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第四章【学園都市】
第五十七話 遮断の魔道具
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「ねぇ、エリオネルっ、からかったでしょ?」
エリオネルが宿屋に帰って来るなり問い詰める。
「ふふっ、マリヤ真っ赤になってて可愛かった」
エリオネルは嬉しそうに笑うと、俺を腕の中に閉じ込めた。
「それより、体はどう?大丈夫?」
「大丈夫だけど……」
「いつもタジタジにさせられるお返しだよ」
「授業中はやめて!顔から火が出るかと思った!」
「今なら良いんだ?」
エリオネルの声が低くなって、目がギラギラなってる。雄の顔になったエリオネルに心臓がバクバクし始めた。
「い、今もダメ!」
「なぜ?」
エリオネルの声が耳朶をくすぐる。そこにはからかいの色が混じっていて、背中がゾクゾクした。
「いじわる……」
涙目になると、エリオネルはすぐにやめてくれた。
「ごめんね、泣かせたいわけじゃないんだ」
「エリオネル、ちょっとくらいいじわるでもいいよ?」
そのまま抱きつくと、エリオネルにキスする。優しいエリオネルも好きだけど、いじわるなのも好き。
「いつも思うけど、私の理性を試してるの?」
キスの隙間に、エリオネルが呟いた。キスをしていると、夕食の鐘が鳴った。
離れがたく思いながら、夕食を食べに下に降りる。お風呂に入って、エリオネルを待っていたらいつの間にか寝てしまった。
ーーーーーー
「マリヤ、行ってくるね」
また、やってしまったー!
学校は思ってたより俺の体力を持っていってたようで、すっかり朝まで寝てしまった。
エリオネルは文句も言わずにキスをしてくれて、学校に行ってしまった。カッコ良すぎる。
学校のお昼休みに廊下で生徒に捕まってるエリオネルを発見した。女生徒に囲まれているようで、すごい人集りができている。
「先生、恋人居ますかー?」
「居るよ、可愛い恋人が」
えぇー、居てもいいから遊んでほしいなんて声が聞こえて、ちょっとムカっとした。
アイオライトくんと、アーサーくんにエリオネル先生にちょっと用事があるから、先に行っててと言うと、何だかよくわからない顔をされた。先生に送ってもらうから、というと更に驚いた顔をされる。
エリオネルは多分送ってくれると思うんだけどな。
「エリオネル先生!」
そう俺が話しかけると、困った顔をしていたエリオネルがすごい良い笑顔でこちらを向いた。流れるような動きで、俺をエスコートして輪の中から抜け出してくる。
有無を言わせない感じで歩みを進めると廊下の角を曲がったところで、口を手で塞がれた。
「遮断の魔道具使ってるから、静かにして」
耳元でコソコソと喋られて、ゾクゾクする。コクコクと頷くと、エリオネルは手を離してくれた。
追いかけてきた女の子たちが、見失ったのか何か言っている。声は全然聞こえないけど、中からの声は聞こえてしまうんだろうか?
先生姿のエリオネルに壁際に追いやられて、距離が近くてドキドキした。エリオネルの首に両手をかけて、音が出ないようにむにっとキスをする。
ドキドキしすぎて頭の中で心臓が鳴っているみたいだ。
唇を離すと、真っ赤になったエリオネルが呆然としている。
いつ魔法が解けるかわからないから、一応離れておいた。
「解くね」
周りの音が戻ってくる。女生徒はエリオネルが居なくなったからか、全員居なくなっていた。魔道具の魔法は、エリオネルのタイミングで切れるらしい。
「食堂まで送ってくれる?」
何もなかったような顔をして、食堂まで送ってもらった。アイオライトくんとアーサーくんはまた驚いた顔をしていたので、知り合いなんだ、と言っておいた。
エリオネルが宿屋に帰って来るなり問い詰める。
「ふふっ、マリヤ真っ赤になってて可愛かった」
エリオネルは嬉しそうに笑うと、俺を腕の中に閉じ込めた。
「それより、体はどう?大丈夫?」
「大丈夫だけど……」
「いつもタジタジにさせられるお返しだよ」
「授業中はやめて!顔から火が出るかと思った!」
「今なら良いんだ?」
エリオネルの声が低くなって、目がギラギラなってる。雄の顔になったエリオネルに心臓がバクバクし始めた。
「い、今もダメ!」
「なぜ?」
エリオネルの声が耳朶をくすぐる。そこにはからかいの色が混じっていて、背中がゾクゾクした。
「いじわる……」
涙目になると、エリオネルはすぐにやめてくれた。
「ごめんね、泣かせたいわけじゃないんだ」
「エリオネル、ちょっとくらいいじわるでもいいよ?」
そのまま抱きつくと、エリオネルにキスする。優しいエリオネルも好きだけど、いじわるなのも好き。
「いつも思うけど、私の理性を試してるの?」
キスの隙間に、エリオネルが呟いた。キスをしていると、夕食の鐘が鳴った。
離れがたく思いながら、夕食を食べに下に降りる。お風呂に入って、エリオネルを待っていたらいつの間にか寝てしまった。
ーーーーーー
「マリヤ、行ってくるね」
また、やってしまったー!
学校は思ってたより俺の体力を持っていってたようで、すっかり朝まで寝てしまった。
エリオネルは文句も言わずにキスをしてくれて、学校に行ってしまった。カッコ良すぎる。
学校のお昼休みに廊下で生徒に捕まってるエリオネルを発見した。女生徒に囲まれているようで、すごい人集りができている。
「先生、恋人居ますかー?」
「居るよ、可愛い恋人が」
えぇー、居てもいいから遊んでほしいなんて声が聞こえて、ちょっとムカっとした。
アイオライトくんと、アーサーくんにエリオネル先生にちょっと用事があるから、先に行っててと言うと、何だかよくわからない顔をされた。先生に送ってもらうから、というと更に驚いた顔をされる。
エリオネルは多分送ってくれると思うんだけどな。
「エリオネル先生!」
そう俺が話しかけると、困った顔をしていたエリオネルがすごい良い笑顔でこちらを向いた。流れるような動きで、俺をエスコートして輪の中から抜け出してくる。
有無を言わせない感じで歩みを進めると廊下の角を曲がったところで、口を手で塞がれた。
「遮断の魔道具使ってるから、静かにして」
耳元でコソコソと喋られて、ゾクゾクする。コクコクと頷くと、エリオネルは手を離してくれた。
追いかけてきた女の子たちが、見失ったのか何か言っている。声は全然聞こえないけど、中からの声は聞こえてしまうんだろうか?
先生姿のエリオネルに壁際に追いやられて、距離が近くてドキドキした。エリオネルの首に両手をかけて、音が出ないようにむにっとキスをする。
ドキドキしすぎて頭の中で心臓が鳴っているみたいだ。
唇を離すと、真っ赤になったエリオネルが呆然としている。
いつ魔法が解けるかわからないから、一応離れておいた。
「解くね」
周りの音が戻ってくる。女生徒はエリオネルが居なくなったからか、全員居なくなっていた。魔道具の魔法は、エリオネルのタイミングで切れるらしい。
「食堂まで送ってくれる?」
何もなかったような顔をして、食堂まで送ってもらった。アイオライトくんとアーサーくんはまた驚いた顔をしていたので、知り合いなんだ、と言っておいた。
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