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第7章:海竜の洞窟と美人漁師編
第18話:スキュラ
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海竜の洞窟にワープすると、妙な違和感を覚える。
「レオ……」
「ああ、若干だが瘴気が濃くなっている……」
キアラも違和感に気づいているようだ。
ワープが使えないほどではないが、明らかに瘴気の量が違う。
「レオ……探知魔法の効きも、なんだか弱くなってる……ただの反響ならこんなに効果が変化するなんて変だよ」
そう言葉を紡ぐリズ。
「どうやら、おかしなことが起きてるみたいだな。広い洞窟を虱潰しに探すのは無理だ。ワープで要所要所に移動しながら呼びかけるぞ」
「ああ。これだけ声が反響するなら、多少離れていても呼びかければ気づくだろうからな」
俺の言葉に賛成するロウナ。
俺はワープを使い、洞窟の中を転々と移動する。
移動する度に、みんなでルルに呼びかける。
「ルルちゃーん!!」
「居たら返事してくれー!!」
「……ルルー! 返事するー!!」
皆、必死で呼びかけている。
普段、あまり大声を出さないシレイドも頑張っている。
「ルルー! どこ行っちゃたんだよ!! お母さんだよ!! 返事してよぉ!!」
タニスも涙を堪えながら、必死で呼びかける。
奥に進むごとに、瘴気が濃くなっている気がする。
何度も呼びかけるが、返事はない。
そうして、遂にボス部屋の前まで来てしまった。
「こ、ここは?」
「ダンジョンのボスモンスターの部屋です。残す所はここしかない」
「こんなに奥までルルが来ているの……? それとも、もう魔物に……?」
青ざめた顔で呟くタニス。
「レオ……大変だよ。部屋に敵反応がある。それに微弱だけど人の反応も……」
「何……!? ボスモンスターってことか!?」
「分からない……けど、急いだ方が良いよ」
リズの言葉に、急いで扉を開ける。
そこには——上半身が女性、下半身がタコの真っ青な肌の魔物がいた。
「……おや? 見つかっちまったようだねぇ……!」
不気味な笑みを浮かべて、こちらを見てくる魔物。
右手には怪しく光る水色の玉を持っている。
「レオ……! あの玉……!」
「ああ……! シルバーウルフやレッドオークの時に見たのと同じ玉だ……!」
リズの言葉に頷き返す。
粉々に壊れてしまったが、色や元々の形状は一致する。
「ルル!!」
タニスが見つめる先には、宙に浮かんだルルの姿があった。
気を失っているが、無事のようだ。
どうやら、間一髪だったみたいだな。
「けっけっけ。あんたの娘かい? せっかく、食っちまおうと思ってたところだったのに……邪魔しに入ってくるなんて、無粋じゃないかい?」
魔物は尚も、不気味な笑みを浮かべて言う。
すぐさま鑑定を行う。
名前:スキュラ
危険度:A
説明:上半身が女性、下半身がタコの魔物。魔法を使うのが得意。非常に危険なため、並の冒険者は手を出さない方が良い。
素材:『スキュラの脚』
今にも飛び出していきそうなタニスを制止しながら、交渉に移る。
「言葉が喋れるってことは……高知能種ってやつだな。悪いが、その子をこっちに渡してもらえないか?」
「おやおや、せっかくこんなに美味そうな娘なのに手放せってかい?」
「ああ。言葉が通じる以上、無駄な争いはしたくない。飲めないのなら……戦うしかないが」
俺が言った瞬間、リズたちが武器を構える。
「おー、怖いねぇ……それじゃあ、受け取りなよ!!」
ルルが明後日の方向に投げ放たれる!!
間に合わない……!
「シレイド!!」
「……ん!! 『デッドスピード』!!」
シレイドが速度上昇の魔法を使い、なんとか地面に叩きつけられる寸前でキャッチする。
「おやまぁ……間に合うのかい。でも、これならどうだい!!」
鋭いスキュラの脚が二本、シレイドに向かって伸びていく!!
「ロウナ!!」
「分かってるよ! ご主人様!!」
俺とロウナは、すぐさまルルを抱えるシレイドの前に陣取り弾丸のように伸びる脚を受け流す。
「ちっ!! 仕留められなかったかい!!」
歯嚙みするスキュラ、とそこに——。
「よそ見をするな!!」
キアラが先陣を切って切りかかる。
「ぐぎゃあ!!」
ヘルズホーンランスで袈裟切りにされるスキュラ。
だが——。
ブオオオッン……!!
持っている水色の玉が怪しく光り、傷が瞬時に塞がる。
「なに!?」
「ひひひ、驚いたかい? そおれ、お返しだ!!」
鋭い水魔法を至近距離からくらったキアラが吹っ飛ぶ。
「キアラさん!!」
セーラがキアラに駆け寄る。
キアラが作ってくれた隙の間に、シレイドはルルをタニスの下に運ぶ。
涙を流しながらルルを抱きしめるタニス。
「シレイド、リズ!! タニスたちの護衛を!!」
「ん……!!」
「分かったわ!!」
よし。これでとりあえず、タニスたちは大丈夫だ。
「ひっひっひ!! どうせ全員食っちまうんだから、大人しくやられちまいな!」
「冗談じゃねえぜ!!」
ロウナがスキュラの腹にブローをかます。
「かはぁっ!!」
「よしっ」
流石に効いたようだが……そう思った直後——。
「なに!?」
「……効かないねえ」
すぐさま、玉が光りスキュラはケロッと回復する。
「そおれ、くらいな!!」
「ぐあああっ!!」
キアラと同じく、水の弾丸をくらい吹っ飛ぶロウナ。
すぐさま彼女に駆け寄る。
「大丈夫か!? ロウナ!!」
「……ああ、問題ない。かすり傷だ」
そう言いながら、口の端から血を流している。
こっちもセーラに治療してもらわないとダメだ……!
「一体なんなんだ、あの玉……!」
焦る俺を尻目に、スキュラが呟く。
「治るとはいえ、痛いのは嫌だねぇ……ムカつくねぇ……こうなりゃあ、一気にやっちまおうか……」
そう言うと、スキュラは玉を天高く掲げる。
「甦れ、死霊共……!!」
眩い光が放たれると同時に、スキュラの後方の水辺から、ぞろぞろと骸骨が陸へ上がってくる。
「あれは……!?」
「アンデットだ……。あの魔物、死んだ人の骨を魔物にしやがった」
俺の言葉に、ロウナが歯噛みした。
「レオ……」
「ああ、若干だが瘴気が濃くなっている……」
キアラも違和感に気づいているようだ。
ワープが使えないほどではないが、明らかに瘴気の量が違う。
「レオ……探知魔法の効きも、なんだか弱くなってる……ただの反響ならこんなに効果が変化するなんて変だよ」
そう言葉を紡ぐリズ。
「どうやら、おかしなことが起きてるみたいだな。広い洞窟を虱潰しに探すのは無理だ。ワープで要所要所に移動しながら呼びかけるぞ」
「ああ。これだけ声が反響するなら、多少離れていても呼びかければ気づくだろうからな」
俺の言葉に賛成するロウナ。
俺はワープを使い、洞窟の中を転々と移動する。
移動する度に、みんなでルルに呼びかける。
「ルルちゃーん!!」
「居たら返事してくれー!!」
「……ルルー! 返事するー!!」
皆、必死で呼びかけている。
普段、あまり大声を出さないシレイドも頑張っている。
「ルルー! どこ行っちゃたんだよ!! お母さんだよ!! 返事してよぉ!!」
タニスも涙を堪えながら、必死で呼びかける。
奥に進むごとに、瘴気が濃くなっている気がする。
何度も呼びかけるが、返事はない。
そうして、遂にボス部屋の前まで来てしまった。
「こ、ここは?」
「ダンジョンのボスモンスターの部屋です。残す所はここしかない」
「こんなに奥までルルが来ているの……? それとも、もう魔物に……?」
青ざめた顔で呟くタニス。
「レオ……大変だよ。部屋に敵反応がある。それに微弱だけど人の反応も……」
「何……!? ボスモンスターってことか!?」
「分からない……けど、急いだ方が良いよ」
リズの言葉に、急いで扉を開ける。
そこには——上半身が女性、下半身がタコの真っ青な肌の魔物がいた。
「……おや? 見つかっちまったようだねぇ……!」
不気味な笑みを浮かべて、こちらを見てくる魔物。
右手には怪しく光る水色の玉を持っている。
「レオ……! あの玉……!」
「ああ……! シルバーウルフやレッドオークの時に見たのと同じ玉だ……!」
リズの言葉に頷き返す。
粉々に壊れてしまったが、色や元々の形状は一致する。
「ルル!!」
タニスが見つめる先には、宙に浮かんだルルの姿があった。
気を失っているが、無事のようだ。
どうやら、間一髪だったみたいだな。
「けっけっけ。あんたの娘かい? せっかく、食っちまおうと思ってたところだったのに……邪魔しに入ってくるなんて、無粋じゃないかい?」
魔物は尚も、不気味な笑みを浮かべて言う。
すぐさま鑑定を行う。
名前:スキュラ
危険度:A
説明:上半身が女性、下半身がタコの魔物。魔法を使うのが得意。非常に危険なため、並の冒険者は手を出さない方が良い。
素材:『スキュラの脚』
今にも飛び出していきそうなタニスを制止しながら、交渉に移る。
「言葉が喋れるってことは……高知能種ってやつだな。悪いが、その子をこっちに渡してもらえないか?」
「おやおや、せっかくこんなに美味そうな娘なのに手放せってかい?」
「ああ。言葉が通じる以上、無駄な争いはしたくない。飲めないのなら……戦うしかないが」
俺が言った瞬間、リズたちが武器を構える。
「おー、怖いねぇ……それじゃあ、受け取りなよ!!」
ルルが明後日の方向に投げ放たれる!!
間に合わない……!
「シレイド!!」
「……ん!! 『デッドスピード』!!」
シレイドが速度上昇の魔法を使い、なんとか地面に叩きつけられる寸前でキャッチする。
「おやまぁ……間に合うのかい。でも、これならどうだい!!」
鋭いスキュラの脚が二本、シレイドに向かって伸びていく!!
「ロウナ!!」
「分かってるよ! ご主人様!!」
俺とロウナは、すぐさまルルを抱えるシレイドの前に陣取り弾丸のように伸びる脚を受け流す。
「ちっ!! 仕留められなかったかい!!」
歯嚙みするスキュラ、とそこに——。
「よそ見をするな!!」
キアラが先陣を切って切りかかる。
「ぐぎゃあ!!」
ヘルズホーンランスで袈裟切りにされるスキュラ。
だが——。
ブオオオッン……!!
持っている水色の玉が怪しく光り、傷が瞬時に塞がる。
「なに!?」
「ひひひ、驚いたかい? そおれ、お返しだ!!」
鋭い水魔法を至近距離からくらったキアラが吹っ飛ぶ。
「キアラさん!!」
セーラがキアラに駆け寄る。
キアラが作ってくれた隙の間に、シレイドはルルをタニスの下に運ぶ。
涙を流しながらルルを抱きしめるタニス。
「シレイド、リズ!! タニスたちの護衛を!!」
「ん……!!」
「分かったわ!!」
よし。これでとりあえず、タニスたちは大丈夫だ。
「ひっひっひ!! どうせ全員食っちまうんだから、大人しくやられちまいな!」
「冗談じゃねえぜ!!」
ロウナがスキュラの腹にブローをかます。
「かはぁっ!!」
「よしっ」
流石に効いたようだが……そう思った直後——。
「なに!?」
「……効かないねえ」
すぐさま、玉が光りスキュラはケロッと回復する。
「そおれ、くらいな!!」
「ぐあああっ!!」
キアラと同じく、水の弾丸をくらい吹っ飛ぶロウナ。
すぐさま彼女に駆け寄る。
「大丈夫か!? ロウナ!!」
「……ああ、問題ない。かすり傷だ」
そう言いながら、口の端から血を流している。
こっちもセーラに治療してもらわないとダメだ……!
「一体なんなんだ、あの玉……!」
焦る俺を尻目に、スキュラが呟く。
「治るとはいえ、痛いのは嫌だねぇ……ムカつくねぇ……こうなりゃあ、一気にやっちまおうか……」
そう言うと、スキュラは玉を天高く掲げる。
「甦れ、死霊共……!!」
眩い光が放たれると同時に、スキュラの後方の水辺から、ぞろぞろと骸骨が陸へ上がってくる。
「あれは……!?」
「アンデットだ……。あの魔物、死んだ人の骨を魔物にしやがった」
俺の言葉に、ロウナが歯噛みした。
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