bathroom【BL】

水月 花音

文字の大きさ
上 下
1 / 6

1

しおりを挟む
 




 今日も、なんてカッコイイんだろう!



 いや、僕じゃなくてね。





「右京さん!」



 右京さんは、同じ町内に住んでるスッゴーいイケメンさん。
 180ある身長に、染めてない黒い髪。

 二重のたれ目がうっとりするほどカッコよくて、お母さんたちのアイドル的存在だ。ん?どちらかと言うと、俳優タイプ?
 高校生なのに、良い男って感じ。


 対する僕は、ちょー女顔。

 小学生だから、まだまだガキっぽいし……

 ま、性格がサバサバしてるから虐められたりとかはしてないし、どちらかと言えば美しい顔に不満はない。
 成長したら変わるでしょ。

「右京さん、今日もカッコイイ~」

 うっとりと眺めながら、右京さんの左手にまとわりつく。
 この筋肉質なところ、たまんない!

「そんなにすぐくっつくものじゃないよ」

 冷たく言われるが、僕の腕を振りほどいたことなんか一度もない。

「右京さんにしかしないから大丈夫」

 にっこり笑うと、それ以上何も言わなくなる。

「ね、右京さん!お家…また行ってもいい?」

 右京さんちは、冷暖房完備。
 お菓子もジュースも出てきて、勉強も教えてくれる。

 まさに天国!

 漫画もいっぱいあるし~♪
 右京さん、実はエッチなの持ってるの知ってるんだよね~。いつか見てやろうと目論んでる!

「綾兎さあ……」

 嫌そうな顔で右京さんが僕を見た。
 調子、乗っちゃったかな……?

「好きな人に嫌われるよ?」

 え、なに。
 それ、すっごく困るんですけど。

「右京さん…僕のこと、嫌い?」

「いや……俺は、嫌いじゃないけど」

「じゃあ、問題なーし」

「は?よく意味が分かんないんだけど」

 わかんなくていいよ。
 右京さんが、僕みたいなガキ対象じゃないのわかってるし。
 でも、好きになっちゃったのはしょうがないと思うんだ。

「ね、ね!今日英語教えて~」

「綾兎は勉強好きだな。そういう所は良いと思うよ」

 優しく微笑む右京さん。
 絶対に好きって言わないのは、勘違いさせないため?
 右京さんにとって、僕はその他大勢にしかすぎない。

 男の子だから、もしかしたらその中にも入れないかも……
 褒められて嬉しいはずなのに、なんだか胸がズキズキして悲しくなった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

好きな人に迷惑をかけないために、店で初体験を終えた

和泉奏
BL
これで、きっと全部うまくいくはずなんだ。そうだろ?

仕事ができる子は騎乗位も上手い

冲令子
BL
うっかりマッチングしてしまった会社の先輩後輩が、付き合うまでの話です。 後輩×先輩。

つまりは相思相愛

nano ひにゃ
BL
ご主人様にイかないように命令された僕はおもちゃの刺激にただ耐えるばかり。 限界まで耐えさせられた後、抱かれるのだが、それもまたしつこく、僕はもう僕でいられない。 とことん甘やかしたいご主人様は目的達成のために僕を追い詰めるだけの短い話です。 最初からR表現です、ご注意ください。

司祭様!掘らせてください!!

ミクリ21
BL
司祭が信者に掘られる話。

年越しチン玉蕎麦!!

ミクリ21
BL
チン玉……もちろん、ナニのことです。

無慈悲な機械は逃げる穴を執拗に追いかける

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

キサラギムツキ
BL
長い間アプローチし続け恋人同士になれたのはよかったが…………… 攻め視点から最後受け視点。 残酷な描写があります。気になる方はお気をつけください。

親子の関係は幸せに壊れる

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

処理中です...