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第6章:灼炎の祠と銀狼獣人編
第21話:ロウナの実力
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その後、宿に帰ってみんなで早速買ってきたスキル本を読み始める。
それぞれ五冊という多さなので読み切るのには二、三日かかるだろうか。
ちなみに、魔導書や技術書に書かれているのはそのスキルの効果や放ち方、その構造や果ては歴史などである。
すべて魔法文字で書かれており、読むというよりは頭の中に映像が飛び込んでくる形で記憶されていく。
正直、元居た世界の教科書なんかがこの形式なら、誰でもテストは余裕だったのではと考えるくらいの分かりやすさだ。
丸二日、読書をして、ついに五冊目を読み切った。
「ふぅ、なかなかに疲れたな。これで、戦いも少しは楽になればいいんだけど。さて、リズたちはどうしているかな」
俺は、リズたちの泊っている部屋に向かった。
ロウナが加わったことで四人部屋から五人部屋に変わったので、ラックステラの大部屋フロアである三階に向かう。
部屋をノックすると、キアラが出てくる。
「ああ、レオか。もう本は読み終わったのか?」
「ああ。そっちは?」
「私とセーラは読み終わった。リズはもう少しといったところか。シレイドとロウナはまだかかりそうだが、明後日には読み終わっているだろう」
「そうか。みんなが読み終わったら、一度、魔獣の森で肩慣らししようと思う。ロウナを加えての戦闘も経験しておきたいしな」
「分かった。伝えておくよ」
俺が、部屋を去ろうとした瞬間、腕を引き寄せられ唇を奪われる。
「ちゅ……」
キアラの柔らかい感触と甘い香りが疲れた脳を癒してくれる。
「キアラ……」
「そ、その、最近、ちょっとレオ成分不足だったからな……」
「そうか、さみしい思いをさせてすまない。冒険が始まったら、また部屋に呼ぶよ」
「ああ、待っているぞ」
そう言って、艶やかなポニーテールを揺らして、部屋の中に戻っていくキアラ。
彼女も最初のころに比べて、ずいぶんと積極的になってきてくれている。
ここ最近はカーニバルできてなかったからな。
各彼女、公平に祭りを開いているとはいえ、寂しかったのだろう。
ハーレムを維持するのもなかなか大変だ。
翌日——。
ラック・ステラにオルガがやって来た。
食堂でランチを一緒に食べながら、用件を済ます。
「へ、へぇ、こういうところに泊まってんだ……」
男女の仲になってから、オルガは少したどたどしくなった。
「ああ、ところで、今日はどうした?」
「あ、ああ。前に依頼された武器を持ってきたよ」
そう言って、オルガは穂まで真っ黒な長槍を取り出した。
そう、ヘルズホーンのレア素材『地獄犀の黒角』で作ったキアラの新しい槍だ。
「一応、エルフの細くて長い指に馴染むように柄の部分を調整したつもりだけど」
「ああ、ありがとう。ちょっと待っててくれ。本人を呼んでくる」
キアラを呼ぶと、槍を見て感動している。
「す、すごい……!! こ、これ、私にか!?」
「この間、言ったようにオルガに作ってもらったんだ。持ってみなよ」
「う、うむ……お、おおおっ!! すごい!! すごく持ちやすい!! それに、これ……使われているのはヘルズホーンのレア素材ではないか……!?」
「ああ、大切な彼女の武器だからな。奮発させてもらった」
「うう~!! レオ~!!」
さらに感動して声を上げるキアラ。
「オルガもありがとう!! これで私もさらに強くなれる!!」
「いえいえ、安心しなよ。あたしが作ったんだから、万に一つもなまくらはないよ!」
キアラの言葉にエッヘンと胸を張るオルガ。
さて、あとは全員がスキルを習得するのを待つだけだな。
そして、翌日——。
全員、スキル本を読み終えた俺たちは、魔獣の森に再び訪れていた。
「よし。今日はロウナも含めての実戦だ。みんな、無理なく力を推し量ろう」
「「「「おー!」」」」
「お、おー……」
ノリノリのリズたちとは違い、気後れしながらロウナが声を上げる。
ふーむ。まだ、自分の立ち位置が定められていないのだろう。
まあ、奴隷という立場にすぐに納得しろという方がおかしな話か。
徐々に慣れていけばいいさ。
ちなみにここに来る前に、ギルドでロウナの冒険者登録を行い、武器屋と防具屋に寄り、ロウナの冒険用の装備を整えた。
防具はプラチナのキラキラした軽鎧、目立つので色を変えるように助言してみたが、本人曰く「敵が自分の所に寄ってきた方が叩き潰せるだろ」ということだ。
その後、ぼそっと「あたしよりも防御の低い後衛を敵に狙わせるわけにはいかないしな」とも言っていた。
彼女なりにパーティのことを考えてくれているのだなと感じたのだった。
武器は、これまた派手な白銀鉱石で出来た籠手《ガントレット》と脛当て《グリーブス》だ。
なんでも、彼女のジョブ『グラップラー』というのは格闘技に長けていて、殴る蹴るという攻撃が主となるらしい。
森を進むこと五分——。
最初に現れたのは、ブラッディウルフ五体の群れだ。
「少し数が多いか?」
「いや、あれくらいなら楽勝だろう」
キアラの言葉に、目を鋭くさせたロウナが答える。
「後衛は後ろで援護準備。前衛で仕留めにかかろう」
俺の言葉に全員が首肯する。
ロウナが先陣を切り、俺とキアラがそれに続く――が。
「おらああああああっ!!」
ロウナが瞬時に血狼たちを蹴り飛ばして撃破、俺たちの出番は無かった。
強い。
派手な装備だから、ブラッディウルフの注目をすべて集めていたからということもあり、五体全てが団子になってロウナに突撃してきた。
そこを、ロウナが長い脚で回し蹴り。
骨の砕けるような音とともに、五体とも吹っ飛んで動かなくなったのだ。
「すっごーい!! ロウナ強ーい!!」
「ん……大活躍」
「流石ですね、ロウナさん!」
後衛の三人も驚きの声を上げる。
「す、すごいな。ロウナ」
「ま、まあ……あいつら塊になって向かってきたからやりやすかったな。『超破壊力』のパッシブもあるし、この程度は朝飯前だ」
俺の言葉に、照れているのか頬を搔きながら答えるロウナ。
有言実行。言葉通り、敵を叩き潰した。
中級職でジョブのレベルも高かったから、危険度Cレベルの魔物は敵ではないのだろう。
なるほど。タンク役として、前衛としてかなり優れている。
「頼もしい仲間が加わってくれたな」
キアラは俺の肩をポンと叩いて笑った。
それぞれ五冊という多さなので読み切るのには二、三日かかるだろうか。
ちなみに、魔導書や技術書に書かれているのはそのスキルの効果や放ち方、その構造や果ては歴史などである。
すべて魔法文字で書かれており、読むというよりは頭の中に映像が飛び込んでくる形で記憶されていく。
正直、元居た世界の教科書なんかがこの形式なら、誰でもテストは余裕だったのではと考えるくらいの分かりやすさだ。
丸二日、読書をして、ついに五冊目を読み切った。
「ふぅ、なかなかに疲れたな。これで、戦いも少しは楽になればいいんだけど。さて、リズたちはどうしているかな」
俺は、リズたちの泊っている部屋に向かった。
ロウナが加わったことで四人部屋から五人部屋に変わったので、ラックステラの大部屋フロアである三階に向かう。
部屋をノックすると、キアラが出てくる。
「ああ、レオか。もう本は読み終わったのか?」
「ああ。そっちは?」
「私とセーラは読み終わった。リズはもう少しといったところか。シレイドとロウナはまだかかりそうだが、明後日には読み終わっているだろう」
「そうか。みんなが読み終わったら、一度、魔獣の森で肩慣らししようと思う。ロウナを加えての戦闘も経験しておきたいしな」
「分かった。伝えておくよ」
俺が、部屋を去ろうとした瞬間、腕を引き寄せられ唇を奪われる。
「ちゅ……」
キアラの柔らかい感触と甘い香りが疲れた脳を癒してくれる。
「キアラ……」
「そ、その、最近、ちょっとレオ成分不足だったからな……」
「そうか、さみしい思いをさせてすまない。冒険が始まったら、また部屋に呼ぶよ」
「ああ、待っているぞ」
そう言って、艶やかなポニーテールを揺らして、部屋の中に戻っていくキアラ。
彼女も最初のころに比べて、ずいぶんと積極的になってきてくれている。
ここ最近はカーニバルできてなかったからな。
各彼女、公平に祭りを開いているとはいえ、寂しかったのだろう。
ハーレムを維持するのもなかなか大変だ。
翌日——。
ラック・ステラにオルガがやって来た。
食堂でランチを一緒に食べながら、用件を済ます。
「へ、へぇ、こういうところに泊まってんだ……」
男女の仲になってから、オルガは少したどたどしくなった。
「ああ、ところで、今日はどうした?」
「あ、ああ。前に依頼された武器を持ってきたよ」
そう言って、オルガは穂まで真っ黒な長槍を取り出した。
そう、ヘルズホーンのレア素材『地獄犀の黒角』で作ったキアラの新しい槍だ。
「一応、エルフの細くて長い指に馴染むように柄の部分を調整したつもりだけど」
「ああ、ありがとう。ちょっと待っててくれ。本人を呼んでくる」
キアラを呼ぶと、槍を見て感動している。
「す、すごい……!! こ、これ、私にか!?」
「この間、言ったようにオルガに作ってもらったんだ。持ってみなよ」
「う、うむ……お、おおおっ!! すごい!! すごく持ちやすい!! それに、これ……使われているのはヘルズホーンのレア素材ではないか……!?」
「ああ、大切な彼女の武器だからな。奮発させてもらった」
「うう~!! レオ~!!」
さらに感動して声を上げるキアラ。
「オルガもありがとう!! これで私もさらに強くなれる!!」
「いえいえ、安心しなよ。あたしが作ったんだから、万に一つもなまくらはないよ!」
キアラの言葉にエッヘンと胸を張るオルガ。
さて、あとは全員がスキルを習得するのを待つだけだな。
そして、翌日——。
全員、スキル本を読み終えた俺たちは、魔獣の森に再び訪れていた。
「よし。今日はロウナも含めての実戦だ。みんな、無理なく力を推し量ろう」
「「「「おー!」」」」
「お、おー……」
ノリノリのリズたちとは違い、気後れしながらロウナが声を上げる。
ふーむ。まだ、自分の立ち位置が定められていないのだろう。
まあ、奴隷という立場にすぐに納得しろという方がおかしな話か。
徐々に慣れていけばいいさ。
ちなみにここに来る前に、ギルドでロウナの冒険者登録を行い、武器屋と防具屋に寄り、ロウナの冒険用の装備を整えた。
防具はプラチナのキラキラした軽鎧、目立つので色を変えるように助言してみたが、本人曰く「敵が自分の所に寄ってきた方が叩き潰せるだろ」ということだ。
その後、ぼそっと「あたしよりも防御の低い後衛を敵に狙わせるわけにはいかないしな」とも言っていた。
彼女なりにパーティのことを考えてくれているのだなと感じたのだった。
武器は、これまた派手な白銀鉱石で出来た籠手《ガントレット》と脛当て《グリーブス》だ。
なんでも、彼女のジョブ『グラップラー』というのは格闘技に長けていて、殴る蹴るという攻撃が主となるらしい。
森を進むこと五分——。
最初に現れたのは、ブラッディウルフ五体の群れだ。
「少し数が多いか?」
「いや、あれくらいなら楽勝だろう」
キアラの言葉に、目を鋭くさせたロウナが答える。
「後衛は後ろで援護準備。前衛で仕留めにかかろう」
俺の言葉に全員が首肯する。
ロウナが先陣を切り、俺とキアラがそれに続く――が。
「おらああああああっ!!」
ロウナが瞬時に血狼たちを蹴り飛ばして撃破、俺たちの出番は無かった。
強い。
派手な装備だから、ブラッディウルフの注目をすべて集めていたからということもあり、五体全てが団子になってロウナに突撃してきた。
そこを、ロウナが長い脚で回し蹴り。
骨の砕けるような音とともに、五体とも吹っ飛んで動かなくなったのだ。
「すっごーい!! ロウナ強ーい!!」
「ん……大活躍」
「流石ですね、ロウナさん!」
後衛の三人も驚きの声を上げる。
「す、すごいな。ロウナ」
「ま、まあ……あいつら塊になって向かってきたからやりやすかったな。『超破壊力』のパッシブもあるし、この程度は朝飯前だ」
俺の言葉に、照れているのか頬を搔きながら答えるロウナ。
有言実行。言葉通り、敵を叩き潰した。
中級職でジョブのレベルも高かったから、危険度Cレベルの魔物は敵ではないのだろう。
なるほど。タンク役として、前衛としてかなり優れている。
「頼もしい仲間が加わってくれたな」
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