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第一章【出会い】
第十二話 魔道具屋
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魔道具のお店は、歯車のモチーフでどことなく機械っぽくて、元の世界で言えばスチームパンクみたいな雰囲気だった。
不思議でワクワクする感じ。
相変わらず、文字は読めないし店の看板もよくわからないけど。
「おー」
カランカラン、と缶のようなものがたくさんついたドアが音を立てる。
お客さんは三人ほどいた。大きな棚が店の中をぐるりと囲んでいて、棚の真ん中辺りの段に窓があり、そこから光が差している。
カウンターはど真ん中にあって、機械の部品などが散乱していた。カウンターの四角には、黒い柱が立っていて、天井から機械のようなものがたくさんぶら下がっている。
「こんなにたくさんの種類があるんだな」
ビオルナさんも興味津々のようで、商品である機械にワイヤーでくくりつけられた本をパラパラとめくっていた。
説明書だろうか?
お店の人が見当たらないな、と思ったらカウンターに置いてあった大きなゴーグルつきの帽子がゴソゴソと動いた。
「?!」
「いらっ……」
帽子の下の顔と目があったと思ったら、硬直された。
目の前で手を振ってみても反応がない。
「大丈夫ですか?」
「どうした?」
ビオルナさんが、心配して寄ってきてくれる。
「店員さーん?」
「ハッ!!あれ?」
店員さんに声をかけると、息を吹きかえした。
キョロキョロと周りを見渡し、俺に視線を合わせると再度固まる。
「え、本当どうしたの?」
挙動不審すぎて怖いんだが。
しばらくして、沸騰するんじゃないかってくらい店員さんが赤くなる。
「す、すみません、あの……え?」
パニックに陥ったみたいで、店員さんがあわあわし出す。
「ビオルナさん、店員さんがヤバいんだけど……」
「見たらわかる」
ですよね。お祭りで色んな人を見て思ったけど、美形ばかりな世界ではなかったらしい。普通のおじさんやおばさんだっていた。
魔道具屋の店員さんは、俺と同い年くらいで、絡まったモジャモジャの髪で目が隠れそうになっている。そばかすが特徴的で、そういえばそばかすって初めて見たな、と取りとめのないことを考えていた。
「すみません、不躾に見たりして。ゆっくり見て行ってください」
落ち着きを取り戻したのか、店員さんはカウンターでの作業を開始した。
俺もなんだったのかよく解らないが、もしかしたら知り合いに似てたのかもな、と気を取り直して商品を物色する。事前に数字と銅貨、銀貨、金貨の表示を紙に書いてもらったので、値段だけはわかる。
「ビオルナさん、これはどんな魔道具なの?」
「これか?これは、集水機って書いてあるな」
商品の前には、商品名と値段、対応属性の書いたプライスカードが置いてある。
色々見比べてみると、その三つがプライスカードには書いてあるらしかった。
金属製で、文字は手書きではなく、文字のところがへこんでいる。
集水機という魔道具は、5金貨、七つのマークが書かれていて、五万円でどの属性も使えるらしかった。
見てみると、安い物は全属性が多く、高くなるにつれて単属性になっていった。価格帯は2金貨から100金貨まで幅広い。
「属性って、水、火、土、光、闇と……何?」
「あとは、風と金属性かな。闇属性が表記されてるって珍しいような気がする」
手の届く所には、基本的に七つのマークがついていた。これが、全属性。
目線から上に行くにつれてマークが少なくなっている。
「アイシャさん、面白そうなのありました?」
「んー、どれも高くて……」
「あ!これ、いつも使ってるやつじゃないですか?!」
「ああ、着火機ですね。教会にはあまり魔道具はないですが、着火機は毎日使ってますね」
「え?俺使ってましたよね?」
ご飯の支度や、お風呂の準備に普通に渡されて使っていたよ?魔道具なの?!
「はい、魔力があれば初級魔道具は誰でも使えるので」
「これって、魔力がないと火付かないんですか?」
「そうですよ。魔力がない人は珍しいですが、付かないと思います」
しゃあああ!俺、魔力あるー!
いや、渡されて火が付いたときは火打ち石と打ち金みたいな感じなのかと思ってたけど、何回も使ってついてるってことは魔力持ち確定。
「そうだ!魔力を測ったりすることってできないんですか?」
「できますよ。ただ、他国から来た方は冒険者ギルドに登録する時か、神殿でお布施をしての測定になりますね」
冒険者ギルド!!戦闘力ゼロな場合はどうしたら……
「因みにお布施はいくらくらいですか?」
「5金貨ですね」
「ごっ……、冒険者ギルドは簡単な依頼とかあるんですかね?」
「収集系とかですか?あると思いますけど……」
「マリヤ……」
ビオルナさんが俺とアイシャさんの間から、にゅっと間から出てきた。
「ビッ……オルナさん?!」
クイクイと袖を引かれ、ビオルナさんにお店の端に連れて行かれる。
「駄目だぞ。近くで魔力なんて測ったら迷惑がかかる」
「そうなの?」
「個人識別ができるからな。測りたいなら、王都とか大きな街で測る方がいいだろう」
「わかった」
闇属性が主属性だけど、何故か感じないということは、とりあえず準属性である水属性だけ使えるということなのかな?
異世界から来ても使えるというのが謎だけども。ポーションで髪が水色になってるってことは、やっぱり使えるんだろうな。
不思議でワクワクする感じ。
相変わらず、文字は読めないし店の看板もよくわからないけど。
「おー」
カランカラン、と缶のようなものがたくさんついたドアが音を立てる。
お客さんは三人ほどいた。大きな棚が店の中をぐるりと囲んでいて、棚の真ん中辺りの段に窓があり、そこから光が差している。
カウンターはど真ん中にあって、機械の部品などが散乱していた。カウンターの四角には、黒い柱が立っていて、天井から機械のようなものがたくさんぶら下がっている。
「こんなにたくさんの種類があるんだな」
ビオルナさんも興味津々のようで、商品である機械にワイヤーでくくりつけられた本をパラパラとめくっていた。
説明書だろうか?
お店の人が見当たらないな、と思ったらカウンターに置いてあった大きなゴーグルつきの帽子がゴソゴソと動いた。
「?!」
「いらっ……」
帽子の下の顔と目があったと思ったら、硬直された。
目の前で手を振ってみても反応がない。
「大丈夫ですか?」
「どうした?」
ビオルナさんが、心配して寄ってきてくれる。
「店員さーん?」
「ハッ!!あれ?」
店員さんに声をかけると、息を吹きかえした。
キョロキョロと周りを見渡し、俺に視線を合わせると再度固まる。
「え、本当どうしたの?」
挙動不審すぎて怖いんだが。
しばらくして、沸騰するんじゃないかってくらい店員さんが赤くなる。
「す、すみません、あの……え?」
パニックに陥ったみたいで、店員さんがあわあわし出す。
「ビオルナさん、店員さんがヤバいんだけど……」
「見たらわかる」
ですよね。お祭りで色んな人を見て思ったけど、美形ばかりな世界ではなかったらしい。普通のおじさんやおばさんだっていた。
魔道具屋の店員さんは、俺と同い年くらいで、絡まったモジャモジャの髪で目が隠れそうになっている。そばかすが特徴的で、そういえばそばかすって初めて見たな、と取りとめのないことを考えていた。
「すみません、不躾に見たりして。ゆっくり見て行ってください」
落ち着きを取り戻したのか、店員さんはカウンターでの作業を開始した。
俺もなんだったのかよく解らないが、もしかしたら知り合いに似てたのかもな、と気を取り直して商品を物色する。事前に数字と銅貨、銀貨、金貨の表示を紙に書いてもらったので、値段だけはわかる。
「ビオルナさん、これはどんな魔道具なの?」
「これか?これは、集水機って書いてあるな」
商品の前には、商品名と値段、対応属性の書いたプライスカードが置いてある。
色々見比べてみると、その三つがプライスカードには書いてあるらしかった。
金属製で、文字は手書きではなく、文字のところがへこんでいる。
集水機という魔道具は、5金貨、七つのマークが書かれていて、五万円でどの属性も使えるらしかった。
見てみると、安い物は全属性が多く、高くなるにつれて単属性になっていった。価格帯は2金貨から100金貨まで幅広い。
「属性って、水、火、土、光、闇と……何?」
「あとは、風と金属性かな。闇属性が表記されてるって珍しいような気がする」
手の届く所には、基本的に七つのマークがついていた。これが、全属性。
目線から上に行くにつれてマークが少なくなっている。
「アイシャさん、面白そうなのありました?」
「んー、どれも高くて……」
「あ!これ、いつも使ってるやつじゃないですか?!」
「ああ、着火機ですね。教会にはあまり魔道具はないですが、着火機は毎日使ってますね」
「え?俺使ってましたよね?」
ご飯の支度や、お風呂の準備に普通に渡されて使っていたよ?魔道具なの?!
「はい、魔力があれば初級魔道具は誰でも使えるので」
「これって、魔力がないと火付かないんですか?」
「そうですよ。魔力がない人は珍しいですが、付かないと思います」
しゃあああ!俺、魔力あるー!
いや、渡されて火が付いたときは火打ち石と打ち金みたいな感じなのかと思ってたけど、何回も使ってついてるってことは魔力持ち確定。
「そうだ!魔力を測ったりすることってできないんですか?」
「できますよ。ただ、他国から来た方は冒険者ギルドに登録する時か、神殿でお布施をしての測定になりますね」
冒険者ギルド!!戦闘力ゼロな場合はどうしたら……
「因みにお布施はいくらくらいですか?」
「5金貨ですね」
「ごっ……、冒険者ギルドは簡単な依頼とかあるんですかね?」
「収集系とかですか?あると思いますけど……」
「マリヤ……」
ビオルナさんが俺とアイシャさんの間から、にゅっと間から出てきた。
「ビッ……オルナさん?!」
クイクイと袖を引かれ、ビオルナさんにお店の端に連れて行かれる。
「駄目だぞ。近くで魔力なんて測ったら迷惑がかかる」
「そうなの?」
「個人識別ができるからな。測りたいなら、王都とか大きな街で測る方がいいだろう」
「わかった」
闇属性が主属性だけど、何故か感じないということは、とりあえず準属性である水属性だけ使えるということなのかな?
異世界から来ても使えるというのが謎だけども。ポーションで髪が水色になってるってことは、やっぱり使えるんだろうな。
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