36 / 147
第三章【旅路】
第三十五話 告白
しおりを挟む
「マリヤ、良く動けるようになってるよ。今日は、良い所に連れて行ってあげる」
エリオネルは当たり前のように俺の頭を撫でると、馬に乗るように言ってきた。
一人で馬に乗ることはまだできないが、エリオネルが一緒に乗ってくれるなら、あまり遠くでなければ行けるようになった。
先に馬に乗ったエリオネルの手を掴むと、グンッと引き上げられる。
優しい見た目と裏腹に、エリオネルは筋肉もあるし、筋力もすごくあるみたいだった。
「どこに行くの?」
「綺麗な所だよ」
目的地に着くと、そこは綺麗な湖だった。綺麗な水色で、驚くほど透明感がある。湖の中には、たくさんの魚と、大きな岩があった。
「わあー!すごい!キレー」
近寄って水に手を入れると周りの魚が逃げていくのが見える。
「《顕現》」
水でできた魚をイメージしながら呪文を唱えると、湖に入れた右手から、大量の水が上がってくる。その水の中には何匹になるかわからない多くの魚が、現れたり消えたりして俺の全身を飲み込んだ。
ビックリはしたが、それ以上にその様子は幻想的で、海の中に居るみたいだった。
近くに居るはずのエリオネルを見ると口を開いて、俺以上にビックリしている。そんなエリオネルの手を引いて、俺の方に引き寄せた。
綺麗なリィンリィンという音も聞こえる。たくさんの水でできた魚は、エリオネルの方にも行って、二人の周りを楽しそうに泳いだ。
まだビックリしているらしいエリオネルのあどけない表情にすごく愛おしさを感じる。
エリオネルの手に自分の手を重ねて、指を絡めてみた。それに気づいたエリオネルが顔を赤くする。
エリオネルのこういう所もすごく好きだ。
何だか、水の精霊に祝福されたように感じて、自分が大胆になっているのがわかる。
次に、エリオネルの首に手を回して、そのまま目を閉じる。エリオネルは抵抗せずに、俺と唇を重ねてくれた。
柔らかく重ねた唇を離すと、目を開けたままのエリオネルと視線が合う。その瞳には、驚きと恥ずかしさが浮かんでいた。
「エリオネル、好き」
リィンリィンという音は、ほとんど消えていて、俺の告白がやけに響く。
エリオネルは、それにまた目を丸くして、そして微笑んでくれた。
「私もマリヤが好きだよ」
そう言って、エリオネルからキスをしてくれる。夢のような状況に、嬉しさで舞い上がりたくなった。
しばらく柔らかくキスをした後、どちらともなく離れて、水辺に二人で座る。
「エリオネル?いつから俺のこと好きだったの?」
隣に居るエリオネルを見上げると、困ったように微笑むのが見えた。
「最初に会った時かな。一目惚れだと思う」
「そうなんだ」
「マリヤは?」
「俺?俺は…王都出る辺りくらいかな。でも、もしかしたら俺も一目惚れかも」
そう言うとエリオネルは眩しいくらいの笑顔を向けてきた。
俺たちは、両想いになったものの、問題が何もないわけではない。俺は地球に帰るかどうか、エリオネルは一人だと決めた結婚相手。
残念ながら、俺はエリオネルの第一希望の金髪ではない。でも、クッキーを合わせる陣合わせが合ったから、少しは希望があるみたいだった。
ただ、今結婚どうの言われてもピンとこないし、地球に帰りたいかと言われれば帰りたい。けど、それ以上に今はエリオネルと一緒に居たかった。
とりあえず今はエリオネルと一緒にいることだけ考えるようにしようと決意した。
エリオネルは当たり前のように俺の頭を撫でると、馬に乗るように言ってきた。
一人で馬に乗ることはまだできないが、エリオネルが一緒に乗ってくれるなら、あまり遠くでなければ行けるようになった。
先に馬に乗ったエリオネルの手を掴むと、グンッと引き上げられる。
優しい見た目と裏腹に、エリオネルは筋肉もあるし、筋力もすごくあるみたいだった。
「どこに行くの?」
「綺麗な所だよ」
目的地に着くと、そこは綺麗な湖だった。綺麗な水色で、驚くほど透明感がある。湖の中には、たくさんの魚と、大きな岩があった。
「わあー!すごい!キレー」
近寄って水に手を入れると周りの魚が逃げていくのが見える。
「《顕現》」
水でできた魚をイメージしながら呪文を唱えると、湖に入れた右手から、大量の水が上がってくる。その水の中には何匹になるかわからない多くの魚が、現れたり消えたりして俺の全身を飲み込んだ。
ビックリはしたが、それ以上にその様子は幻想的で、海の中に居るみたいだった。
近くに居るはずのエリオネルを見ると口を開いて、俺以上にビックリしている。そんなエリオネルの手を引いて、俺の方に引き寄せた。
綺麗なリィンリィンという音も聞こえる。たくさんの水でできた魚は、エリオネルの方にも行って、二人の周りを楽しそうに泳いだ。
まだビックリしているらしいエリオネルのあどけない表情にすごく愛おしさを感じる。
エリオネルの手に自分の手を重ねて、指を絡めてみた。それに気づいたエリオネルが顔を赤くする。
エリオネルのこういう所もすごく好きだ。
何だか、水の精霊に祝福されたように感じて、自分が大胆になっているのがわかる。
次に、エリオネルの首に手を回して、そのまま目を閉じる。エリオネルは抵抗せずに、俺と唇を重ねてくれた。
柔らかく重ねた唇を離すと、目を開けたままのエリオネルと視線が合う。その瞳には、驚きと恥ずかしさが浮かんでいた。
「エリオネル、好き」
リィンリィンという音は、ほとんど消えていて、俺の告白がやけに響く。
エリオネルは、それにまた目を丸くして、そして微笑んでくれた。
「私もマリヤが好きだよ」
そう言って、エリオネルからキスをしてくれる。夢のような状況に、嬉しさで舞い上がりたくなった。
しばらく柔らかくキスをした後、どちらともなく離れて、水辺に二人で座る。
「エリオネル?いつから俺のこと好きだったの?」
隣に居るエリオネルを見上げると、困ったように微笑むのが見えた。
「最初に会った時かな。一目惚れだと思う」
「そうなんだ」
「マリヤは?」
「俺?俺は…王都出る辺りくらいかな。でも、もしかしたら俺も一目惚れかも」
そう言うとエリオネルは眩しいくらいの笑顔を向けてきた。
俺たちは、両想いになったものの、問題が何もないわけではない。俺は地球に帰るかどうか、エリオネルは一人だと決めた結婚相手。
残念ながら、俺はエリオネルの第一希望の金髪ではない。でも、クッキーを合わせる陣合わせが合ったから、少しは希望があるみたいだった。
ただ、今結婚どうの言われてもピンとこないし、地球に帰りたいかと言われれば帰りたい。けど、それ以上に今はエリオネルと一緒に居たかった。
とりあえず今はエリオネルと一緒にいることだけ考えるようにしようと決意した。
1
お気に入りに追加
180
あなたにおすすめの小説
転生令息は冒険者を目指す!?
葛城 惶
BL
ある時、日本に大規模災害が発生した。
救助活動中に取り残された少女を助けた自衛官、天海隆司は直後に土砂の崩落に巻き込まれ、意識を失う。
再び目を開けた時、彼は全く知らない世界に転生していた。
異世界で美貌の貴族令息に転生した脳筋の元自衛官は憧れの冒険者になれるのか?!
とってもお馬鹿なコメディです(;^_^A
チート魔王はつまらない。
碧月 晶
BL
お人好し真面目勇者×やる気皆無のチート魔王
───────────
~あらすじ~
優秀過ぎて毎日をつまらなく生きてきた雨(アメ)は卒業を目前に控えた高校三年の冬、突然異世界に召喚された。
その世界は勇者、魔王、魔法、魔族に魔物やモンスターが普通に存在する異世界ファンタジーRPGっぽい要素が盛り沢山な世界だった。
そんな世界にやって来たアメは、実は自分は数十年前勇者に敗れた先代魔王の息子だと聞かされる。
しかし取りあえず魔王になってみたものの、アメのつまらない日常は変わらなかった。
そんな日々を送っていたある日、やって来た勇者がアメに言った言葉とは──?
───────────
何だかんだで様々な事件(クエスト)をチートな魔王の力で(ちょいちょい腹黒もはさみながら)勇者と攻略していくお話(*´▽`*)
最終的にいちゃいちゃゴールデンコンビ?いやカップルにしたいなと思ってます( ´艸`)
※BLove様でも掲載中の作品です。
※感想、質問大歓迎です!!
【オメガバース】海芋の苞になりたい〜新婚旅行編〜
久乃り
BL
前作の続きになります。
新婚旅行編です。
アルファの一之瀬匡と後天性オメガの菊地和真の楽しい?新婚旅行の話です。
もちろん護衛でベータの島野も一緒に行きます。トラブルが起きないわけがなく、色々起きます。島野が「勘弁してくれ」と叫んだか、叫ばなかったか。
地味に前作の伏線回収などしております。
全ては、可愛い可愛い番の夢を叶えるために、一之瀬が用意した#新婚旅行#番届をSNSにアップするための行為です。
オメガバにありがちの当て馬とかがいるとかいないとか。そんなふわふわっとした設定です。
作品内で『○○』で表記されたセリフは、日本語では無い言葉の表記になります。ただし、何語かは不明。
他サイトにも掲載しております。
そばかす糸目はのんびりしたい
楢山幕府
BL
由緒ある名家の末っ子として生まれたユージン。
母親が後妻で、眉目秀麗な直系の遺伝を受け継がなかったことから、一族からは空気として扱われていた。
ただ一人、溺愛してくる老いた父親を除いて。
ユージンは、のんびりするのが好きだった。
いつでも、のんびりしたいと思っている。
でも何故か忙しい。
ひとたび出張へ出れば、冒険者に囲まれる始末。
いつになったら、のんびりできるのか。もう開き直って、のんびりしていいのか。
果たして、そばかす糸目はのんびりできるのか。
懐かれ体質が好きな方向けです。今のところ主人公は、のんびり重視の恋愛未満です。
全17話、約6万文字。
異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします。……やっぱり狙われちゃう感じ?
み馬
BL
※ 完結しました。お読みくださった方々、誠にありがとうございました!
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。
わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!?
これは、とある加護を受けた8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。
おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。
※ 独自設定、造語、下ネタあり。出産描写あり。幕開け(前置き)長め。第21話に登場人物紹介を載せましたので、ご参考ください。
★お試し読みは、第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★
★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★
ようこそ異世界縁結び結婚相談所~神様が導く運命の出会い~
てんつぶ
BL
「異世界……縁結び結婚相談所?」
仕事帰りに力なく見上げたそこには、そんなおかしな看板が出ていた。
フラフラと中に入ると、そこにいた自称「神様」が俺を運命の相手がいるという異世界へと飛ばしたのだ。
銀髪のテイルと赤毛のシヴァン。
愛を司るという神様は、世界を超えた先にある運命の相手と出会わせる。
それにより神の力が高まるのだという。そして彼らの目的の先にあるものは――。
オムニバス形式で進む物語。六組のカップルと神様たちのお話です。
イラスト:imooo様
【二日に一回0時更新】
手元のデータは完結済みです。
・・・・・・・・・・・・・・
※以下、各CPのネタバレあらすじです
①竜人✕社畜
異世界へと飛ばされた先では奴隷商人に捕まって――?
②魔人✕学生
日本のようで日本と違う、魔物と魔人が現われるようになった世界で、平凡な「僕」がアイドルにならないと死ぬ!?
③王子・魔王✕平凡学生
召喚された先では王子サマに愛される。魔王を倒すべく王子と旅をするけれど、愛されている喜びと一緒にどこか心に穴が開いているのは何故――? 総愛されの3P。
④獣人✕社会人 案内された世界にいたのは、ぐうたら亭主の見本のようなライオン獣人のレイ。顔が獣だけど身体は人間と同じ。気の良い町の人たちと、和風ファンタジーな世界を謳歌していると――?
⑤神様✕○○ テイルとシヴァン。この話のナビゲーターであり中心人物。
光る穴に落ちたら、そこは異世界でした。
みぃ
BL
自宅マンションへ帰る途中の道に淡い光を見つけ、なに? と確かめるために近づいてみると気付けば落ちていて、ぽん、と異世界に放り出された大学生が、年下の騎士に拾われる話。
生活脳力のある主人公が、生活能力のない年下騎士の抜けてるとこや、美しく格好いいのにかわいいってなんだ!? とギャップにもだえながら、ゆるく仲良く暮らしていきます。
何もかも、ふわふわゆるゆる。ですが、描写はなくても主人公は受け、騎士は攻めです。
【完結】僕の大事な魔王様
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
BL
母竜と眠っていた幼いドラゴンは、なぜか人間が住む都市へ召喚された。意味が分からず本能のままに隠れたが発見され、引きずり出されて兵士に殺されそうになる。
「お母さん、お父さん、助けて! 魔王様!!」
魔族の守護者であった魔王様がいない世界で、神様に縋る人間のように叫ぶ。必死の嘆願は幼ドラゴンの魔力を得て、遠くまで響いた。そう、隣接する別の世界から魔王を召喚するほどに……。
俺様魔王×いたいけな幼ドラゴン――成長するまで見守ると決めた魔王は、徐々に真剣な想いを抱くようになる。彼の想いは幼過ぎる竜に届くのか。ハッピーエンド確定
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/11……完結
2023/09/28……カクヨム、週間恋愛 57位
2023/09/23……エブリスタ、トレンドBL 5位
2023/09/23……小説家になろう、日間ファンタジー 39位
2023/09/21……連載開始
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる