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第三章【旅路】

第三十四話 魔獣狩り

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 それからというもの、進展らしい進展は何もなかった。毎日勉強に魔法の練習、エリオネルとのお喋りに余念がない。
 結構文字も覚えてきたが、単語となると難しかった。
 魔法の方は使えるものの、使い方や覚えるのが大変だった。

 そんな時、エリオネルが魔獣に慣れて行こうかと言ってきた。怖いから嫌だとか言ってられないのはわかってるので、黙って頷く。

「大丈夫だよ、最初は兎からだから」

 兎か、なら大丈夫かな。魔獣や動物は見た目こそ多少違うものの、地球と名前が変わらずとても楽に認識ができている。
 問題は植物の方だった。見た目が全然違う。名前は一緒の物が多々あるのだが、りんごに至っては、見た目が紫で中は赤く完全に毒りんごの様相を呈していた。形はつるんとしてるものの、洋梨に近い。

 兎を目の前にして考えが浅かったと後悔する。動物殺すってことじゃん!無理だよ!

 でも、皆やってることだし、守られるだけの荷物じゃ嫌だ!


 兎は、茶色の毛色をしていて、見た目は何だかあまり可愛くなかった。耳の長いのは一緒だったが、遭遇すると逃げることなく襲ってきた。
 俺はナイフで咄嗟とっさに兎を切りつける。スルッと刃が入り、兎から血が吹き出た。

 そんな兎をエリオネルが弓で仕留める。ドスッと兎の首を打ち抜き、そのまま矢は近くの木に兎ごと刺さった。

 俺はというと、初めて動物を傷つけたからか具合が悪くなってしまった。

「マリヤ、やりたくなかったら、やらなくてもいいよ」

「大丈夫、身を守るためにもやらなきゃいけないのわかってるから」

 上手く笑えてただろうか、とにかく気分が悪い。


 最初は慣れなくて気分が悪かったが、5回6回と数をこなしていくうちに、兎なら倒せるようになった。

 兎を相手にして思ったが、地球に居た頃より身体能力が上がっている。思い通りに体が動くし、疲れにくくなっていた。

 体が慣れてきた頃、魔法を使って兎を倒すことになった。


 俺は水属性との相性が良いみたいで、中級魔法で使える水刃を使うことになった。水球みたいな下級魔法は、イメージが必要なかったが、中級以上になるとイメージも必要になるらしかった。

 魔法を使う時に恥ずかしいのが、手の動きだ。不発に終わる時が、一際恥ずかしい。
 手の動きがあるのとないのでは、発動するかしないか、また威力も変わってくるのはわかっていた。


 兎に向かって《水刃》を放つ。なかなかの威力で、致命傷を与えられた。
 これは最初から使っていたら、楽はできたのかもしれないがあまり良くなかったかもしれない。
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