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第6章:灼炎の祠と銀狼獣人編
第27話:小火竜サラマンダー
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皆に目配せをして、緊張しながら目の前の大きな扉を開く。
マグマの川に囲まれた四角形に広がる足場、そこに奴はいた。
「あれが……サラマンダーか……!」
真っ赤な巨体、小さな角が頭から生えており、背中からは炎がめらめらと燃えている。
白く鋭い眼光は、睨まれると足が震えそうになるほどだ。
四本足の状態で、全身の大きさは6mほどだろうか。
聞いていたよりも大きいな……。
「……聞き及んでいた大きさよりも遥かに大きいですわね」
「ああ……これは、最初から『当たり』を引いたかもしれないな!!」
セーラの言葉にロウナが興奮気味に答える。
「鑑定……!」
名前:サラマンダー
危険度:A
説明:溶岩地帯に生息する竜族の魔物。体内に膨大な熱エネルギーを蓄えており、それを放出しながら戦う。小さいとはいえ竜族なので油断は禁物。
素材:『小火竜の炎燐』
レア素材:『小火竜の熱爪』
危険度Aか……!! 初めての危険度だな……!!
そして、事前情報通り『小火竜涎香』は表示されない。
「やっぱり倒さないと分からないよね……」
リズが緊張した面持ちで言う。
「ギャアアアアアアアアアアアアアス!!」
サラマンダーがこちらに気づき、大きな雄たけびを上げる。
「来るぞ!! みんな!! 出し惜しみはするな!! 最初から全力で行くぞ!!」
「「「「「おー!!」」」」」
俺の言葉に五人が応える。
「行くぞおぉおおおお!!」
「はぁあああああああ!!」
俺とロウナとキアラは前線に突っ込む。
キアラはもうすでに『精霊強化《スピリットエンチャント》』を使っているようだ。
リズとセーラもクロスボウと光魔法を放っている。
その直後——!
サラマンダーの大きな口が開かれ、火球が放たれる!!
「おあっ!? あぶなっ!!」
狙われたロウナがすぐさま火球を避ける。
「距離が離れてても油断するな!!」
俺は注意喚起を飛ばし、マグナムブレイドを放つ!!
ドウンッ!!
サラマンダーの前足にヒットした突きの弾丸は、鋭い音と共にバラバラと鱗をはがす!
そこからはダラリと血が流れた。
「大丈夫だ……!! 効いている!!」
自分に言い聞かせながら、次の攻撃を用意する。
「今度は私の攻撃を受けてみろ!! 精霊砲突——!!」
キアラが小火竜に十分に近づき、槍から光線を放つ!!
「グギャアアオ!!」
バチバチと音を立てて、サラマンダーの腹部に命中。
パックリと裂けた傷口ができ、こちらも有効のようだ。
だが、サラマンダーも黙ってはいない。
大きな尻尾でキアラを弾き飛ばす!!
「ぐわっ!!」
吹っ飛ばされたキアラは態勢を整える。
「強化付与を使ってもこのダメージか……!!」
そう呟くキアラの口元から、薄っすらと血が流れている。
「喰らえええ!! 『ギガントインパクト』!!」
ロウナの技がサラマンダーの顔面にヒットする!!
メリメリと食い込んだ拳から周囲に衝撃波が放たれる。
なるほど、単なるパンチではなく魔法で圧縮した衝撃を一気に解放しているのか。
ドオオオオオオオン!!
サラマンダーの巨体が、後方に吹っ飛ぶ。
「すっごーい!! ロウナ!!」
「ん……流石……!!」
リズとシレイドが後ろで喜んでいる。
「すごいぞ!! ロウナ!!」
「ああ……だが、この技は反動がなかなか強い!! 少しの間、動きが鈍るが許してくれ!!」
俺の言葉にロウナが苦い顔で答える。
サラマンダーはすぐに態勢を整え、複数の火球を放ってくる。
あたり一面が、火の海になってくる。
「ロウナ!! キアラ!! いったん下がるぞ!!」
「ああ!!」
「分かった!!」
俺は、前衛を一旦退避させようとする……が!!
「クソッ!! 反動で足が痺れる!!」
ロウナの動きが鈍い。
そうこうしている内に、どんどん火の手がロウナに迫ってくる。
「ロウナ!!」
「くっ!! この距離では間に合わん!!」
俺とキアラが叫ぶ。
——と、その時!!
「ん……シレイドにお任せ……!! 『デッドスピード』!!」
目にもとまらぬ速さでシレイドがロウナの下に、たどり着く。
シレイドの足元がぼうっと光っている。
あれは新技か……?
なるほど、足に魔力をまとわせて瞬発力を強化しているのか。
そして、あっという間にロウナを担ぎ上げて、後方に下がる。
「みんな、無事!?」
集合した俺たちにリズが尋ねる。
「ああ、何とか……」
「私も平気だ」
俺とキアラがそれに答える。
「あたしも平気だ……痺れも取れてきた……ありがとう、シレイド」
「えっへん、奴隷の先輩として当然のこと……! でも、無事でよかった……」
ロウナとシレイドも無事のようだ。
「しかし、どうしますか……? あれ……」
セーラが困ったように指をさす先には、狂ったように辺り一帯に炎を吐き続けるサラマンダーがいた。
どうやら、ロウナの攻撃で目が潰れたらしく、視界が無くなってパニックになっているようだ。
「遠距離で削るしかなくない……?」
「いや、こんなに離れた距離で放てるスキルは限られている。危険を承知で近づくしかないかな」
リズの問いかけに俺は首を横に振った。
「仕方ない……俺が勝負をつけてくる。みんなはここで待っててくれ」
リズ、シレイド、セーラは当然前線には立てない。
突っ込むのは俺かキアラかロウナになるが、正直、リーダーとして仲間の安全を優先したい。
「何言ってんだ、タンク役はあたしだろ。第一、あたしは奴隷だ。ご主人様が行くってんならあたしが代わりに行く!!」
「ロウナ……」
俺の言葉に、勢いよくかかってくるロウナ。
「ロウナ……その主人の命令だ。ここで待っていてくれ」
「……ぐっ……なら! 二人で行こう。ご主人様も確実な勝算があるわけじゃないだろ? サラマンダーがあんな風になってるのはあたしの攻撃のせいでもあるんだ」
俺は諭そうとするが、ロウナも譲らない。
仕方ないな……。
「分かった。ただし、無茶はするなよ」
「ああ!!」
俺の言葉に耳をピンと立てて喜ぶロウナ。
「すまない、レオ。あたしは動けそうにない……」
先ほど受けたダメージが効いているのか、キアラがしゃがみ込み腹を押さえて言う。
強化状態のキアラが一発受けただけでダウンなら、攻撃をくらうわけにはいかないな。
いざとなれば、新技を使おう。
なるべく、こんな切羽詰まった環境で効果を試したくは無かったが。
「構わないさ。リズ、セーラ、介抱を頼む。シレイドは三人をしっかり守ってやってくれ」
「うん! 気を付けてね」
「分かりましたわ」
「ん……お任せ」
俺の命令に三人は力強く頷く。
「さて、じゃあ行くぞ、ロウナ……!!」
「ああ!!」
俺とロウナは燃え盛る業火の中を掻い潜りながら、サラマンダーに突撃した。
マグマの川に囲まれた四角形に広がる足場、そこに奴はいた。
「あれが……サラマンダーか……!」
真っ赤な巨体、小さな角が頭から生えており、背中からは炎がめらめらと燃えている。
白く鋭い眼光は、睨まれると足が震えそうになるほどだ。
四本足の状態で、全身の大きさは6mほどだろうか。
聞いていたよりも大きいな……。
「……聞き及んでいた大きさよりも遥かに大きいですわね」
「ああ……これは、最初から『当たり』を引いたかもしれないな!!」
セーラの言葉にロウナが興奮気味に答える。
「鑑定……!」
名前:サラマンダー
危険度:A
説明:溶岩地帯に生息する竜族の魔物。体内に膨大な熱エネルギーを蓄えており、それを放出しながら戦う。小さいとはいえ竜族なので油断は禁物。
素材:『小火竜の炎燐』
レア素材:『小火竜の熱爪』
危険度Aか……!! 初めての危険度だな……!!
そして、事前情報通り『小火竜涎香』は表示されない。
「やっぱり倒さないと分からないよね……」
リズが緊張した面持ちで言う。
「ギャアアアアアアアアアアアアアス!!」
サラマンダーがこちらに気づき、大きな雄たけびを上げる。
「来るぞ!! みんな!! 出し惜しみはするな!! 最初から全力で行くぞ!!」
「「「「「おー!!」」」」」
俺の言葉に五人が応える。
「行くぞおぉおおおお!!」
「はぁあああああああ!!」
俺とロウナとキアラは前線に突っ込む。
キアラはもうすでに『精霊強化《スピリットエンチャント》』を使っているようだ。
リズとセーラもクロスボウと光魔法を放っている。
その直後——!
サラマンダーの大きな口が開かれ、火球が放たれる!!
「おあっ!? あぶなっ!!」
狙われたロウナがすぐさま火球を避ける。
「距離が離れてても油断するな!!」
俺は注意喚起を飛ばし、マグナムブレイドを放つ!!
ドウンッ!!
サラマンダーの前足にヒットした突きの弾丸は、鋭い音と共にバラバラと鱗をはがす!
そこからはダラリと血が流れた。
「大丈夫だ……!! 効いている!!」
自分に言い聞かせながら、次の攻撃を用意する。
「今度は私の攻撃を受けてみろ!! 精霊砲突——!!」
キアラが小火竜に十分に近づき、槍から光線を放つ!!
「グギャアアオ!!」
バチバチと音を立てて、サラマンダーの腹部に命中。
パックリと裂けた傷口ができ、こちらも有効のようだ。
だが、サラマンダーも黙ってはいない。
大きな尻尾でキアラを弾き飛ばす!!
「ぐわっ!!」
吹っ飛ばされたキアラは態勢を整える。
「強化付与を使ってもこのダメージか……!!」
そう呟くキアラの口元から、薄っすらと血が流れている。
「喰らえええ!! 『ギガントインパクト』!!」
ロウナの技がサラマンダーの顔面にヒットする!!
メリメリと食い込んだ拳から周囲に衝撃波が放たれる。
なるほど、単なるパンチではなく魔法で圧縮した衝撃を一気に解放しているのか。
ドオオオオオオオン!!
サラマンダーの巨体が、後方に吹っ飛ぶ。
「すっごーい!! ロウナ!!」
「ん……流石……!!」
リズとシレイドが後ろで喜んでいる。
「すごいぞ!! ロウナ!!」
「ああ……だが、この技は反動がなかなか強い!! 少しの間、動きが鈍るが許してくれ!!」
俺の言葉にロウナが苦い顔で答える。
サラマンダーはすぐに態勢を整え、複数の火球を放ってくる。
あたり一面が、火の海になってくる。
「ロウナ!! キアラ!! いったん下がるぞ!!」
「ああ!!」
「分かった!!」
俺は、前衛を一旦退避させようとする……が!!
「クソッ!! 反動で足が痺れる!!」
ロウナの動きが鈍い。
そうこうしている内に、どんどん火の手がロウナに迫ってくる。
「ロウナ!!」
「くっ!! この距離では間に合わん!!」
俺とキアラが叫ぶ。
——と、その時!!
「ん……シレイドにお任せ……!! 『デッドスピード』!!」
目にもとまらぬ速さでシレイドがロウナの下に、たどり着く。
シレイドの足元がぼうっと光っている。
あれは新技か……?
なるほど、足に魔力をまとわせて瞬発力を強化しているのか。
そして、あっという間にロウナを担ぎ上げて、後方に下がる。
「みんな、無事!?」
集合した俺たちにリズが尋ねる。
「ああ、何とか……」
「私も平気だ」
俺とキアラがそれに答える。
「あたしも平気だ……痺れも取れてきた……ありがとう、シレイド」
「えっへん、奴隷の先輩として当然のこと……! でも、無事でよかった……」
ロウナとシレイドも無事のようだ。
「しかし、どうしますか……? あれ……」
セーラが困ったように指をさす先には、狂ったように辺り一帯に炎を吐き続けるサラマンダーがいた。
どうやら、ロウナの攻撃で目が潰れたらしく、視界が無くなってパニックになっているようだ。
「遠距離で削るしかなくない……?」
「いや、こんなに離れた距離で放てるスキルは限られている。危険を承知で近づくしかないかな」
リズの問いかけに俺は首を横に振った。
「仕方ない……俺が勝負をつけてくる。みんなはここで待っててくれ」
リズ、シレイド、セーラは当然前線には立てない。
突っ込むのは俺かキアラかロウナになるが、正直、リーダーとして仲間の安全を優先したい。
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「ロウナ……」
俺の言葉に、勢いよくかかってくるロウナ。
「ロウナ……その主人の命令だ。ここで待っていてくれ」
「……ぐっ……なら! 二人で行こう。ご主人様も確実な勝算があるわけじゃないだろ? サラマンダーがあんな風になってるのはあたしの攻撃のせいでもあるんだ」
俺は諭そうとするが、ロウナも譲らない。
仕方ないな……。
「分かった。ただし、無茶はするなよ」
「ああ!!」
俺の言葉に耳をピンと立てて喜ぶロウナ。
「すまない、レオ。あたしは動けそうにない……」
先ほど受けたダメージが効いているのか、キアラがしゃがみ込み腹を押さえて言う。
強化状態のキアラが一発受けただけでダウンなら、攻撃をくらうわけにはいかないな。
いざとなれば、新技を使おう。
なるべく、こんな切羽詰まった環境で効果を試したくは無かったが。
「構わないさ。リズ、セーラ、介抱を頼む。シレイドは三人をしっかり守ってやってくれ」
「うん! 気を付けてね」
「分かりましたわ」
「ん……お任せ」
俺の命令に三人は力強く頷く。
「さて、じゃあ行くぞ、ロウナ……!!」
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