青い薔薇と金色の牡丹【BL】

水月 花音

文字の大きさ
上 下
110 / 147
第七章【鬼の国】

第百九話 全部見せて

しおりを挟む
「私に全部見せて」

 俺の腰の下に枕を敷いて、両脚を持つように指示される。

「この格好やだぁ」

「すごく良い眺めだよ」

 枕を敷くときにパンツは脱がされた。だから、秘部がエリオネルの前に晒されている。
 部屋にある明かりが、自分の恥ずかしい所を照らしていた。

 ふるふると、性器が震えている。見られているからか、先走りがすごい。
 そこに、エリオネルが顔を近づけてきた。

「そんな、見ないでっ」

「恥ずかしいね?とっても可愛いよ」

 また、恥ずかしい言い方する!

 れろっとエリオネルが陰嚢の部分から先端までを舐め上げた。そのままパクりと上から口に含まれて、温かくてぬるぬるする感触に蕾がひくひくと疼く。

 じゅ、じゅると唾液で音を立てられて、好きな顔が自分のをしゃぶっているというだけで達してしまいそうだった。
 睫毛が長くて、本当に綺麗な顔………

 ちゅぽんと、性器から口を離すと、エリオネルはもっと下に顔を埋めてきた。

「へ?ひぁっ!」

 エリオネルが、俺の後ろ舐めてる……

 ともすると、キャパオーバーになりそうな事態に、羞恥で体に力が入った。丁寧に入り口を舐められ、唾液を塗りつけられる。
 硬くした舌先でぐりぐりとこじ開けられ、柔らかくなったそこはあまり抵抗せず彼の舌を受け入れた。

 嫌と言う暇もなく舌でこじ開けられて、背中がゾワゾワしている。
 エリオネルにいつも明け渡しているからか、気持ち悪さはなくて、ただ変な感じがした。

「ん、んぅ……」

 丹念に舐められて、後孔に力が入る。舌はぬるっとしていて、締めつける度に逃れるように前後した。

「消毒終わり」

「へ……?」

 消毒だったんか。ビックリした。

「ここ、触られたのは死ぬほど腹が立つけど、挿れられなくてよかった」

「うん、心配かけてごめん」

 すり、と蕾を指で撫でられて、ヒクヒクしてしまう。つぷっと指が入ってくると、エリオネルの顔が険しくなった。

「エリオネル?」

「本当に、次会ったらボコボコにする」

 ぐりっと乱暴に指を入れられたが、痛くない。それで、自分のそこが柔らかくなっているのを思い出した。
 すぐに指が出て行って、代わりに楔が充てがわれる。

「あっ、んんっ」

 いつもゆっくり解してくれるのに、性急に挿入ってこようとするエリオネルに初めて恐怖を感じた。

「マリヤ、マリヤ」

 名前を呼ぶエリオネルが、なぜか迷子になった子どものようで、しょうがないな、という気持ちにさせられる。
 疲れたように笑うと、エリオネルが挿入ってきた。いつの間にか、楔の方に液体が塗られていたようで、痛みはない。

「あーっ、……はあ」

 エリオネルは、楔を奥まで突き入れると、ハッとしたような顔になって、俺の頬を撫でてきた。

「マリヤ、ごめんね?大丈夫?」

「大丈夫じゃない。怖かった」

「ごめん」

 抜こうとするエリオネルの腰を、足で引き寄せる。

「抜いたら怒る」

「マリヤ、これから絶対大事にする」

「充分大事にされてるよ」

 本当に大事にされている。手酷く扱われたことなんて一度もない。
 そう思って微笑むと、彼は泣きそうな顔をした。

「どうしたの?」

「愛してる、マリヤ」

「俺もだよ」

 キスをしていると、気持ちが盛り上がってきたのか、エリオネルが腰を動かし始める。

「は、あっ、……ん」

「マリヤが喘いでるの最高」

「ばかぁっ……」

「そうだよ。マリヤのことになるととことん馬鹿になるんだ。知らなかった?」

 キュンキュンと胸とお腹が疼いて、気持ちがいい。

「だいすき、エリオネル」

「可愛い」

 エリオネルがたまらない顔をしている。何、その表情。こっちがたまらなくなるんだけど。

「キスしながら、いっぱい突いて」

「わかったよ」

 枕が腰下に入っているからか、いつもより奥まで届いた。パンパンッと肌と肌がぶつかる音がする。

「ん、んんー!ふ、あぅっ」

 あ、ダメ。瞼の裏に星が飛んで、頭がチカチカしてる。
 エリオネルは、慣れた腰つきで俺を攻め立てた。

 待って、待って、死んじゃう!

 ごちゅごちゅとエリオネルの楔が、俺の中の奥の奥をノックする。その度に、快感が全身を走って、キスが疎かになってしまった。

 エリオネルが唇を離してくれて、はあはあと肩で息をする。

「大丈夫?マリヤ?」

「大丈夫じゃないっ、死ぬかと思った」

「枕取ろうか」

 苦笑してるのもカッコいい。はあ、ベタ惚れだな。
 枕を取って、隣に置いてくれた。枕を腰の下に置くだけであんなになるなんて、怖すぎる。

 繋がったままなので、エリオネルが動き出すのがすぐわかった。

 パチュンパチュンと秘部から水音がする。それが恥ずかしいけど、とても感じて、喉からひっきりなしに嬌声が漏れた。

「は、あんっ、あっ、ア」

 エリオネルの動きが段々早くなって、追い込まれていく。
 またキスしながら、器用に腰を打ち付けられて、何も考えられなかった。

「ん、んぅ、……あ、あっ」

 気持ちいい。この時だけは、不安も何もない。
 ただ満たされて、愛されているだけだ。

 彼の動きが一層早くなって、達するのが近いのがわかる。俺もイきそうだ。
 ぎゅぎゅっと繋がっているところを締めてしまって、二人同時に達した。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

Switch!〜僕とイケメンな地獄の裁判官様の溺愛異世界冒険記〜

天咲 琴葉
BL
幼い頃から精霊や神々の姿が見えていた悠理。 彼は美しい神社で、家族や仲間達に愛され、幸せに暮らしていた。 しかし、ある日、『燃える様な真紅の瞳』をした男と出逢ったことで、彼の運命は大きく変化していく。 幾重にも襲い掛かる運命の荒波の果て、悠理は一度解けてしまった絆を結び直せるのか――。 運命に翻弄されても尚、出逢い続ける――宿命と絆の和風ファンタジー。

虐げられている魔術師少年、悪魔召喚に成功したところ国家転覆にも成功する

あかのゆりこ
BL
主人公のグレン・クランストンは天才魔術師だ。ある日、失われた魔術の復活に成功し、悪魔を召喚する。その悪魔は愛と性の悪魔「ドーヴィ」と名乗り、グレンに契約の代償としてまさかの「口づけ」を提示してきた。 領民を守るため、王家に囚われた姉を救うため、グレンは致し方なく自分の唇(もちろん未使用)を差し出すことになる。 *** 王家に虐げられて不遇な立場のトラウマ持ち不幸属性主人公がスパダリ系悪魔に溺愛されて幸せになるコメディの皮を被ったそこそこシリアスなお話です。 ・ハピエン ・CP左右固定(リバありません) ・三角関係及び当て馬キャラなし(相手違いありません) です。 べろちゅーすらないキスだけの健全ピュアピュアなお付き合いをお楽しみください。 *** 2024.10.18 第二章開幕にあたり、第一章の2話~3話の間に加筆を行いました。小数点付きの話が追加分ですが、別に読まなくても問題はありません。

【完結】帝国滅亡の『大災厄』、飼い始めました

綾雅(ヤンデレ攻略対象、電子書籍化)
ファンタジー
 大陸を制覇し、全盛を極めたアティン帝国を一夜にして滅ぼした『大災厄』―――正体のわからぬ大災害の話は、御伽噺として世に広まっていた。  うっかり『大災厄』の正体を知った魔術師――ルリアージェ――は、大陸9つの国のうち、3つの国から追われることになる。逃亡生活の邪魔にしかならない絶世の美形を連れた彼女は、徐々に覇権争いに巻き込まれていく。  まさか『大災厄』を飼うことになるなんて―――。  真面目なようで、不真面目なファンタジーが今始まる! 【同時掲載】アルファポリス、カクヨム、エブリスタ、小説家になろう ※2022/05/13  第10回ネット小説大賞、一次選考通過 ※2019年春、エブリスタ長編ファンタジー特集に選ばれました(o´-ω-)o)ペコッ

【完結】冷血孤高と噂に聞く竜人は、俺の前じゃどうも言動が伴わない様子。

N2O
BL
愛想皆無の竜人 × 竜の言葉がわかる人間 ファンタジーしてます。 攻めが出てくるのは中盤から。 結局執着を抑えられなくなっちゃう竜人の話です。 表紙絵 ⇨ろくずやこ 様 X(@Us4kBPHU0m63101) 挿絵『0 琥』 ⇨からさね 様 X (@karasane03) 挿絵『34 森』 ⇨くすなし 様 X(@cuth_masi) ◎独自設定、ご都合主義、素人作品です。

「誕生日前日に世界が始まる」

悠里
BL
真也×凌 大学生(中学からの親友です) 凌の誕生日前日23時過ぎからのお話です(^^ ほっこり読んでいただけたら♡ 幸せな誕生日を想像して頂けたらいいなと思います♡ →書きたくなって番外編に少し続けました。

炎よ永遠に

朝顔
BL
叔父の頼みを受けて、俺は世界有数の金持ちや、高貴な家柄の子息が集うウェストオーディン国の寄宿学校に途中入学することになる。 一族の名誉のために託された使命は、天国と呼ばれる特別に区切られた場所に入ること。そして、神と呼ばれる選ばれた人間から寵愛を受けることだった。 愛を知らず過去の傷に苦しめられながら生きる俺は、同じく愛を知らない男と出会う。 体を繋げることで、お互いの孤独を埋め合うように求め合うが、二人の行き着く先とは……。 西洋の現代に近いですが、架空設定。 日本以外の設定はゆるいです。 過去はシリアスですが、進行形は主人公が愛に目覚めて再生していくお話を目指しています。 重複投稿。

侯爵令嬢に転生したからには、何がなんでも生き抜きたいと思います!

珂里
ファンタジー
侯爵令嬢に生まれた私。 3歳のある日、湖で溺れて前世の記憶を思い出す。 高校に入学した翌日、川で溺れていた子供を助けようとして逆に私が溺れてしまった。 これからハッピーライフを満喫しようと思っていたのに!! 転生したからには、2度目の人生何がなんでも生き抜いて、楽しみたいと思います!!!

【完結】ぎゅって抱っこして

かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。 でも、頼れる者は誰もいない。 自分で頑張らなきゃ。 本気なら何でもできるはず。 でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

処理中です...