ!?
「来いよ、喧嘩慣れしてないお坊ちゃまが」
体格差がめちゃくちゃあるのに、嘉伯くんは自信があるみたいだった。
オロオロしていると、殴り合いが始まってしまった。
俺じゃあ止められないから、誰か呼んで来ないと!
部屋から出ると、女中さんが居た。
「すみません!喧嘩が始まってしまって!誰か呼んでくれませんか!?」
「わかりました。すぐに」
女中さんはさっと走って行った。忍者みたい。
怖くて部屋に入れないでいると、後ろから髪の長い人が来た。その後ろに5人居てビックリしてしまう。
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