23 / 147
第二章【旅立ち】
第二十二話 低級悪魔
しおりを挟む
エリオネルが依頼の仕事をしている間は俺の役割が全くない。
そのため、字の読めない俺に、文字と絵が描いてある練習カードみたいな木製の板と絵本を10冊くらいアリアムさんが渡してくれた。
もうすでに買っていてくれたらしい。
よくよく皆を見ていると、ウィラちゃんとビオルナさんと護衛さんたちが二、三時間に一回くらい村の外に行って大きな荷物を持って戻ってきているのがわかった。
そっか、皆仕事があるんだな、と少し寂しい気持ちになる。
解らない字がたくさんあるので、休憩している人にちょこちょこ教えてもらいながら、字の練習をした。
嫌な顔一つせず、どちらかというと嬉しそうに皆教えてくれる。
全員の名前を先に覚えようということで、貰ったノートに名前だけ書いてもらって、日本語訳とどういう人なのか一人一人書き込んでいく。
夕食になる頃には、5人分の情報が集まった。ゆっくりやっていこう。
「マリヤ、一人で待たせてしまってごめんね」
「大丈夫だよ、皆優しく教えてくれたし、一人の時は勉強してるね」
今はエリオネルの天幕で、二人で夕食をとっている。
「依頼のこととかって聞いてもいいの?」
「ああ、そういえば説明していなかったね。ここは、ココノ村という場所で、小さな低級悪魔が悪さをしているから退治してほしいという依頼だったんだ」
悪魔とか居るんだ。じゃあ、天使とかも居るのかな?
そこで少し引っかかった。
「だった?」
「そう、何故か私達が到着してから、悪魔の痕跡がプッツリ消えた」
「出て行ったってこと?」
「違う、村の外れで痕跡が消えているんだ。消滅したというのが正しいと思う」
「いきなり消滅することなんてあるの?」
等価交換の世界で生きて来たから、消滅という言葉にピンとこない。例えば、爆弾で消滅したとしても消し炭が残ると思うんだけどな。
「聞いたことがない。魔法を使えば痕跡が残るし、完全に痕跡を消すことは不可能だ。それに、今までそんな事例はないはず」
「そうなんだ‥‥」
「低級悪魔が居なくなったのは事実だし、周辺を探索してみたけど、何もないみたいだから、報告に王都に行こうと思う」
「そっか、わかった。皆困ってたみたいだもんね、悪魔が居なくなってよかったね」
俺の言葉にエリオネルがニッコリ微笑む。眩しい。
怪我してる人が居たから、この世界では悪魔は怖いものなんだな。
「それで、低級悪魔ってどんなんなの?」
「姿形は、影のように黒くぼやけていて、基本的には人の影に潜んでいる。低級と言っても悪戯だけしかしないような悪魔もいれば、今回のように実害が出る場合もある。今回でいえば、低級でも力がある方だったんだろう」
「やっぱり村人さんたちの、あの怪我って依頼と関係あったんだね」
「ああ、低級といっても魔獣と違って実体が無い場合が多いから、倒すのが難しいんだ」
「魔法とかでしか倒せないってこと?」
「そうだ。ほとんどの人間が使える魔法は生活魔法ばかりで、何かを倒せるほどの威力を持っている人間は少ないんだ」
「魔法陣とかは?」
「あれは、攻撃魔法になると値段がすごく高くなるんだよ。殺傷能力があるものは、魔力を沢山使うからね」
「そうなんだー」
生活魔法でも魔力が必要みたいだし、魔力が多くないと無理ってことかな。
そのため、字の読めない俺に、文字と絵が描いてある練習カードみたいな木製の板と絵本を10冊くらいアリアムさんが渡してくれた。
もうすでに買っていてくれたらしい。
よくよく皆を見ていると、ウィラちゃんとビオルナさんと護衛さんたちが二、三時間に一回くらい村の外に行って大きな荷物を持って戻ってきているのがわかった。
そっか、皆仕事があるんだな、と少し寂しい気持ちになる。
解らない字がたくさんあるので、休憩している人にちょこちょこ教えてもらいながら、字の練習をした。
嫌な顔一つせず、どちらかというと嬉しそうに皆教えてくれる。
全員の名前を先に覚えようということで、貰ったノートに名前だけ書いてもらって、日本語訳とどういう人なのか一人一人書き込んでいく。
夕食になる頃には、5人分の情報が集まった。ゆっくりやっていこう。
「マリヤ、一人で待たせてしまってごめんね」
「大丈夫だよ、皆優しく教えてくれたし、一人の時は勉強してるね」
今はエリオネルの天幕で、二人で夕食をとっている。
「依頼のこととかって聞いてもいいの?」
「ああ、そういえば説明していなかったね。ここは、ココノ村という場所で、小さな低級悪魔が悪さをしているから退治してほしいという依頼だったんだ」
悪魔とか居るんだ。じゃあ、天使とかも居るのかな?
そこで少し引っかかった。
「だった?」
「そう、何故か私達が到着してから、悪魔の痕跡がプッツリ消えた」
「出て行ったってこと?」
「違う、村の外れで痕跡が消えているんだ。消滅したというのが正しいと思う」
「いきなり消滅することなんてあるの?」
等価交換の世界で生きて来たから、消滅という言葉にピンとこない。例えば、爆弾で消滅したとしても消し炭が残ると思うんだけどな。
「聞いたことがない。魔法を使えば痕跡が残るし、完全に痕跡を消すことは不可能だ。それに、今までそんな事例はないはず」
「そうなんだ‥‥」
「低級悪魔が居なくなったのは事実だし、周辺を探索してみたけど、何もないみたいだから、報告に王都に行こうと思う」
「そっか、わかった。皆困ってたみたいだもんね、悪魔が居なくなってよかったね」
俺の言葉にエリオネルがニッコリ微笑む。眩しい。
怪我してる人が居たから、この世界では悪魔は怖いものなんだな。
「それで、低級悪魔ってどんなんなの?」
「姿形は、影のように黒くぼやけていて、基本的には人の影に潜んでいる。低級と言っても悪戯だけしかしないような悪魔もいれば、今回のように実害が出る場合もある。今回でいえば、低級でも力がある方だったんだろう」
「やっぱり村人さんたちの、あの怪我って依頼と関係あったんだね」
「ああ、低級といっても魔獣と違って実体が無い場合が多いから、倒すのが難しいんだ」
「魔法とかでしか倒せないってこと?」
「そうだ。ほとんどの人間が使える魔法は生活魔法ばかりで、何かを倒せるほどの威力を持っている人間は少ないんだ」
「魔法陣とかは?」
「あれは、攻撃魔法になると値段がすごく高くなるんだよ。殺傷能力があるものは、魔力を沢山使うからね」
「そうなんだー」
生活魔法でも魔力が必要みたいだし、魔力が多くないと無理ってことかな。
1
お気に入りに追加
189
あなたにおすすめの小説
若奥様は緑の手 ~ お世話した花壇が聖域化してました。嫁入り先でめいっぱい役立てます!
古森真朝
恋愛
意地悪な遠縁のおばの邸で暮らすユーフェミアは、ある日いきなり『明後日に輿入れが決まったから荷物をまとめろ』と言い渡される。いろいろ思うところはありつつ、これは邸から出て自立するチャンス!と大急ぎで支度して出立することに。嫁入り道具兼手土産として、唯一の財産でもある裏庭の花壇(四畳サイズ)を『持参』したのだが――実はこのプチ庭園、長年手塩にかけた彼女の魔力によって、神域霊域レベルのレア植物生息地となっていた。
そうとは知らないまま、輿入れ初日にボロボロになって帰ってきた結婚相手・クライヴを救ったのを皮切りに、彼の実家エヴァンス邸、勤め先である王城、さらにお世話になっている賢者様が司る大神殿と、次々に起こる事件を『あ、それならありますよ!』とプチ庭園でしれっと解決していくユーフェミア。果たして嫁ぎ先で平穏を手に入れられるのか。そして根っから世話好きで、何くれとなく構ってくれるクライヴVS自立したい甘えベタの若奥様の勝負の行方は?
*カクヨム様で先行掲載しております
竜の溺愛が国を救います(物理)
東院さち
BL
エーリッヒは次代の竜のための後宮で働いている唯一の男だ。本来、竜が番を娶るための後宮は女しか住むことができない。けれど、竜であるリュシオンが許してくれたお陰で楽しい日々を暮らしていた。
ある日大人になったリュシオンに「エーリッヒ、これからは私の相手をしてもらう。竜の気は放置しておくと危険なんだ。番を失った竜が弱るのは、自分の気を放てないからだ。番にすることが出来なくて申し訳ないが……」と言われて、身代わりとなることを決めた。竜が危険ということは災害に等しいことなのだ。
そして身代わりとなったエーリッヒは二年の時を過ごし……、ついにリュシオンの番が後宮へとやってくることになり……。
以前投稿した作品の改稿したものです。
炎よ永遠に
朝顔
BL
叔父の頼みを受けて、俺は世界有数の金持ちや、高貴な家柄の子息が集うウェストオーディン国の寄宿学校に途中入学することになる。
一族の名誉のために託された使命は、天国と呼ばれる特別に区切られた場所に入ること。そして、神と呼ばれる選ばれた人間から寵愛を受けることだった。
愛を知らず過去の傷に苦しめられながら生きる俺は、同じく愛を知らない男と出会う。
体を繋げることで、お互いの孤独を埋め合うように求め合うが、二人の行き着く先とは……。
西洋の現代に近いですが、架空設定。
日本以外の設定はゆるいです。
過去はシリアスですが、進行形は主人公が愛に目覚めて再生していくお話を目指しています。
重複投稿。
恋した貴方はαなロミオ
須藤慎弥
BL
Ω性の凛太が恋したのは、ロミオに扮したα性の結城先輩でした。
Ω性に引け目を感じている凛太。
凛太を運命の番だと信じているα性の結城。
すれ違う二人を引き寄せたヒート。
ほんわか現代BLオメガバース♡
※二人それぞれの視点が交互に展開します
※R 18要素はほとんどありませんが、表現と受け取り方に個人差があるものと判断しレーティングマークを付けさせていただきますm(*_ _)m
※fujossy様にて行われました「コスプレ」をテーマにした短編コンテスト出品作です
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
俺は勇者のお友だち
むぎごはん
BL
俺は王都の隅にある宿屋でバイトをして暮らしている。たまに訪ねてきてくれる騎士のイゼルさんに会えることが、唯一の心の支えとなっている。
2年前、突然この世界に転移してきてしまった主人公が、頑張って生きていくお話。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
涯(はて)の楽園
栗木 妙
BL
平民の自分が、この身一つで栄達を望むのであれば、軍に入るのが最も手っ取り早い方法だった。ようやく軍の最高峰である近衛騎士団への入団が叶った矢先に左遷させられてしまった俺の、飛ばされた先は、『軍人の墓場』と名高いカンザリア要塞島。そして、そこを治める総督は、男嫌いと有名な、とんでもない色男で―――。
[架空の世界を舞台にした物語。あくまで恋愛が主軸ですが、シリアス&ダークな要素も有。苦手な方はご注意ください。全体を通して一人称で語られますが、章ごとに視点が変わります。]
※同一世界を舞台にした他関連作品もございます。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/index?tag_id=17966
※当作品は別サイトでも公開しております。
(以後、更新ある場合は↓こちら↓にてさせていただきます)
https://novel18.syosetu.com/n5766bg/
悪役令息の七日間
リラックス@ピロー
BL
唐突に前世を思い出した俺、ユリシーズ=アディンソンは自分がスマホ配信アプリ"王宮の花〜神子は7色のバラに抱かれる〜"に登場する悪役だと気付く。しかし思い出すのが遅過ぎて、断罪イベントまで7日間しか残っていない。
気づいた時にはもう遅い、それでも足掻く悪役令息の話。【お知らせ:2024年1月18日書籍発売!】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる